足首が硬いときは土踏まずも見る?内側の形と歩くときの曲がり方を分けて読む

足首の内側が硬く感じるとき、土踏まずや足の向きだけで原因を決めてよいのか。歩行、ダンス、足底の組織を調べた研究から、足首の背屈と足の回内が必ずしも一致しない理由を読む。測定値、足の形、痛みを分けて考え、日常の観察や運動時に伝えたい内容まで整理する。

かかとを床につけたまま膝を前へ動かすと、足首の内側で動きが止まる感じがする。隣の人を見ると、土踏まずの形もつま先の向きも違う。「私の足首が硬いのは、この足の形のせいだろうか」と考えたくなる場面である。

土踏まずも見る意味はある。ただし、足首の曲がりにくさと内側への倒れ込みは、別に評価したい。足首の動く範囲が小さい人を調べた歩行研究では、歩幅や脚の動きに違いがあっても、足の回内には群間差がなかった。[7]

足首の曲がる範囲、立ったときの足の形、歩いている最中の動きは、分けて確かめたい。「足首が硬いか壁でセルフチェック?膝を前に出すテストの再現性と左右差を読む」にはテストの再現性を譲り、ここでは内側の形から何を読み取れるかに焦点を絞る。

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内側の見た目と、足首の曲がる範囲は別の情報

足首の背屈とは、足の甲とすねが近づく方向への動きである。歩行では、接地した足に対してすねが前へ進む動きに関わる。可動域は、その動く範囲を指す。背屈の小さい人を比べた研究も、足首の可動域と歩行中の足の回内を別々に評価している。[7]

回内は足の複合的な動きを表す言葉で、ここでは足が内側へ倒れ込む様子を考える手掛かりとしたい。ただし、研究で扱う「回内」は、立った状態の形を評価する場合も、歩行中の角度を評価する場合もある。ラテンダンスの研究は足の姿勢の評価と舟状骨の下がり方を使い、歩行研究は動作中の角度を使った。同じ言葉でも、見ている場面が異なる。[3][7]

舟状骨の下がり方を調べる検査は、足の内側にある骨の位置の変化から回内を評価する方法である。一方、足の姿勢の指標は、足全体の姿勢を点数として扱う。ラテンダンスの研究では、これらと体重をかけた状態の背屈の検査を組み合わせた。土踏まずの評価と背屈の検査は、それぞれ別の役割を担っている。[3]

家の鏡で内くるぶしの下を眺めることと、動きの検査を受けることも同じではない。見た目を記録するなら「内側が低く見える」、動きを伝えるなら「膝を前へ動かすと止まる感じがある」と、別の言葉にすると整理しやすい。これは診断名を探すよりも、困っている場面を伝えるための工夫である。

「硬い」という日常語には、動く範囲の小ささ、動かすときの抵抗感、痛くて止めたくなる感じが混ざりやすい。研究では背屈の角度、足の姿勢、症状などを区別している。[2][7] 自分の訴えも同じように分ければ、土踏まずを変えることが本当に相談したい内容なのか、歩くときの困り事なのかが見えてくる。

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足首が曲がりにくくても、回内が多いとは限らない

歩行を調べた横断研究では、参加者32人を、他者の力で動かす受動的な背屈が10度未満の群と15度を超える群に分けた。動きの計測には立体的な動作解析を用い、骨盤、股関節、膝、足首、足の各部の動きを比較している。[7]

背屈の小さい群では、歩幅が短く、接地中の股関節と膝の最大の曲がりが小さかった。骨盤の回転も小さく、足首の背屈と、足の前方部分が後方部分に対して曲がる動きの最大角度も小さかった。群間差の効果量は中程度から大きい範囲にある。[7]

それでも、足の回内には群間差が認められない。[7] 足首が動かない分を必ず内側の倒れ込みで補う、という説明は、この歩行研究には当てはまらない。足首の周囲だけを探していたら、違いが現れた骨盤や股関節の動きを見落としかねない。

ここでの10度と15度は、研究で群を分けるために使った条件である。[7] 自宅で膝を前に出したときの見た目から、そのまま同じ群に入れることはできない。測り方が違うのに数字だけを借りると、体より先に判定が動いてしまう。

また、横断研究はある時点での群の違いを比べる研究である。背屈を増やせば歩幅が必ず伸びる、骨盤の動きが必ず変わるという介入の結果ではない。[7] 立川駅の改札へ急ぐときの歩幅を、家で測った足首の数字だけで説明しない方がよい。違いがある場所と、変えるとよくなる場所は、別に確かめる必要がある。

