空腹有酸素前プロテインは糖質ゼロなら同じ?インスリンと脂肪利用のずれを読む

空腹で有酸素運動をする前にプロテインを飲むと、インスリンが上がって脂肪を使えなくなるのか。ホエイの量を変えた試験から、血中の反応と運動中の脂肪酸化、飲料を含めた総エネルギーを分けて読む。朝の一杯を水と同じ扱いにせず、食事と運動の予定を組み立てるための見方を示す。

朝の散歩用の靴を出したのに、台所ではプロテインの袋を持ったまま手が止まる。「糖質を摂らなければ空腹運動のまま」「でもインスリンが上がると脂肪が使えない」。検索で見かけた説明を重ねるほど、一杯の行き先が決まらなくなる。

答えの芯は、血中のインスリンと運動中の脂肪利用を同じものとして扱わないことだ。健康で活動的な男女がホエイを飲んで自転車運動をした試験では、飲まない場合よりインスリンが高かった一方、運動中の脂肪酸化率には有意差がなかった。[10] 飲んだだけでその朝の運動が無意味になる、という読み方はこの結果と合わない。

ただし、水と同じ扱いにしてよいわけでもない。多い量のホエイを飲んだ条件では、その日の総エネルギー摂取量が飲まない条件より高かった。[10] 既存記事「朝の有酸素運動前のEAAは水と同じ?インスリンの試験条件を確かめる」にはアミノ酸補給の問いを譲り、ここではホエイの摂取量を変えた場合に焦点を絞る。朝食前の運動そのものの減量効果も、この記事の中心ではない。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

ホエイを飲んだ朝は、何と何を比べたのか

手がかりになるのは、健康で活動的な男女15人、平均年齢25±5歳を対象とした無作為化二重盲検の試験である。同じ参加者が異なる条件を経験し、ホエイたんぱく質を0g、20g、40g摂る場合を比較した。飲んでから30分後に、最大パワーの60%で1時間の自転車運動を行っている。[10] 18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、男女を合わせた少人数の結果であり、運動条件も限られる点に注意が要る。朝に軽く体を動かすという印象だけで読むと、実際の運動条件を取り違えやすい。

同じ人の中で条件を比べる設計には、もともとの体格や運動習慣が違う人同士を並べる場合とは異なる強みがある。今回は摂取量を変えた際の反応を追う設計であり、別々の生活を送る集団の食事習慣を比べた観察研究ではない。[10] それでも参加者は少なく、健康で活動的な人の自転車運動という範囲を保って読む必要がある。

測ったのは体重だけではない。呼気から運動中にどの燃料を使ったかを推定する間接熱量測定を行い、採血による代謝反応、安静時のエネルギー消費、運動後の食事記録も調べた。[10] 血液の値、運動中の燃料、食事量という別々の窓を用意した試験だ。どの窓から見た結果かを押さえると、一見矛盾した話が整理できる。

この条件で、運動中の脂肪酸化率は摂取量の間で有意差がなかった。脂肪酸化とは、脂肪を燃料として利用する過程を指す。比較の効果量は0gと20gで0.22、0gと40gで0.47、20gと40gで0.27だった。[10] 「有意差がない」は、測定値が完全に一致したという意味ではない。少なくとも、この試験から明瞭な悪化を断定する読み方はできない。

ここでの20gや40gは、試験で使ったホエイたんぱく質の量である。[10] 家の計量スプーンの杯数や、粉末全体の重さにそのまま置き換えない。自分の飲料を照らし合わせるなら、まず表示のたんぱく質量を確かめる。そのうえで、同じ量にしたら試験と同じ反応になる、とまでは約束しない。試験の条件は比較の物差しであって、全員の朝食の指定ではない。

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

インスリンが高いことと脂肪利用が止まることは別だ

この試験では、ホエイを摂った条件の血中インスリンは0g条件より高かった。それでも運動中の脂肪酸化率に有意差はなかった。[10] したがって、「プロテインでインスリンが上がる」という結果だけを抜き出して、「だから脂肪を使えなくなる」とつなぐと、同じ試験のもう片方の結果を落とすことになる。

糖質ゼロという表示を見て、体内反応もゼロだと考える必要はない。一方で、インスリンの変化を見てすぐに失敗の印を付ける必要もない。ホエイ摂取後の血中反応と運動中の脂肪酸化は、この実験では違う結果の動き方を示した。[10] 袋の表の短い言葉より、何を測って何が変わったかを先に見るほうが、朝の判断に役立つ。

