女性の筋トレは生理中だと弱く感じる?予想する不調と測った力を分けて読む

生理中の筋トレで「今日は力が出ない」と感じたとき、その実感と測定した筋力は同じなのか。女性アスリートの調査、筋力測定、予想と症状の報告を調べた研究から、周期だけで決めつけない記録の読み方を考える。つらさを否定せず、毎回の運動をどう捉えるかの手がかりを示す。

いつものダンベルを持ったら、今日はやけに重い。生理が始まった朝に読んだ「この時期は力が落ちる」という言葉も頭に残る。重かったという経験と、筋肉が発揮できる力が落ちたという判断は、同じところに置いてよいのだろうか。

答えの芯は、分けて読むことだ。女性アスリートを扱ったレビューでは、本人が感じるパフォーマンスは月経周期の特定の時期に悪くなるという報告がそろう一方、筋力などを実測した研究の結果は明確には一致していない。[1] ただし、実際の力の変動を認めた測定研究もある。実感と測定値の両方を確かめたい。[2]

運動に行くか迷う日の体調と負荷の見方は、既存記事「生理中に運動してもいいのか 今日ホットヨガに行くか迷う日の体調と負荷の見方」に譲る。ここで考えるのは、筋トレの記録にある「弱かった」をどう読むかである。予想、症状、運動の実感、測った力を順にほどいていく。

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「弱く感じる」は、何を測った言葉なのか

アスリートのパフォーマンスを扱ったナラティブレビュー、つまり関連研究を文章で整理した論文は、本人が感じる成績と客観的なテストを分けて検討している。主観的評価では、月経のある時期に相当する卵胞期初期と、月経前に相当する黄体期後期に、相対的に悪いと感じる報告が一貫していた。一方、無酸素運動、有酸素運動、筋力のテストでは、周期の影響について明確で一貫した結果がなかった。[1] 対象は女性アスリートであり、18〜39歳の一般女性に同じ傾向が現れるかは別に確かめる必要がある。

ここでの主観的評価とは、本人が答える「今日はよく動けたか」という評価である。力を測る装置の値とは別の種類の情報だ。このレビューは、スポーツの成績には知覚された要因と身体的な要因の両方が関わると整理している。数字ではないから無価値という意味ではない。[1] たとえば記録欄に「重い」とだけ書いた場合、それが動作中のつらさなのか、持ち上がらなかったことなのかは、読む人には分からない。

この区別を広い範囲で検討したのが、月経関連症状と運動パフォーマンスに関するスコーピングレビューである。これは研究の広がりや方法を整理する型のレビューで、ホルモン避妊薬を使わない人に関する研究を対象とした。対象となった31研究では、月経関連症状は知覚されたパフォーマンス低下と一貫して結びついていたが、客観的な結果はばらついていた。[7]

さらに、そのレビューは研究の方法にも注意を向けている。妥当性が検証されていない評価用具への依存や、周期の時期を確かめるホルモン濃度の測定がないことなどから、研究の質は全般に低いと評価された。異なる研究をそのまま横並びにするには限界がある。[7] 「周期の研究で分かった」という見出しだけでは、その下で何が測られたかまでは分からないのである。

家のメモに「生理、筋力低下」と書く前に、経験したことを文章にするとよい。「腹部がつらく、普段の動作が重く感じた」「予定した動作を終えられなかった」では、伝わる内容が違う。これは診断のための分類ではなく、自分の記録の書き方の提案である。研究が区別している主観と客観を、日常の言葉でも混ぜないためだ。[1][7]

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測定した力にも変動はあるが、部位と課題を確かめる

客観的な測定結果が一貫しないなら、周期は筋力と無関係だと考えてよいのだろうか。測定項目ごとの結果を見よう。エリート女子サッカー選手42人を対象に、シーズン前の40日間、週に2回の筋力テストを行った研究では、周期に伴う違いを認めた測定項目がある。対象はホルモン避妊薬を使わない21人と、使う21人であった。[2] エリート選手の結果を18〜39歳の一般女性の筋トレにそのまま当てはめるには、競技歴や測定課題の違いを考慮する必要がある。

調べたのは太ももの前側と後ろ側の筋肉である。関節を動かさずに力を出す等尺性の課題で、最大限に随意的な力を出したときの値と、素早く力を立ち上げる能力などを測定した。避妊薬を使わない選手の周期は、アプリやカレンダーによって推定された卵胞期初期、卵胞期後期、黄体期中期に分けられた。[2] 日付による推定であることも、結果を読む際の条件になる。

