ダイエットのプロテインはヒスチジンも増やす?カルノシンの材料と補給の違い

ダイエット中の筋トレに使うプロテインは、ヒスチジンの量まで増やすべきか。筋肉のカルノシンを作る材料と、補給で実際に変わる指標を分けて読む。女性を含む試験やカルノシンそのものを飲む試験から、βアラニンとの違い、研究用の量を自分の必要量にしないための確認点を整理する。

プロテインの袋を裏返すと、たんぱく質の量の下にアミノ酸の名前が並ぶ。筋トレを始めたばかりなのに、今度はヒスチジンも別に買った方がよいのか。計量スプーンを置いた台所で、補給の候補だけが増えていく。

答えの芯は、ヒスチジンが筋肉のカルノシンの材料であることと、追加するとカルノシンが増えることは同じではない、という点だ。研究をまとめたレビューでは、βアラニン補給による増加に対して、ヒスチジン補給の結果は一貫していない。[17] 材料の一覧は、そのまま買い物リストにはならない。

既存記事「女性の筋トレでサプリは一度にまとめる?クレアチンの量と胃腸の負担を読む」には補給をまとめる際の問いを譲る。ここでは、何を材料として足すのか、その先で何を測っているのかを追う。ダイエットという検索語から来た人も、体重の変化と筋肉内の物質の変化を同じ成果として扱わずに読んでほしい。

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ヒスチジンとβアラニンは同じ役目ではない

カルノシンは、βアラニンとヒスチジンがつながったジペプチドである。ジペプチドとはアミノ酸が対になった物質のことだ。ヒスチジンは必須アミノ酸であり、カルノシンの構成成分でもある。[17][20] 「たんぱく質に関係する成分」と「筋肉内にある特定の物質」を、袋の表示だけでひとまとめにしないことが出発点になる。

運動中の骨格筋を扱ったレビューは、カルノシンの働きとして細胞内の酸性度の変化を和らげる緩衝作用を挙げている。ほかにエネルギー代謝やカルシウムの扱い、反応性物質との関わりなども検討されている。[20] 筋肉の中で起きる現象は多いが、作用の候補の数は、補給効果の大きさを表さない。

合成の進み方を左右する材料として、そのレビューが位置づけるのはβアラニンである。これを律速前駆体と呼ぶ。前駆体は完成する前の材料、律速は全体の進み方を制限するという意味だ。βアラニン補給によって筋肉内のカルノシンが増えることが整理されている。[20] 材料を増やすなら何でも同じ、という説明とは異なる。

ヒスチジンが必要な構成成分だからといって、追加補給が常に必要だとは導けない。ヒスチジン投与のレビューも、カルノシンを増やす試みではβアラニンの結果は肯定的だが、ヒスチジンの結果は一致しないとしている。[17] これはヒスチジンに役割がないという意味ではない。体の中で必要なことと、普段の食事にさらに足す利益があることは、別の問いなのである。

プロテインを選ぶ場面では、たんぱく質の補給を考えているのか、カルノシンを増やすための単独成分を考えているのかを言葉にしたい。筋肉という共通の行き先だけで、両方の問いを交換しない。βアラニンの研究を理由に、表示にあるヒスチジン量の多さでプロテインの優劣を決める読み方は、材料を取り違えている。[17][20]

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女性も参加した試験では何が変わったか

男女を対象とした無作為化比較試験では、参加者26人をβアラニン群かプラセボ群に割り当てた。プラセボは比較のための対照である。βアラニンの摂取量は1日6 g、期間は28日間で、筋肉内のカルノシン、ヒスチジン、βアラニンと運動時の疲労を調べた。[15] ここで足したのは、ヒスチジンではない。

研究者は、βアラニン群ではプラセボ群より筋肉内カルノシンの増加と疲労の軽減が大きい可能性を報告し、男女で同様の方向だったと結論している。一方、筋肉内ヒスチジンは減らなかった。[15] βアラニンを使えば材料のヒスチジンが必ず不足するはずだ、という心配を、そのまま追加購入の理由にはできない。

ただし、この試験は効果の大きさに基づく推論という解析を用いている。男女差の推定は不明確であり、カルノシンの変化の男女差は2.50 ± 4.30 mmol/kg湿重量、疲労指標の変化の男女差は14.0 ± 39.0 Nmと報告された。[15] どちらの数字も「これだけ良くなった」という全員共通の効果量ではなく、男女の差を表す数字である。

