朝食を多く夕食を少なくするダイエット 配分の試験と朝食を足すだけの落とし穴

朝に多く夜に少なく食べる配分は、減量を助けるのか。朝食と夕食の量を入れ替えた試験、朝食を追加した試験を区別し、体重・空腹感・血糖の結果を確かめる。結果が分かれた対象や期間にも目を向け、夕食を抜く極端な方法に飛びつかず、仕事や家族との食卓に合わせて配分を考える手がかりを探る。

同じ食事を朝の皿に載せるか、夜の皿に載せるか。台所の秤には同じ重さでも、食べる側には違う意味を持つ。出勤前には食欲がなく、帰宅すると食卓が楽しみになる人もいる。「朝はしっかり、夜は軽く」という助言は明快だが、生活の中で実行しようとすると、何を移し、何を残すかで迷う。

研究にも似た分かれ道がある。朝と夜の配分を変えて減量に差が出た試験がある一方、朝に多く食べても体重や代謝の改善に追加の差がなかった試験もある。[5][14] さらに、朝食を食べるか抜くかを比べた研究は、食事全体の配分を比べる研究とは問いが異なる。[6] 「朝食」という同じ札の下に、別々の実験が並んでいる。

この記事では、食べる時刻だけを正解探しの対象にしない。同じ総量をどう配るか、朝食を足した結果として総量がどう変わるか、空腹の楽さと体重が同じ方向に動くかを順に確かめる。卵など朝食の食品を選ぶ話は「朝の卵は食べ過ぎを抑えるのか」の記事に譲り、ここでは食卓の中身を朝夕に振り分ける問題に焦点を置く。

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朝に寄せるとは、朝食を足すこととは違う

配分の試験で最初に見るべきなのは、朝食の大きさより、夕食がどう変わったかである。過体重・肥満でメタボリックシンドロームのある女性を対象にした無作為化試験では、対象者を偶然の割り付けで群に分け、総エネルギーを同じ約1400 kcalに設定した。朝食を700 kcal、昼食を500 kcal、夕食を200 kcalとする群と、朝食を200 kcal、昼食を500 kcal、夕食を700 kcalとする群の比較である。[5]

ここでは朝に増やした分だけ夜を減らしている。朝食群という呼び名から、普段の食生活に大きな朝食を追加した試験だと受け取ると、実験の設計を取り違える。昼食の設定をそろえ、朝夕の配分を逆にすることで、同じ摂取エネルギーの設計の中で違いが生じるかを調べたのである。[5] 朝の皿が主役でも、夜の皿は舞台を降りていない。

一方、成人で朝食を食べる群と食べない群を比べた無作為化比較試験の系統的レビュー・メタ分析は、朝食の有無という別の問いを扱う。条件を定めて研究を集める系統的レビューに、結果を統計的に統合するメタ分析を組み合わせている。この分析では、朝食を食べる群で、その日の総摂取エネルギーが高かった。[6] ここで確かめたのは、朝食を追加したときの総量の変化である。

日常に置き換えるなら、夕食に予定していた食事の一部を朝に回すのか、夕食はそのままで朝食だけ増やすのかを、献立の段階で区別するということだ。これは研究の条件を読み違えないための工夫であり、個人に合う食品や移す量は、この比較だけでは決められない。総量をそろえた比較から読み取れる範囲を、総量が増える食べ方へ広げないことが出発点になる。[5][6] ここで挙げるエネルギー量や配分、たんぱく質量は研究で設定された比較条件であり、個人の必要量を決める推奨値ではない。献立例を比べる材料として使い、治療などで食事の指示を受けている人は変更を医師に相談する。[2][5][10]

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朝を大きくした女性の試験では、何が変わったか

先の女性を対象にした試験は12週間続いた。朝に多く配分した群では、夜に多く配分した群より体重と腹囲の減少が大きかった。空腹時血糖、インスリン、インスリン抵抗性をみる指標の低下も朝食側で大きかった。[5] インスリン抵抗性とは、血糖の調節に働くインスリンが効きにくい状態を指す。この試験は、減量用に総量を設定したうえで配分を変える方法に、検討する価値があることを示している。[5]

対象者は、過体重・肥満とメタボリックシンドロームのある女性だった。[5] 朝食が軽いという食習慣だけで集められた集団とは、健康状態の条件が異なる。結果を読む際には、減量幅の大小に加えて、誰の体重や血液検査を調べた試験かにも目を向ける。

