プロテインは最初のひと口がおいしくても、飲み終えた後の甘さや苦味が気になることがある。ホエイ飲料の時間経過を調べた研究から、甘さの強さと残り方、甘味料単独と配合の違いを読む。天然という表示だけで後味を決めず、自分が気になる感覚を分けて選ぶための視点を示す。
シェーカーは空なのに、口の中ではまだバニラ味の時間が続いている。朝の身支度をしながら飲んだプロテインで、最初の甘さより、その後に残る甘さが気になったことはないだろうか。
後味を比べるなら、ひと口の甘さと、その感覚が時間とともにどう変わるかを分けて見る必要がある。ホエイ飲料の研究でも、甘さをそろえた甘味料を、時間経過を追う方法で評価している。甘さが同程度であることと、飲み終わりまで同じ味であることは別の比較なのだ。[1]
ここで扱うのは、どの甘味料なら食欲が減るかではなく、飲み終えた口にどんな感覚が残るかである。既存記事「プロテインの甘味料で食欲は変わる?砂糖との置き換えと無糖への追加を読む」に食欲の問いを譲り、今回は味の時間軸に焦点を絞る。

同じ甘さにそろえてから、後味を比べる
後味が気になると、袋の原材料欄に目が向く。スクラロースなのか、ステビアなのか。ところが、別々の飲料をそのまま飲んで比べれば、甘味料の種類以外に、甘さそのものも違うかもしれない。強く甘い飲料と控えめな飲料の差を、種類の差だと早合点しないための工夫が要る。
Parkerらの研究は、この比較の入口を丁寧にそろえている。水360 mLにたんぱく質25 gを含む、混ぜて作るバニラ風味のホエイ飲料を用いた。ホエイとは乳由来のたんぱく質の原料である。比較したのは、スクラロース、ショ糖、果糖、ステビア、モンクフルーツという甘味の材料だった。[1]
研究者はまず、甘さの大きさを評定する方法と、提示された飲料のどちらかを選んで答える方法で、同程度の甘さとなる濃度を求めた。材料の重さを等しくした比較ではなく、感じる甘さをそろえる比較である。その後で訓練を受けた評価者が、味の時間的な推移を調べた。対象はこの飲料の評価者であり、18〜39歳の女性が日常で感じる後味へそのまま当てはめるには、飲む条件や個人の好みも考える必要がある。[1]
この順序は、日常の選び方にもヒントをくれる。たとえば「前の袋より甘さが残る」と感じたとき、飲み始めから強く甘かったのか、最初はちょうどよかったのに後から気になったのかを分けて言葉にする。どちらも不満としては本物だが、見直したい点は、飲み始めの強さと飲み終わりの残り方に分かれる。
同じ味の名前が付いた袋でも、研究でそろえたように配合条件まで一致しているとは考えない方がよい。この研究の土台はバニラ風味の特定のホエイ飲料である。ここから市販されるすべての味や原料へ、甘味料の順位表を広げることはできない。[1]
「おいしいプロテイン」を探す場面でも、最初にほしいのは優勝者の名前より、自分がどこで飲みにくくなるのかという手掛かりだ。探すときのメモには、原材料名の隣に自分の感想も置きたい。表示を読む時間と、実際に味わう時間の両方を選択に使うためだ。ひと口目は好き、飲み終わりの甘さは苦手。この組み合わせを、そのまま評価として残してよい。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
味の強さ、目立つ味、感じた味は別々に測る
時間を追って味を測る方法は、単に飲んだ後の感想を聞くだけではない。Parkerらは、強さを時間に沿って追う方法、その時点で支配的な感覚を選ぶ方法、その時点で当てはまる感覚をすべて選ぶ方法を使った。異なる角度から、同じ飲料の味の推移を捉えている。[1]
強さを追う見方では、甘さがどのように変わるかに注目する。支配的な感覚を選ぶ見方では、その場面で何が最も目立つかに焦点が移る。当てはまる感覚を選ぶ見方なら、複数の感覚を同時に拾える。これらは同じ問いを繰り返すための方法ではなく、観察する内容が違う。[1]
自宅の記録に専門の装置や訓練を持ち込む必要はない。ただ、「甘い」という感想の中に、どんな情報を入れたのかは分けておきたい。飲んでいる間の甘さを述べたのか、口からなくなった後にも気になることを述べたのか。飲料を探す際の言葉が具体的になる。
たとえば、昼休みに飲んだ後、仕事に戻ってからも甘さを意識したなら、「後味が嫌だった」だけで終えず、「飲み始めはよいが、飲み終わりの甘さが気になる」と書く。苦味を感じたなら、甘さの記録に一緒くたにしない。これは研究の測定値を再現するためではなく、自分の選択を整理するためのメモである。
