
呼吸の負荷も足した研究は、体幹だけの答えではない
Tongらの無作為化比較試験では、レクリエーションとして走るランナー16人を対象に、インターバル走への追加運動を比較した。インターバル走とは、強い運動と回復を挟んで行う練習である。比較したのは、走る練習だけを行う条件と、その直後に吸う息への負荷を組み合わせた体幹運動を行う条件だった。レクリエーションランナーを対象とする結果であり、18〜39歳の女性全般に同じ効果があるかは、この比較だけでは判断できない。[2]
この研究には、比較に入る前の準備期間がある。両群はまず4週間、吸気筋、つまり息を吸う働きを担う筋肉のトレーニングを受けた。その後の6週間に、週3〜4回のインターバル走を実施し、追加群は走行直後に呼吸負荷つきの体幹運動を加えた。単にプランクを少し足した設計とは区別する必要がある。[2]
追加群の運動は4種目で、各セット10回、1日2セットという構成だった。吸気への負荷も各人の測定値に合わせて設定された。こうした具体的な条件は、効果が出た方法を理解するための情報である。呼吸を自己流で制限しながら体幹運動をする提案として、そのまま家庭へ持ち込むものではない。[2]
介入後は両群で吸気の機能と体幹の機能が改善したが、追加群の方が持久力プランクテスト、特定の速度でのランニングエコノミー、1時間の走行成績で大きな改善を示した。走行成績の改善率は追加群3.04%、対照群1.57%だった。ここでも比較相手は何もしなかった人ではなく、走る練習を続けた人である。[2]
体幹の成績や燃費、走行成績の変化には、参加者間で相関も認められた。ただし、相関は変化が一緒に動いたことを表す。体幹の改善だけが走行成績を生んだと切り分けた証明ではない。追加されたのは体幹運動と呼吸への負荷の組み合わせだからだ。[2]
この研究から受け取れるのは、走る課題に合わせた複合的な補助運動が役立つ可能性である。一方、「腹筋の回数を増やせば同じ改善率になる」という読み替えはできない。プログラムの名称より、何を足し、比較群は何を続けたのかを見ると、広告の短い言葉では消えてしまう条件が残る。[2]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
鍛えた後の適応と、疲れた直後は逆方向になりうる
継続して鍛える研究の隣に、走る前に疲れさせる実験を置くと、順番の問題が見えてくる。Drumらはトレーニングを積んだランナー7人、男性2人と女性5人に、対照、体幹疲労、上半身疲労の条件を無作為な順序で経験してもらった。同じ人が別の条件も受けるクロスオーバー試験である。女性を含むが、トレーニングを積んだ少人数の結果を18〜39歳の女性全般に広げるには慎重さが必要だ。[3]
疲労を与える条件では、24分のサーキット形式のウエイト運動を行った。体幹と上半身の疲労条件は運動量をそろえ、主観的なきつさ、心拍、乳酸の応答は同程度だった。体幹筋力は疲労課題後に低下した。そのうえで個別に設定した高い強度の走行を行い、酸素消費を比較している。[3]
疲労条件と対照条件の酸素消費の差は、測定時点により0.75〜1.5 ml/kg/minだった。しかし、その差は統計的に有意ではなかった。中程度から大きい効果量が報告され、体幹疲労と対照の差が特に大きかったとしても、この小規模試験だけで「疲れれば必ず燃費が悪化する」と確定はできない。[3]
有意差がないことは、完全に同じと証明したという意味でもない。少人数で差の有無を見極めるには不確かさが残る。ここでの扱いは、悪化を示唆する予備的な結果である。論文の題名が強く見えても、実際の比較でどこまで確かだったかを本文の数字とともに読む必要がある。[3]
別の実験では、男性のレクリエーションランナー9人が、最大酸素摂取量の85%という高い強度で走った。最大酸素摂取量は酸素を取り込んで利用する能力の指標だ。体幹をあらかじめ疲れさせた条件では、疲れさせない条件より限界までの走行時間が短く、平均10.7±4.5分から6.5±2.0分になった。男性ランナーの高強度走で得た差であり、18〜39歳の女性の普段のジョギングに同じ時間差を当てはめることはできない。[20]
この実験では、高強度走の後に持久力プランクテストの成績も下がった。走行時の呼吸を運動なしで再現する課題でも体幹と吸気の機能に低下がみられ、呼吸の仕事が体幹疲労の一部に関わる可能性が示された。走る際の体幹を考えるときは、姿勢を支える働きと呼吸の仕事の両方を見る必要がある。[20]
ただし、限界まで走れた時間の低下と、一定速度で必要な酸素の増加は別の結果だ。前者の有意差は、後者の予備的な試験を補強する証拠にはならない。高強度走の男性で得た数字を、会話しながら走る日の成人全員へ当てはめることも避けたい。[3][20]
