アマランサス由来のプロテインを選ぶとき、種子の粉、濃縮粉、酵素で分解した粉を同じものとして扱ってよいのか。消化率が高くてもアミノ酸の評価が低くなる理由を、食品分析と動物実験から読む。卵や豆との混合で変わる結果も確かめ、市販品の表示で何を比べるか、女性の食事選びにつなげる。
雑穀売り場のアマランサスと、プロテイン売り場のアマランサス。どちらも同じ栄養のつもりで選んでよいのだろうか。「アマランサス由来」という文字を見つけても、雑穀としてごはんに混ぜる種と、袋に入った抽出粉の関係は案外わからない。原料名は同じでも、研究では種子粉と濃縮粉でたんぱく質の割合やアミノ酸の評価が変わっている。[9]
選ぶ候補にはなりうる。ただし、消化率が高いという数字だけで栄養面の優劣を決めないことが肝心だ。食品分析と生体内評価を組み合わせた研究で、あるアマランサス濃縮粉は真の消化率が97.6%だった一方、アミノ酸の構成と消化率を合わせた評価は72.2%だった。消化されることと、必要なアミノ酸の組み合わせがそろうことは、別の問いなのである。これは18〜39歳の女性が飲んだ際の消化率や栄養状態を直接確かめた数字としては使えない。[4]
既存記事「ダイエットのプロテインは亜麻仁由来でもよい?種と濃縮粉で違う消化の読み方」には亜麻仁の加工比較を譲る。ここで追うのはアマランサスの成績表の読み方だ。単独の濃縮粉、卵を混ぜた試料、酵素で分解した試料を区別し、どの数字なら目の前の食品に結びつけられるかを考える。[3][4][5]

種子の粉と抽出した粉は同じ成績表を持たない
アマランサスは、種子の粉からたんぱく質を取り出す食品研究の対象になっている。ここでいう濃縮粉は、種を細かくしただけの粉ではない。種子粉と、アルカリ側で抽出して酸性側でたんぱく質を沈殿させた濃縮粉を比較した研究では、たんぱく質の含有量がそれぞれ16.6%と52.56%だった。原料が共通でも、粉全体の構成は異なる。[9]
この比較研究では、水に溶ける食物繊維も種子粉の4.29%から濃縮粉の12.90%へ多くなっていた。不溶性の食物繊維も濃縮粉で多かった。この抽出では、たんぱく質とともに食物繊維の含有割合も増えた。「抽出粉だから種の成分はすべて消えた」とも、「種に含まれる成分は同じ割合で残る」とも扱えないのである。[9]
脂肪の構成にも違いがあった。不飽和脂肪酸の割合は種子粉で75.44%、濃縮粉で56.95%だった。これは粉全体の脂肪量を直接並べた数字ではなく、脂肪酸の構成を比べたものだ。たんぱく質の含有割合と脂肪酸の割合を同じ欄に並べると、どちらも百分率なので似て見える。分母まで確認して初めて、食品のどこが変わったかを読める。[9]
市販品を見る場面なら、まず原材料欄と栄養成分表示を別々に読むという使い方ができる。種子粉を使うのか、抽出したたんぱく質を使うのかは原材料の問いであり、食べる粉のうちどの程度がたんぱく質かは成分の問いだ。研究で得られた濃縮粉の数値を、市販される同じ植物名の粉へそのまま移すことは避けたい。比較した試料の作り方までが、結果の条件だからだ。[9]
朝のごはんに混ぜる食材を探している人と、たんぱく質を含む補助食品を探している人では、同じアマランサスでも確かめたいことが変わる。種子粉の研究結果は種子粉に、抽出粉の結果は抽出粉に結びつけておく。この仕分けをしないまま「植物の栄養が濃い」と表現すると、含有量の話と成分構成の話が混ざる。[4][9]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
消化率が高いのに栄養評価が下がるのはなぜか
成績表のずれがよく見えるのが、アマランサス濃縮粉を分析し、生体内での利用を評価した研究だ。作製工程には、酵素による事前の分解、抽出、たんぱく質の沈殿、微細な膜によるろ過、凍結乾燥が含まれていた。試料は「アマランサスなら何でも」という集合ではなく、この工程で得られた濃縮粉である。[4]
この濃縮粉の真の消化率は97.6±0.3%、比較したカゼインは99.3±0.2%で、濃縮粉のほうが有意に低かった。カゼインは比較対象となったたんぱく質である。数字の差があるという研究結果と、アマランサスがほとんど消化されないという印象は一致しない。濃縮粉にも高い消化率が認められたうえで、比較対象との差が検出されたという読み方になる。[4]
一方、アミノ酸スコアは74%で、制限となるアミノ酸はバリンだった。制限とは、評価に用いるアミノ酸の組み合わせに照らして、相対的に不足する部分があるという意味だ。この試料では、たんぱく質の量に加えてバリンの比率も評価を左右した。品質の判断には、消化とアミノ酸構成の両方が必要になる。[4]
