ソイプロテインの粉が湿ると量は変わる?同じ重さと乾燥重量のずれを読む

ソイプロテインの粉が湿ったとき、いつもの重さを量れば成分も同じなのか。水分込みの重量と乾燥重量の違いを入口に、乳由来粉末などの吸湿・溶解性の実験を読む。粒が膨らむこと、溶けにくくなること、たんぱく質量やカロリーが変わることを分け、開封後の袋と表示を確認する視点を示す。

朝食のシェーカーに入れる前、ソイプロテインの袋を開けると、昨日より粉がまとまって見える。はかりの表示はいつもと同じ。それなら、たんぱく質もいつもと同じ量なのだろうか。袋の中身を見ただけで、成分表の数字を修正してよいのかが気になる場面だ。

答えの芯は、水分込みで量った重さと、水分を除いた乾燥重量を分けることにある。水分だけが加わり、ほかの成分が変わらないという条件なら、同じ重量に入る乾いた成分の割合は小さくなる。これは重量の関係の整理である。実際の粉末でも、魚たんぱく粉末のレビューは、たんぱく質含有量に水分、原料、添加物が関係するとしている。[1]

ただし、粉の見た目から水分量や成分の減少率を決めることはできない。乳由来粉末の実験では、同じたんぱく質濃度でも、粒の構造を変えると吸湿や膨張の仕方が変わった。湿り方、量、溶け方は分けて確かめたい。[5]

既存記事「プロテインのおすすめは粉の重量で比べる?乾物基準と一杯の量を分けて読む」には購入時の比較を、「ソイプロテインの成分は腸内で誰でも同じに変わる?エクオール産生の個人差」には摂取後の個人差を譲る。ここで扱うのは、開封して使っている粉の水分と、その変化を成分表示へ結び付けるときの注意である。

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同じ重さでも、水分を含めた分母は動く

水分込みの重さとは、粉の中の水も含めて量った全体の重さである。乾燥重量を基準にするとは、その水分を除いた部分を基準に考えることだ。ここでは表示を読むための意味を整理している。粉の袋に印刷された値がどちらを指すかは、その値に添えられた条件を確認する必要がある。

水分だけが増えた粉を、以前と同じ総重量だけ取り出す場面を考える。総重量の中で水分に相当する部分が大きくなれば、残りの乾いた部分は小さくなる。加わった水は、たんぱく質そのものを増やさない。この関係は、粉全体の濃度を考える算数であり、湿った製品で起きた変化を測定した結果ではない。

一方、袋全体に残るたんぱく質の総量という問いは別である。「同じ重さの中で割合が下がる」と「袋のたんぱく質が失われる」を続けて言ってしまうと、分母の変化と成分そのものの変化を混ぜることになる。水分だけが加わるという仮定を置くなら、そこから説明できるのは主に濃度の関係までだ。

魚たんぱく粉末を食品素材として扱ったレビューでは、たんぱく質含有量は少なくとも65%とされるが、原料、添加物の量、水分含有量に依存すると整理されている。これは魚由来素材についての数字であり、ソイ製品の共通の値ではない。水分の影響を読む際にも、配合と原料を消してはいけない。[1]

乾物基準へそろえた値を見つけても、それをそのまま手元の粉の重量へ掛けるのは早い。乾物を分母にした濃度から成分量を考えるなら、掛ける相手も乾物の重量になる。水分込みの重量と取り違えないよう、メモには「粉全体」か「水分を除いた部分」かを言葉で残すとよい。

この整理から、湿った粉の摂取量を増やす判断は導けない。手元の水分量が分からないまま補正を始めると、計算に必要な条件を自分で作ることになる。日々の使用では、製品が案内する量と保存方法をまず確認する。はかりは総重量を示す道具であって、成分分析の結果まで表示する道具ではない。

疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。

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同じ濃度の乳由来粉末でも、吸湿の姿は違った

水分の変化を見た目だけで判断しにくい理由を、乳由来の粉末実験から見てみよう。たんぱく質濃度80%の濃縮乳たんぱく粉末を使い、通常の粉、粒を集めた粉、それぞれに乾燥中の窒素注入を組み合わせた計4種類を比較した研究がある。人に飲ませた試験ではなく、粒の構造と物理的な性質を調べた食品実験だ。18〜39歳の女性がソイ製品を飲む場合の栄養摂取量へ、この乳由来粉末の結果をそのまま当てはめることはできない。[5]

窒素を注入した粉では、粒がより球形になり、穴のある破断構造が作られていた。環境を制御して観察する電子顕微鏡では、窒素を注入しなかった粉と比べ、吸湿と溶解の性質が高まった。たんぱく質濃度の数字が同じでも、水との関わり方まで同じにはならなかったのである。[5]

