朝ごはんに昨日のパスタを温め直すと、ゆでたてと同じになるのか。冷却後のでんぷんと食後血糖を、人の試験と消化実験から読み分ける。小麦とひよこ豆、乾燥と生の違い、量を増やしてよいとはいえない理由、運動前に確認したい食事の条件と作り置きの冷やし方まで考える。
昨日のパスタを温め直したら、でんぷんもゆでたてに戻るのだろうか。朝の台所で湯気の立つ皿を前にすると、冷蔵庫で冷やした時間まで巻き戻せたように見える。けれど、皿の温かさと、食べた後の血糖の動きは別の話だ。
答えは、温め直しても食後の反応に違いが残る場合がある、である。冷却後に再加熱したパスタで、ゆでたてより食後血糖の上がり方が小さかった人の試験がある。一方、乾燥パスタを使った消化実験では、冷却や再加熱による有意な変化がなかった。冷蔵庫を通した麺なら一律に同じ効果、という話ではない。[3][5][6]
これからヨガへ出かける朝に知りたいのは、冷たい麺を我慢する価値より、いつもの朝食をどこまで同じものとして扱えるかだ。「ダイエット中のパスタは乾燥温度で違う?網目の強さと食後の反応を読み分ける」では製造段階の問いを扱っている。ここでは家庭でゆでた後、冷却を経て朝の皿へ戻るまでを追う。

温かい皿に戻っても、でんぷんの履歴は残りうる
レジスタントスターチとは、消化されにくいでんぷんのことである。加熱で糊化したでんぷんを冷やすと、分子が再びまとまる老化という変化が進み、レジスタントスターチが増えることがある。パスタの冷却と再加熱を調べた試験は、この変化が食後血糖にも現れるかを確かめている。「老化」はここでは食品の構造の用語である。冷蔵庫の中で麺が誕生日を迎える話ではない。[1]
ただし、「冷えた状態」と「冷却を経験した状態」は別である。ひよこ豆パスタの試験で比較されたのは、ゆでたてと、冷蔵後に再加熱したものだった。食べる時に冷たいことを条件にして、血糖の差を得たのではない。温めて食べたい朝にも関係する問いである。[3]
同試験では、レジスタントスターチがゆでたての1.83 g/100 gから、冷却・再加熱後には3.65 g/100 gへ増えた。この結果は、再加熱すれば冷却による変化が必ず全て消える、という考えに合わない。ただし、これはひよこ豆パスタで測られた値だ。家にある小麦のスパゲティへ、そのまま成分表の数字として移してはいけない。[3]
ここで区別したいのは、皿の温度、でんぷんの状態、人の血糖という異なる観察対象である。手で触れて温かいことから分かるのは温度であり、消化されにくい部分の量までは分からない。逆に、食品でその量が増えたことだけから、食べた人の体調や運動のしやすさまでは決められない。研究を読む時は、実際に測った対象を途中で取り替えないことが大切だ。[1][3][5]
朝食の皿には、麺だけでなくソースや具も載る。パスタ単体の成分測定と、ソースを含む食事を食べた後の血糖測定は、似た話に見えても答えている問いが違う。家庭の調理を考える時ほど、「何を測った数字か」を先に確かめたい。[3][6]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
人が食べた試験では、どこまで差があったか
健康な成人を対象としたパイロット試験では、10人が同じ内容のパスタ料理を、ゆでたて、冷却後、冷却・再加熱後という条件で食べた。料理はパスタ、オリーブ油、トマトソースで構成され、食べる条件の順は無作為に決められた。同じ人が異なる条件を経験するクロスオーバー試験である。対象は健康な成人であり、18〜39歳の女性に同じ大きさの差が出るかは、この予備試験だけでは判断できない。[6]
研究者は食後2時間の血糖を調べた。血糖が食前からどれだけ上がったかを時間に沿って積み上げた指標である増分曲線下面積に、条件間の有意差があった。最も大きな差は、ゆでたてと冷却・再加熱後の食事の間で認められた。血糖上昇のピークにも条件間の差があった。[6]
この比較の良さは、材料を入れ替えて低い数値を作ったのではなく、同じ料理の調理後の扱いを変えた点にある。昨日の夕食を朝へ回す場面に近い問いを立てている。ただし、10人の小規模な予備試験で得た食後の結果である。毎朝続けた後の体重変化や、運動中の調子まで答える試験とは分けて受け取りたい。[6]
ひよこ豆パスタの研究では、18〜65歳の健康な男女12人が、ゆでたてと、4℃で24時間冷却してから再加熱したパスタを無作為な順序で食べた。食後血糖への影響を基準食品と比較する指標であるGIは、ゆでたてで39、冷却・再加熱後で33だった。増分曲線下面積も、冷却・再加熱後の方が小さかった。男女を含む幅広い年齢の集団で得た結果なので、18〜39歳の女性にそのまま同じGIの差を当てはめることはできない。[3]
