和食とダイエットの科学 昔の献立の短期試験と長寿の研究で違う答えを知る

和食に替えれば体重は減るのか。1975年型の食事を提供した短期試験と、日本の食事パターンを長く追った観察研究を分けて確かめる。体脂肪の変化、死亡率との関連、塩分を見直す新しい評価法を手がかりに、和食という名前だけで選ばず、日々の献立の組み合わせを考える。

和食の札が付いた定食でも、食卓に並ぶものはずいぶん違う。魚と野菜が中心の膳もあれば、漬物や濃い味のおかずが目を引く膳もある。同じ名前なのに、何を選んだことになるのかは曖昧だ。研究でも、日本の食事は食品の組み合わせを点数化したり、特定の時代の特徴を持つ献立を提供したりして調べられている。[1][6][19]

減量を考えるときの手がかりは、和食らしい見た目より、比較された食事の中身である。過体重の人に1975年型の食事を提供した試験では、現代型の食事に比べて体格指数や体脂肪量に改善があった。一方、大人数を追った日本食の研究には、体重より死亡率を調べたものが多い。この違いを押さえると、長寿の話をそのまま減量の約束に読み替えずに済む。[6][19]

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和食の点数は、おかずの国籍で決まらない

日本の食事パターンとは、どの食品をどの程度食べるかの組み合わせを指す。代表的な前向きコホート研究、つまり食習慣を調べた人々をその後も追う観察研究では、米、みそ汁、海藻、漬物、緑黄色野菜、魚、緑茶を多く、牛肉と豚肉を少なく取る傾向を、8項目の日本食指標で評価した。全国の45〜74歳の92,969人が対象である。[6]

この点数は、献立の合否判定というより、人々の食べ方を比べるための物差しだ。点が高い人と低い人で、その後に何が違うかを調べる。魚が出てきたから和食として満点、という話にはならない。また、個々の食品を増やす効果を別々に実験した研究でもない。まとまりとして捉えた食習慣と、後の健康状態との関連が研究の主題である。[6]

別の日本食スコアでは、豆と豆製品、鮮魚、野菜、漬物、きのこ、海藻、果物という7食品群を使っている。40〜79歳の58,767人を調べた研究で、先ほどの指標にあった米やみそ汁は構成項目に入っていない。「日本食の研究」と言っても、同じ採点表を使っているとは限らないのである。[3]

さらに新しい研究では、伝統的な日本食の指標に対して、塩辛い食品を少なく評価する型や、乳製品とコーヒーを加えた型が検討された。昔ながらの食品をどれだけ並べたかだけでなく、塩分の多い食品の扱いを変えた場合にも、死亡率との関連があるかを調べている。和食の研究は、昔の献立をそのまま保存する作業だけにとどまらない。[1]

この違いは買い物でも役に立つ視点だ。和風の味付けを選ぶことと、野菜や魚、豆製品などを組み合わせることは、分けて考えられる。研究の食事指標に照らすなら、商品の名前を頼りにするより、その食事に何が含まれているかを見たい。和風ドレッシングだけが献立の代表を務めるには、少し荷が重い。[1][3][6]

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1975年型を食べた試験では、体脂肪が動いた

減量に最も近い問いを扱ったのは、過体重の人を現代型の食事群と1975年型の日本食群に分けた無作為化比較試験だ。無作為化とは、参加者を偶然に任せて割り付け、比較する条件の偏りを減らす方法である。各群30人が、提供された試験食を1日3回、28日間食べた。1975年型は現代型を土台に、その時代の食事の特徴を強めた献立だった。[19]

結果は、1975年型の群で、現代型の群よりBMIと体脂肪量が有意に低下した。BMIとは身長に対する体重の大きさを示す体格指数である。加えて、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールや、一定期間の血糖状態を反映する糖化ヘモグロビン、炎症の指標であるC反応性たんぱくにも低下があり、善玉と呼ばれるHDLコレステロールは上昇した。[19]

ここで言えるのは、特定の献立を提供した短期間の条件で、体格や脂肪量、血液の指標に群間の違いが生じたことだ。体重がどれだけ減ったかの具体的なkg値や、その差の信頼区間は示されていない。有意差は、統計的に差を検出したという意味であり、自分も大きく減るという保証には置き換えられない。[19]

