ダイエットの目標を体重の数字だけで終わらせず、いつ、どこで、何をするかまで決める実行意図を論文で読む。計画が減量を助けた試験と、行動だけが変わり体重差は出なかった試験を比較し、高い目標の観察研究、習慣との違い、忙しい日にも試せる計画の作り方を確かめる。
手帳には「痩せる」と書いてある。ところが残業を終えて駅に着くと、夕食をどうするかは白紙のままだ。将来の自分には立派な目標があるのに、今夜の自分には予定がない。目標を書いた日の筆跡だけが元気である。
この隙間を扱うのが、実行意図という計画の方法だ。「こうなりたい」という意思に、「この場面になったら、この行動をする」という接続を加える。目標に向かう行動をいつ、どこで、どう始めるかを先に決める考え方である。[9][10]
ただし、計画が行動を変えることと、体重が減ることは同じ成績ではない。過体重や肥満の大学生を対象とした試験では、実行意図を立てた群で目標に沿う行動が増えても、体重の群間差は確認されなかった。[3] 手帳に必要なのは成功の保証ではなく、試して確かめられる行動の文である。

「痩せたい」を、実行する場面に翻訳する
目標意図は、達成したい結果を示す。「体重を減らしたい」「食生活を整えたい」がその例だ。実行意図は、その結果へ向かうための場面と反応を結ぶ。「もし夕食を買う場面になったら、食べるものを選ぶ前に決めておいた献立を確認する」といった形になる。実行意図を扱うメタ分析では、このように行動の時機、場所、方法を前もって指定する計画として説明されている。[9]
本稿の献立や予定表の例は、計画の書式を生活へ応用した案であり、そのまま試験された行動ではない。どんな食事が自分に適しているかという内容の判断と、その食事を選ぶ場面の設計は分けて考える。計画が具体的でも、中身が自分に合っているとは限らない。運動についても同じで、実行意図の研究から個人に適した負荷や減量の速度までは決められない。[3][6]
日常の文を点検すると違いが見える。「なるべく動く」は、行動が始まったかどうかを判定しにくい。「帰宅して着替える場面で、予定した運動の準備をする」なら、場面に出会ったか、準備をしたかを振り返れる。帰宅と着替えを条件にすると、準備を始める時機も明確になる。
目標設定を調べた系統的レビューは、過体重や肥満の成人を対象とする地域の介入研究18本を検討した。具体的で近い時期の目標、参加者自身が目標を決める過程への関与、定期的なフィードバックが共通する特徴だった。フィードバックとは、実際の結果を受け取り、次の行動を考え直すことだ。[6]
ただし、このレビューでは教育や自己記録などが同時に行われており、良い変化をどの要素が単独で起こしたかは判別できなかった。[6] したがって、具体的に書けば必ず成功するという規則にはできない。目標の文を、実行後に話し合える形にするための手掛かりとして使うのが妥当だ。
たとえば夕食の計画が実行されなかったとき、考えたいのは「意志が弱かったか」だけではない。献立を確認する場面が来なかったのか、来たのに思い出せなかったのか、確認しても用意できなかったのか。場面、思い出し方、用意する手順のどこを変えるかを考える。結果の目標だけを持つ場合には見えにくい、行動の途中を点検できる。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
多くの研究で効く計画でも、減量の数字とは別である
幅広い目標達成を扱ったメタ分析では、94の独立した検証をまとめ、実行意図の効果量は0.65だった。研究は行動を始めることだけでなく、邪魔が入ったときの目標追求や、うまくいかない行動から離れることも扱っている。[9] これはダイエットだけの平均値ではない。
効果量は、研究の結果を共通の尺度で表すための値である。ここで示される0.65を、体重の減少率や成功する人の割合に読み替えてはいけない。何を成績にした研究を集めたかで、数値の意味が変わる。[9] 「計画で目標達成が改善した」という結果から、何kg減るかを直接答えることはできない。
より新しいメタ分析は642の独立した検証を扱い、認知、感情、行動の結果について効果量が0.27〜0.66の範囲にあったと報告した。条件と行動を結ぶ形式、目標への強い動機、計画のリハーサルがある場合に効果が大きかった。[10] リハーサルは、計画の場面と反応をあらかじめ思い浮かべて確認することだ。
この結果は、紙に書いた文章の見栄えより、場面に出会ったときに使える計画かを考える根拠になる。[10] 「気が向いたら」では、条件がどの瞬間を指すのか曖昧だ。「昼食を選ぶとき」なら、少なくとも計画を使う場面は特定できる。昼食の計画なら、選ぶ直前を条件にして、そこで何をするかまで決められる。
