有酸素運動で体重増加は脂肪なのか?始めた直後の水分と糖の蓄えを読み解く

有酸素運動を始めたのに体重が増えると、運動が逆効果だったのかと迷う。汗による水分の減少、補給後の回復、筋肉に蓄える糖を分け、持久運動のレビューと比較試験から数字の意味を読む。体重だけで脂肪の増減を決めず、食事を極端に減らす前に確かめたい測定の場面と次の運動への備えを考える。

仕事帰りに歩くようにした。帰宅したときは軽かった体重が、食事をして休んだ翌朝には戻っている。体重計の数字だけを見ると、昨日の歩きが取り消された気分になる。

しかし、その数字をすぐ脂肪の増加と読むのは早い。持久運動では汗で体液が失われ、運動後には食事から筋肉の燃料となる糖の蓄えが回復する。運動直後と回復後では、体の状態そのものが異なるのである。[8][18]

有酸素運動を始めた後の増加が必ず水分だとも、必ず脂肪だとも決められない。体重と体脂肪、体水分を別に測った食事・運動の試験では、それぞれの指標が同じ動きをするとは限らなかった。ここで確かめたいのは、増えた数字を見て食事や水を削る前に、何を比べているかという点だ。[2]

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汗をかいた直後の軽さを基準にしない

持久運動と水分を扱ったレビューでは、長く激しい運動をすると、体温調節のための発汗によって相当量の体液を失うと整理されている。その水分を補わずにいると、持久力が損なわれる場合がある。運動直後に軽くなった体を、そのまま維持すべき姿と考える理由はない。[8]

立川駅北口から家まで歩いた日と、暑い室内で長く動いた日では、同じ「運動後」でも条件が違う。レビューが示すのは、脱水の影響が運動の要求度と環境のストレスに左右されるということだ。汗を多くかいた日の数字ほど成果が大きい、という採点には結びつかない。[8]

水分状態のレビューは、体重の2%に相当する水分を失った場合でも、涼しい環境や温和な環境では一部の人が持久運動能力を保てる一方、30℃以上の暑い環境では運動能力が低下し、熱による障害の可能性が高まると述べている。同じ減少率でも、置かれた環境によって意味は変わる。[14]

この数字は、水分を失ってよい目標ではない。運動の前後で見える体重差に、発汗による体液の出入りが関わることを理解するための研究上の条件である。軽さを追って水を我慢することと、体を動かし続けることは同じ方向を向いていない。[8][14]

たとえば、運動直後の測定記録の横に「汗をかいた後、飲む前」と書いてあれば、翌朝の記録との違いを考えやすい。単なる増減の矢印では消えてしまう背景を、言葉で残す工夫である。体重計には、昨日どれだけ汗をかいたかを説明する欄がない。

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糖の蓄えを戻すことは運動後の回復である

グリコーゲンは、筋肉などに蓄える糖の形である。持久運動の代謝を扱うレビューでは、炭水化物は血糖の維持、グリコーゲンの貯蔵、働く筋肉への燃料供給、疲労の発現を遅らせることに重要だとされている。脂肪も燃料になるが、糖と脂肪は条件に応じて役割を分け合う。[6]

したがって、運動で糖を使った後に食事をすることは、使った分を台無しにする行為とは限らない。運動後の炭水化物を扱うレビューは、グリコーゲンを回復させることと、次の持久運動を行う能力を結びつけて論じている。食べたという事実だけで、回復と脂肪の増加を同一視することはできない。[3]

実際に、参加者8人の無作為化クロスオーバー試験では、グリコーゲンを減らす運動の後に、炭水化物だけの栄養液、炭水化物にたんぱく質とアルギニンを加えた同じエネルギー量の栄養液、エネルギーを含まない対照を比べた。筋肉のグリコーゲン合成は、栄養を補った両条件で対照より有意に増加した。[18]

この試験は、運動後の4時間に磁気共鳴を用いて大腿の筋肉を測定している。家庭の体重計の数字から燃料の回復を推測した実験ではない。体重が増えた朝に「糖を蓄えたからだ」と言い切る材料にはならないが、運動後の体内で燃料を戻す過程が進むことは直接確かめられている。[18]

ここで水分の出入りと糖の回復を分けておくと、説明が過剰にならない。発汗後に失われる体液と、食事後に回復する筋肉のグリコーゲンは、それぞれ研究で扱われている現象だ。個人の増加分を水と糖に何割ずつ振り分ける計算へ進む必要はない。[8][18]

