ピラティスとジムの違い、力を比べる前に練習した動きと測る種目をそろえる

ピラティスとジムで身につく力の違いは、持ち上げた重さだけでは決まらない。動く力と止めて出す力、慣れた器具と初めての器具では成果の見え方が変わる。筋力の移り方を調べたメタ分析と比較試験から、体験後の感想や記録をどう読み、目的に合った練習と確かめ方を選ぶかを考える。

ピラティスでは姿勢を保てたのに、初めて触るジムの器具ではうまく押せない。「力がついていなかった?」と思う前に、比べた動作を確かめたい。重い物を持つのか、姿勢を止めるのか。それだけでも、採点する課題は変わる。

答えの芯は、練習した動きと、成果を測る動きをそろえることだ。筋力トレーニングでは、取り組んだ課題に近い測定ほど伸びが大きく、別の課題への伸びは小さくなる傾向がある。別の動きへの改善も認められている。[2] ピラティスとジムという看板だけで、力の優劣は決められない。

既存記事「ピラティスとヨガと筋トレの違いは何で測る?動的バランスと力を分ける視点」には、運動で狙う能力の違いを譲る。ここで扱うのは、同じ「筋力」という言葉の中でも、測定の仕方で成績が変わる理由である。体験の日の苦手さを、これまでの練習が無駄だったという判定にしないための話だ。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

筋力の数字には、何をしたかが含まれている

筋力の特異性とは、練習していない課題より、練習した課題で改善が大きくなる性質を指す。重りを動かす練習と、関節を動かさずに力を出す測定を比べた系統的レビューとメタ分析は、その違いを検討している。[2] 同じ腕や脚を使っていても、動かして持ち上げる課題と、止めて支える課題では問われる仕事が違う。

この分析が対象にしたのは、健康な16〜60歳の人々で、筋力トレーニングの未経験者と経験者を含む。18〜39歳の女性だけの分析ではなく、全体の効果量をそのまま自分の予測値にはできない。43研究、計1,660人、72の介入をまとめた結果、重りを動かす筋力の改善は標準化平均差0.98、95%信頼区間0.91〜1.06だった。一方、練習していない、止めて力を出す等尺性筋力への移り方は0.42、同0.35〜0.49だった。[2]

標準化平均差は、異なる測定尺度の変化を共通の尺度に置き直した効果量である。ここでは、動く測定の改善が中程度、止める測定への移り方が小さいと評価された。0.98と0.42を、持てる重さがそれぞれ何倍になったという意味で読んではいけない。研究者は動く力の効果量が、未練習の等尺性の力より約2倍大きかったと整理している。[2]

大切なのは、止める力も有意に改善していた点だ。「同じ動きでなければ効果ゼロ」という結論ではない。練習した課題に成果が強く現れ、別の課題にも小さく移ったという、両方の結果を読む必要がある。[2] 日常の選択に置き換えるなら、得意になりたい動きを先に言葉にし、その動きで確かめるのが筋の通った順番になる。

たとえば、買い物袋を持ち上げたいという希望と、持ったまま待ちたいという希望は、会話ではどちらも「腕の力をつけたい」になる。測定の相談では、その先を言う。「上げる場面なのか、止めている場面なのか」と分けるだけで、比較する課題がはっきりする。これは特異性の研究から導く測り方の工夫であり、特定の生活動作への改善率を約束するものではない。[2]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

空き枠を見て予約電話で予約 042-595-8039LINE

同じ胸の運動でも、器具が変わると問いが変わる

筋力トレーニング経験のある男性36人を無作為に分け、胸で押す運動を週2日、10週間行わせた試験がある。使ったのは、不安定なボール、軌道を支えるマシン、ダンベルだった。全員が練習した種目と別の種目の筋力を測られた。[6] 18〜39歳の女性やピラティスで同じ伸び方になるかは、この男性の試験だけでは判断できない。器具に慣れた力を別の器具でどう評価するかを考える材料になる。

ボールとダンベルで練習した群では、練習した課題でより伸びる特異性が早い段階から現れ、試験期間を通じて続いた。一方、安定したマシンで練習した群では、練習していない種目でも同程度の改善がみられた。全群で初期の伸びが大きく、不安定な種目で特に目立った。[6] 「不安定な器具がいつでも優れている」という結果ではない。支え方の違いと、何を測ったかが関係している。

この結果を、初めて別の教室へ行く場面に当てはめてみる。指導者の説明を聞き、手足を置き、器具の動きに合わせる。本人の感想は「意外にできなかった」でも、そこで問われたのは普段と異なる課題かもしれない。特異性を踏まえるなら、初対面の器具の成績だけで、以前の運動全体の価値を決めるのは早い。[6]

