運動のあとも消費は続くのか アフターバーン(EPOC)の大きさを測った研究

運動を終えた後も消費が続くアフターバーン(EPOC)は、どれほどの大きさなのか。水中運動、インターバル、筋トレ、16か月の運動を測った試験から、運動中の消費に対する割合、続く時間の食い違い、強度やセット数との関係、短い運動を分けた日の合計、測り方の限界を確かめる。

水の中で30分続けて動いた女性の消費は227.62kcal。20秒の速い動きと10秒の休みを8回くり返した方は39.91kcalだった。ところが、運動を終えた後の上乗せは、続けた方が22.10kcal、くり返した方が22.53kcalで、ほとんど並んだ。[1]

運動を終えても消費がしばらく高いままになる現象は、運動後過剰酸素消費、略してEPOCと呼ばれる。「アフターバーン」という名前で、きつい運動ほど後で燃え続けると語られることも多い。

では、その上乗せは何kcalで、何時間続くのか。測った研究を並べると、上乗せは運動そのものの消費よりずっと小さく、続く時間の答えは研究によって割れている。[10]

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EPOCは、運動を終えた後に余分に使われる酸素のこと

運動から回復するあいだ、体の代謝は高まったままになる。この高まりがEPOCである。測り方の基本は、運動の前に安静時の酸素の取り込みを測っておき、運動の後に取り込みがその値に戻るまでの余分を足し合わせることだ。メタボリックシンドロームの男性を調べた研究では、安静時の代謝の値を基準にして、そこへ戻るまでEPOCを測り続けている。[10][11]

20世紀前半の研究者たちは、EPOCが長い時間続くと報告し、活動で生まれる熱のかなりの部分を占めると考えた。そこから、EPOCは1日の消費と体重の維持に大きく貢献するはずだと思われるようになった。この20〜30年の研究は、そうした先駆けの実験の手順を改め、EPOCをより正確に描き直してきた。[10]

身近な場面に置き換えると、駅の階段を急いで上った後、ホームで息が整うまでのあいだも、体は回復のために余分な酸素を使っている。研究が問うてきたのは、その余分が何分、あるいは何時間続き、合計でどれほどになるかという量の話だ。

描き直された姿は、こうである。運動の時間を決めて比べると、運動の強さとEPOCの大きさの間には、強さが上がるほど急に大きくなる指数関数の関係がある。最大酸素摂取量の50〜60%以上の強さでは、運動の時間が長いほどEPOCは直線的に増える。一方、筋トレについては、研究の数が少なく、運動の強さをそろえて数える方法にも難しさがあるため、同じ関係が成り立つかはまだはっきりしないとされる。[10]

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大きさは、運動そのものの6〜15%

続く時間については、先駆けの研究ほど長くはないものの、ふさわしい運動の刺激があれば3〜24時間の長いEPOCが起こりうることが分かってきた。目安とされるのは、最大酸素摂取量の70%以上で50分以上続ける運動か、105%以上の強さで6分以上動く運動である。[10]

ただし、その長いEPOCが出た研究でさえ、EPOCは運動の正味の酸素消費の6〜15%にとどまっていた。休みをはさむ運動では、休みのあいだのEPOCも足せば割合が上がる可能性があるとされるが、それを分けて測れるように組んだ研究はこれからだという。[10]

このレビューの著者らは、EPOCが減量に重要な役割を果たすというかつての楽観は、おおむね根拠がないと書いている。長いEPOCを生む運動の刺激は、運動選手でない人には耐えにくいだろうとも述べる。体重の維持における運動の役割は、主に運動しているあいだの消費の積み重ねによる、というのが結論だ。[10]

冒頭の水中運動の数字も、この見立てに収まる。続けた方の運動中の消費227.62kcalに対し、運動後の上乗せは22.10kcalで、およそ1割だった。[1]

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水中の30分と、4分のインターバル

水中運動の試験を詳しく見ておく。健康な若い女性11人が、順番をくじで決めて2つのやり方を行った。インターバルの方は、水中で測った最大酸素摂取量に対応する動きの速さの130%で20秒動き、10秒休むことを8回くり返す。合わせて4分で終わる運動だ。続ける方は、2つ目の換気閾値と呼ばれる強さの心拍数の90〜95%で30分動いた。[1]

