
音楽で喜びにくい人でも、体は動きたがるのか
音楽には別の快感がある。つい体を揺らしたくなる感じで、認知科学では「グルーヴ」と呼ぶ [10]。音楽性無快感症の人は、これも感じにくいのだろうか。研究はここで割れた。どちらも測っているのは喜びと動きたさの評価で、鳥肌ではない。
2024 年の研究は 287 人にドラムのフレーズを聴かせ、音楽性無快感症の 13 人と、条件をそろえた対照の 13 人を比べた [17]。喜びも動きたさも、音楽性無快感症の人の評価が有意に低かった [17]。ただし、複雑すぎず単純すぎない真ん中で評価が最も高くなる山の形は、どちらの群でも同じだった [17]。音楽の報酬の中でも感覚と運動に関わる側面は、喜びではなく動きたさとだけ独自に結びついた [17]。
2025 年のオンライン研究は 148 人を調べ、音楽性無快感症の 17 人と対照の 17 人を比べた [10]。今度は有意な差が無かった [10]。著者ら自身が「驚いたことに」と書いている [10]。音楽性無快感症の群の解析では、リズムや和音の複雑さが喜びに及ぼす効果を、動きたさがすべて媒介していた [10]。動きたさが喜びの低さを補っている可能性がある、と著者らは述べる [10]。
どちらも各群 13〜17 人という小さな比較なので、片方を正解とは呼べない。読み方も分かれる。2024 年の著者らは、喜びと動きたさは重なりつつ別の仕組みで動くと見る [17]。2025 年の著者らは、動きたさが喜びの主な源の一つではないかと見る [10]。音楽から喜びを受け取りにくい人でも、ドラムが鳴れば足は動くのかもしれない。
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
鳥肌は気分を変えるのか、変えないのか
冒頭の 2007 年の実験は、鳥肌は深い美的体験に伴い、その体の土台になるかもしれないが、鳥肌そのものの心理的な意味は限られるかもしれない、と結論した [7]。献血の意欲も、気分も、自己像も動かなかったからである [7]。
ところが 2026 年の無作為化オンライン研究は、398 人を対象に、瞑想の音声に鳥肌を誘う音楽を重ねるかどうかを比べた [14]。重ねた条件では、気分、自分を超える感覚、心理的な洞察などが高まったという [14]。解析では、瞑想中に実際に鳥肌が立ったことが、こうした変化を予測していた [14]。没入しやすさ、体の内側の感覚への気づき、想像の鮮やかさといった個人の特徴が、それぞれ別の結果を予測したことも報告されている [14]。
19 年の間に結論が逆転した、と書くと話が派手になる。実際には比べたものが違う。片方はラフマニノフとハイドンを聴いたあとの献血の意欲や気分で、もう片方は瞑想の音声と組み合わせた場面での評価である。いまの時点で言えるのは、鳥肌が単独で人を変えるとは言えず、何かと組み合わさった文脈で変化の目印になる場合がある、というところまでだ。

よくある誤解
「鳥肌が立たない人は感受性が低い」。立ちやすさのばらつきの一部は、家族のつながりで説明される [11]。鳥肌の有無で感受性の優劣が決まると示す数字を、私はここで持っていない。音楽性無快感症の研究は喜びの評価を調べたもので、鳥肌が立たない人の話にそのまま移すことはできない [10] [19]。
「鳥肌が立つ人は心が豊かで親切」。223 人の実験では、鳥肌を経験しても、献血の意欲、気分、自己像に変化は無かった [7]。開放性という性格の特徴と遺伝の指標で関連はあるものの [11]、それは親切さの話ではない。
「音楽の快感はドパミンで全部説明できる」。脳画像が示したのは複数の領域の血流の変化であり [21]、オピオイドの系の関わりも調べられて、その結果は割れている [4] [20]。一つの物質の名前で片づく段階ではない。
今日からできること
- 絵や詩でも鳥肌が立つかを思い出してみる。音楽の鳥肌と遺伝的に 0.58 の相関がある [11]
- 心が動かない曲でも体が揺れるかを確かめる。喜びと動きたさは重なりつつ別に動く可能性がある [17]
- 確かめるなら、人に勧められた曲より自分で選んだ曲で試す。脳画像の古典的な研究も本人が選んだ曲を使っている [21]
- 友人の鳥肌と自分を比べない。立ちやすさのばらつきの一部は家族のつながりで説明される [11]
- 音楽に限らず、何をしても楽しくない状態が続くときは、音楽の好みの問題とせず医師に相談する。音楽性無快感症は他の楽しみが保たれている人を指す [1]

動きたくなる感覚のほうを試す、オンザショア立川店
音楽の喜びと、動きたくなる感覚は、重なりつつ別に動くのかもしれない [17]。オンザショア立川店には、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、ピラティスと、まず体を動かす種目が並ぶ。もちろん溶岩プレートのホットヨガと常温のヨガもあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンから選べる。
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参考文献
[1] Understanding individual differences to specific rewards through music — Mas-Herrero E, Zatorre RJ, Marco-Pallarés J, 2026, Trends in cognitive sciences. DOI: 10.1016/j.tics.2025.06.015
