むくみ解消の紅茶に牛乳を入れると違う?成分の結合と人への吸収を分けて読む

むくみ解消を期待する紅茶に牛乳を加えると、ポリフェノールの吸収は落ちるのか。成分が結合する実験、人の血液を調べた試験、血管機能を測った研究を分けて読む。牛乳入りで差がなかった結果と異なる結果を並べ、いつもの一杯を選ぶ際に、吸収と脚のむくみを混同しない考え方を示す。

夕方、靴の跡が気になって紅茶をいれる。牛乳の容器に手を伸ばしたところで、「入れるとポリフェノールが吸収されなくなる」という話を思い出す。カップの前で、好みと健康情報が小さく衝突する。

牛乳を加えても、紅茶の成分の吸収に差がなかった人の試験がある。人が紅茶を飲んだ試験では、牛乳を加えてもカテキンやフラボノールの吸収に有意な差がなかった結果がある。一方、血液の抗酸化指標や血管の反応には、牛乳の有無で違いが出た研究もある。同じ「紅茶の効果」という袋に入れると、結果の意味を取り違える。[5][7][20][1]

ここで扱うのは、紅茶のポリフェノールが牛乳とどう関わり、人の血液にどう現れるかという問いである。これらの吸収・血管機能の試験を、ミルクティーで脚のむくみが減るという証明にはできない。[5][20][1] 既存記事「間食のたんぱく質は紅茶と合わせると違う?結合だけで消化を決めない研究の読み方」にたんぱく質側の消化の話は譲り、こちらでは茶の成分側から順に追う。既存記事「間食のココアは牛乳で吸収が変わる?成分の結合と体に届く量を分けて読む」はココアの吸収と代謝の話である。ここでは紅茶に牛乳を加えた直接比較と、その血管反応までを扱う。

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牛乳との結合は、成分の消失と同じではない

ポリフェノールは茶に含まれる成分群で、ここではカテキンやフラボノールなど、実際に研究で調べられた成分を指す。同じ茶由来でも、測定する成分をそろえなければ吸収の話は比較できない。カテキンを調べた試験と、ケルセチンやケンフェロールというフラボノールを調べた試験は、別の成分を追っている。[5][20]

牛乳のたんぱく質と茶のポリフェノールが相互作用すること自体は、実験で確認されている。食品の成分を使った研究では、水素結合やファンデルワールス力という分子間の力を通じて複合体ができ、牛乳たんぱく質の構造にも変化が生じた。難しい力の名前を覚える必要はない。大切なのは、成分同士が関わった事実と、飲んだ人に起きる変化を別々に読むことだ。[8]

興味深いのは、その実験では結合によって茶のポリフェノールの消化中の利用可能性が高まったことである。とくにエピカテキンガレートとエピガロカテキンガレートで改善が大きかった。結合したら必ず利用できなくなる、という単純な筋書きは、この結果とは合わない。[8]

ここでいう消化中の利用可能性とは、消化過程を想定した実験で、成分が利用されうる状態になることを指す。人の血中濃度を直接測った結果とは区別する必要がある。実験で利用可能性が高まったからといって、人が牛乳入り紅茶を飲むほど健康になるとは結論できない。[8] カップの中で起きる出来事には、まだその先がある。

ネットの説明では、「結合する」という途中の出来事が、そのまま「吸収を妨げる」という終点に置き換わりやすい。しかし結合を調べる研究は、何と何がどう関わるかを問う。吸収を調べる研究は、飲んだ後に血液などで何が増えたかを問う。問いが違えば、必要な測定も違う。分子同士の関係を見つけた段階で、人の飲み方まで決めないのが読み方の基本である。[8][5]

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カテキンを測った人の試験では差がなかった

健康な成人の女性と男性を合わせた12人の無作為化クロスオーバー試験では、緑茶、紅茶、牛乳入り紅茶を、間隔を空けて同じ参加者が飲んだ。飲む前から飲んだ後8時間まで採血し、血液中のカテキン濃度を追っている。人による違いの影響を抑えながら、飲み物の条件を比べる設計である。男女をまとめた結果なので、18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、女性だけの結果を確かめる必要がある。[5]

牛乳入りの条件は、紅茶600mlに牛乳100mlを加えたものだった。血中濃度の時間変化を面積としてまとめる指標は、紅茶が0.53、牛乳入りが0.60時間・マイクロモル毎リットルで、有意な差はなかった。この条件では、牛乳を加えることによるカテキンの利用性低下は認められなかった。[5]

