インナーマッスルでウエストは変わる?筋厚と脂肪を同じ成果にしない読み方

インナーマッスルを鍛えて筋肉の厚さが変われば、ウエストや脂肪も変わったと言えるのか。食前後の超音波測定、産後女性や骨粗鬆症女性の研究から、筋厚・腹囲・機能が示すものを読み分ける。数字の増減だけで運動の成果を決めず、対象と比較条件を確かめるための記事である。

鏡の前でお腹に力を入れ、横から眺める。その輪郭だけで、インナーマッスルの厚さや脂肪の量まで分かるだろうか。ここで答えを急がないことが、ウエストの変化を読む出発点になる。筋肉を画像で測った厚さと、体の外周を測った腹囲は、同じ数字の別表現ではない。[5][15]

実際、健康な男性の食前と食後を比べた研究では、腹部の筋肉の厚さが食後に減っていた。ところが、腹囲の増加と筋厚の減少の間には相関がなかった。筋厚の画像とウエストの変化は、別々に確かめる必要がある。対象は男性であり、18〜39歳の女性に同じ変化が起こるかは、この比較からは判断できない。[15]

インナーマッスルを鍛えれば必ずくびれる、という約束より先に必要なのは、何が変わったのかを分けることである。既存の「インナーマッスルのお腹はどこで測る?腹横筋の厚さと測定位置を研究で読む」には位置の論点を譲り、ここでは筋厚の結果を腹囲や脂肪の成果へ読み替えてよいかを考える。筋肉の形と機能も分けて測った研究が、その手がかりになる。[5]

「インナーマッスルの画像は座ってから待つ?水分で変わる筋厚と比較の条件を読む」と「インナーマッスルは強く押すと薄く映る?超音波の圧と筋厚の数字を読み分ける」には、それぞれの測定条件の論点を譲る。ここで問うのは、測った筋厚の変化を脂肪の変化と呼べるかどうかである。

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筋肉の厚さとウエストは、別々のものを測っている

腹横筋は、腹部の深い層にある筋肉として話題に上がる。腹部の横側を超音波で調べた研究は、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋という筋肉の層を分けて厚さを測定している。「お腹の筋肉が厚い」という説明を読む際も、どの層の話なのかを確かめたい。ひとまとめのインナーマッスルという言葉だけでは、測定した対象が見えなくなる。[15]

筋厚は、画像上の筋肉の厚さである。一方、腹囲はお腹の外周を示す。食事の前後に筋厚と腹囲を同時に測った研究でも、両者の変化は単純には連動しなかった。外から見える大きさを、特定の筋肉の厚さだけから説明するのは無理がある。メジャーは筋肉の層を選んで一周する道具ではない。[15]

脂肪をどう評価するかも、別の問いになる。郊外に暮らす中年の白人成人の地域コホートを扱った、心血管疾患や糖尿病に関するレビューでは、腹囲と体格指数に加え、血中脂質や糖・インスリン代謝の指標が扱われている。腹囲は健康を考える手がかりの一つだが、筋肉の厚さを表す指標として使われているわけではない。健康状態についても、外周だけを独立した判定表にしない読み方が必要である。対象の年齢や背景が異なるため、18〜39歳の女性の健康リスクの大きさへ直接置き換えることはできない。[4]

したがって「筋厚が増えた」「腹囲が減った」「脂肪が減った」は、それぞれ確かめるべき文である。最初の文を読んだだけで、残りも成立したことにはならない。食前後の比較が示すように、同じ人のお腹で起きた測定値の変化にも、対応しない組み合わせがあるからだ。[15]

研究の説明を読むときは、結果の名詞をそのまま残すと分かりやすい。「腹横筋の厚さ」を「お腹全体の引き締まり」に置き換えず、「腹囲」を「脂肪量」に置き換えない。言葉を少し大きくしただけのつもりでも、結論の範囲は広がってしまう。産後女性の研究で筋厚、安定性、腹囲を分けて評価しているのも、異なる結果を別々に扱うための重要な視点である。[5]

研究結果を家での記録と並べるときには、比較の相手も書き添えたい。自分の前回と比べたのか、別の人の値と比べたのか、病気の有無で分けた群同士を比べたのか。同じ「差がある」でも、この違いで受け取れる意味は変わる。食前後の比較と産後の群間比較を、同じ成長の証拠として並べないことが肝心だ。[5][15]