消化率で補正したアミノ酸スコアは72.2%だった。この指標は、アミノ酸の構成に消化の情報を合わせてたんぱく質を評価するものだ。したがって97.6%と72.2%は、同じ試料を測ったからといって同じ意味の数字ではない。前者を見て「体にほぼ全部役立つ」と言い換えると、後者が扱う構成上の条件を飛ばしてしまう。[4]
数字の見栄えでは消化率が勝つ。けれども、買い物で知りたいのは見栄えのよい欄だけではない。たんぱく質の量、消化のされ方、アミノ酸の組み合わせがそれぞれ何を示すかを分けると、濃縮粉を過小評価せず、過大にも評価せずに済む。少なくともこの研究からは、高い消化率とアミノ酸構成上の制限が同時に存在することがわかる。[4]
なお、この濃縮粉からはサポニンも検出され、製造工程で完全には取り除かれていなかった。抽出後の粉を「たんぱく質だけの物質」と考えるのも正確ではない。ほかの成分が残ることは、直ちに良し悪しの判定にはならないが、種から抽出したという説明だけでは食品全体の性質が決まらないことを示している。[4]
卵を混ぜた高い数字は混合物の結果である
では、アマランサスのたんぱく質はいつもバリンが制限になるのか。先ほどの種子粉と濃縮粉の比較では、種子粉にはロイシン、スレオニン、バリンが制限となった一方、その研究で得た濃縮粉には制限アミノ酸がなかった。別の濃縮粉でバリンが制限となった結果と、ひとまとめにはできない。[4][9]
これは都合のよい研究を選ぶ場面ではない。異なる試料を扱った食品研究で、同じ原料名から異なる評価が得られている場面だ。植物名が同じだから栄養評価も固定される、と考えるほうを修正する必要がある。個々の違いをどの要因がどれだけ説明するかと、違いが実際にあることは分けて読める。[4][9]
卵との混合を調べた動物実験もある。濃縮粉と鶏卵たんぱく質を重量比58対42で混ぜ、雄のラット32匹を卵たんぱく質の群と混合物の群に分けて15日間評価した。ここでの混合比は、アマランサスたんぱく質と卵たんぱく質を組み合わせるための実験条件であり、家庭の献立の推奨比率ではない。雄ラットの結果が18〜39歳の女性にもそのまま当てはまるかは、この動物実験では判断できない。[3]
混合物の真の消化率は99.0±0.1%、卵たんぱく質は98.8±0.1%で、群間に有意差はなかった。食べた量と体重増加にも有意差はなかった。混合物が卵を上回ると断定する結果ではなく、実験条件の範囲で消化率の差が検出されなかった結果である。小数点以下で数字が上なら優勝、という競争にはならない。[3]
研究では混合物のアミノ酸分析にも制限が認められず、消化率で補正した評価も99.0±0.1%だった。ただし、これはアマランサス単独の成績ではない。動物で評価した卵入りの試料の成績だ。「アマランサスの消化率は99%」という短い紹介文にしてしまうと、卵の存在と対象動物が抜け落ちる。[3]
卵との試験で使われた濃縮粉は、たんぱく質70.4±0.6%に加え、脂肪17.0±1.0%、炭水化物9.8±0.8%を含んでいた。ここでも、濃縮粉の重さと、含まれるたんぱく質の重さは異なる。混ぜた材料の重量比と、各材料に含まれるたんぱく質の割合を区別すると、混合試料の説明をより正確に受け取れる。[3]
動物実験の食事と、仕事帰りに自分が飲む食品では、対象も食べ方も異なる。実験の高い数字を日常の保証にするより、配合と対象を確認する手がかりにするほうがよい。卵を使わない食品を探す場合なら、卵を含む試料の結果を候補の決め手にしない、という具体的な読み分けになる。[3]
数字で読むアマランサスの成績表
16.6%と52.56%:同じ比較研究の種子粉と濃縮粉に含まれるたんぱく質の割合。[9]
97.6±0.3%:別の研究で得られた濃縮粉の真の消化率。比較したカゼインより有意に低かった。[4]
74%:その濃縮粉のアミノ酸スコア。制限となったのはバリンだった。[4]
72.2%:その濃縮粉の消化率で補正したアミノ酸スコア。[4]
58対42:ラットの試験で用いたアマランサス濃縮粉と卵たんぱく質の重量比。[3]
99.0±0.1%:その混合物の真の消化率。卵たんぱく質との有意差はなかった。[3]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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