ダイエット停滞期に有酸素運動を増やす?空腹と食べて補う量の個人差を読む

ダイエット停滞期に有酸素運動やランニングを増やす前に、運動後の空腹感と実際の食事量を分けて考える。女性の試験で見えた食べて補う反応の個人差、次の食事と翌日までの違い、食事制限との比較を論文から読み、自分の生活で何を確かめるかを具体的に整理する。

走る時間を増やした日の夕方、ランニングシューズを脱ぎながら夕食のことばかり考える。体重は動かない。運動が足りないのか、それとも走った分を食べているのか。そこで空腹感だけを証拠にすると、話を取り違える。有酸素運動後に空腹を強く感じても、実際の摂取量が増えない試験があるからだ。[1]

運動で使ったエネルギーの一部を、その後の食事の増加で埋める反応を、ここでは食べる側の補償と呼ぶ。ただし、平均では食事量が変わらなくても、増える人と減る人が混在する。過体重・肥満の女性を対象にした試験でも、その個人差が確かめられている。[3]

したがって、停滞への対応は、運動時間を増やすという判断だけでは決まらない。増やす前後で空腹と食事を別々に見るのが、本記事の提案である。既存記事「ダイエット停滞期に運動を増やすと休みも増える?帰宅後の活動まで読む視点」に運動以外の活動の話を譲り、ここでは食べる反応の見分け方を考える。

既存記事「ダイエット停滞期に眠いのは食事の減らしすぎ?疲れと体重の横ばいを分けて読む」は眠気と疲労を扱い、「ダイエット停滞期の脂肪は酸素を使わない?取り出した組織と体内の違いを読む」は細胞の測定を扱う。その論点は各記事に譲り、こちらは運動後に食べる量へ視点を置く。

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食事が増えない平均の中にも、増える人はいる

過体重・肥満の女性が参加した無作為化された順序の比較試験では、個別に400 kcalを消費するよう調整した自転車運動と、同じ時間の安静を比較した。運動終了から60分後に自由に食べられる食事を用意し、その摂取量を測っている。平均は運動条件で666.0 kcal、安静条件で664.6 kcalであり、有意な差はなかった。[3]

これだけなら「運動しても食べる量は増えなかった」で読み終わる。しかし同じ参加者の運動条件と安静条件の差を調べると、摂取量の変化は−234.3〜278.5 kcalに広がっていた。平均が近いのは、全員の反応が近かったという意味ではない。食べる量が減った人と増えた人を一緒にすると、中央の数字は静かになる。[3]

この研究は、同じ消費量の運動でも、その後の食事によって生じるエネルギーの不足に個人差が出ることを示す。一方、ここで測ったのは実験で用意した次の食事である。運動を続けた先の体重や、停滞中の女性全員の反応まで決める結果ではない。自転車の結果を、日常のランニングで必ず同じ量だけ食べるという予測に替えることもできない。[3]

夕食を増やした記憶がある人には、「平均では増えていない」という説明だけでは役に立たない。反対に、食事が変わっていない人にまで補償を疑わせる必要もない。この試験を生活に下ろすなら、自分の運動日と休む日の食事を比べる、という問いになる。平均値は出発点であり、自分がどこに入るかの答えではない。

比較の際は、運動した日の食事だけを取り出して反省会にしないことだ。昼食が遅れた日といつもの日、帰宅後に食べた日と外で食べた日では、そもそもの場面が違う。まず何を比べているのかを言葉にする。研究で運動と安静を分けていたように、生活でも条件の違いを意識しておくと、運動のせいだと即断するのを避けやすい。

研究でいう個人差は、参加者の食事量を単に多い順に並べたものでもない。同じ人が運動した条件で、安静条件よりどれほど食べたかという差である。普段からよく食べる人を、そのまま補償が大きい人と呼ぶ比較ではない。この区別を置くと、友人の夕食と自分の夕食を見比べるより、自分の条件間の変化を追う理由がはっきりする。[3]

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空腹が増えたことと、摂取量が増えたことは別だ

健康な男女14人を対象にした無作為化クロスオーバー試験がある。クロスオーバーとは、同じ人が別の条件も経験して比べる方法である。参加者は75分のトレッドミル運動、または75分の座位安静を行い、その後3日間、食事代替飲料を自由に飲んだ。運動条件では期間全体の主観的な食欲が高かったが、摂取エネルギーは増えなかった。男女を合わせた結果なので、18〜39歳の女性だけでも同じ反応になるかは、この比較からは判断できない。[1]