練習を足す日の判断では、この時間軸を分けるとよい。体幹運動を継続することを検討しつつ、走る直前に限界まで疲れさせることを、その効果を高める手段とは考えない。重要なランニングの前に新しい疲労課題をまとめて入れず、走ることと補助運動の両方を記録する、という慎重な使い方につながる。[3][20]

よくある誤解
「プランクが長くできれば、走る燃費も必ずよくなる」という理解は飛躍だ。大学生競技者の試験では体幹持久力と走行中の酸素消費がそれぞれ測られ、酸素消費の有意な低下は特定の走行段階で得られた。体幹のテストの向上だけを、走行検査の代役にはできない。スマートフォンのタイマーは、呼気の分析装置にはならない。[4]
「走るときはお腹を強く固め続けるほど省エネになる」とも限らない。ピラティス試験では、代謝コストが低い結果とともに、最大下の走行強度で姿勢筋の筋電活動が減った。これは筋活動を減らすよう自己流で走れという指示でもない。少なくとも、活動の大きさだけで効率のよさを採点できないことを示す結果である。[1]
「体幹が疲れて走れなかったなら、体幹を鍛えれば同じ分だけ速くなる」という逆算もできない。事前疲労の実験と継続介入では、操作した条件と評価した成績が違う。疲労で失った走行時間を、練習で獲得できる時間の予測に変えることはできない。疲れて機能が落ちることと、鍛えて成績が伸びることは別々に検証する問いだ。[1][20]
今日からできること
- まず目標を言葉にする。5 kmのタイムを考えるのか、同じ速さでの走りやすさを考えるのかを分ける。研究でも走行成績と代謝コストは別に測っている。[1]
- 体幹の記録と走りの記録を別に残す。8週間の介入試験も、持久力プランクテストと走行中の酸素消費を別の検査として扱っている。[4]
- 補助運動を足すなら、通常の練習との組み合わせを指導者に相談する。男子大学生競技者の試験は、普段の練習を保ったまま週3回の体幹運動を追加した条件だ。[4]
- 走る直前に追い込むことを目標にしない。24分の疲労課題を使った予備的試験は、直前の疲労が燃費に不利となる可能性を示したが、有意差はなかった。[3]
- 効果をその日の感想だけで判定せず、継続と走行条件も記録する。走りの改善を調べた試験の期間は8週間や12週間であり、その数字は全員の達成期限ではない。[1][4]
日常の記録は研究の検査そのものではない。それでも「体幹は続けられたが、走る条件は毎回違った」と整理できれば、まだ答えを急がない理由になる。雨の日の走行を晴れた日の記録と比べて、自分のお腹に判決を出す必要はない。次に指導者へ相談するときも、種目名だけでなく、走る練習の前後のどこへ加えたかを持っていくと話を具体化しやすい。

オンザショア立川店で、走る日以外の予定をつくる
走る日と補助運動の日を分けて予定に置くなら、続けられる時間帯から考えたい。オンザショア立川店の営業時間は8:00〜23:30で、年中無休である。常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングのほか、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガもある。研究のプログラムと店のレッスンは分けて考え、走る練習を補う運動の選択肢として検討する場所だ。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fで、JR立川駅北口から徒歩1分。店の案内と料金で、通う条件を確認できる。
ヨガの体験レッスンは税込1,980円。60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。体験の予約を検討するときは、いつものランニングの予定も隣に並べたい。移動に使う時間まで含めて、無理なく通える曜日を選ぶ。休日に走る時間を残し、仕事帰りには補助運動に通う。床での手応えと道での走りやすさをそれぞれ確かめながら続ける生活を考えたい。
参考文献
[1] Pilates training improves 5-km run performance by changing metabolic cost and muscle activity in trained runners — Finatto P, Silva ESD, Okamura AB, Almada BP, Storniolo JLL, Oliveira HB, Peyré-T, 2018, PloS one. DOI: 10.1371/journal.pone.0194057
