ヒップアップのリフォーマーは戻りも意識する?往復のお尻と骨盤の働きを読む

ヒップアップを目指すリフォーマーで、戻るときもお尻を締め続けるべきか。筋活動を測った実験と、筋力や筋肉量を追った研究を分け、ばねの強さ、骨盤の位置、言葉の合図による違いを読む。戻りを一律に伸ばされる収縮と決めず、レッスンで確かめたい動作と質問を具体的に整理する。

台を押し出すときはお尻を意識できる。ところが戻り始めると、ばねに連れ戻されるようで、どこに力を入れるか迷う。戻る間はお尻を締め続けるべきか、それとも骨盤の位置を確かめるべきか。

戻りにも注意を向けることと、戻りほどお尻に効くと決めることは別である。リフォーマーの筋活動を測った研究では、種目の中で骨盤や上体の位置を変えると、お尻と体幹の筋肉の活動の配分が変わった。台の移動方向だけでは、働く筋肉を説明しきれない。[14]

また、その場で筋肉が働いたことを、ヒップの形が変わる証拠に置き換えることもできない。運動習慣のない女性を追った研究では、長期間のピラティス後も臀筋を含む筋肉の体積に有意な変化は認められなかった。[8] 戻りを考えるときは、動作の制御、筋力、形の変化を順に分けておきたい。

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戻る方向と、お尻の収縮の種類を混同しない

既存記事「ヒップアップのヒップリフトはかかとを滑らす?止める脚との筋肉の分担を読む」が扱う脚の役割から離れ、ここではリフォーマーを往復するときの骨盤と臀筋に焦点を当てる。「マシンピラティスのばねは往復で同じ力?リフォーマーの戻りの抵抗を読む」にばね自体の抵抗の問いを譲り、動く人の側を見ていく。

なお、「ヒップアップの横向き脚上げは背中を壁へ?骨盤を支えたときのお尻の働きを読む」には壁による支えの比較を、「ヒップアップの歩き方は歩幅を広げる?踏み込みと戻るときのお尻の働きを読む」には歩幅と局面の問いを譲る。ここで比べたいのは、リフォーマー上で指定された姿勢と合図である。

四つばいで行うニー・ストレッチを調べた研究は、この区別の手がかりになる。ピラティス経験のある健康な参加者19人が、骨盤と上体の位置を変えた動作を行った。研究者は股関節を伸ばす局面と曲げる局面の両方で、大臀筋や腹筋、背中の筋肉の電気的な活動を記録した。これは同じ参加者の姿勢条件を比較する実験である。18〜39歳の女性だけを対象とした比較として、そのまま当てはめることはできない。[14]

研究で比較されたのは、骨盤を後ろへ傾けて上体を丸める姿勢、骨盤を前へ傾けて上体を伸ばす姿勢、骨盤を中間にして上体を傾ける姿勢などである。骨盤を後ろへ傾けて上体を丸めた条件では、大臀筋と外腹斜筋の活動が高かった。一方、骨盤を前へ傾けて上体を伸ばした条件では、背骨の近くにある多裂筋の活動が高かった。[14]

この結果が示すのは、往復を含む動作の中でも、姿勢によって筋肉の働く配分が変わることだ。「戻りだから大臀筋だけを使う」と考えるより、戻る間にどの姿勢を保つ課題なのかを確認するほうが、実験で測った内容に近い。[14] 同じ台の上でも、姿勢が違えば、体が担う仕事も変わる。

専門的な収縮の分類と、レッスンで聞く「押す」「戻す」という言葉も分けたい。ホルモン療法中の40歳以上の乳がん経験者を対象にしたマットピラティスの研究では、股関節の筋力を求心性、遠心性、等尺性という異なる収縮条件で測っている。18〜39歳の健康な女性の戻り動作へそのまま当てはめることはできず、ここでは測定条件の区別に注目する。[2] したがって、画面の中で台が戻る様子を見ただけで、それを特定の筋肉の遠心性収縮と名付けるのは早い。戻る方向の呼び名と、測定された筋肉の収縮条件は、同じ分類ではないのである。[2][14]

実際のレッスンでは、まず種目名と目的をそろえたい。「戻りで力を抜いてよいか」という質問には、「この動作では、何を動かして何を保つか」を添える。股関節が曲がることと骨盤が傾くことをひとまとめにせず、指導者の実演を見直す場面を作る。これは戻りの効果を増やす処方ではなく、姿勢条件が異なる研究を自分の動作に当てはめすぎないための確認である。[14]

この実験で測られた大臀筋と外腹斜筋の活動の増加には、骨盤の後ろへの傾きと上体を丸めた姿勢という条件が付いている。[14] 「お尻を使えた姿勢」という短い名前にすると、その条件が抜ける。自分が仰向けで脚を動かす日に、この四つばいの結果をそのまま持ち込むのではなく、まず別の種目として扱う。研究の条件を残すことは、動作の違いを尊重することでもある。