この違いは小さくない。「今日はお腹がすいた」という感覚が本物でも、「だから食べすぎた」という結論は別に確かめる必要がある。逆に、空腹が落ち着いているからといって、食べる量まで減ったと決められない。感覚と食べた結果は、研究でも別の項目として測られている。[1][6]

肥満のある、普段座って過ごす男性11人を対象にしたクロスオーバー試験では、60分の中強度の自転車運動後に食欲の感覚が抑えられた。しかし、自由に食べた食事の摂取エネルギーに有意な差はなかった。条件間の摂取量の差の95%信頼区間は−1904.9〜928.1 kJと広く、食欲が下がったことを食事量の確実な減少と読み替えることはできない。肥満のある男性の結果を、18〜39歳の女性へそのまま当てはめることはできない。[6]

前の試験では食欲が高くなり、こちらでは抑えられた。これは単純な勝ち負けではない。健康な男女と肥満のある男性、数日間の評価と運動後の評価、飲料中心の摂取と食事というように、対象と条件が異なる。両方を読むことで、「運動すると食欲は上がる」「運動すると食欲は消える」のどちらも一律には言えないと分かる。[1][6]

とくに食事代替飲料だけで過ごす条件は、家族と夕食を囲む日常とは違う。その試験で摂取が増えなかったことを、自分の台所でも増えない保証にはできない。それでも、食欲の感覚から食べた量を逆算してはいけない、という論点は残る。空腹を感じた自分を責める前に、食べた内容の話なのか、感覚の話なのかを分けたい。

次の食事だけで、翌日までの補い方は決まらない

若い非肥満の男性18人を対象にした研究では、昼食前に60分の自転車運動をする条件と、安静条件を比較した。参加者は体脂肪と体力の組み合わせによって分けられ、その後の食事を翌朝食まで日記に記録した。昼食の摂取量には差がなかったが、24時間では運動後の摂取量が安静後より多かった。男性のみの試験なので、18〜39歳の女性でも同じ時間経過をたどるかは別に確かめる必要がある。[9]

運動で使ったエネルギーに対する平均の補償率は、体脂肪が多く体力が低い群で49.8%、体脂肪が少なく体力が高い群で37.8%だった。いずれも部分的な補償であり、運動で使った分が平均ですべて食事に戻ったという結果ではない。また、この数字は若い男性の限られた条件での結果であり、女性個人の補償率として使うものではない。[9]

この研究で見ておきたいのは、昼食だけなら差がなく、時間を広げると差が現れた点だ。運動の直後にいつも通り食べられたとしても、その後の食事が同じかどうかは別に見なければならない。ただし、日記による自己申告は、研究側がすべての摂取を直接測った方法とは異なる。食べる場面を広く追えることと、量を正確に測れることは同じではない。[9]

一方、先に挙げた健康な男女の試験では、3日間にわたって摂取の増加は見られなかった。つまり、時間を延ばせば必ず補償が現れるという読み方もできない。研究の期間だけでなく、対象、運動、何をどのように食べたかを一緒に見る必要がある。結果の違いを「どちらかが間違い」と片づけるより、違う生活条件の手がかりとして扱う方がよい。[1][9]

生活で振り返るなら、走った直後の夕食だけで話を終えず、その後の間食や翌朝までの流れを思い出す。これは食べ物を取り締まる作業ではない。夕食は同じだったのか、帰り道に買う物が変わったのか、朝に空腹を感じたのか。問いを分ければ、増やした運動とどの場面を比べたいのかが具体的になる。

昼食で差がないという結果は、昼食を測った範囲で受け取る。翌朝までの結果は、その時間幅で受け取る。測定の終点を省かないだけで、同じ「増えなかった」という言葉の意味が変わる。[1][9]

数字で読む食べる側の補償

400 kcal:過体重・肥満の女性の試験で、個別に調整された自転車運動の消費量。[3]

−234.3〜278.5 kcal:同試験の、運動条件と安静条件での食事量の個人差の範囲。[3]

14人・3日間:運動後の食欲が高まっても、飲料による摂取量は増えなかった試験の対象と観察期間。[1]

49.8%と37.8%:若い男性の異なる体脂肪・体力群で見られた、24時間の平均の部分的な補償率。[9]

12週間:運動後の体重変化の反応と、食後のホルモンの違いを検討した比較試験の期間。[7]

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宮川涼 Founder

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