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ダンサーの足は「回内が多いほど硬い」に収まらない

足の姿勢と背屈の関係を考えるうえで、ラテンダンスの研究は興味深い。プロのダンサー26人と、年齢などの特徴が近く、ハイヒールを使わない非ダンサー26人を比較した研究である。競技として踊る人の結果を、18〜39歳の女性の日常の動きへそのまま当てはめるには、活動内容の違いを考える必要がある。ダンサー群では、足の姿勢の点数や舟状骨の下がり方だけでなく、背屈の可動域も大きかった。[3]

つまり、この集団では、回内に関わる評価が大きいことと背屈が大きいことが一緒に見られた。[3] 「土踏まずが下がって見える人は、足首が必ず硬い」という読み方には合わない。足の形を見た瞬間に、柔軟性の成績表まで完成させることはできないのである。

ただし、ダンサーの中で比べると、ダンス経験の年数と非利き側の背屈には負の相関があり、相関係数は−0.43だった。一方、靴を履いている時間と足の姿勢の点数には、利き側で0.40、非利き側で0.43の正の相関があった。[3] 集団同士の平均的な違いと、集団の中の関連は、同じ方向に並ぶとは限らない。

この研究は、ダンスを始めれば背屈が増えると確かめた試験ではない。また、経験を重ねると誰でも硬くなると追跡した結果でもない。[3] レッスン歴の長い友人と自分を比べて、足首の将来を予言する材料にはしない。靴、経験、足の姿勢、左右という条件を分けて見るための知見である。

別のダンスではどうか。女性のプロのフラメンコダンサー13人と非ダンサー13人、計52足を調べた横断研究では、左足の姿勢の点数と右足の舟状骨の下がり方に群間差が見られた。[6] 対象は女性でもプロのダンサーであり、18〜39歳の女性一般へそのまま当てはめるには、足にかかる負荷の違いを考えたい。違いが見つかった項目と側はそろっていない。ダンスという名前だけで足の変化をひとまとめにせず、何をどちら側で測ったかまで読む必要がある。

足裏の組織の厚さも、背屈の数字だけでは決まらない

土踏まずの辺りが気になると、足裏の組織も硬くなっているのでは、と考えるかもしれない。症状のない健康な51人、102足を対象に、足底筋膜の厚さと体格、背屈、立ったときの回内との関係を調べた研究がある。足底筋膜は足裏の組織で、この研究では超音波で厚さを評価した。[12]

測った場所は付着部から1cmと2cm離れた位置である。体格の指標である体格指数と厚さには、両方の位置で中程度の相関があった。一方、足首の背屈可動域と厚さには、どちらの位置でも相関は認められない。[12] 曲がりにくさは、足裏の厚さを推測する指標にはならない。

回内との関係も測定位置で違った。2cmの位置では回内と厚さに逆方向の相関があり、1cmの位置では相関は認められない。[12] 「内側へ倒れるほど足裏の組織が厚い」と単純化すると、観察された関係ともずれる。組織のどこを測ったかという地味な条件が、結論を読むうえで欠かせない。

対象者は健康で症状のない人であり、厚さの変化も症状のある足底筋膜炎患者と比べると小さいと報告された。[12] ここから自分の内くるぶしの違和感の正体を決めることはできない。足の形、組織の画像、本人の感覚は、それぞれ違う窓から見た情報として扱いたい。

ラテンダンスの研究と足底筋膜の研究は、同じ足を見ていても質問が違う。前者は活動歴や靴の使用と足の姿勢との関連を扱い、後者は症状のない人の組織の厚さとの関連を扱う。[3][12] ある研究で回内との関連が見つかったからといって、別の研究で測った背屈や組織にも、同じ関連があるとは扱えない。

とくに、相関がなかったという結果は大切である。背屈と足底筋膜の厚さが関連しなかったことは、足首の検査が無意味という意味ではない。その検査から推測してよい範囲を狭める情報になる。[12] 足首は足首として測り、組織の状態については別の評価を考える。複数の項目を測る意義は、各指標が答えられる問いを分けることにもある。

また、両足を調べた研究の「足の数」は、そのまま参加者の人数ではない。足底筋膜の研究は51人の102足、フラメンコの研究は26人の52足を扱っている。[6][12] 左右を含めた評価の規模と、人として何人を調べたかを区別すると、数字の印象だけで研究を大きく見積もらずに済む。

数字で読む足首と足の形

32人:背屈の小さい群と大きい群を比較した歩行研究の参加者数。回内の群間差はなかった。[7]

26人対26人:ラテンダンサーと非ダンサーの比較。ダンサー群は背屈も回内に関わる評価も大きかった。[3]

−0.43:ラテンダンス経験年数と非利き側の背屈との相関係数。原因を表す数字ではない。[3]

51人・102足:症状のない人の足底筋膜を調べた規模。背屈と厚さの相関はなかった。[12]

63人:大学のクロスカントリー選手の比較対象。すね周辺の運動時痛の既往による構造的な測定値の差はなかった。[16]

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