[4] The role of opioid transmission in music-induced pleasure — Mas-Herrero E, Ferreri L, Cardona G, Zatorre RJ, Pla-Juncà F, Antonijoan RM, et al, 2023, Annals of the New York Academy of Sciences. DOI: 10.1111/nyas.14946
[7] Emotional and aesthetic antecedents and consequences of music-induced thrills — Konecni VJ, Wanic RA, Brown A, 2007, The American journal of psychology. DOI: 10.2307/20445428
[10] The pleasurable urge to move to music is unchanged in people with musical anhedonia — Romkey ID, Matthews T, Foster N, Dalla Bella S, Penhune VB, 2025, PloS one. DOI: 10.1371/journal.pone.0312030
[11] Genetic underpinnings of chills from art and music — Bignardi G, Admiraal D, Eising E, Fisher SE, 2026, PLoS genetics. DOI: 10.1371/journal.pgen.1012002
[14] Using chills-inducing music to augment self-transcendence, emotional breakthrough, and psychological insight during mindfulness and loving kindness meditation — Christov-Moore L, Schoeller F, Von Guttenberg M, Durinski T, Walder M, Jain FA, et al, 2026, Frontiers in psychology. DOI: 10.3389/fpsyg.2026.1589132
[17] Predictive coding in musical anhedonia: A study of groove — Benson P, Kathios N, Loui P, 2024, PloS one. DOI: 10.1371/journal.pone.0301478
[18] ChillsDB: A Gold Standard for Aesthetic Chills Stimuli — Schoeller F, Jain A, Horowitz AH, Yan G, Hu X, Maes P, Salomon R, 2023, Scientific data. DOI: 10.1038/s41597-023-02064-8
[19] Musical anhedonia, timbre, and the rewards of music listening — Kathios N, Patel AD, Loui P, 2024, Cognition. DOI: 10.1016/j.cognition.2023.105672
[20] Pleasurable music activates cerebral µ-opioid receptors: a combined PET-fMRI study — Putkinen V, Seppälä K, Harju H, Hirvonen J, Karlsson HK, Nummenmaa L, 2025, European journal of nuclear medicine and molecular imaging. DOI: 10.1007/s00259-025-07232-z
[21] Intensely pleasurable responses to music correlate with activity in brain regions implicated in reward and emotion — Blood AJ, Zatorre RJ, 2001, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. DOI: 10.1073/pnas.191355898
[22] Brain connectivity reflects human aesthetic responses to music — Sachs ME, Ellis RJ, Schlaug G, Loui P, 2016, Social cognitive and affective neuroscience. DOI: 10.1093/scan/nsw009
この記事の情報は2026年11月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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