研究の結論を「女性でも男性と同じ量だけ伸びる」と言い換えるのは強すぎる。小規模な試験で同じ方向の反応がみられたことと、性別による違いを精密に決めたことは同じではない。[15] 女性が対象に入っている点は大切だが、参加しているという事実だけで、あらゆる年齢や運動歴の女性の反応まで決めることはできない。18〜39歳の女性が自分に当てはめる際も、男女を含む小規模試験として受け止めたい。[15]

また、この試験の筋肉内ヒスチジンが減らなかった結果と、ヒスチジン投与のレビューが紹介する、βアラニンなどの利用可能性の増加に伴うヒスチジン減少の報告は、並べて読む必要がある。[15][17] 条件の違う研究を無理に同じ結論にそろえず、少なくとも全員への一律のヒスチジン追加は支持しない、と受け止めるのが妥当だ。

カルノシンを直接飲む試験も万能の結果ではない

材料を選ぶのが難しいなら、完成したカルノシンを飲めばよいのか。その問いに近いプラセボ対照無作為化試験では、299人をカルノシンまたはプラセボに割り当て、カルノシンは1日2 gを摂取した。開始前と約6週、約12週に握力、両脚のかかと上げ、足踏み、歩行速度を調べている。[1]

約6週では40歳未満のカルノシン群で、疲労困憊まで行うかかと上げ回数の改善が統計学的に有意だった。約12週では40歳を超える男性の足踏み回数に有意な改善があった。しかし、それ以外の身体機能指標ではプラセボとの差は有意ではなく、握力の改善も確認されなかった。[1] 40歳を超える男性での改善を、18〜39歳の女性の効果にそのまま当てはめることはできない。よい結果だけを拾うと、この試験の輪郭が変わってしまう。

かかと上げの結果はp=0.018、男性の足踏みの結果はp=0.010である。[1] p値は統計学的な判断に用いる値だが、それ自体は何回多く動けたかという改善量ではない。有意な結果があったという紹介と、日常で実感できる差の大きさの説明は分けたい。数字が細かいことと、生活への答えが細かく出ることは別である。

研究者は利益が特定の年齢群にみられ、男性に限られるようだったと整理している。[1] したがって、この結果をもとに女性の筋トレ全般や、プロテインに混ぜるカルノシンの必要性を断定するのは難しい。試験で飲んだ物質、調べた動作、効果が現れた人をセットで見ると、「筋肉によい」という短い宣伝文には戻れなくなる。

この試験と男女のβアラニン試験は、使った物質も評価方法も異なる。[1][15] 結果の一部が違うから片方を捨てるのでも、良かった部分を足し算するのでもない。βアラニンの筋肉内指標とカルノシンの身体機能指標を、それぞれの条件に戻して読む。その手順が、名前の似たサプリを同じものとして扱わないために役立つ。

筋肉に関する試験でも、握る力を測るのか、同じ動作を疲れるまで繰り返すのかで問いが変わる。カルノシン試験で採用された握力と両脚のかかと上げは、その違いを考えやすい組み合わせである。実際に、この試験では特定の群のかかと上げで差が出た一方、握力では差が出なかった。[1] 「筋力が上がる」とひと言にしてしまうと、測定された能力の違いが消える。

運動する側の目標も、同じように具体化できる。重いものを持つ場面を考えているのか、同じ動作を繰り返す場面を考えているのか。補給の判断に研究を使うなら、自分が知りたい動作に近い評価があるかを先に見る。試験で測った持久的な反復動作の結果を、別の動作の成功に移し替えることはできない。[1] 「筋肉向け」という売り場の分類より、論文の測定項目の方が細かい。

また、約6週と約12週の評価は、飲んだ直後の変化を調べたものではない。[1] レッスンに向かう直前に加える意味を知りたい人と、一定期間の補給後の身体機能を知りたい人では、探している答えが異なる。期間を省いた紹介は、その区別を見えにくくする。量だけでなく、いつ測定した結果なのかまで含めて試験の条件なのである。

数字で読む補給試験の条件

26人:男女を含むβアラニンの無作為化比較試験の参加者数である。[15]

1日6 g・28日間:同試験の補給条件であり、個人への推奨量ではない。[15]

299人:カルノシンそのものとプラセボを比べた試験の参加者数である。[1]

1日2 g:カルノシン試験で使用した量で、βアラニンの量と交換できない。[1]

約6週・約12週:カルノシン試験で身体機能の変化を確認した時点である。[1]

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宮川涼 Founder

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