相対湿度100%超での最終的な膨張では、粒径の増加は通常粉で25%、粒を集めた粉で20%、窒素注入をした凝集粉で40%、窒素注入をした通常粉で97%だった。ここでいう増加率は、顕微鏡下で見た粒の大きさの変化である。袋全体の重さや吸い込んだ水の重さを、その割合で表した値ではない。[5]

数字が大きいので、つい「その分だけ薄まった」と読みたくなる。しかし、粒径は長さの指標であり、たんぱく質含有量は組成の指標だ。この研究の粒径変化を、家庭のソイプロテインのたんぱく質減少率として使うことはできない。実験対象も乳由来で、湿度条件も付いている。[5]

朝の袋に戻れば、「粉が膨らんだように見えた」という観察は、そのまま残せばよい。そこへ「だからカロリーがこれだけ変わった」という計算を足す必要はない。計算するなら別途、成分と水分の情報が要る。粒は大きく見えても、栄養の減り具合を知らせる目盛りにはならない。

この比較では、相対湿度44%の条件で、通常粉と窒素注入した凝集粉の間に、分子の動きに関係する緩和温度で最大約16℃、構造の強さに関係する指標で最大約11℃の差も報告された。どちらも実験で評価した物理指標の差であり、家庭での保存温度をそれだけ上げ下げしてよいという意味ではない。粒径だけを見ていたら拾えない性質も測っていたのである。[5]

さらに、窒素注入が熱量測定によるガラス転移温度を変えなかった一方で、別の動きや構造に関する温度指標には差が出た点も読み落とせない。「粉の性質が変わった」とひとくくりにせず、どの測定で何が変わったかを分ける必要がある。製造上の操作と測定項目を対応させて読むと、変化した性質を絞れる。[5]

また、この実験で窒素注入によって吸湿の性質が高まったことを、家庭で望ましい保存状態という意味に読み替えない。研究が操作したのは製造時の粒構造である。袋を開けたまま置くことや、湿らせてから飲むことの提案ではない。食品を作るときの設計と、購入後に保存する行動は分けて受け止める。[5]

水分と一緒に変わるのは、濃度だけではない

粉に水分が関わるとき、確認する対象は成分の割合だけに限らない。乳たんぱく粉末の研究では、水和、吸湿、構造の強さ、ガラス転移などが調べられた。ガラス転移は、粉の物理的な状態が変わる境目を考えるための指標である。窒素注入は粒構造を変えたが、組成の変化はなく、熱量測定で調べたガラス転移温度には影響しなかった。[5]

一方、粒を集める加工はガラス転移温度に影響した。同じ実験の中でも、粒に穴を作る操作と、粒を集める操作は、測った性質へ同じように作用していない。吸湿の変化を見て、ほかの物理指標もすべて同じ向きに変わると決めることはできない。[5]

別の食品実験では、ホエイたんぱく質をそのまま用いた乳児用調製粉乳の模型と、部分的に加水分解したたんぱく質を用いた模型を比べている。加水分解とは、たんぱく質を切り分ける処理である。粉を作って水との関わりや安定性を調べた実験で、乳児や成人の健康効果を評価した試験ではない。18〜39歳の女性の消化や栄養利用にそのまま当てはめるための、人を対象とした比較とは区別する。[7]

この研究では、水分含有量が増えるとガラス転移温度が有意に低下した。また、加水分解の有無によって粒の表面構造、乳糖が結晶になる条件、保存安定性が変わった。水分と粉の状態の関係を考える際は、原料の処理や配合という背景も必要になる。[7]

家庭でこの指標を測る必要はない。ただ、袋の中の状態が変わったときに、栄養表示の数字だけを見て判断を終えないための知識になる。研究で測った温度の指標、目で見た粉の状態、表示された成分の量は、それぞれ別の欄に置く。知らない指標を、手元の製品の安全判定に変換することもしない。

数字で読む粉末と水分

80%:粒構造を比較した濃縮乳たんぱく粉末のたんぱく質濃度。市販ソイ製品の表示値ではない。[5]

4種類:通常・凝集と窒素注入の有無を組み合わせた乳由来粉末の比較条件。[5]

25%、20%、40%、97%:相対湿度100%超での各粉末の粒径増加。水分量や成分損失率ではない。[5]

170〜180℃:スイカ種子由来粉末の噴霧乾燥実験で、水分含有量の低下と粒径の増加が見られた入口温度。[6]

24時間で97%:凍結乾燥したウシ血清アルブミンの特定条件で不溶化した割合。ソイの保存期限を表さない。[9]

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宮川涼 Founder

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