ダイエットにウォーキング、歩数達成でも速く歩いた時間を別に残す理由を読む

ダイエットにウォーキングを選ぶとき、総歩数だけで運動の中身まで分かるのだろうか。肥満のある大学生の比較試験を軸に、歩調、歩幅、歩く場所、続けた時間の読み分けを考える。歩数目標と速い歩行を組み合わせた結果を、連続時間だけの効果や全員共通の処方に置き換えず、毎日の記録へつなぐ。

公園を足早に一周した日と、店を巡って買い物をした日。歩数計の合計が似ていても、歩いた時間の使い方は違う。達成の丸印だけを見て、有酸素運動としての中身まで同じと考えてよいのだろうか。

答えは、総歩数だけではそろわない、である。肥満のある大学生を対象にした無作為化比較試験では、歩数目標だけを設けた群と、その目標に一定以上の歩調で歩く運動を組み合わせた群で、平均歩数に有意差がなくても体組成の変化は同じではなかった。[5]

ただし「止まらず長く歩けば必ず痩せる」という答えにはならない。この試験が比べたのは歩数目標と歩行運動を組み合わせた計画であり、連続時間だけを取り出した比較ではない。[5] 体重を減らす必要があるかどうかも人それぞれだ。ここでは、歩数の達成欄とは別に、どんな歩きをしたのかを残す意味を考える。

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歩数目標が近くても、組み込んだ歩行運動は違った

中心になるのは、肥満のある成人の大学生32人を対象にした、8週間の無作為化比較試験である。平均年齢は19.72歳、平均の体格指数は30.38だった。体格指数とは身長と体重から求める体格の指標である。参加者は、毎日12,000歩を目指す群、その歩数目標に歩行運動を加える群、普段どおりに生活する対照群に分けられた。肥満のある大学生の結果であり、18〜39歳の女性全体への適用には、体格や生活条件の違いを考える必要がある。[5]

歩行運動を加える群では、週3日に毎分103歩を超える歩調で歩くことが求められた。歩調とは、一定の時間に足を何歩運ぶかを表すものだ。この試験では、日常生活と運動で積み重ねた歩数をスマートウォッチで追った。つまり、運動中だけの歩数と、生活全体の歩数を取り違えずに読む必要がある。[5]

期間中の平均歩数は、歩数目標だけの群で1日11,677.67歩、歩行運動を加えた群で12,131.90歩であり、群間に統計的な有意差はなかった。一方、歩行運動を加えた群では、ヒップ周囲径が平均2.28cm減少し、内臓脂肪面積が平均13.11cm²減少した。歩数目標だけの群と対照群には、体組成の改善が認められなかった。[5]

ここで大切なのは、歩数の平均に有意差がなかったことと、歩数を厳密に一致させたことは違う、という点だ。全員が毎日同じ歩数を歩いた実験ではない。だから「同じ歩数でも速さだけでこれだけ変わる」と効果を切り出すのは行き過ぎである。言えるのは、この対象と期間では、歩数目標に歩行運動を組み合わせた計画が、歩数目標だけの計画より有望だったことだ。[5]

また、ヒップ周囲径の変化は平均であり、変化の標準偏差、すなわち人による散らばりの目安は3.27cmだった。内臓脂肪面積の変化の標準偏差は9.83cm²である。[5] 平均だけを予定表に写して、自分にも同じ変化を予約することはできない。若い参加者の試験である点は読者に近くても、肥満のある集団だった点は忘れたくない。

比較の相手を確認することも欠かせない。この試験の対照群は普段の生活を維持する群であり、歩数目標だけの群も設けられている。[5] 「歩く人と歩かない人」の単純な比較として読むと、歩数目標を設定することと、歩行運動を計画に加えることの違いが消えてしまう。日常生活の活動を増やす工夫と、運動としての歩行を選ぶ工夫を、研究の中でも区別していたのである。

また、8週間の平均歩数というまとめ方にも注意したい。[5] ある日の帰宅直後の数字と、期間全体の平均は比較の単位が違う。たくさん歩けた休日だけを選んで、普段の自分の代表にするのは避けたい。日ごとの事情を残しながら記録を並べれば、歩行運動を組み込めた日と、生活の移動が中心だった日を読み分けられる。

日常への置き換えは、歩数の数字をさらに大きくすることから始めなくてよい。「買い物で増えた歩数」と「運動として歩いた区間」を、記録の上で区別してみる。試験の歩数目標をそのまま採用するのではなく、総歩数では見えなかった計画の違いを、自分の記録でも見えるようにする発想である。[5]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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歩調と速度と歩幅は、同じ数字ではない