反対に、いつもの器具で記録が伸びたときは、その成果をきちんと認めてよい。ただし「この種目が伸びた」という事実と、「どんな力仕事でも同じだけ伸びた」という解釈は分ける。練習した種目と未練習の種目の伸び方が異なった試験は、この区別の必要性を示している。[6] ジムの記録表もピラティスの感想も、種目名を添えると比較に使いやすくなる。

別の種目に移った試験も、一緒に読む

特異性の話だけを集めると、運動はすべて別々で、互いに役立たないように聞こえてしまう。しかし、男性49人を対象にした別の比較試験では、異なる結果が出ている。マシン、バーベル、水入りの丸太型器具によるベンチプレスを10週間練習し、複数の方法で胸の力を測った研究だ。18〜39歳の女性への当てはまりは別に確かめる必要がある。[17]

この試験では、すべての群で複数の測定方法による筋力が改善し、練習器具による改善の違いを示す交互作用は有意ではなかった。研究者は、これらの練習による筋力の向上が、調べた各測定方法に同程度に移ったと結論している。[17] 先ほどの不安定な器具の試験と合わせて読むと、器具が違えば必ず別物、という決まりにはできない。

同じ研究で、3回反復できる最大の負荷の平均は、マシンがバーベルより8%高く、バーベルが丸太型器具より3%高かった。[17] これは器具間で扱える重さの違いであり、そのまま運動効果の差ではない。支える条件が違う測定で数字が異なることと、練習後に伸びたことは、別々に読む必要がある。

マシンの表示と手に持つ重りを見比べて、「前の場所より弱くなった」と思う日にも、この区別が役立つ。異なる器具の重量を横に並べる前に、それぞれの器具で以前と今を比べる。研究が示す器具間の測定値の違いを踏まえた、記録の扱い方である。[17] 数字には単位だけでなく、使った器具と動作の説明も必要だ。

ただし、胸で押す似た運動同士で移った結果を、ピラティスのあらゆる種目とジムのあらゆる種目の互換性に広げることはできない。[17] ここで得たいのは勝者ではなく、比べ方の条件である。似た動きを比べているのか、支え方まで違うのかを確認すると、「別の場所でできなかった」の中身を具体的に相談できる。

比べ方を整理する際には、最初の成績と、その後の伸びを別の問いとして扱いたい。初めに重い物を扱えた群があっても、それだけでは、その器具で練習した方が大きく改善するという証明にはならない。男性49人の試験では器具によって扱える重量に差がありながら、練習後の筋力は各測定へ同程度に移っていた。[17] 出発点の数字を比べる話と、練習の変化を比べる話を分けると、説明の食い違いを減らせる。

また、複数の研究で結論が異なるとき、どちらかを誤りとして片づけない。男性36人の試験では筋力トレーニング経験者が対象で、練習した課題に特に伸びが現れた群があった。別の男性49人の試験では、調べた測定方法への移り方に練習器具による有意な違いがなかった。[6][17] 対象、練習、測定の組み合わせごとの結果として受け止める方が、自分の目的との対応を考えやすい。

体験の説明で「筋力が上がる」と聞いたら、「どの動作で確認するのか」と続けて尋ねるのがよい。動かす測定と止める測定で効果量が異なったメタ分析は、筋力という言葉に測り方を添える必要性を示している。[2] 返ってきた説明が自分の目標とつながっているかを考える。体験時の成績そのものに加えて、何を練習し、何を振り返るのかが見えることも、通う場所を考える材料になる。

既存の「ピラティス」と「ヨガとピラティスの違い|そして、どれくらいやれば変わるのか」には、種目の紹介や比較、続ける期間の話を譲る。ここでは、練習と測定の対応に問いを絞る。

数字で読む筋力の移り方

43研究・1,660人:動く筋力と未練習の等尺性筋力を比較したメタ分析の規模である。[2]

0.98と0.42:動く筋力の改善と、止める筋力への移り方の標準化平均差。重量の倍率ではない。[2]

36人・10週間:器具の安定性と課題の特異性を検討した、筋力トレーニング経験者の試験である。[6]

49人・10週間:異なるベンチプレスの練習から、各測定への筋力の移り方が同程度だった比較試験である。[17]

約2.4kg:異なる腕の練習方法で、ともに増えた最大挙上重量の平均的な変化である。[10]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

空き枠を見て予約電話で予約 042-595-8039LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約