HIITの心拍数は手首の脈で分かる?数える秒数と測り始める遅れを研究で読む

HIITの休憩中に手首の脈を数えても、動いていた間の心拍数を正確に再現できるとは限らない。運動後の測定と自己計測を比べた研究から、測り始める遅れ、数える時間、集団平均と個人の誤差を読み分ける。最大心拍数の目安だけで負荷を増やす前に、記録に残す条件と数字の使いどころを考える。

休憩に入ったのに、手首の脈がうまく見つからない。時計を見直してから、ようやく数え始める。息はまだ弾んでいるのに、数えた脈は思ったほど多くない。「HIITとして弱かったのか」と、次の動きを速くしたくなる場面である。

だが、その数字だけで負荷不足とは決められない。健康な女性がエアロビックダンスの途中で脈を数えた研究では、自己計測した値が運動中の記録を毎回下回った。しかも、運動後に機器が記録した値との比較とは、結果の意味が違った。[2]

手首の脈を数えることと、動いていた間の心拍数を知ることは、同じ作業ではない。検索した「hiit 心拍数 目安」を使う前に、いつの心拍を、誰が、どの時間幅で読んだのかを分けたい。手計測の低い値を、そのまま頑張り不足の証拠にすることには、この研究から疑問が残る。[2]

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手首の数字は、運動中のどの時間を表しているか

脈に指を当てて拍動を確かめる方法を、触診と呼ぶ。ここで問題にするのは脈があるかを確かめることではなく、その回数から運動中の強度を見積もる使い方である。BellとBasseyは、健康な女性12人のダンスクラスで、この使い方を検証した。参加者の年齢は平均26歳、標準偏差は6歳だった。[2]

参加者は強度の異なる運動の後に、動作を短く止めて10秒間、自分の脈を数えた。同時に研究者は、離れた場所へ記録を送る装置で心拍数を測っていた。自己申告だけを正しい値と比べたのではなく、運動中の記録、停止後の記録、本人の数えた値を分けて比較できる設計だった。[2]

運動中の基準になったのは、脈を数える直前60秒間の平均心拍数である。停止後の比較値は、触診した10秒間に装置が記録した平均だった。したがって、この研究は運動中の瞬間的な最高値を手で再現できるかを調べたものではない。運動中の平均と、止まった後の短い測定を比べている。[2]

この区別は、短い運動と休憩を行き来する場面で見落としやすい。運動が終わった時刻、脈を見つけた時刻、数え終えた時刻を、頭の中で同じ「直後」にまとめてしまうからだ。記録に「終了後」とだけ書くと、どこから数えた値なのかが後から分からなくなる。研究の比較方法に倣うなら、時間帯を数字と一緒に残すことが先になる。[2]

たとえば、夕方の立川駅北口から帰り、部屋で運動して脈を数えるとする。タオルを探してから測った日と、動きを終えてすぐ測った日を、同じ欄に並べる必要はない。これはタオルを使うと心拍がどれだけ変わる、という話ではない。比較したい時間帯の名前を、記録の中で消さないための工夫である。

「終わった後の値」は、それ自体では測定失敗を意味しない。何を知りたいかによって、使う場面が変わる。運動中の負荷を振り返るための数字なのか、終了後の経過を同じ条件で残す数字なのか。この問いを先に置くと、脈を数える作業の目的がはっきりする。[2][5]

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集団の平均と、自分の測定誤差を分ける

ダンス研究では、高い強度の運動は予測最大心拍数の平均78%、低い強度の運動は69%に相当した。それぞれの標準偏差は8%と9%だった。ここでの最大心拍数は予測値であり、参加者全員について直接測った最大値を基準にした説明ではない。[2]

装置で記録した運動中の平均と、停止後の10秒間の平均の差は、高い強度の後で毎分3拍、低い強度の後で毎分5拍だった。標準偏差はそれぞれ毎分6拍と7拍で、平均の差に統計的な有意差は認められなかった。[2]

この結果だけを見ると、「止まってからでもほぼ同じ」と読みたくなる。しかし研究者は、個人差が広く、個人の運動強度を表す値としては信頼しにくいと判断している。集団全体の平均が近いことは、参加者それぞれの測定が近いことを保証しない。[2]

ここは、平均の使いどころの問題である。クラス全体として運動後の心拍が運動中をどの程度表しているか、という問いと、自分が今行った運動の強度を当てられるか、という問いは異なる。同じ表に平均値が載っていても、後者の判断には個人ごとの差の広がりが必要になる。[2]

