腹斜筋の筋トレを探すと、ひねる運動と体を動かさず支える運動が並ぶ。どちらを選ぶかを、回旋、骨盤の安定、プランクの筋活動を調べた論文から考える。女性にも当てはまる範囲、左右差の読み方、筋活動と筋力向上の違いを整理し、回数を増やす前に確認したい動きの目的を示す。
脇腹の筋トレ動画を開いたら、片方では上体を左右にひねり、もう片方では横向きの姿勢を保っている。画面の動きはずいぶん違う。動かないほうは休憩に見えるが、プランクを調べた研究では外腹斜筋にも高い筋活動が記録されている。[20]
腹斜筋の筋トレは、ひねる運動だけに絞る必要はない。体幹を回す場面にも、別の部位を動かしながら骨盤の回転を抑える場面にも外腹斜筋が関わることが実験で示されている。ただし、これだけで「耐える運動のほうが女性に優れる」と順位を付けることはできない。[14][19][20]
選ぶ前に決めたいのは、上体を回したいのか、脚や腕を動かしても体の向きを保ちたいのかである。腹斜筋という名前を含む運動でも、研究が測っている課題は同じではない。ここでは脇腹の見た目ではなく、動きの目的と負荷の読み方を考える。[14][19]

「回す」と「耐える」は、何を動かす課題なのか
体幹の回旋は、上体の向きを変える動きである。健康な男性を対象にした研究では、背骨の部分ごとの回旋角度と、外腹斜筋や内腹斜筋などの活動が測られた。回る方向や回旋の進み方によって、記録された筋活動は変わっていた。単に「ひねった」という言葉では、測った動きの条件を十分に表せない。[14]
一方、体を支える課題では、上体の見た目があまり変わらなくても筋活動が記録される。横向きに寝て脚を上げる実験では、お腹に力を入れる方法を変えると、骨盤の回転角度と腹斜筋の活動が変化した。脚の動きを行う間、骨盤がつられて回らないようにする課題として読むと、「耐える」側の働きが分かりやすい。[19]
ここで使う「耐える」は、研究で観察された姿勢保持や回転の抑制を日常語でまとめた呼び方だ。横向きの脚上げと、横から引かれる力に抵抗する立位の運動は、同じ試験ではない。骨盤の回転を抑えた結果を、名前に「回旋を抑える」と付いたすべての種目へそのまま移すことは避けたい。[19]
中央線で振り向いて降りる場面と、向きを変えずに荷物を持つ場面を思い浮かべると、目標の違いはつかみやすい。ただしこれは課題を整理するための例であり、通勤動作そのものを測った結果ではない。研究が扱った回旋や姿勢保持を、生活の何に結び付けたいのかを考える入口として使う。[14][20]
「お腹痩せの科学 第1回 腹筋運動で脂肪は落ちるのか、回数より大切な運動の選び方」は体脂肪と運動選択の問いに譲る。隣の記事の腹直筋と腕の置き方も別のテーマである。こちらでは、外腹斜筋を中心に、回る部分と向きを保つ部分を区別して読む。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
大きくひねれば、脇腹への負荷も一律に増えるのか
健康な男性11人を調べた回旋の実験では、胸椎側を4区分、腰椎側を2区分に分け、動きと筋活動を同時に記録した。胸椎は胸の高さ、腰椎は腰の高さの背骨に当たる。回旋範囲の最初の0〜10%を比較の基準として、方向や部分による違いを検討している。[14]
測定した筋肉と同じ側へ回る条件では、胸椎の回旋中に外腹斜筋と広背筋の活動が基準範囲より増加した。腰椎の初期の回旋では、内腹斜筋と腹横筋の活動が増加していた。反対側へ回る条件では、胸椎側と腰椎側のどちらでも外腹斜筋の活動が増えている。回る向きだけでなく、どの部分の動きを見ているかが結果を左右した。[14]
この研究から選び方に持ち帰れるのは、回旋の角度と背骨の部分を考慮する必要があるという点である。最大までひねる練習と、小さな範囲で動きを確かめる練習を同じものとして扱わない。研究は女性の初心者に適した角度や、最も筋力が伸びる可動域を決めた試験ではない。[14]
自分の動画で肩が大きく動いていても、胸の向き、骨盤の向き、足の向きがどう変わったかは別に確認したい。これは実験の測定を家庭で再現するという意味ではない。少なくとも「肩が遠くまで回ったから外腹斜筋だけを強く使えた」という判定は、この研究の結果からは出せない。[14]
