ピラティスとヨガの違いは吐く音にもある?喉を狭める呼吸と努力の関係を読む

ピラティスとヨガで耳にする吐く音は、効果の大きさを表すのか。喉を狭めるウジャイ呼吸と普通のゆっくりした呼吸を比べた研究から、呼吸の努力、血圧への反応、声や脚の力の測定を読み分ける。音をまねる前に確認したい指示と、初心者がレッスンで質問する視点を考える。

吐く息に音が出れば、呼吸は上達したことになるのか。ピラティスとヨガを行き来すると、静かに吐く自分と、波のような音を立てる隣の人が気になる。だが、耳に届く響きだけを手本にすると、何を変える練習なのかが抜け落ちる。

答えの芯は、音の印象だけでは呼吸の効果を採点できない、ということだ。ヨガ初心者の比較実験では、喉を狭めるウジャイ呼吸を足せば、普通のゆっくりした呼吸より血圧などの反応がよくなる、とはならなかった。喉に抵抗を加えることと、呼吸をゆっくりにすることは、分けて考える必要がある。[10]

ウジャイは、声門という喉の空気の通り道を狭めながら、息を止めずに続ける呼吸として研究されている。[5] ただし、これをヨガ全体の決まりや、ピラティスとの優劣に広げない。既存記事「ピラティスとヨガの違いは息止めで決まる?腹圧と呼吸を合わせる場面から考える」に息止めの論点は譲り、ここでは喉を狭める操作を足す意味に絞って読む。

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音のまねより、どこを変える呼吸かを聞く

レッスンで聞こえた音をそのまま再現しようとすると、目標が「同じ響き」に置き換わる。だが、研究で比べているのは呼吸法の条件である。初心者を対象とした実験では、吸う時間と吐く時間の比率、呼吸の回数、ウジャイを加えるかどうかを組み合わせている。評価の軸は音量ではなく、血圧などの生理反応だ。[10]

したがって、先生の説明を聞く際には、ゆっくり吐く指示なのか、喉の通り道を少し狭める指示なのかを区別したい。これは呼吸法の勝者を選ぶためではない。同じ「ゆっくり」という言葉でも、実験では抵抗を加える条件を別に扱っているからだ。息の速さと喉の操作を同じものとして受け取ると、研究の結果も読み違えてしまう。[10]

ウジャイの定義で大切なのは、「狭める」と「止める」が同じではない点でもある。健康な人の静脈を観察した研究は、ウジャイを、狭めた声門を通して呼吸を続ける方法として記述している。[5] 強く閉じて耐えるほど完成度が高い、という読み方は、この方法の説明から外れる。

一方、ピラティスの息とヨガの息を、音だけで仕分けるのも急ぎすぎだ。尿失禁のある女性を対象に、ヨガに基づく呼吸練習とピラティスに基づく呼吸練習を比較した試験では、一定期間の練習プログラムとして両者を評価している。[13] 種目名だけから、その場の喉の使い方や吐く音まで決めることは避けたい。

体験の場で質問するなら、「今は喉にも操作を加えるのか、それとも呼吸を続けることを優先するのか」が具体的だ。研究に登場する条件を、現場の言葉に戻した質問である。音を出せたという達成感と、何を練習したかが分かったという理解は、別の記録にしておける。

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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初心者では、喉に抵抗を足さない条件がよかった

この問いに近いのが、ヨガ未経験の健康な若者17人を対象とした実験である。呼吸を毎分6回とし、吸う時間と吐く時間が等しい場合と異なる場合、ウジャイを加える場合と加えない場合を比べた。評価したのは、血圧の変化に応じた心臓の調節を表す圧受容器反射感受性や、呼吸、酸素飽和度などである。[10]

圧受容器反射感受性は、ゆっくりした呼吸によって改善した。ただし、吸う時と吐く時の両方にウジャイを加えた条件は例外だった。最も大きな改善と血圧低下がみられたのは、ウジャイを加えず、吸う時間と吐く時間を等しくした条件である。この条件では、心拍数や換気の増加を伴わず、酸素飽和度も改善した。[10]

ウジャイでも酸素飽和度は同様に改善したが、圧受容器反射感受性の改善はやや小さく、血圧には変化がなかった。研究者は、ウジャイの反応には胸の中の圧の上昇が関係すると考え、普通のゆっくりした呼吸より努力を必要とすると解釈している。[10] 喉に仕事を増やした分だけ、測定した反応が上積みされるという期待は、この比較で支持されなかった。

ここは、呼吸の練習で起こりやすい思い違いをほどく結果だ。難しい操作を加えると、簡単な方法より高度な成果が出るように感じる。ところが、この初心者の実験では、その並びにならなかった。[10] 技の名前の長さを、体の反応は採点してくれない。

