体脂肪を落とす食べ物を探すとき、熱量だけでなく軟らかさにも目を向けたい。同じ熱量でも食感によって食べる速さや食後の満腹感が違った試験を読み、間食まで変わる場合と変わらない場合を整理する。硬いほど痩せるとは言えない理由と、日々の食事で無理なく確かめる視点を示す。
スプーンで食べる昼食は、噛み応えのある弁当より早く終わった。表示を見ると、昨日と熱量は近い。それなのに、今日は食べ終わるのがずいぶん早い。食事を選ぶとき、数字の横に「口の中でどれだけ仕事があるか」という欄はない。
食感は、食べる速さや満腹感を変えうる。同程度の熱量を出した試験でも、硬い食事の条件で満腹感が強まり、その後の間食が少なくなった例がある。ただし、食感の違いが次の食事量を変えなかった試験もある。ここで確かめたいのは食事量を削る方法より、食感によって食後の満ち足りた感じがどう変わるかである。[1][2]
野菜の切り方は既存記事「体脂肪を落とす野菜は刻み方でも違う?同じにんじんの形と食べる速さを読む」に譲る。ここで考えるのは、同じ熱量を食べたときの経験と、その後に食べる量である。隣の記事が扱うたんぱく質の食べる順序や、水分と糖の貯蔵の話とも分けて読む。

食べる速さは性格だけで決まらない
急いで食べた昼に「また早食いをした」と反省する。けれども、食べる速さを本人の気持ちだけで説明するのは狭すぎる。食べる速さに関連する要因を整理した系統的レビューは、104研究から39の要因を挙げている。本人の習慣や心理だけでなく、同席者、社会的な習慣、食品の食感や出し方なども含まれていた。[3]
このレビューは、食べる速さの測り方や研究設計が異なる研究をまとめている。そのため、挙げられた要因のすべてが同じ強さで速度を変えるとは読めない。重要なのは、速く食べる人をひとつの性格に分類することではなく、食品と食卓の条件にも目を向けることである。食べ物の形や特徴、口の中での処理行動は、比較的よく調べられ、一貫した関連が見られた項目だった。[3]
口の中での処理とは、噛む、唾液と混ぜる、飲み込むまで口にとどめる、といった食べる動作を指す。これらを扱った系統的レビューとメタ分析では、咀嚼、つまり噛むことに関わる操作が、食べる量と空腹感に影響していた。ただし、食べる量に比べ、本人が答える食欲の変化は小さかった。[7]
分析対象は38論文に含まれる40の研究である。食事量の効果量は−0.28、95%信頼区間は−0.36〜−0.19、空腹感の効果量は−0.20、同区間は−0.30〜−0.11だった。効果量は異なる尺度の結果を比べるための指標であり、食事が28%減るという意味ではない。いずれも減少する方向だが、その数値を普段の弁当の重さに置き換えることはできない。[7]
ここには、食事を考える際の少し意外な点がある。「すごく満腹になった」と自覚しなくても、実際の摂取量が変わる場合があるのだ。逆に、お腹が満たされた感じの強さと、その後の摂取量は別の結果である。感覚の質問と、皿からなくなった量は、別々のものとして調べる必要がある。[7][2]
昼休みに同じ料理を食べても、一人で急いだ日と、同席者と話した日とでは食卓の条件が違う。レビューが挙げた社会的な要因まで考えると、速度を食品だけで説明するのも不十分である。食感を試す日は、食事を楽しめたかと、そのときの食卓の状況を一緒に振り返るとよい。[3]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
同じ熱量から食後の満足感を考える
熱量をそろえる比較と、好きなだけ食べる比較では、答えられる問いが違う。決められた量を食べる試験なら、同じエネルギーを摂った後の満腹感を比べられる。自由に食べる試験なら、食感の違いが実際の食事量に結びつくかを調べられる。この区別が分かりやすいのが、健康な男性43人を対象とした無作為化クロスオーバー試験である。男性だけの結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめることはできず、女性でも同じ差が生じるかは別に確かめる必要がある。[1]
クロスオーバーとは、同じ参加者が異なる条件を順に経験する設計だ。この試験では、軟らかいか硬いかと、加工度が低いか超加工かを組み合わせた昼食を比較した。超加工食品は研究で用いられた加工度の分類であり、ここではその分類と食感を分けて調べている。食事の重量、総熱量、重さ当たりの熱量であるエネルギー密度は、おおむねそろえてあった。[1]
超加工の食事同士では、軟らかい条件の摂取速度は毎分61.2g、硬い条件は毎分25.9gだった。食べる速さは動画から評価された。硬い条件では、同じ熱量を食べても、食後の満腹感の時間に沿った増加をまとめた指標が32%高かった。この32%は体脂肪や食事量の減少率ではなく、満腹感の指標の差である。[1]