回旋を練習するなら、指導を受ける際に「どこを回し、どこは動かさない想定なのか」を確認する余地がある。動かす範囲を曖昧にしたまま回数だけを増やすと、研究と照合するための条件も曖昧になる。大きな動きは見つけやすいが、狙った動きかどうかは別の観察が要る。[14]

骨盤を回さない課題でも、腹斜筋は働いている
健康な成人男性22人の実験では、横向きで脚を上げる課題を、腹部への特別な指示なし、お腹を引き込む方法、腹部を固める方法の3条件で比較した。後者の「ブレーシング」は腹部を固める操作、「ホローイング」はお腹を引き込む操作として区別されている。実施順は無作為であった。[19]
腹部を固める条件では、お腹を引き込む条件や指示なしの条件より、骨盤の回転角度が小さかった。外腹斜筋の活動は腹部を固める条件で最も高く、引き込む条件でも指示なしより高かった。内腹斜筋は、どちらの腹部操作でも指示なしより高い活動を示した。[19]
つまり、脚を動かす課題で、骨盤の回転が少ないことと腹斜筋の活動が高いことが同時に観察されている。動きの少なさを筋肉の仕事の少なさと読み替えることは、この結果に合わない。ただし「固めれば外腹斜筋だけを使える」という話でもなく、腰方形筋という腰の筋肉の活動も増えていた。[19]
研究では骨盤の回転角度がどれだけ減ったかを具体的な角度として報告していないため、家庭で達成する目標角度は作れない。また、その場の筋活動の比較であり、続けた後の筋力や見た目の変化を測ったものでもない。腹部の操作を変えると課題の遂行が変わる、という範囲で使える情報だ。[19]
横向きの脚上げを行う機会があるなら、脚の高さだけでなく、骨盤の向きがつられて変わっていないかを指導者と確認することが考えられる。高く上げることと、骨盤を保ったまま脚を動かすことは別の目標になる。これは研究から導く観察の提案であり、骨盤を全く動かさないことを全員に求める処方ではない。[19]
止まる姿勢は、腹斜筋だけの競技ではない
高水準のサッカー選手39人を対象にした測定には、女性18人と男性21人が含まれる。うつ伏せのプランク、横向きのプランク、背側で支える姿勢の持久課題を行い、体幹の筋活動と、続けられなくなるまでの時間を調べた。女性はドイツの最上位リーグ、男性は最上位の19歳未満リーグの選手である。[20]
持久課題では、時間の経過に伴って、基準化した筋活動が増加した。うつ伏せのプランクでは、腹直筋と外腹斜筋の活動が、基準に使った最大随意等尺性収縮の活動を超え、女性の活動が有意に高かった。等尺性収縮とは、ここでは体幹を動かさずに力を出す測定条件を指す。[20]
この結果の読みどころは、静止した見た目でも筋活動が高くなりうることと、支え続ける間に活動が変わることである。研究者は、高い筋活動が疲労を反映しうること、うつ伏せや横向きのプランクでは四肢の力が遂行を制限しうることを指摘した。脇腹を狙っていても、腕や脚の能力が課題の終わりを決める可能性がある。[20]
一方、中臀筋の筋力が弱い22人を調べた別の実験では、吊り下げ式の横向きプランクで股関節の向きを変えると、筋活動の配分が変わった。股関節を内側へ回した条件では、外側へ回した条件より外腹斜筋の活動が低く、脊柱起立筋と腰部多裂筋の活動が高かった。後者は背中や腰を支える筋肉として測られている。[7]
したがって、きつい姿勢を選べば脇腹への負荷も必ず高くなる、とは言えない。支える筋肉の組み合わせや股関節の条件が違えば、外腹斜筋の活動が低くなることもある。吊り下げ式という研究の器具を使っていない床の運動へ、同じ大小関係を保証することもできない。[7]
数字で読む腹斜筋の課題
11人の健康な男性で、背骨の部分ごとの回旋と筋活動を測定した。一般の女性への運動処方を検証した人数ではない。[14]
22人の健康な成人男性で、横向きの脚上げに伴う骨盤の回転と腹部操作を比較した。[19]
39人のサッカー選手のうち18人が女性で、静止姿勢の持久課題に伴う筋活動を調べた。[20]
18人の座位の実験では、外腹斜筋の基準化した活動は前屈方向で平均42%、回旋方向で35%、側屈方向で24%だった。長期の筋力増加率ではない。[17]
14研究を含む系統的レビューは、筋肉の厚みの変化を、すべての動作で筋活動と同じ意味に扱わないよう結論した。[2]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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