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ばねを重くすれば、戻りもお尻中心になるのか

リフォーマーで脚を横へ開くサイド・スプリッツを行った健康な女性28人の研究では、重いばねと軽いばねの条件が比較された。筋電図という筋肉の電気的な活動を測る方法に加え、立体的な動作の記録で、股関節や骨盤、上体の動きも調べている。[7]

重いばねでは、中臀筋、内腹斜筋、多裂筋の活動が高かった。中臀筋はここで測られたお尻の筋肉であり、大臀筋と同じ筋肉ではない。軽いばねでは、内ももの長内転筋の活動が高かった。したがって、軽い設定を「何もしなくてよい条件」と呼ぶのも、重い設定を「すべての筋肉に強い条件」と呼ぶのも、測定結果に合わない。[7]

動きにも違いがあった。軽いばねでは股関節の動く範囲が広く、左右の動きがより対称的だった。重いばねでは骨盤と上体の移動が少なく、安定性が高かった。[7] 筋活動、動く範囲、左右の対称性、上体の安定は、それぞれ別の観察項目である。ばねの本数だけでレッスンの成績表をつけると、その違いを取りこぼす。

この実験は、異なるばねの条件で行ったサイド・スプリッツの比較である。別の種目の戻りに、同じ筋肉の順位を移してはいけない。[7] たとえば脚を横へ開く課題と、四つばいで台を動かす課題を、どちらもリフォーマーだからと一括りにすると、姿勢の条件も測った筋肉も見えなくなる。[7][14]

立川駅北口の夕方、仕事を終えてレッスンに入り、隣の人より軽い設定を告げられる。その場で「今日は弱いほう」と判定する必要はない。研究では軽い条件にも、動く範囲や左右の動きという別の特徴があった。[7] 指導者には、重さの順位ではなく、その設定で確認したい動きを尋ねたい。ばねの設定は、隣の人との順位表にはならない。

戻りが落ち着かないと感じたら、その感覚を「もっと重くすべき」の一言に翻訳せず伝える。「脚は戻るが上体もついていく」「最後の位置を確かめにくい」など、見える動きの言葉にするのである。研究が骨盤と上体の移動を別に記録したように、相談でも観察する場所を分けると、何を比べたいのかが明瞭になる。[7]

筋電図と動作の記録を組み合わせた点にも意味がある。中臀筋の活動が高いことと、股関節がより広く動くことは、この実験では同じばね条件にそろって現れなかった。[7] 動きが大きい映像を見て「こちらのほうがお尻が働く」と判定するのも、台があまり動かない様子から「何もしていない」と判定するのも慎重でありたい。見える移動と筋肉の活動を別に測る研究だからこそ、そのずれを読めるのである。

お尻を意識する合図は、何を変えたのか

リフォーマーのロング・ストレッチでは、言葉による指示そのものを比べた研究がある。対象は身体活動のある12人で、体幹周辺の筋肉を自分の意思で使うよう指示された条件と、そうした指示のない条件が比較された。大臀筋や長内転筋、背中の多裂筋、腹部の外腹斜筋の活動と、骨盤の角度の安定性が測定された。18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、対象と種目の違いを考える必要がある。[9]

指示のある条件では、外腹斜筋を除く測定筋の活動が高くなり、骨盤の角度の変動から評価した腰と骨盤の安定性も高かった。[9] 「意識しても何も変わらない」という言い切りには、この結果は合わない。少なくとも、この動作をその場で行うときの筋活動と安定性には違いがあったのである。[9]

ただし、この研究で扱ったのは体幹周辺の筋肉を使う合図であり、お尻だけを強く締め続ける競争ではない。大臀筋だけでなく、多裂筋や長内転筋にも活動の変化があった。[9] 戻りのたびにお尻の感覚だけを採点すると、研究が同時に追っていた骨盤の安定を見落とすことになる。

合図を受けて動きが変わったことと、その合図を続ければ臀筋の体積が増えることも別である。ロング・ストレッチの実験は運動中の比較で、筋肉量の長期変化を追った研究とは問いが異なる。[8][9] レッスン直後の「使えた」は、その日の動作を話す言葉として大切にしながら、未来のヒップの形まで約束させない。

数字で読むリフォーマーと臀筋の研究

19人:骨盤と上体の位置を変えたニー・ストレッチの筋活動比較。姿勢条件によって活動する筋肉の配分が変わった。[14]

28人:サイド・スプリッツで重いばねと軽いばねを比べた健康な女性。筋活動だけでなく動作も測った。[7]

12人:ロング・ストレッチで筋肉を使う指示の有無を比較。指示によって骨盤の安定性にも違いがあった。[9]

12週間:高齢女性14人のマットピラティス研究で、股関節の筋力などに有意な改善が認められた期間。18〜39歳の女性へ同じ成果をそのまま当てはめることはできない。[3]

36週間:運動習慣のない女性12人がピラティスを続けた研究の期間。臀筋を含む対象筋の体積変化は有意ではなかった。[8]

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宮川涼 Founder

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