食行動に絞ったメタ分析もある。脂肪摂取を減らす実行意図について、12研究、計3,323人をまとめた分析では、全体の効果量は0.488で、中程度の効果と報告された。[1] 対象となる成績は脂肪摂取であり、体脂肪率の低下ではない。食べる脂肪と身体の脂肪は、同じ漢字でも研究の測定項目が違う。
同じ分析では、性別や介入中のモニタリングの有無によって結果が異なった。[1] だから平均的な値をそのまま、立川で働く大人の自分の成績に当てはめることはできない。計画は食行動を変える候補になるが、誰にでも同じだけ効く道具とは言えないのである。[1][10]
また、モニタリングのない研究で効果が大きかったという分析結果を、記録をやめるべきという助言に変えるのも早い。ここでは研究ごとの条件を比較した結果であり、読者の記録の有無を単独で無作為に変えた試験の結論とは違う。[1] 食事記録そのものの効果は隣の自己監視の記事に譲り、本稿では記録を次の計画へどうつなぐかを考える。
行動が増えた試験と、体重が減った試験を並べる
減量の直接的な試験では、期待できる結果と、期待ほど差が出ない結果が混在する。過体重や肥満の女性55人を対象とした無作為化比較試験は、既存の減量プログラムに実行意図を促す働きかけを加えた。対象年齢は18〜76歳で、測定の間隔は2か月だった。[12] 無作為化比較試験とは、参加者を偶然の方法で群に分けて介入を比べる研究である。
この試験で、計画を促された群の減量は平均4.2kg、比較群は2.1kgだった。報告された95%信頼区間は、それぞれ3.19〜5.07kgと1.11〜3.09kgである。[12] 信頼区間は推定の不確かさを示す範囲であり、個々の参加者が必ずその範囲で減量するという意味ではない。
注目したいのは、どちらの群も減量プログラムに参加していたことだ。[12] これは計画の文章だけを家で書いた人が同じ成績を得る証拠ではない。既存の支援に計画を加えることが役立つ可能性を示した小規模な試験であり、対象や期間を添えて読む必要がある。[12]
一方、過体重や肥満の大学生95人を対象とした4週間の無作為化比較試験では、実行意図の群、メッセージによる注意喚起や練習を加えた群、目標意図だけの群を比較した。実行意図を使う群で目標に沿う行動の報告は多かったが、体重と食事の成績には群間差が出なかった。[3]
参加者全体では体重が減り、食事の質や摂取エネルギーが改善した。しかし、全体で良くなったことを追加の計画の効果として数えることはできない。[3] 比較した群の間に差があるかという問いと、参加前後で変化したかという問いは違う。ここを混ぜると、計画の働きを実際より大きく見せてしまう。
地域の減量プログラムに参加した632人を扱う準実験でも、時間によって答えが変わった。準実験は、無作為化比較試験と同じ割り付けの条件を満たすとは限らない比較研究である。10週間のプログラム中は、意図を扱った群と詳しい行動計画の群の減量が比較群より大きかった。[18]
報告されたBMIの低下は意図の群で1.10、計画の群で1.11、比較群で0.79ポイントだった。BMIは体重と身長から計算する指標である。ところがプログラム後3か月と12か月では、条件間の差は確認されなかった。[18] 初期の差が、そのまま長く残るとは限らない。
意図を扱った群と詳しい計画の群の値が近い点にも注意したい。[18] この結果を「詳しく計画したことだけで成績が上がった」と単純化すると、比較の構造が失われる。計画が加わった支援全体、参加者の目標、観察した時期を含めて読むと、使える範囲と残る問いが見えてくる。
夕食の場面へ戻るなら、試す計画の成績は「決めていた選び方を使えたか」として残せる。一方で、体重の結果は別に確認する。この区別は、行動が増えても体重差が出なかった大学生の試験を、生活の点検へ応用する考え方だ。[3] 選び方を使えなかった日は計画の実行を、使えたのに結果が変わらない場合は計画の中身を検討する問いになる。どちらの場合も、体重の変化だけから実行意図の成功や失敗を断定しない。研究の比較が教えるのは、何が変わったかを細かく分けて見る必要である。[3][18]
数字で読む目標設定と実行意図
642の独立した検証:広い領域の計画を扱ったメタ分析であり、減量だけの研究数ではない。[10]
0.488:12研究、3,323人をまとめた脂肪摂取低減の効果量。体脂肪の減少率ではない。[1]
4.2kgと2.1kg:女性55人の試験での平均減量。既存のプログラムに計画を加えた比較だ。[12]
4週間、95人:大学生の試験では、目標に沿う行動が増えても体重の群間差は出なかった。[3]
3か月と12か月:地域のプログラム後の追跡で、計画条件による差が確認されなかった時点だ。[18]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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