
お腹の中央の幅と、筋肉そのものの厚さを分ける
腹直筋間距離とは、左右の腹直筋の間をつなぐ白線の幅を指す。腹直筋そのものの厚さとは測っている場所も意味も違う。産後8週間以上経過した女性41人を対象にした横断的な反復測定研究では、臍の上、臍、臍の下で、この距離を超音波で測った。姿勢は膝を曲げた寝位、座位、立位とし、翌週にも繰り返した。産後女性の結果を、出産歴や産後の経過が異なる18〜39歳の女性全般へそのまま広げるには検証が必要だ。[16]
立位は寝位より、臍の上で平均0.30cm、臍の位置で0.20cm広かった。95%信頼区間はそれぞれ0.21〜0.39cm、0.11〜0.30cmである。また、測定した部位の間にも差が認められた。立って測った値と寝て測った値、臍の上と臍の位置を混ぜれば、経過ではなく条件の違いを拾う可能性がある。これらは産後女性の結果であり、誰にでも使える診断の境界値ではない。[16]
ここで注目したいのは、姿勢で数値が違うことと、その検査が信用できないことは別だという点である。この研究では、各部位・各姿勢で腹直筋間距離を信頼性高く測定できると結論付けている。条件を明確にすれば測れるが、条件を入れ替えた数値を単純に増減として読むことには注意が要る。数字を疑うだけでなく、何をそろえれば読めるかを考えたい。[16]
例えば産後の相談で経過を伝えるなら、「中央が広く見える」とだけ話すより、立った時なのか寝た時なのか、気になる場所はどこかを分けて伝える方が、研究の測定条件に沿った説明になる。中央の幅が気になっても、自己流の測定値だけで診断や運動再開を決めず、個別の判断は医師に相談する。腹筋運動の記録帳を、診断書の代わりにしなくてよい。[16]
疑問の続きは、体で確かめるのがいちばん早い。
続けた後の変化は、比較試験で別に確かめる
姿勢で厚さが変わるなら、トレーニングによる変化は全部見かけなのか。そう結論するのも早い。18〜60歳の女性125人を、腹部低圧トレーニングを行う群と、介入を受けない群へ無作為に割り付けた試験がある。介入は週2回、各30分、8週間だった。静的なバランスと、超音波で評価する深い体幹筋の働きが調べられた。18〜39歳を含むが、より年齢の高い女性も参加した試験であり、18〜39歳だけの効果の大きさとしては読めない。[3]
介入群では収縮時の腹横筋活動に改善が認められ、経時的な比較の効果量は0.53だった。開眼時の足圧中心の面積では群間の効果量が0.60だった。足圧中心は、体が床へかける圧の中心の位置で、バランス評価に使われる。ここでの効果量は変化を標準化して表す数字であり、腹筋の厚さが53%増えたとか、バランスが60%良くなったという意味ではない。[3]
この試験が示すのは、特定の方法を一定期間行った女性で、測定した収縮や姿勢制御に改善があったことだ。腹部低圧トレーニングという介入を、普段のカールアップや、好きなヨガのポーズと同一視することはできない。研究で用いた週2回という頻度も、あらゆる腹筋運動に共通する必要量ではない。経過を読む時には、何を続けたのかを、期間と一緒に残す必要がある。[3]
腰痛のない20代の男性20人と女性10人を、深い腹筋の選択的な運動と腰部安定化運動へ無作為に分けた比較研究もある。男女を含む結果のため、18〜39歳の女性だけで同じ変化が起きるかは別に確かめる必要がある。腹横筋の厚さを、安静時、お腹を引き込む時、ボール上で脚を上げる課題などで評価した。介入後には測定項目に変化が認められたが、群と時期の交互作用は有意ではなかった。つまり、経時変化の仕方が運動法の間で異なるとは確認されなかったのである。[18]
どちらかの運動だけを勝者にしないことも、経過の読み方の一部だ。この研究の結果を、ある種目なら必ずほかより厚くなるという宣伝にはできない。自分の練習でも、途中で種目を変えたなら変更を記録し、同じ種目のまま続けた期間とは区別する。これは試験の介入条件を家庭の記録へ応用する考え方であり、独自の記録法に効果が実証されたという話ではない。[18]
記録には、達成した動作の欄と、体の形を比較する欄を用意すると扱いやすい。前者には何を行ったか、後者には安静か収縮か、腰の姿勢や動作の局面を言葉で添える。角度を変えた実験と期間を設けた試験は、そもそも答える問いが違う。今日動かせた範囲が広がった喜びを、筋肥大の証明に変換せずに残す余地がある。[9][18]
変化が見えない日にも、記録には仕事がある。以前と同じ課題だったかを確認できれば、比較の土台を残せるからだ。逆に、難しい課題へ進んだ日は、厚さの比較というより課題変更の記録として扱える。異なる運動法を比較した研究で介入条件を区別するのと同じく、変えた内容を隠さない方が経過を説明しやすい。[18]
女性の試験で用いたバランスの指標も、日常の「今日はふらつかなかった」という感想と同一ではない。床へかかる圧の中心を測る評価と、超音波による収縮時の評価が並べて実施されたからこそ、別々の結果として読める。自分の記録でも、動作の達成、手応え、体の形をそれぞれ言葉にしておけば、どの変化を相談したいかを整理できる。数値の多さより、指標の意味が混ざっていないことを大切にしたい。[3]

よくある誤解
「写真で厚く見えたら筋肥大した」という判断は急ぎすぎである。超音波でさえ収縮中の厚さを観察する検査として使われ、腰の姿勢や動作の局面によって値が変わる。厚さの比較であっても、安静時の値と収縮時の値を混ぜないことが先になる。写真の印象をきっかけに練習を振り返るのはよいが、それを筋肉の成長量へ直結させることはできない。[5][9][20]
「深く起き上がるほど、どの腹筋も強く働く」という考えは、健康な男性14人の実験では否定された。角度が増すにつれて調べた腹筋群の筋活動は低下した。ただし、この結果を理由に、高く起きる動作は無価値だとするのも飛躍だ。実験は特定の運動条件で筋活動を比べたものであり、日常で達成したい動作の価値まで順位付けしたわけではない。[9]
「お腹を引き込んで厚くできたら、体幹が安定した証拠」という断定にも距離を置きたい。女性の無作為化比較試験では、腹横筋の評価とバランス評価を別々に実施している。安定性まで知りたいなら、安定性を測る必要があるという読み方だ。収縮を観察した数字を、測っていない能力や生活上の変化の代用品にしない方が、次に何を確かめるかが明確になる。[3]
今日からできること
- 経過用の場面を決める。角度を変えた男性14人の実験を参考に、上体の位置と、起こす途中か戻す途中かを写真の説明へ添える。30度という研究条件を、全員の目標角度にはしない。[9]
- 腰の置き方を記録する。健康な参加者で平均6.2%の姿勢間差が出た研究を踏まえ、仰向けという種目名だけで比較を済ませない。[20]
- 超音波の結果を受け取る時は、担当者と測定条件を確認する。33人の信頼性研究では、同じ検者内と検者間で一致の程度が違っていた。[19]
