二度寝で怖い夢を見るのはなぜ?朝方のレムと時刻のずれを分けて読む

指でアラームを止めて戻った朝に、怖い夢の残像で目が覚めることがある。レムが目覚めの壁を試してノンレムへ戻す仮説と、睡眠の中間時刻と消灯のずれが大きいほどレムの割合が低い終夜検査を、別の事実として読む。二度寝そのものが朝の夢を怖くしたとは結ばない。

枕元のアラームを止め、あと少しだけと布団を引き上げた。目を閉じたつもりが、次に開いたときには夢の廊下を走っていて、心臓だけが先に起きている。怖い、と感じた場所は布団の中なのに、話の続きはもう指の先に残っていない。二度寝の朝は、こういう残像から始まることが多い。

答えの芯は、その残像を「朝だからレムが増えて、夢が怖くなった」と一つに結ばないことである。仮説の総説は、レムの働きの一つを、目覚めに必要な刺激の高さを試し、壁を越えられなければノンレムへ戻すことに置く[2]。成人645人の終夜検査は、自分の睡眠の中間時刻と消灯のずれが大きいほど、レムの割合が低い側にあった、と報告する[16]。受け取る範囲は、目覚めかノンレムか、という分岐の仮説と、時刻のずれとレムの割合の関連までである。

「二度寝はなぜ太ると言われる?寝直しの習慣と体重を原因にしない読み方」には、体重の問いを譲る。「二度寝はなぜだるいのか、57%が二度寝派の調査と寝起きに残る眠りの研究を読む」には、起きたあとの重さを譲る。夢が気分を整えるかは「夢はストレス発散になるのか?感情を整理する仮説と翌朝の気分のずれを読む」の側である。同じ特集の「寝言で笑うのは楽しい夢のせい?眠る人の笑い声と翌朝の記憶のずれを読み解く」は、声と翌朝の報告を扱う。「徹夜の翌日なのに寝れないのはなぜ?眠気の蓄積と体内時計が競い合う仕組み」は、徹夜の次の夜に眠れない側を読む。ここで追うのは、もう一度目を閉じた朝のレムと、睡眠の時刻のずれである。

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アラームのあとに戻るのは、レムが壁を試したあとなのか

睡眠の時刻と長さは、眠りの恒常性の過程と、覚醒へ向かう概日の駆動が組み合わさって決まるとされる。総説はこの二つを、過程S、過程Cと呼ぶ。加えて過程Wがある。Wはもともと、起きたあとの成績の落ち込み、つまり睡眠慣性を説明するために置かれていた。いまの仮説では、Wは眠っているあいだも働き、SとCからは一部分だけ独立して、眠りを守る側に立つ[2]。

自然な目覚めは、Sが下がりCが上がっただけでは始まらない、とこの総説は書く。目覚めを妨げる壁が、Wを介して破られる必要がある。レムの一つの機能は、その壁を破るのにどれだけの刺激が要るかを、周期的に試すことだ、という仮説である。レムのあいだに皮質がどのくらい再活性化するかは、脳が眠りに満たされた程度を映す、とも置く。その情報は内側前頭前野で処理されうる、と可能性として書かれ、外側視床下部などを経て、レムとノンレム、睡眠と覚醒を切り替えるスイッチへ伝わる。スイッチは、目覚めを始めるか、ノンレムへ戻す[2]。

スマホのアラームは、この仮説の外側にある刺激である。仮説が描くのは、脳が自分で壁の高さを試し、足りなければノンレムへ戻る、という流れだ。指がアラームを止めた朝に夢が怖かった体験を、このスイッチが恐怖を選んだ証拠にはできない。結論として置けるのは、目覚めか、ノンレムへの帰還か、という分岐までである[2]。アラームは7時を主張し、仮説の中のスイッチはノンレムへの帰還を投票しうる。同じ朝にいるのに、議事録は別である。

立川駅北口の改札の前で、夢の廊下だけが頭に残っているとき、体はもう歩いている。仮説の中の皮質の再活性化は、眠りの充足を映す信号として書かれている。残像の濃さと、脳がまだ眠ると判断したかどうかは、同じ朝の別の行に置く[2]。一度戻ったという感覚の一番近い置き場所は、恐怖の採点ではなく、この分岐である。

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朝のレムは、眠りの終わりを知らせる窓になる

標準的な終夜検査は、睡眠の質を一つの客観指標としては示してこなかった、と総説は書く。主観的な質とより安定して並ぶのは、睡眠時間と睡眠効率である。24時間動く社会で睡眠が削られると、いつもの睡眠は限られた夜の窓に収まらなければならず、睡眠の過程の全体を満たさないことがある。夕方から夜の初めの人工光は、概日リズムを遅らせ、乱し、とくにレムに影響する[6]。