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体重が同じように減っても中身は違った

体重だけでは判断しにくいことを示すのが、筋力トレーニングと有酸素運動を行う健康な若い男性25人を対象とした無作為化比較試験である。周期的なケトジェニック減量食と、栄養バランスを取った減量食を8週間比較した。前者は炭水化物を強く制限する期間を設ける食事法である。[2]

両群で体重と体脂肪、体格の指標は減少した。一方、脂肪を除いた体の重さである除脂肪体重と体水分は、周期的なケトジェニック食の群で減り、バランス食の群では有意に変化しなかった。似た体重減少であっても、減った成分の組み合わせまで同じではなかったのである。[2]

運動能力にも違いがあった。バランス食の群では、一部の筋力と持久運動の最大負荷、最大酸素摂取量が増加したが、周期的なケトジェニック食の群では、それらの改善は認められなかった。研究者は、同程度の減量に対して、バランス食では筋力と持久運動能力の改善があったと結論している。[2]

ただし、これは若い男性が減量食と複数の運動を組み合わせた比較である。運動を始めた女性の翌朝の体重増加を、そのまま説明する試験ではない。生活に持ち帰れるのは、食事法を変えて体重が速く動いても、それだけで体の中身や動く力を評価できないという読み方だ。[2]

「水分まで減ったほうがよい」と採点すれば、バランス食の群で見られた運動能力の改善を見落とす。体重の順位表と、次に動ける体をつくるための記録表は、分けておきたい。同じ研究に複数の測定項目があるのは、単一の数字では表せない違いがあるからである。[2]

脂肪を使うことと体脂肪が減ることを混同しない

有酸素運動を続ければ、脂肪だけが燃え続けるという単純な仕組みではない。持久運動のレビューは、糖と脂肪の使われ方が強度、時間、食事の状態などによって調節されると整理している。強度が高くなると脂肪の酸化は減り、運動に必要な速さでエネルギーを供給しきれなくなる。[6]

運動後の炭水化物を扱うレビューでは、一部の練習後に炭水化物を制限すると、空腹状態で運動した際の脂肪を酸化する能力が、長期的にはわずかに高まる可能性が示されている。ただし、食事を取った状態の運動能力の向上へ結びつくかは明確ではない。脂肪を使う能力という結果を、そのまま体重減少の約束へ置き換えることはできない。[3]

夕方の運動後に主食を抜くか迷ったら、何を目標にしているかを先に言葉にしたい。次の運動で動けるように燃料を戻すのか、体組成の変化を確かめたいのか。競技者が特定の代謝応答を狙う補給法を、体重計の増加を帳消しにする手順として借りると、目的と方法がずれてしまう。[3][6]

食事の有無で筋肉の糖の使われ方が変わることは、若い健康な参加者8人の無作為化クロスオーバー試験でも調べられている。同じ参加者が、夜から食べずに運動する条件と、運動の前と途中に炭水化物を取る条件を経験した。どちらも最大酸素摂取量の約75%で2時間、自転車をこぐ運動であった。[16]

筋肉を構成する線維を分けて測ると、速い動きにも関わるⅡa型線維では、空腹の条件でグリコーゲンが減った一方、炭水化物を取った条件では有意に減らなかった。対してⅠ型線維では、どちらの条件でも同程度に減少していた。補給による違いは、筋肉の中でも一様ではなかったのである。[16]

この結果を、空腹で動けば体脂肪が多く減るという話に飛ばしてはいけない。測られたのは、特定の運動中に筋肉の糖がどう使われたかである。前の日に食べたかどうかを無視して「同じ運動をしたのに」と比べる前に、燃料の条件が違えば体の応答も違い得ると押さえたい。[16]

数字で読む運動後の体重と回復

25人・8週間:若い男性の食事と運動の比較。体重減少が似ていても、体水分と運動能力の変化は異なった。[2]

8人・4時間:運動後の筋グリコーゲンを追った試験。栄養を補った条件では、エネルギーを含まない対照より合成が増えた。[18]

体重の2%:水分喪失の影響を扱ったレビューの比較条件。暑さによって運動能力への影響は異なる。[14]

30℃以上:同レビューで、体重の2%の脱水による能力低下と熱による障害の可能性が指摘された環境条件である。[14]

16人:強い自転車運動の後の補給と、続く筋力運動の出力を比較した、筋力トレーニング経験のある男性の試験である。[7]

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