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食後に筋肉が薄く写っても、筋肉が減ったとは限らない

食事による測定値の変化を調べた比較研究の対象は、健康な男性63人であった。食前と食後に腹部の横側の筋肉を超音波で測り、左右両側、それぞれの測定位置で比較している。腹囲と体重も同じ食前後に測定した。長期間のトレーニング前後ではなく、食事を挟んだ比較であることが、この結果を読む鍵になる。18〜39歳の女性に同じ方向や大きさの変化が起こるかは、男性のこの比較だけでは判断できない。[15]

食後には、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋のすべての層で、測った左右と位置において筋厚が有意に減少した。「有意」とは、ここでは研究の統計的な比較で差が認められたという意味である。ただし、その差を長期的な筋肉の衰えと呼ぶ研究ではない。研究者が指摘したのは、時間を置いて腹筋の厚さを比較する際、食事が測定上の誤差の要因になりうることであった。[15]

さらに、腹囲が増えた程度と筋肉の層が薄くなった程度には相関がなかった。相関がないとは、この比較で一方の増減に応じて他方が一定の方向に変わる関係が確認されなかったということである。「お腹が大きくなった分だけ腹横筋が薄くなる」という簡単な換算式にはできない。[15]

これは、夜の鏡を見て朝の運動を採点する場面にも関わる。たとえば、出勤前の記録と夕食後の記録を並べるなら、少なくとも研究では食事が筋厚の比較に関わったことを思い出したい。見え方が違ったという観察は残してよい。ただ、それに「筋肉が落ちた」「脂肪が増えた」という別の意味まで付け足す必要はない。[15]

対象が男性だった点も残しておく。この研究の結果を、そのまま若い女性の全員に同じ大きさで起こる変化として扱うことはできない。それでも、筋厚の前後差を読む際に、運動以外の比較条件を点検する理由にはなる。自分に当てはめるときは、研究が扱った現象と、自分に起こる量の予測を分けるのである。[15]

超音波という測定法を使った結果だからこそ、条件の確認が要らなくなるわけでもない。画像に数字が付くと、鏡より確かな最終判定に見えやすい。しかしこの研究では、同じ測定法で食前後に異なる値が得られた。装置を使った客観的な測定と、その値を何の変化と解釈するかは、つながっていても別の作業である。[15]

産後の研究では、腹囲と支える機能を分けている

筋肉の厚さと、お腹を支える機能を混同しないために、産後女性を調べた研究を見てみよう。対象は105人で、産後に腰痛がある女性、産後に腰痛がない女性、妊娠しておらず腰痛がない女性が各35人であった。研究の型は、過去の情報を用いて群を比較する後ろ向きの横断研究である。運動を割り当ててウエストの変化を追う試験とは異なる。産後や腰痛という条件があるため、18〜39歳の女性全般に群間差をそのまま当てはめることはできない。[5]

研究では、超音波で多裂筋と腹部の筋肉の厚さを調べ、片脚で行うヒップブリッジの検査で体幹の安定性を評価した。多裂筋は背骨に沿う筋肉であり、ここでは安静時と最大収縮時の厚さが測られた。腰痛のある産後群では、多裂筋の厚さが両方の比較群より有意に小さく、安定性も低かった。[5]

腹囲については、腰痛のある産後群が、妊娠しておらず腰痛のない群より大きかった。腹囲の群間差と、筋厚や安定性の群間差は、比較の相手まで同一ではない。この違いを省略して「お腹が大きい人は深部筋が弱い」と一般化すると、産後という対象の条件も、何と比べた差なのかも消えてしまう。[5]

また、横断研究は、比較した時点での特徴の組み合わせを示す。筋肉が薄くなったから腹囲が増えた、腹囲を減らせば腰痛が改善する、という時間順序や治療効果まで確定するものではない。研究では安定性の低下や腹囲の増大と腰痛との関連も分析されたが、関連を見つけることと、原因を操作して結果を変えることは区別する必要がある。[5]

この研究から日常へ持ち帰れるのは、細さだけで体幹の状態を採点しない視点である。形を測る超音波、動作を用いる安定性の検査、外周を測る腹囲を、研究者は並べて扱っている。ウエストの数字が気になる日でも、「支える機能はどうか」という別の問いを残す読み方には根拠がある。[5]

数字で読む筋厚と腹囲の違い

63人:健康な男性の食前後を比べた筋厚測定の対象人数である。[15]

3層:食後の筋厚減少は、外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋で確認された。[15]

105人:産後の腰痛の有無などで群を比較した横断研究の全対象者である。[5]

各35人:産後腰痛群、産後非腰痛群、非妊娠・非腰痛群の人数である。[5]

91人:骨粗鬆症のある閉経後女性などの体幹筋を超音波で調べた研究の全対象者である。[9]

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宮川涼 Founder

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