その群では、太もも前側の大腿四頭筋について、最大の力は推定卵胞期初期より推定卵胞期後期で高かった。また、素早い力の立ち上がりは推定卵胞期初期に低く、後期との比較で効果量は0.43、黄体期中期との比較で0.61であった。[2] 効果量とは差の大きさを表す指標で、この値をそのまま力が落ちる割合として読むことはできない。

他方で、太もも後側のハムストリングスの筋力や、前後の筋力の比には明確な周期差がなかった。ホルモン避妊薬を使う群でも、対応する期間で意味のある変動は見られなかった。[2] 同じ研究の中でも、測った筋肉と項目によって結論が違う。「女性の筋力」という大きな袋に、全部を入れるとこの違いが消えてしまう。

研究では、推定卵胞期初期に、本人が感じるパフォーマンス、日々のコンディション、睡眠の質も低く、月経関連症状が多かった。[2] ただし、これは周期の推定区分ごとに測定と自己報告を比べた研究である。症状のどれかが筋力の変化を起こしたと決める実験ではない。眠りの評価と力の値が同時に低かったとしても、それだけで原因の順番は決まらない。

普段の筋トレで行う持ち上げ動作全体と、関節を動かさない測定課題も同一ではない。今回の結果を、自分のあらゆる種目に当てはまる予定表に変えるのは飛躍である。[2] レビューの「結果が一致しない」と個別研究の「ある項目には差がある」は矛盾しない。対象、測定課題、周期の分け方を残したまま読むと、両方の結果が並ぶ。[1][2][7]

不調の実感と、先に聞いた予想をどう扱うか

「生理だから弱いはず」という予想は、どの程度関わるのか。これを考える手がかりに、月経関連症状への期待を調べた小さな無作為化試験がある。規則的な月経周期を持つ健康な女性18人が、研究の関心は月経症状だと伝えられる群と、そうは伝えられない群に割り当てられ、男性9人も対照として参加した。[18] 男性は比較対象であり、その症状報告を18〜39歳の女性の経験の代わりにはできない。

研究の関心を知らされた女性は、知らされなかった女性や男性より、月経前と月経中の否定的な心理的・身体的症状を多く報告した。著者らは、典型的とされる月経症状の報告に、社会的な予想や、実験者が何を求めているかという手がかりが影響すると考察している。[18] 同じ質問でも、その前に渡す説明が報告に関わりうるのである。

ただし、この試験が扱ったのは症状の報告と経験であり、筋トレで発揮した力ではない。これを根拠に「生理中の筋力低下は思い込みだった」と結論することはできない。[18] 先ほどのサッカー選手の測定研究を、この試験で打ち消すこともできない。[2][18] 予想が関わる可能性と、身体の測定値に差が出ることは、それぞれ別に確かめる必要がある。

この研究は1985年の小規模な試験である。[18] いま目の前にいる人のつらさを見て、期待によるものだと判定する道具にはならない。読むべき方向は相手への疑いではなく、自分が記録するときの問い方だ。「生理中だから、今日も弱いか」と尋ねる代わりに、「どの動作で、どんな感じがしたか」と書いてみる。予想と経験を同じ文に詰め込まない工夫である。

中央線で帰る途中、スマートフォンの周期表示を見る。そこに「不調の日」と先回りして書き足す前に、今日の経験をそのまま残す余地を取っておきたい。期待に関する試験が示すのは、問いかけの影響を考える理由であって、つらさを打ち消す理由ではない。[18]

比較するときには、比べる相手も見失わないようにしたい。周期の異なる時期に同じ選手を測る研究と、説明の異なる群で症状の報告を比べる試験では、答えられる問いが違う。[2][18] 前者の差を「予想の効果」と呼ぶことも、後者の差を「筋肉の変化」と呼ぶこともできない。どちらも生理に関する研究だが、結論を交換することはできないのである。

検索結果に並ぶ短い言葉では、この比較の相手が省かれやすい。本人の実感を知りたいのか、筋肉の力を知りたいのか、説明が報告に与える影響を知りたいのか。読む前に問いを置くと、同じ「低下」という言葉でも受け取り方が変わる。[1][2][18]

数字で読む月経と力の評価

31研究を整理したレビューでは、知覚されたパフォーマンス低下との関連は一貫したが、客観的結果はばらついた。[7]

42人の女子サッカー選手を40日間追った測定では、筋肉と測定項目により周期差の有無が異なった。[2]

57競技の1,086人に尋ねた調査は、測った筋力ではなく本人が感じた影響を調べたものである。[5]

女性18人の試験では、研究の関心を伝えるかどうかで症状の報告に差が生じた。[18]

17件の質的研究をまとめた系統的レビューでは、症状とともに、支援や対話への不満も整理された。[8]

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