レムは概日時計に制御されるため、睡眠の終わりを区切る窓のように働く、とこの総説は続ける。まだ睡眠の過程を終える必要が残っていても、概日の側の終わりの時刻には合わせなければならない。十分な量のレムは、睡眠の連続を保つために要る一方で、脳を周期的に活性化し、意識へ戻る準備もする[6]。

二度寝の朝は、この二つの要求が同じ時刻に座っている場面として読める。まだ眠り足りない、という恒常性の側と、時計が終わりを告げている側である。総説は、その両立をレムの窓の役割として書いている。夜11時のスマホの光を、翌朝の夢の台本へ直接つなぐことまでは書いていない。書いているのは、夕方から夜の初めの人工光がリズムを遅らせ、レムをとくに動かしうる、という範囲である[6]。画面の中の動画が、夢の脚本家に就任した、とまでは言っていない。

眠りの質を「夢が濃かったかどうか」で採点する習慣は、この総説の指標とずれる。主観的な質と並びやすいのは時間と効率であり、終夜検査の一指標だけで質は決まらない、とも書く[6]。怖い夢で飛んだ朝を、質が低かった朝と即断する前に、何時に消灯し、何時に最終的に起きたかを別に置くほうが、総説の分け方に近い。

自分の時刻と消灯がずれると、レムの割合は低い側にあった

臨床で紹介された成人645人の終夜検査を、決まった時間割で見た研究がある。消灯は21:30、点灯は6:00。各人の睡眠の中間時刻は、自由日の中間を睡眠負債で補正した値で表し、その人と実際の消灯時刻との差を、睡眠時刻のずれとした。閉塞性睡眠時無呼吸の評価が多い臨床集団であり、18〜39歳の女性の日常の二度寝にそのまま当てはめるには対象と条件が異なる[16]。

ずれが大きいほど、入眠までの時間は長く、睡眠効率は低く、段階1のノンレムは多く、レムの割合は低かった。年齢、性別、体格指数、無呼吸の指数、不眠の重さを調整しても、この関連は独立して残った。社交時差、MSW、ΔTIBを追加した確認でも、関連は変わらなかった。中間時刻を三分位に切ると、遅い群ほど睡眠のまとまりが悪く、レムの割合も低い、という勾配が見えた。三分位の区分だけでは、ずれの大きさを入れたあと、終夜検査の指標を独立には予測しなかった。ずれと、遅い三分位(第3対第1)の交互作用は、入眠時間、効率、段階1の割合、レムの割合のすべてで有意で、pは0.005以下だった。ずれと睡眠の組み立ての関連は、中間時刻が遅い人で最もはっきりしていた[16]。

講義のあと0時を回って布団に入り、アラームだけは7時のまま、という平日がある。検査室の消灯は21:30に固定されている。自分の中間時刻が遅い人ほど、その固定との差は大きい。この研究が測ったのは、その差と、入眠、効率、浅いノンレム、レムの割合の並びである。二度寝のボタンを押した回数を数えた研究としては読んでいない。結果は関連であり、ずれがレムを削ったという因果の証明でもない。無呼吸の評価で集まった成人の数字を、18〜39歳の女性の平日のアラームへ、そのまま写すこともできない[16]。

それでも、短い説明とは向きが違う。朝はレムが多いから夢が濃い、と聞くことが多い。この645人では、自分の時刻から消灯が離れるほど、レムの割合は低い側にあった。割合の高低と、話の怖さは、別の列である[16]。

数字で読む二度寝と朝のレム

臨床紹介の成人645人。検査室の消灯は21:30、点灯は6:00。中間時刻と消灯のずれが大きいほど、レムの割合は低かった[16]。

ずれと遅い中間時刻の三分位の交互作用は、入眠、効率、段階1、レムの割合で、pが0.005以下だった[16]。

日常生活の若い健康な成人59人。深い眠りとレムが全体の睡眠と位相をそろえるほど、レムはまとまって出現した[19]。

人口のおよそ10%は、時計遺伝子PERIOD3の5回繰り返しを両親から持つ型で、朝型の好みに寄りやすい[12]。

その型では、完全な断眠のあと、実行課題への脳の反応の低下が、メラトニンの山から約0〜4時間で大きかった[12]。

特発性過眠症の診断の目安に、反復睡眠潜時検査の平均潜時8分以下、または18〜24時間の床上安静で睡眠11時間超が挙がる[7]。

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宮川涼 Founder

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