また、提供食を食べる暮らしと、スーパーで選び、残業に合わせて調理する暮らしは条件が違う。試験では食事の選択肢が整えられていた。家庭で「和食を増やす」と決めた場合には、食材の選択から量、調理法まで自分で決める部分が残る。家庭の献立を試験食と同じものとして扱わず、短期試験は食事全体を変えたときの可能性を示すものとして受け取りたい。[19]

もう一つの無作為化比較試験では、20〜29歳を現代型と1975年型に各16人ずつ割り付け、こちらも1日3回、28日間の食事を比較した。1975年型の群では、開始前に比べて体重、体脂肪率、体脂肪量、中性脂肪、LDLコレステロールが有意に低下した。ただし、この記述は群内の前後変化であり、過体重の試験で示された群間比較とは読み分ける。[8]

若い成人と過体重の成人で、食事を変える試験が行われたことには意味がある。一方、働き盛りの女性が自己流の和食を続けたときに、同じ幅で痩せるかは別の問いだ。試験の年齢、対象、食事提供という条件を残して読むことで、「和食なら誰でも」という広げ方を避けられる。今回の短期試験から長期の体重維持まで見通すのは難しい。[8][19]

長く追った研究の答えは、体重より死亡率にある

全国の92,969人を追った研究では、追跡期間の中央値は18.9年だった。日本食指標が最も高い群を最も低い群と比べると、全死亡のハザード比は0.86、95%信頼区間は0.81〜0.90だった。心血管疾患による死亡は0.89、95%信頼区間は0.80〜0.99である。ハザード比は追跡中の死亡の起こりやすさを群間で比べる指標で、信頼区間は推定の幅を示す。[6]

これは、日本食に近い食習慣の人で死亡リスクが低かったという関連だ。体重が減った人の割合や、和食への変更で減ったkgを示しているわけではない。長く追ったからこそ分かる健康の情報と、体重の変化を直接測って分かる情報は、それぞれに価値がある。減量目的で記事を読むときには、まず研究が測ったものを確かめたい。[6][19]

結果の強さには性別による違いもある。7食品群のスコアを使った58,767人の研究では、高得点群と低得点群を比べた全死亡のハザード比は、女性で0.82、95%信頼区間は0.75〜0.90、男性で0.93、95%信頼区間は0.86〜1.01だった。男性の区間には、差がない場合に当たる1が含まれる。全員に一様な関連が見つかったと表現すると、この違いが消えてしまう。[3]

食事バランスガイドへの沿い方を調べた別の前向き研究でも、女性では全死亡と関連があり、最も沿う群と最も沿わない群のハザード比は0.78、95%信頼区間は0.65〜0.94だったが、男性では統計的に有意な関連がなかった。この研究は穀類、野菜、魚と肉、乳、果物の量に加え、総エネルギーや間食、飲酒からのエネルギーも評価している。[7]

和食という看板の内側にも、食品群の組み合わせを見る指標と、量や間食まで含めて評価する指標がある。長寿との関連を読んで漬物だけ増やしたり、米だけ減らしたりすれば、研究で比べた食事全体から離れてしまう。食べ方のまとまりを測った研究からは、単品の増減に同じ結果を約束することはできない。[3][6][7]

食品群の採点と、食事量を含めた採点の違いは、外食の選び方にも重なる。例えば魚、野菜、海藻のある定食を選んだとき、食品の種類を見た選択はできている。それでも、その料理をどれだけ食べたかや、食後に何を加えたかは別に残る。食事バランスガイドの研究が総エネルギーや間食、飲酒も評価したことは、料理名の確認だけで食事の評価を終えない理由になる。[3][7]

若い成人の試験で、体重だけでなく体脂肪率と体脂肪量も測っていた点にも注目したい。体重計の数字と、体の中にある脂肪の指標を別々に確かめた研究だからである。過体重の試験にも脂肪量の評価がある。ただし、それぞれの指標が改善したことから、試験で確かめていない筋肉の増加などまで付け足して説明することは避けたい。[8][19]

数字で読む和食の研究

過体重の成人60人:1975年型と現代型に各30人を割り付けた比較試験。[19]

28日間:提供食を食べた短期試験の期間。長期維持の実証とは区別する。[8][19]

20〜29歳:別の試験の対象年齢。各群16人で検討された。[8]

18.9年:全国の日本食指標研究の追跡期間の中央値。調べたのは死亡との関連。[6]

0.82:7食品群のスコアで女性の高得点群を低得点群と比べた全死亡のハザード比。95%信頼区間は0.75〜0.90。[3]

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