- 産後の中央の幅は、筋肉の厚さと別の欄で扱う。41人の研究が分けたように部位と姿勢を伝え、気になる変化は医師への相談材料にする。[16]
- 練習法を変えた日には内容を残す。8週間の女性の試験のように、介入の中身と経過期間を組にして読み、写真の形だけで運動法の優劣を決めない。[3]

オンザショアで、記録と一緒に練習の予定を置く
記録を続ける場所を選ぶ時は、通える時間帯と受けたい種目を照らし合わせたい。オンザショア立川店の営業時間は8:00〜23:30で、年中無休である。JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある。練習の予定を生活の中へ置く際の条件として、場所と時間を確認できる。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングもある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあり、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIITも扱う。何を受けたかを記録するなら、こうした種目の違いも予定と一緒に残したい。
参加する種目を決める前に、利用条件も確認したい。医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中は溶岩ホットヨガの対象外で、常温のマタニティヨガがある。
ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。日程を考える際の情報は店舗トップ、料金、体験の予約で確認できる。
参考文献
[3] The Effects of Abdominal Hypopressive Training on Postural Control and Deep Trunk Muscle Activation: A Randomized Controlled Trial — Moreno-Muñoz MDM, Hita-Contreras F, Estudillo-Martínez MD, Aibar-Almazán A, Cast, 2021, International journal of environmental research and public health. DOI: 10.3390/ijerph18052741
[5] Diagnostic Musculoskeletal Ultrasound in the Evaluation of the Rectus Abdominis — Manske RC, Wolfe C, Page P, Voight M., 2025, International journal of sports physical therapy. DOI: 10.26603/001c.144822
[9] The effects of curl-up exercise in terms of posture and muscle contraction direction on muscle activity and thickness of trunk muscles — Ha SY, Shin D., 2020, Journal of back and musculoskeletal rehabilitation. DOI: 10.3233/bmr-191558
[15] Intraclass correlation coefficient of trunk muscle thicknesses in different positions measured using ultrasonography — Endo Y, Ito A, Hotta S, Yakabi A, Onoda K, Tani H, Kubo A., 2021, Journal of physical therapy science. DOI: 10.1589/jpts.33.283
[16] Effects of posture and anatomical location on inter-recti distance measured using ultrasound imaging in parous women — Gillard S, Ryan CG, Stokes M, Warner M, Dixon J., 2018, Musculoskeletal science & practice. DOI: 10.1016/j.msksp.2017.11.010
[18] Effects of selective exercise for the deep abdominal muscles and lumbar stabilization exercise on the thickness of the transversus abdominis and postural maintenance — Lee JS, Kim TH, Kim DY, Shim JH, Lim JY., 2015, Journal of physical therapy science. DOI: 10.1589/jpts.27.367
[19] ULTRASOUND IMAGING MEASUREMENT OF THE TRANSVERSUS ABDOMINIS IN SUPINE, STANDING, AND UNDER LOADING: A RELIABILITY STUDY OF NOVICE EXAMINERS — Hoppes CW, Sperier AD, Hopkins CF, Griffiths BD, Principe MF, Schnall BL, Bell J, 2015, International journal of sports physical therapy. DOI: なし
[20] The effect of lumbar posture on abdominal muscle thickness during an isometric leg task in people with and without non-specific low back pain — Pinto RZ, Ferreira PH, Franco MR, Ferreira MC, Ferreira ML, Teixeira-Salmela LF,, 2011, Manual therapy. DOI: 10.1016/j.math.2011.05.010
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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