ダイエット中のえびは殻まで食べると食物繊維になる?キチンと栄養表示を読む

ダイエット中、えびの殻を食物繊維として数えてよいのか。殻に含まれるキチンと加工したキトサンの違い、抽出や消化の研究、別の甲殻類の栄養分析を手がかりに考える。材料の成分量をそのまま食事記録へ写せない理由と、商品の表示で確認したい対象・単位を整理し、毎日の一皿の選び方につなぐ。

夕食のえびをむきながら、殻も食べたほうが食物繊維を増やせるのかと考える。食事記録の空欄が気になると、皿の端に寄せた殻まで栄養の候補に見えてくる。

えびの殻にはキチンが含まれる。しかし、「キチンを含む」と「目の前の殻を食べれば食物繊維を何g取れる」は別の問いである。殻はキチンだけの塊ではなく、成分を取り出す加工によって材料の性質も変わる。殻の重さを、そのまま食物繊維の重さとして記録することはできない。[16][18][20]

ここでは、えびの身の栄養全般よりも、殻と成分表示の対応に絞る。食べた脂肪とキトサンの働きは既存記事「キトサンは食べた脂肪を外へ出せるか サプリの体重差と便を調べた試験の答え」に譲る。「ダイエットの間食は音楽が速いと急いで食べる?拍の速さと食べた量を読む」が扱う食べる速さとも問いを分け、皿に残った殻をどう数えるかを考えたい。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

殻にはキチン以外の成分も含まれる

キチンは、甲殻類の殻や昆虫の外骨格を構成する多糖類である。多糖類とは、糖の単位が多数つながった物質を指す。キチンと腸内環境を扱ったナラティブレビューでも、甲殻類の殻の構成成分として位置づけられている。[17]

ここで、殻という食品の部位と、キチンという成分名を分けておく。甲殻類の殻の再利用を扱ったレビューでは、殻の廃棄物にはキチンやキトサンのほか、アスタキサンチン、ミネラル、生理活性ペプチド、アミノ酸などが含まれるとされる。アスタキサンチンは色素の一種、ペプチドはアミノ酸がつながった物質である。殻を量っても、量れるのはそれらが混在した材料である。[20]

えびの殻からキチンやキトサンを取り出す研究のレビューでは、化学的な抽出が主要な方法として挙げられている。さらに、微生物による発酵や、環境への負担を抑える溶媒を使った抽出も検討されている。つまり研究で扱う「えび由来キチン」は、抽出や加工の工程を経た材料である。成分を取り出し、目的に合わせて作られた材料が含まれる。[16]

夕方の立川駅で買ったえび料理と、実験室の試料が、同じ「えび由来」という言葉でつながる。言葉は近い。中身の条件は確認が要る。原料が一致していても、材料全体の重さと、抽出された成分の重さは区別する。[16][18]

この違いは食事記録でも役立つ。殻つきの料理について知りたいときは、「キチンという物質があるか」を調べる段階と、「その商品を食べた量にどれだけ含まれるか」を確かめる段階を分ける。前者の答えだけで後者の欄を埋めると、原料の説明が食べた量の数字に化けてしまう。

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

キチンとキトサンは名前が似ても同じ条件ではない

キトサンは、キチンの脱アセチル化によって得られる物質である。脱アセチル化とは、分子についているアセチル基という部分を取り除く加工をいう。キチンとキトサンの消化管内での働きを扱うレビューは、化学的な処理や、微生物・昆虫の酵素の作用によってキトサンが得られると説明している。[17]

えびの殻の利用に関するレビューでは、抽出の条件や補助技術を調整することで、脱アセチル化の程度や分子量などが異なる製品を作れるとされる。分子量は分子の大きさを表す指標である。同じ原料から出発しても、研究者が何を作ったかによって比較すべき材料は変わる。[16]

さらに、甲殻類とキノコからのキチン分離を比較したレビューは、キチンを性質の異なる高分子の一群として扱っている。分子量、アセチル化の程度、アセチル基の並び方などの違いが、物理化学的性質や生物学的な働きの違いにつながるという整理である。「キチン」という物質名に加え、試料ごとの性質を確認する必要がある。[18]

このため、キトサンの説明を見つけたときには、その説明の主語を保ったまま読む必要がある。加工したキトサンで調べた結果を、殻つきのえび料理へ移すには、材料と加工の隔たりがある。名前が近いことは、食べ方の効果が一致する証拠にはならない。[16][17][18]