足を速く運ぶことと、前へ速く進むことは、似ているが同じではない。健康な若年成人を調べた実験では、同じ歩行速度を保ちながら、普段好む歩調と、それより速い、または遅い歩調を比較している。速度をそろえても歩調を変えられる、という設計そのものが、この区別をよく示している。健康な若年者の実験でも、18〜39歳の女性全体に同じ動作や効果を当てはめることには慎重さが必要だ。[16]

その実験の参加者は20人だった。研究では歩幅を歩調で割った「歩行比」を用い、普段好む歩行比と、不自然に変えた歩行比を比較した。普段より歩調を遅くして歩行比を大きくした条件では、足が地面に接して体を支える局面の機械的なパワーが高かった。股関節と膝関節の働き方が関係していた。[16]

これは、ダイエットのためにわざと不自然な歩き方を勧める結果ではない。実験が直接比べたのは関節で行われる機械的な仕事に関わる指標であり、歩き方を変えて生活を続けた後の体脂肪ではない。[16] 歩調を増やす、歩幅を広げる、消費を増やす、体脂肪を減らすという話を、一続きの確定した効果にしないことが肝心だ。

歩き方の好みが違えば、誰かと同じ歩調を目指したときの動作も違ってくる。自分の記録に歩調を書き足す目的は、隣の人と足音をそろえることではない。自分がどう歩いていたかを、昨日と比べやすくすることである。普段の歩行比が機械的な仕事の利用を最適化しうるという実験結果も、歩幅だけを無理に大きくする発想には慎重さを求める。[16]

「ダイエットの運動は同じ仕事量なら同じ消費?総効率とデルタ効率の違いを読む」では、仕事量と消費の評価方法を扱っている。その論点はそちらに譲り、ここでは日々の歩行記録に、総量と歩き方の欄をどう分けるかに絞る。

外とマシンを混ぜると、歩数の比較にも条件が増える

雨の日には室内のマシン、晴れた日には帰宅路。生活としては自然な使い分けだが、研究結果を読むときには場所の違いも残したい。健康な若年成人20人、男女各10人を対象にした無作為化クロスオーバー実験では、同じ参加者が地上とトレッドミル、つまり歩行用のベルトが動くマシンで歩いた。男女を含む若年成人の結果なので、18〜39歳の女性全体で同じ差が生じるかは、別に確かめる必要がある。[14]

比較した速度は毎秒1.0m、1.3m、1.5mだった。呼気の酸素などから代謝を測定したところ、マシン上では地上歩行より、総エネルギー消費、安静分を差し引いた正味のエネルギー消費、移動に要する代謝コストが高かった。歩調も速く、歩幅は短かった。[14] 速度表示をそろえれば歩き方も消費もそろう、という扱いは、この実験では成り立たなかった。

ただし、これを「雨の日のほうがよく痩せる」と読むこともできない。測定したのはその場の歩行時の代謝と動作である。[14] 屋外と室内を長期間選び分けた後の体組成を比較した結果とは、問いが違う。場所による負担の違いを知ることと、場所の優劣を決めることは分けて考えたい。

同じ実験では、女性は男性より歩調が速く、歩幅が短い傾向も示された。[14] そのため「友人と同じ速さで歩いたのに、自分だけ歩数が多い」という記録を、そのまま運動を多くした証拠にはできない。歩数が多い理由を知るには、移動した距離や歩き方も関係する。総歩数は便利な入口だが、歩行を丸ごと説明する明細書ではない。

すでにある「ウォーキングは同じ歩数なら同じ運動量?身長と一歩の距離で違う消費を読む」は、一歩の距離と体格の問いを扱う。こちらの焦点は、日々の総歩数の中に運動としての歩行をどう組み込み、歩いた時間と場所を区別して残すか、である。

屋外を歩いた日には屋外と書き、マシンを使った日にはマシンと書く。単純なことだが、同じ速度の比較でも代謝に違いが出た実験を読むと、この区別が役立つ。[14] 条件を完璧に統一するために生活を窮屈にする必要はない。条件が違ったことを消さずに残すほうが、後から数字の意味を取り違えにくい。雨で予定を変えた日は、失敗の日ではなく、違う場所で動いた日として読める。

数字で読む歩数目標と歩行の条件

32人、8週間:肥満のある大学生を対象に、歩数目標と歩行運動の組み合わせを比べた試験である。[5]

12,000歩:その試験で設定された毎日の目標であり、全員への推奨値ではない。[5]

週3日、毎分103歩超:歩行運動を加える群に設定された条件である。[5]

ヒップ周囲径−2.28cm、内臓脂肪面積−13.11cm²:歩行運動を加えた群の平均変化である。[5]

20人、毎秒1.0〜1.5m:地上とマシンの代謝や歩き方を比較した若年成人の実験条件である。[14]

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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宮川涼 Founder

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