この研究では、冷却と再加熱によって官能評価の特性は変わらず、全体的な好ましさもゆでたてと同程度だった。消化されにくい部分が増えたから、食べにくさも必ず増える、という対応ではなかったのである。食感を犠牲にすることを前提にしない結果は、朝の献立を考える上で使いやすい。ただし好みの評価も、このパスタと調理条件での結果だ。[3]
さらに、インスリンポンプ治療中の1型糖尿病の成人32人を対象とした無作為化クロスオーバー試験でも、冷却・再加熱後のパスタが比較されている。利用可能な炭水化物を50 g含む標準化した食事を用い、4℃で24時間冷却した条件では、最大血糖値がゆでたての12.6 mmol/Lに対して10.7 mmol/Lだった。治療中の患者を対象とするため、18〜39歳の健康な女性にこの血糖値や差をそのまま当てはめることはできない。[1]
その試験では、早期の食後低血糖の回数に条件間の差はなかった。ただし、食前のインスリン投与と血糖測定を組み込んだ治療下での結果である。冷やしたパスタを食べるからと、自分で薬やインスリン量を変えるための根拠にはしない。糖尿病のある人が食べ方を変える時は、治療との関係を医師に相談する話になる。[1]
消化実験が示す、乾燥パスタと生パスタの違い
人の試験とは別に、乾燥パスタと生パスタをゆで、冷蔵し、電子レンジで再加熱した後、試験管内ででんぷんの消化を調べた研究がある。ここでは食品を小さい粒と大きい粒にして測定しており、調理条件だけでなく粒の大きさも比較している。[5]
最も消化されやすかったのは、小さい粒にした、ゆでた生パスタだった。この条件では消化の到達割合が57.9%で、冷蔵のみ、あるいは冷蔵後の再加熱を経ると約40.6%に低下した。一方、乾燥パスタでは、調理後の処理による消化性の有意な変化がなかった。同じパスタという名前の中でも、反応は揃っていない。[5]
粒の大きさは、実験全体で最も大きく消化性に影響した要因だった。5 mmの大きい粒にした試料は、2 mmの小さい粒にしたものより、でんぷんの消化の到達割合が少なくとも50%低かった。ただし、これは実験用の粒を比較した結果だ。かまずに飲み込めばよい、という食べ方の勧めに変換するのは誤りである。[5]
また、この実験では消化の到達割合が変わる条件があっても、消化の速度定数は調理処理やパスタの種類によって有意には変わらなかった。「どこまで消化されたか」と「どの速さで進んだか」は同じ指標ではない。消化されにくいという言葉だけで、全ての反応が一様に遅くなるように想像しない方がよい。[5]
この実験と人の試験は、片方だけを採用する必要はない。前者は食品や粒の条件が消化へ与える影響を切り分け、後者は実際に食べた後の反応を見ている。乾燥パスタなら絶対に変わらないとも、再加熱なら必ず血糖が下がるとも言い切らず、対象食品と測り方の違いを含めて読むべき結果である。[3][5][6]
もう少し細かく見ると、ひよこ豆パスタの試験では、同じ参加者が異なる条件の食事を経験している。別々の人の食生活を眺めて、冷やした麺を好む人の方が血糖が低いと結び付けた観察とは違う。食べる条件を研究の中で比べた点は、家庭の処理に注目する理由になる。同じ人を比べる設計は個人差を抑える一方、参加者は少人数である。[3]
食品の変化と人の結果が同じ方向を向いたことも、注目する理由である。ひよこ豆パスタでは、冷却・再加熱後に消化されにくいでんぷんが増え、GIも低かった。ただし、その対応だけを使って、別の原料でも同じ増加量なら同じGIになると計算することはできない。朝の皿を選ぶ際には、研究で組み合わせて確かめた食品と手順の範囲を残しておきたい。[3]
数字で読む冷却後のパスタ
健康な成人10人:同じパスタ料理の調理後の扱いを比べた予備試験の規模である。[6]
4℃・24時間:ひよこ豆パスタの人の試験で用いられた冷却条件に当たる。家庭での室温放置を指す数字ではない。[3]
1.83から3.65 g/100 g:同試験で測ったレジスタントスターチ量の変化を示す。[3]
GIは39から33:同試験で、ゆでたてと冷却・再加熱後を比較した値だ。[3]
57.9%から約40.6%:小さい粒にした生パスタの実験で見られた消化の到達割合であり、人の吸収率ではない。[5]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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