食事の場面に置けば、むいた殻を残すかどうかと、加工成分を含む食品を選ぶかどうかは別々の判断になる。殻を残した皿を見て「キトサンを取り損ねた」と考える前に、読んでいた研究が実際には何を扱っていたかへ戻りたい。殻、抽出キチン、加工キトサンと主語を書き分けるだけでも、説明の混線を見つけやすくなる。

分解できるかは材料と酵素の組み合わせで変わる

「殻は硬いから消化されない」「天然の成分だから体で使える」。どちらも、見た目や由来から先へ進みすぎた判断である。キチンの酵素分解を調べた材料実験では、イカ由来とえびの殻由来のキチン、さらに部分的に脱アセチル化したキチンが比較されている。対象は材料と酵素であり、18〜39歳の女性が殻を食べた場合の消化へ、そのまま当てはめることはできない。[7]

その実験で使われたキチナーゼはキチンを分解する酵素であり、比較相手のリゾチームより高い分解性を示した。また、キチンの結晶構造によって分解の進みやすさが異なり、β型はα型より円滑に分解された。脱アセチル化の条件も分解性に関わった。硬い殻という日常語だけでは、この差を表せない。[7]

昆虫由来キチンとえびの殻由来キチンなどを比べた別の材料研究でも、構造や加工の重要性が見える。研究では昆虫由来の試料を抽出・精製し、さらにイオン液体による前処理を行って酵素分解を調べた。その条件で、昆虫由来試料は市販のキチンより高い酵素分解性を示した。これは、材料と処理を組み合わせて調べた結果であり、18〜39歳の女性の体内での消化を直接示すものではない。[4]

この研究に出てくる純度は、キチンとして抽出した試料の純度である。食卓にあるえびの殻のキチン含有率を測った数字として読むことはできない。また、特定の前処理後に酵素で分解されたことを、家庭で焼いたり揚げたりした後の人の消化率と同じに扱うこともできない。比較の条件を残すことが、数字を正確に使う出発点になる。[4][7]

材料研究の価値は、夕食の献立を直接決めることだけではない。「消化されるか」という問いを、何が、どんな構造で、何の酵素にさらされるのかという具体的な問いへ変えてくれる。殻の歯応えだけから体内の出来事を予測するより、どの段階を測った研究かを区別したほうが理解は進む。[4][7]

材料研究をもう少し具体的に読むと、昆虫由来キチンの灰分は1.90%、比較したえび由来キチンでは21.73%だった。灰分は、試料を燃焼させた後に残る無機物の量を表す指標である。研究ではこの違いが抽出・精製のしやすさに関係するとされ、同じ条件で脱たんぱく処理を行った場合、昆虫由来のほうが高い純度となった。比較しているのは抽出材料の性質である。[4]

この灰分の数字も、売り場のえびのカルシウム量へ読み替えることはできない。灰分と個別のミネラルは同じ指標ではなく、試料の状態も違う。栄養を知りたいときほど、数字の大きさだけで選ばず、何を量った割合なのかを先に読む必要がある。高い純度は研究材料の特徴を表すが、それだけで食事としての価値の順位は決まらない。[4]

同じ研究では、酵素でキチンを分解し、N-アセチル-D-グルコサミンという物質を得るための比較も行われた。加工と前処理を含む工程で、目的の物質をどの程度作れるかが検討されている。料理を食べた人の吸収量を測る試験とは、測定の終点が違う。論文の「分解しやすい」を読むときには、何を得るための分解だったかまで見ると意味が定まる。[4]

一方、殻の再利用に関するレビューで扱う微生物発酵は、殻から有用な成分を分離し、食品や飼料などの産業で利用するための技術である。家庭で殻を食べる行為と、発酵工程を経て成分を回収する行為を一続きにしない。資源として利用価値があることと、そのまま口にする量を増やすべきことは別の判断である。[20]

数字で読む殻とキチンの研究

45%、89.7%、93.3%:昆虫から抽出したキチン試料の純度。えび料理の食物繊維含有率ではない。[4]

66%と75%:材料比較で示された昆虫由来とえび由来キチンの結晶化度。食べた量に掛ける栄養の割合ではない。[4]

320羽・21日間:甲殻類の殻由来の市販キチンを調べた雄の肉用鶏の試験。人を追跡した減量試験ではない。[6]

25、50、75g/kg:同じ鶏の試験で飼料に配合したキチンの量。人が夕食で取る目安には転用できない。[6]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約