消費は運動の前後30分ずつと、運動中に測っている。1分あたりの消費はインターバルの方が9.98kcalで、続ける方の7.58kcalより大きかった。けれども運動中の消費の合計は、続ける方が227.62kcal、インターバルの方が39.91kcalで、続ける方が大きく上回った。[1]

続ける方とインターバルの順に、運動後30分の消費は63.65kcalと64.48kcal、そのうち安静時を上回る分であるEPOCは22.10kcalと22.53kcalで、差はなかった。酸素の取り込みは、運動を終えて15分後にはすでに安静時の値に戻っていた。著者らは、水中で続ける運動はインターバルと同じくらいの運動後の消費を生み、合計の消費ではむしろ上回るとまとめている。[1]

短く激しい動きは1分あたりの消費が大きい。そこまでは直感どおりだ。ただし4分で終われば、運動中の合計は30分の運動に届かず、後からの上乗せでもその差は埋まらなかった。

強度を上げると上乗せは増える。ただし桁は変わらない

運動の強さが上がるとEPOCが大きくなることは、先のレビューが積み重なった証拠としてまとめていた。[10] 高い強度の有酸素運動は、中くらいの強さより時間あたりの消費が大きく、回復期の消費も大きくなりうる。その見込みを確かめるため、メタボリックシンドロームの男性7人(平均56.7歳)が、高い強度のインターバルを1本だけ行う日、4本行う日、中くらいの強さで47分続ける日を、それぞれ別の日に行った試験がある。[11]

酸素の取り込みが高いままだった時間は、4本の日が70.4分、1本の日が35.9分、47分続けた日が45.6分だった。EPOCの量は4本の日が2.9L、1本の日が1.3L、続けた日が1.4Lで、3つの日の間には有意な差があり、4本の日が最も大きかった。著者らは、運動の強さがEPOCを大きくすると結論している。[11]

2型糖尿病の人でも同じ方向の結果が出た。10人(平均60.3歳、BMIの平均28.3)が、一晩の絶食の後に60分歩く日を2種類と、歩かない日を設けた。一方は同じ速さで歩き続け、もう一方は速歩き3分とゆっくり歩き3分をくり返す。運動中の酸素の取り込みは両者でそろえてあった。[12]

EPOCは、速さを切り替えて歩いた日が8.4Lで、歩き続けた日の3.7Lより大きかった。一方、運動の後に飲んだ食事の試験のあいだの脂肪の燃焼は、体重1kgあたり毎分、速さを切り替えた日が1.03mg、歩き続けた日が0.87mgで、歩かない日の0.73mgより高まったが、2つの歩き方の間に差はなかった。血液中の脂肪酸やグリセロールの増え方も、2つの歩き方で同じくらいだった。著者らは、消費をそろえた続ける運動より、インターバルの運動で体重が減りやすいことが多い理由を探る目的でこの試験を組んでいたが、脂肪の使われ方の差までは見つからなかった。[12]

酸素の量をkcalに直すときは、酸素1Lを5kcal、20.9kJとする慣例の換算がよく使われる。これをそのまま当てはめると、2.9Lは約15kcal、8.4Lは約42kcalにあたる。ただ、この換算は激しい運動の後の回復期には成り立たないという指摘があり、目安の桁を知るための数字として扱うのがよい。[2][11][12]

数字で読むEPOC

6〜15%:長いEPOCが出た研究でも、運動の正味の酸素消費に占めるEPOCの割合。[10]

22.10kcalと22.53kcal:水中で続けた運動とインターバルの、運動後の上乗せ。運動中の合計は227.62kcalと39.91kcalだった。[1]

15分:水中運動の後、酸素の取り込みが安静時に戻るまでの時間。[1]

2.9Lと1.4L:メタボリックシンドロームの男性で、インターバル4本の日と47分続けた日のEPOC。[11]

8.4Lと3.7L:2型糖尿病の人で、速さを切り替えて歩いた日と歩き続けた日のEPOC。[12]

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