[2] “Functional” Inspiratory and Core Muscle Training Enhances Running Performance and Economy — Tong TK, McConnell AK, Lin H, Nie J, Zhang H, Wang J., 2016, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000000656
[3] Trunk and Upper Body Fatigue Adversely Affect Running Economy: A Three-Armed Randomized Controlled Crossover Pilot Trial — Drum SN, Rappelt L, Donath L., 2019, Sports (Basel, Switzerland). DOI: 10.3390/sports7080195
[4] Effects of 8-week core training on core endurance and running economy — Hung KC, Chung HW, Yu CC, Lai HC, Sun FH., 2019, PloS one. DOI: 10.1371/journal.pone.0213158
[20] The occurrence of core muscle fatigue during high-intensity running exercise and its limitation to performance: the role of respiratory work — Tong TK, Wu S, Nie J, Baker JS, Lin H., 2014, Journal of sports science & medicine. DOI: なし
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
ヨガとからだの小さな疑問のほかの記事
- 体幹トレーニングのプランクは肘を前に置く?支える距離と高負荷の意味を読む
- 体幹トレーニングで骨盤を丸めると違う?プランク中のお腹と腰の働きを読む
- 有酸素運動のウォーキングは腕を大きく振るべき?消費量より先に読む手足の連動
- 体幹の回旋トレーニングは骨盤を止める?胸の向きだけでは読めない筋肉の分担
- 体幹トレーニングは同じ姿勢だけでよい?鍛えた角度と力が伸びる範囲を読む
- 体幹の協調性トレーニングは急な揺れに役立つ?構えて支える力と反応する力を読む
- 体幹トレーニングは腹筋だけでよい?前後の持久力を比べるときの注意を読む
- 体幹トレーニングは一日に分けてもよい?同じ合計時間と疲れ方を比べて読む
- 体幹トレーニングのチューブは伸ばすほど重い?ひねる角度と筋肉の働きを読む
- 体幹トレーニングは止めるより投げる方がよい?ボール投げの力への移り方を読む
- 座ったままの体幹トレーニングは立っても役立つ?椅子での練習と力の移り方を読む
- 体幹のひねりトレーニングは上から引く?ケーブルの高さと脇腹の働きを読む
- 体幹トレーニングで動き出しも速くなる?短いダッシュへの効果と限界を研究で読む
- 体幹トレーニングで手足の連動は変わる?支える練習と歩く動作の違いを読む
- 女性のプロテイン、一回の量は多いほどよい?筋肉の合成と吸収の違いを読む
- 女性のプロテインはロイシンの量で選ぶ?筋肉の合図と食事全体の条件を読む
- 女性の植物性プロテインはえんどう豆でもよい?乳由来と筋トレの成果を比べる
- 女性のプロテインは吸収が速い方がよい?カゼインとホエイの時間差を読む
- 女性のプロテインは食事の肉や卵と同じ?栄養の数字と筋肉の反応を分けて読む
- 女性のプロテインは飲むと腹持ちが違う?固形の食事と運動後の満腹感を比べる
- プロテインの筋肉への反応は男女で違う?女性の量を決める前に読む比較研究
- プロテインは女性のランニングにも必要?たんぱく質が燃える条件と糖質の役割を読む
- 女性のプロテインで腸内環境は変わる?菌の構成と発酵でできる物質を分けて読む
- 女性の朝のプロテインは空腹で飲むべき?食後との違いを筋肉の反応から読む
- ストレッチの代わりに筋トレでも柔らかくなる?動かす範囲をそろえて比べる
- ストレッチの効果は反射にも表れる?伸ばせる範囲と神経の反応を分けて読む
- ストレッチにローラーも足すと効果は増える?単独との違いと順番を比べて読む
- ストレッチ直後のふらつきは何を示す?即時効果と立位バランスを分けて読む
- ストレッチのスポーツ効果は走りにも出る?柔軟性と腱の弾み、酸素消費を分けて読む
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
2