血中の中性脂肪には具体的な変化が示されている。朝に多く配分した群では平均33.6%低下し、夜に多く配分した群では14.6%増加した。[5] この割合が表すのは血液中の中性脂肪である。腹囲、体重、血液検査の結果は、それぞれ別の成績として受け取るのが正確である。[5]

食欲の結果も、この方法を生活に持ち込むうえで気になるところだ。朝に多く配分した群では、日全体の平均の空腹感が低く、満腹感が高かった。食事への反応を調べた場面では、血糖やインスリン、食欲に関係するグレリンの値も低かった。[5] 夜の量を減らす方法を考える際、体重だけでなく、空腹をどの程度感じたかという情報も参考になる。

もっとも、体重の差が出たことと、その差の原因が特定できたことは別である。この試験の結果だけで、朝に食べた食品が特別に燃えた、空腹感の変化が減量のすべてを説明した、とまでは決められない。[5] 読者が使えるのは、「総量を決めた食事の中で朝夕の配分を変え、体重と食欲の両方に差が出た」というまとまりである。結果の方向と、その原因についての説明は別々に評価する。

朝夕で差が出なかった男性の試験もある

朝に寄せる方法を支持する結果だけで話を閉じると、別の試験を取りこぼす。肥満がありインスリン抵抗性を持つ男性23人を対象にした研究では、平均年齢は59.9歳だった。減量用の食事を4週間続け、摂取エネルギーの50%を朝または夜に配分して比較した。[14] 女性の試験とは、対象、期間、配分の設定が異なる。

体重の減少率は朝の群が6.5±1.5%、夜の群が6.2±1.9%で、群間の有意差はなかった。[14] 有意差がないとは、この研究で得られたデータから、偶然の変動を超える群の差を確認できなかったという意味だ。食事の三大栄養素の構成にも差はなく、朝に多く食べることによる追加の減量効果は確認されなかった。[14]

この試験は、体重以外も詳しく調べている。肝臓や体の他の組織でのインスリンの効き方、肝臓に蓄積した中性脂肪は減量に伴って改善したが、改善の程度に朝夕の群間差はなかった。安静時のエネルギー消費も両群で同程度に低下した。[14] この比較では、朝に多い配分でも減量中の代謝低下は起きていた。[14]

女性の試験と男性の試験を並べたとき、「女性にだけ効く」と結論するのも早い。性別だけを入れ替えた同一設計の比較ではなく、期間も配分も対象の状態も違うからだ。[5][14] 食べ方を検討するなら、朝食が大きいかどうかだけでなく、どのような人が、どの条件で、何を改善したのかまで見る。その読み方なら、期待する結果が得られなくても、直ちに自分の努力不足へ話を戻さずに済む。

両試験を読む際には、比較相手の食事も見落とせない。女性の試験で朝に多い配分が上回ったのは、同じ総エネルギーを夜に多く配分した食事である。食事を変えずに過ごした人と比べた効果を示す設計とは異なる。[5] すでに朝昼に十分食べ、夕食を控えめにしている人は、比較された夜に多い食事と自分の配分との違いも確認する。結果は比較相手と一組で読む。[5]

男性の試験では、朝夕の両群で体重が減り、インスリンの効き方や肝臓の中性脂肪も改善した。[14] 配分の群間差がなかったことを「食事を変えても何も起こらなかった」と読むと、その共通の変化が消えてしまう。減量用に設定された食事を続けることによる変化と、その中で朝夕の配分を入れ替えた追加の違いは、分けて評価する対象である。[14]

女性の試験の観察範囲は12週間、男性の試験は4週間であり、結果が示すのはそれぞれの期間内の変化である。[5][14] 生活に取り入れる際は、試験期間の食事として成立したことと、仕事や家族の予定が変わる中で続けられることを区別したい。配分の工夫を試す余地は残しながら、研究が測った期間を超えて成果を先取りしない姿勢が役に立つ。[5][14]

数字で読む朝夕の配分

約1400 kcal:女性の試験で両群に設定された食事全体のエネルギーである。[5]

700 kcalと200 kcal:女性の試験で朝食と夕食に割り当て、群間で入れ替えた量である。[5]

12週間:女性の試験で配分を比較した期間であり、効果を確かめた範囲はこの期間に限られる。[5]

23人:朝夕の配分で追加の代謝改善が確認されなかった、肥満・インスリン抵抗性のある男性の人数である。[14]

6.5%と6.2%:男性の試験での朝群と夜群の体重減少率の平均であり、群間に有意差はなかった。[14]

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