さらに自己触診の結果は、装置で測った運動中の心拍数より有意に低かった。本人が数えた値はすべて運動中の値を下回り、その差は毎分9〜95拍に及んだ。これは小さな一定のずれを全員に足せば補える、という形の結果ではない。[2]

ただし、この幅をそのまま全てのHIIT参加者に当てはめるのも行き過ぎである。対象は健康な女性のダンスクラスであり、あらゆる短時間運動を比べた試験ではない。この研究から持ち帰るべきなのは、自分の誤差を毎分何拍と決めることではなく、自己計測値を運動中の値と同一視しない姿勢である。[2]

また、停止後の装置の値と運動中の装置の値の差、本人の触診値と運動中の装置の値の差は、別の比較である。後者の大きなずれを、全部「測るのが遅かったため」と説明することはできない。時間帯のずれと自己計測の違いを分けて読むことが、この研究の設計を生かす読み方になる。[2]

平均が近かったという情報は捨てなくてよい。ただし、それを自分の次の運動を速くする根拠に使うと、集団の説明を個人の操作に移してしまう。クラス全体の評価に使える可能性と、各参加者の負荷調整に使えるかは、別々に確かめる必要がある。[2]

数える秒数だけを変えても答えは決まらない

脈を短く数えるか、長く数えるか。手計測を始めると、まずここが気になる。しかし、ダンス研究が実際に用いたのは10秒間の触診である。その結果を根拠に、別の秒数なら必ず正確になる、あるいは最適な秒数が決まった、とまでは言えない。[2]

数える時間は、単なる手順の飾りではない。研究で比較された値には、運動中の60秒平均と停止後の10秒平均という時間幅がある。時間幅を省いて「心拍数が同じだった」とだけ伝えると、何と何が同じなのかが曖昧になる。数字を短く書くほど、測定区間の説明を一緒に置きたい。[2]

長く数えるほうが丁寧そうだ、という感覚は自然である。ただし、運動中の負荷を知りたいときには、どの時間帯の心拍を集計しているかも問われる。数え終わった時点の数字を、終わったばかりの運動全体の代表として扱ってよいか。この問題は、数える秒数の選択だけでは片付かない。[2]

測り始めを早めても、運動中の値を再現できる保証にはならない。ダンス研究では、短い停止中の記録が集団平均では近くても、個人の推定にはばらつきが大きかった。測り始めを早める工夫と、個人の強度を正確に読めることの間には、まだ区別が必要である。[2]

実生活のメモなら、「休憩中に自分で数えた値」と書けばよい。「運動中の最高心拍数」と勝手に名前を変えないことが大事だ。時計の表示と自分の触診値を比べる場合にも、同時刻の比較なのか、運動中と停止後の比較なのかを先に確認する。測定方法の評価には、比較対象をそろえるという研究の視点が役立つ。[1][2]

数字の横に条件を書くのは、記録を立派に見せるためではない。低かった理由を、すぐ体力や努力に結び付けないためだ。自分の数え方を評価したいのに測定時刻まで変わっていれば、どちらの違いを見ているのか分けにくい。次に見直す項目を絞るためにも、測定条件を言葉で残しておきたい。

研究の数字を自分の記録に移すときには、差の向きにも目を向けたい。ダンス研究では自己計測が運動中の値より低かったのであり、同じ条件で高めにも低めにも散らばった、という説明ではない。一方、軽運動の機器と観察者の比較では、機器から観察者の値を引いた差を報告している。同じ「差」という語でも、引く順序と比較相手が違う。[1][2]

このため、研究の誤差を見て、自分の記録から何拍引くかを決める読み方は適切ではない。測定の比較から分かるのは、その条件で方法がどこまで一致したかである。自分がまだ照合していない測定に、別の対象者の平均差を補正値として貼り付けない。数字を細かく書くことと、正確さを確かめたことは別に考えたい。[1][2]

数字で読む運動後の脈の測定

12人:ダンスクラスで運動中の記録と自己触診を比較した健康な女性の人数である。[2]

10秒:ダンス研究で本人が脈を数えた時間であり、最適時間を認定した数字ではない。[2]

毎分9〜95拍:自己触診値が運動中の記録値を下回った差の範囲である。[2]

36人:安静時と軽い運動中に血圧計の心拍表示と観察者の触診を比較した研究の対象者数である。[1]

5人:心疾患のある人の運動研究で、触診と機器を比較した16人のうち正確に測れなかった人数である。[8]

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