もちろん、17人の初心者の比較から、経験者を含むすべての人に同じ方法が最適だとは言えない。[10] また、ここでの毎分6回は実験の条件であり、レッスン中のすべての動きで守るべきノルマとして掲げる数字ではない。研究を暮らしに移す時には、条件の数字と、自分への指示を混同しない読み方が要る。健康な若者の結果であっても、18〜39歳の女性全体に最適な方法を決めた試験としては扱えない。[10]

試す入口を具体化するなら、動きを加える前に、喉を狭めず、吸う時間と吐く時間を等しくする呼吸を先生と確認する方法がある。目安は研究で用いた毎分6回である。[10] 自分の普段の呼吸から急に合わせようとせず、そのテンポで無理なく息を続けられるかを確認する。回数を達成することより、研究で比べた条件を体験の言葉に置き換えるのが目的だ。苦しくなるなら回数に合わせ続けず、自然な呼吸に戻して指導者に伝える。

このとき、最初から音も大きくしようとすると、呼吸を遅くする操作と喉に抵抗を加える操作が同時に変わる。比較実験が両者を分けたように、質問も「テンポはこのままでよいか」「今は喉を狭める必要があるか」と分けられる。[10] 終わった後の記録には、音が出たかだけでなく、息を続けやすかったか、指示を理解できたかを残すと、次の相談の焦点が定まる。これは研究で効果を検証した記録法ではなく、条件を混ぜずに練習するための提案である。

立川駅の改札から急いで来て、まだ仕事の続きが頭を回っている日。隣の人と同じ音を出す課題まで増やしたくなるかもしれない。そんな場面では、この研究を「普通のゆっくりした呼吸も比較の中心だった」と思い出す材料にできる。初心者の評価では、抵抗を足さない条件にも意味があったのである。[10]

運動中の力は、呼吸音から予想できるか

喉に関係する呼吸なら、声に変化があるのか。声に問題のない女性教師20人がウジャイを行った前後を調べた研究では、声の強さや声の周期の揺れに加え、発声を続けられる時間、声門の下の推定圧、喉頭の抵抗などに有意な変化や改善が報告されている。参加者の80%は、声を使う作業の準備に役立つと評価した。これは女性教師の自己評価であり、18〜39歳の女性全般の運動中の呼吸へ、そのまま当てはめる根拠にはならない。[8]

研究者は、発声前のウォームアップとして、声のリハビリテーションにも使える可能性を提案している。[8] これは著者の示唆として受け止めるべき結果だ。教師の声を調べた前後比較を、そのまま一般のレッスン参加者の呼吸の採点表にはできない。音に関する測定で変化があったことと、練習中の吐く音が大きいほどよいことは、同じ主張ではない。

さらに、脚で出す力を測ると話は変わる。男女32人が参加した試験では、ウジャイを含む複数のヨガ呼吸法と通常呼吸を使い、レッグプレスや膝を伸ばす運動でパワーを評価した。男女を含む対象の結果を18〜39歳の女性だけの結果として当てはめるには、対象の違いが残る。呼吸法を実施しても、レッグプレスでのパワーに有意差は認められず、著者は運動前や運動中のヨガ呼吸を、パワー向上の方法として支持しなかった。[3]

試験では、レッグプレスの最大挙上重量の50%という負荷も用いている。[3] そのため、これは日常のあらゆる動作やピラティスの技能をまとめて採点した結果ではない。研究者も、急性の試験であること、参加者が呼吸法や検査の練習に十分慣れていないこと、特定の筋群を調べたことなどを、他の研究と結果が異なる可能性として挙げている。[3]

声の研究とパワーの研究は、互いを打ち消すものではない。前者が調べたのは発声に関係する変化、後者が調べたのは脚で力を発揮する課題である。[3][8] 「ウジャイは効くか」と大きく尋ねるより、「誰が、何をした後、何が変わったか」と問いを小さくした方が、見えるものが増える。

パワーに有意差がなかったという結果も、「呼吸など気にしなくてよい」と読み替えない。試験が支持しなかったのは、調べた課題でヨガ呼吸法を追加のパワー向上の手段にする考え方だ。[3] 次のレッスンで何を質問するかと、測定された力が増えたかは別の問題である。研究の否定が届く範囲を区切ると、不要な期待だけを下ろせる。

数字で読む喉の操作と呼吸の比較

17人:健康なヨガ未経験者が、ウジャイの有無などを比べた実験の参加者数である。[10]

毎分6回:同実験で使った呼吸条件であり、動作中の全員に課す回数ではない。[10]

54人:ヨガとゆっくり呼吸の有無を分け、不安と痛みを調べた健康な若い女性の人数である。[2]

32人:複数のヨガ呼吸法と通常呼吸で、脚のパワーを調べた試験の参加者数である。[3]

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宮川涼 Founder

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