さらに食後2時間に用意された、自由に食べられる間食では、硬い超加工食の後が最も摂取熱量が少なく、118kcalの低下が報告された。一方、加工度が低い食事の軟らかい条件と硬い条件は、軟らかい超加工食に比べ、満腹感の指標に有意な差を示さなかった。この差は、比較した加工度と食感の組み合わせに依存していた。[1]
この結果は「超加工なら必ず満腹になりにくい」という単純な説明には合わない。食感と加工度を組み合わせたときに結果が違うからだ。とはいえ、満腹感を比べたこの試験だけで、加工度に関わる食品選びのすべてを決めることもできない。今回の問いに必要なのは、分類名だけでは食後の感覚を言い当てられない、という範囲の理解である。[1]
参加者の平均年齢は28.2歳、平均BMIは22.4で、全員が健康な男性だった。BMIは身長と体重から算出する体格の指標だ。対象が異なる人にまで118kcalという差を約束したり、毎日その差が続くとして減量の計算に使ったりはできない。食後の短い時間に見られた差として受け取る必要がある。[1]
夕方に間食を食べた日も、昼食が失敗だったと判定する材料にはしない。昼の熱量と食後の満腹感が同じものではないと知れば、表示だけでなく、食べ終えた感じや次の空腹まで観察する理由ができる。食品の点数付けより、自分の食事を具体的に見るための試験結果である。[1]
感触が変わっても次の食事が減らない場合
肯定的な試験だけを並べると、食感を変えるほど食事量が減るように見えてしまう。全粒粉のパンを比べた健康な44人の無作為化クロスオーバー試験では、そう単純にはならなかった。参加者は平均25歳、平均BMIは22で、酵母、サワードウ、その組み合わせを用いたパンを、それぞれの介入期間に食べた。[2]
各期間は2週間で、毎日180gのパンを摂り、期間の間には2週間の間隔を置いた。各期間の最終日の検査では、朝食に試験用のパン100gを食べた後、昼食を自由に食べた。酵母を使うパンなどでは食べる速度が遅く、満腹感もわずかに高かったが、主な評価項目である昼食の摂取熱量に差はなかった。[2]
つまり、「遅く食べた」「少し満腹だった」「次の食事が少なかった」は、同じ文の言い換えではない。この試験では前の段階の変化が、昼食の差としては表れなかった。食後の感じが違うなら必ず食事量も減る、という読み方は、この結果によって否定される。[2]
飲み物の口当たりでも似た区別が見える。乳たんぱく質を含む飲料を使ったクロスオーバー試験は、口の中を覆う性質や滑りやすさを調べた。参加者37人の試験では、口の中を強く覆う飲料で20分後の満腹感が増したが、他の時点への影響は限定的だった。別の15人の試験では、摂取熱量や腸のペプチドに影響がなかった。[4]
ペプチドは、ここでは食欲などに関わる体内の信号として測られたものだ。この飲料では、口当たりによる感覚の変化と、腸の信号の変化が一致しなかった。飲んだ直後の感触を、後の食事量の代わりに使わないことが大切である。この研究での効果は、微妙で、見られる時点も限られていた。[4]
パンの比較では、食品の種類を変える期間と、検査日の朝食から昼食までの測定が組み合わされている。期間が2週間あったことと、体脂肪が2週間で変わったことは別の話だ。この研究の主な問いは、パンを食べた後の昼食の摂取熱量である。研究に登場する期間の数字だけを見て、減量の期限に読み替えないようにしたい。[2]
噛む負担を直接調べた実験では、やせ型・肥満の男女60人が、硬さの異なるガムを噛む条件と噛まない条件を経験した。無作為化クロスオーバー試験で、筋電図による筋活動の記録と本人の回答から、口で処理する労力を評価した。対象は体格の異なる成人男女であり、18〜39歳の女性に同じ結果をそのまま当てはめるには確認が要る。[9]
この実験では食欲の感覚にも、測定した腸のペプチド濃度にも、咀嚼の効果は見られなかった。食事量の動きも体格で異なり、ガムを噛む日にはやせ型で減り、肥満の参加者で増える傾向があった。筋肉を使って噛んだことだけから、食欲の信号や食事量が一定の方向に変わるとは説明できない。ガムを食事の代わりにする提案ではなく、生理的な測定と食後の感覚を分けて読むための結果である。[9]
数字で読む食感と食後の違い
38論文・40研究:口の中での処理を扱ったメタ分析の対象である。[7]
−0.28:咀嚼に関連する操作の食事量への効果量。減少率ではない。[7]
毎分61.2gと25.9g:同じ試験の軟らかい超加工食と硬い超加工食の摂取速度である。[1]
32%:硬い超加工食で高かった、食後の満腹感の指標の差である。[1]
44人:パンの比較で、次の昼食の摂取熱量に差がなかった試験の参加者数である。[2]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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