燃料の話をもう少し分ける研究もある。18〜60歳の活動的な男性8人が、糖質、ナイアシン、プラセボを摂る条件で、それぞれ60分の自転車運動を行ったクロスオーバー試験だ。18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、この男性だけの比較では判断できない。ナイアシンはこの研究で脂肪酸の利用可能性を変えるために用いられたものであり、朝の補給品として勧める話ではない。[7]

この研究では、糖質を摂る条件は空腹条件よりインスリンが高く、血中の非エステル化脂肪酸濃度と脂肪酸化が低かった。非エステル化脂肪酸とは、ここで血液中の燃料として追っている脂肪酸の形である。ナイアシン条件でも脂肪酸の利用可能性と脂肪酸化は糖質条件と同程度に抑えられたが、インスリンの反応は同じではなかった。[7]

さらに、筋肉の中の糖の蓄えであるグリコーゲンの正味の使用量は、ナイアシン条件のほうが糖質条件より多かった。[7] つまり、血中の脂肪酸、脂肪を使う速さ、筋肉の糖の使用、インスリン濃度は、それぞれ別の指標として読む必要がある。インスリンだけを運動の成績表にするのは、読める情報を自分で減らすことになる。

ホエイの試験と糖質の試験は、同じ飲み物を調べた実験ではない。[7][10] 糖質を摂ったときの脂肪酸化の結果を、ホエイにもそのまま移さないことが大切だ。「何かを飲んだ」という共通点だけでは、体内の反応まで共通とは決められない。朝の台所で比べるべきなのは、飲んだかどうかだけでなく、飲んだ中身でもある。

飲んだ後の食事だけで、一日の総量は決まらない

ホエイの量を変えた試験では、試験後に自由な生活の中で摂ったエネルギー量には条件間の有意差がなかった。しかし24時間の総摂取エネルギーでは、40g条件が0g条件より有意に高かった。[10] 運動後の食事だけを眺めることと、運動前に飲んだ分も含めて一日を見ることでは、答える問いが違うのである。

「飲んだから、その後は自然に食事が少なくなって差し引き同じになる」とは、この結果から言えない。[10] 逆に、後の食事が明確に増えたと読み替えるのも違う。試験後の摂取量に有意差がないことと、一日の合計が高いことは両立する。自分の記録でも、運動前の飲料を欄外に置かないようにすると、この違いを見失いにくい。

もちろん、総摂取量が高いこと自体をすべての人の失敗と呼ぶ必要はない。この記事の問いは、体重を減らすべきかではなく、ホエイを水と同じ扱いにできるかだ。研究が示したのは、運動中の脂肪酸化に明瞭な差がなくても、その日の総エネルギーは別の動き方をし得ることだった。[10] 補給が必要かどうかは、食事全体の中で考えたい。

たとえば、朝食を摂る予定があるのに「運動する日は念のため」と飲料を足した場合と、食事の一部としてホエイを選んだ場合を、記録の上では区別する。これはどちらが必ず優れるという研究結果ではなく、総量を見るための整理法だ。飲む時刻だけを細かく管理して、何を足したかを忘れると、試験との対応が崩れてしまう。

この研究の有意差の扱いも押さえておきたい。脂肪酸化の比較では有意確率が0.19で、研究者は条件間の有意差を認めなかった。[10] これは、ホエイを飲むすべての人で差が存在しないことを証明した数字ではない。読者が持ち帰れるのは、指定された条件では脂肪酸化を妨げる明瞭な結果にならなかった、という範囲の答えである。

一方で、24時間の総摂取エネルギーの比較は40g条件と0g条件で有意だった。[10] ここから20gも必ず同じように増えると広げたり、量を倍にすると影響も倍になると計算したりしない。量を変えた試験だからこそ、どの量同士で差があったのかを残す必要がある。「プロテインあり」という大きな箱に入れると、用量を調べた意味が消えてしまう。

朝の一杯の目的を先に言葉にするのも、結果を選り好みしないための方法だ。食事のたんぱく質を補いたいのか、運動中の燃料利用が気になるのか、その後の食事との組み合わせを考えたいのか。試験は脂肪酸化と摂取エネルギーを別々に測っている。[10] 自分の問いを決めれば、都合のよい結果だけを拾って別の目的まで達成した気になることを避けられる。

数字で読む運動前ホエイの試験

15人:健康で活動的な男女を対象に、同じ人の中で摂取条件を比較した。[10]

0g・20g・40g:比較したホエイたんぱく質の量であり、全員への推奨量ではない。[10]

30分:摂取から自転車運動の開始までに置いた時間である。[10]

1時間・最大パワーの60%:脂肪酸化を比較した運動の時間と強度である。[10]

0.19:脂肪酸化率の条件間比較の有意確率で、有意差は認められなかった。[10]

24時間:40g条件で0g条件より総摂取エネルギーが高かった観察範囲である。[10]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約