とくに「後味が長い」と「後味が嫌い」は違う。前者は時間の印象で、後者は好みの判断だ。研究でも、訓練された評価者による時間的な感覚の評価と、消費者による好みの評価を段階として分けている。味の特徴を記述する作業と、好きかどうかを決める作業を混同しない設計である。[1]
友人が「最後まで甘くて好き」と言った飲料を、自分は「ずっと甘くて困る」と評価しても、同じ残り方への好みが違うこともある。同じ表現に異なる好みを重ねている可能性を考えると、口コミとの付き合い方も少し楽になる。
ステビアの苦い後味と、配合で作る甘さ
ステビアという名前を見て、「天然だから後味もすっきりしている」と想像するかもしれない。しかし、天然という区分と、後に感じる味は別々に確かめる必要がある。ステビアの甘味成分を扱った加工研究は、ステビオール配糖体の利用上の課題として、苦い後味を挙げている。[2]
配糖体は、ここではステビアの甘さに関わる成分の呼び名として押さえればよい。Zervaらは、その成分であるステビオシドとレバウディオシドAを、酵素で糖を付け加える反応の対象にした。目的は甘味成分の加工方法の検討であり、飲む人全員の後味の長さを調べた試験ではない。[2]
この研究を読む意味は、ステビアを悪者にすることではない。「ステビア」とひとことで呼ぶ原料にも、成分や加工を考える研究上の層があると知ることだ。酵素によって加工できたことと、店頭の特定のプロテインが飲みやすいことの間には、別の評価が必要になる。[2]
ホエイ飲料を直接扱ったParkerらは、単独の甘味料を比較した後、ショ糖で甘くした飲料の時間的な味わいに近づける配合を検討した。最終的に、ステビアとモンクフルーツを組み合わせたもの、そこへ果糖を組み合わせたものを、消費者の評価へ進めている。[1]
後味を考える単位は、甘味料の名前だけでなく、組み合わせでもある。研究で選ばれた糖類を含まない配合は、ステビア25%とモンクフルーツ75%。糖を減らした配合は、ステビア25%、モンクフルーツ25%、果糖50%だった。これらは配合中の内訳であり、飲料全体にその割合のステビアが入るという意味ではない。[1]
この数字を家庭用の調合表として使う必要はない。むしろ、「ステビア入り」という共通点だけで同じ後味だと決めないための数字である。何と組み合わせるかまで設計した飲料を評価している以上、原材料欄に同じ単語があっても、その単語だけを完成した味の説明にしないことが大切だ。[1]
研究で用いた比較対象にも目を向けたい。消費者評価へ進んだのは、開発した配合だけではない。スクラロース、ステビア、モンクフルーツをそれぞれ使った対照の飲料も含まれていた。配合を作れたという技術的な達成と、それが比較対象より好まれるかを、別の段階で確かめる流れである。[1]
ここから日常へ持ち帰れるのは、「混ぜてあるから優れている」とも、「単独だから分かりやすくてよい」とも先に決めない姿勢だ。組み合わせが自分に合うかは、完成した飲料の評価として考えたい。原材料の数だけで、飲み終わりの感想まで代筆することはできない。[1]
また、研究でショ糖に近づけようとしたのは、時間的な感覚の特徴である。ショ糖はここでは比較の基準として置かれている。ショ糖に似ていること自体を、すべての人が目指すべき食生活の目標と受け取る必要はない。研究者が設けた製品開発上の目標と、読者が自分に合う飲料を探す目標は区別できる。[1]
たとえば夕方、立川駅北口へ出る前に飲む場面なら、飲み終わったところで自分がどう感じたかを記録する。飲み始めに満足したという感想も、後の味が気になったという感想も消さずに残す。総合点だけなら埋もれる情報を、生活の場面とともに残すためである。
数字で読むプロテインの甘さと後味
25 g/水360 mL:時間的な感覚を調べたバニラ風味ホエイ飲料の条件。万人への推奨量ではない。[1]
3種類:時間に沿った強さ、支配的な感覚、当てはまる感覚という評価方法を併用した。[1]
150人:配合した飲料などの消費者評価に参加した人数。全員が同じ好みではなかった。[1]
25%と75%:選ばれた糖類を含まない甘味料配合の、ステビアとモンクフルーツの内訳。[1]
0.01〜0.03%:別のホエイを使ったスイカ飲料で検討されたスクラロース濃度の範囲。飲料全体の配合を最適化した実験の条件。[3]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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