この面積は、採血した瞬間の高さだけを見る値ではない。血中濃度が時間とともに増え、下がっていく経過をまとめている。ある時刻で少し高くても、その後すぐ下がる場合と、低めでも長く続く場合を、時間を含めて捉えるための指標だ。したがって「成分が吸収されたか」を考えるとき、飲んだ直後だけの比較より経過を追うことに意味がある。[5]

ただし、数値が0.60の方が大きいから牛乳入りが優秀、と読み替えてはいけない。研究の結論は、有意な差がないというものだ。大小の見た目と、条件による違いが確かかという判断は別である。牛乳は吸収を邪魔しなかった、という結果を、吸収を増やす工夫として売り出すのも飛躍になる。[5]

また、試験の紅茶量を日常の目標にする必要はない。研究者が条件をそろえるために用いた量と、読者に勧める量は同じではない。この研究を読む目的は、毎朝その量を再現することではなく、「牛乳を入れると成分が全部無駄になる」という主張が、人の測定結果と合うかを確かめることにある。[5]

この試験で紅茶の血中カテキンの増加が最大になった時刻は平均2.2時間だった。カップの見た目が白く変わる瞬間と、体内の濃度変化が起きる時間は同じではない。目に見える混ざり方だけで、体の中の行き先までは決まらないのである。[5]

別の茶成分でも、吸収への影響を確かめている

フラボノールを調べた人の研究では、健康な18人が紅茶、牛乳入り紅茶、緑茶、水という条件のうち、それぞれ異なる条件を経験した。飲用期間は3日間で、紅茶135mlに牛乳15mlを加える条件が含まれていた。測定したのはケルセチンとケンフェロールの血中濃度である。[20]

この研究でも、牛乳を加えても血中濃度の時間曲線の面積は変わらなかった。たんぱく質が茶の成分に結合しうることと、飲んだ後のフラボノールの利用性が落ちることは、同じではなかった。[20] カテキン以外でも似た方向の結果があるため、「紅茶の成分は牛乳で吸収不能」という大きな言い切りは、さらに難しくなる。[5][20]

一方で、飲み方の条件には注意が要る。この研究は日に8杯という設定で、成分の動きを調べたものだ。普段の一杯と同じ状況として扱うのではなく、どの成分をどの条件で測ったかを添えて受け取る。この杯数を健康のためにまねるという意味ではない。[20]

紅茶400mlを飲んだ後の血液を調べた別の研究では、80分以内に総フェノールが20%、カテキンが32%、ケルセチンが39%、ケンフェロールが45%増加し、これらの変化は牛乳を加えても影響されなかった。血液の抗酸化能の10%増加についても同じだった。[15]

成分名が並ぶと、数字の大きいものを選びたくなる。しかしこれらは違う成分それぞれの変化であり、健康効果の順位表ではない。ケンフェロールの増加率が大きいから、脚が最も軽くなるという意味にはならない。血液で何がどれだけ変化したかという測定結果として読むのが適切だ。[15]

同じ研究では、茶の抽出時間が長くなるにつれて、抗酸化能や総フェノール、カテキン含量が増え、牛乳の添加はその結果に影響しなかった。研究者は、ポリフェノールの吸収を考える際には抽出時間も重要だと指摘している。[15] 牛乳の有無だけを見ていると、そもそもどんな紅茶を飲んでいたかが抜け落ちる。

同じ「牛乳入り」でも、研究ごとに用いる比率や追う時間が異なる点にも目を向けたい。カテキンの試験は飲用後の時間経過を追い、フラボノールの研究は決めた日程で繰り返し飲む条件を使っている。似た結論が得られたことは手がかりになるが、すべての紅茶や配合で同じ結果になることまで保証するものではない。[5][20]

家で飲み方を比べるなら、茶葉や抽出の条件まで一緒に変えたときに、牛乳だけの影響と考えないことが役立つ。茶を濃くした日と薄くした日では、入口となる成分の量も違いうる。抽出時間による成分量の変化を調べた研究は、紅茶を飲んだ回数だけでは飲み方を十分に表せないと指摘している。生活を実験室にする必要はないが、「何を比べたか」は検索結果を読むときにも持っておきたい視点だ。[15]

数字で読む紅茶と牛乳の比較

12人:牛乳の有無によるカテキンの血中濃度を比べた無作為化試験の参加者数である。[5]

600mlの紅茶に牛乳100ml:カテキンの利用性に有意な低下がなかった試験条件で、推奨する飲用量ではない。[5]

18人:牛乳添加でフラボノールの血中濃度曲線の面積が変わらなかった研究の参加者数である。[20]

80分以内:紅茶飲用後に複数のポリフェノールや抗酸化能の増加を捉えた時間の範囲である。[15]

17人・各4週間:紅茶と牛乳入り紅茶の血管機能を比べた試験の規模と各条件の期間である。[1]

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