筋トレの胸は二頭筋の後でも押せる?肘を曲げた疲れとプレス回数を分けて読む

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その日の回数を、筋肉の成長率に変換しない

カール後の胸がいつもより早く止まると、「今日の胸は育たないのでは」と話が飛びやすい。しかし、反復回数をその日に測る実験と、筋力や筋肉の大きさを期間を置いて測る実験は、評価しているものが違う。[3][12] 種目の順番を考えるときにも、何を成果にするかを先に決めたい。

12週間の無作為割付試験では、胸、背中、三頭筋、二頭筋の順と逆順を比べ、運動しない対照群も設けた。運動は週2回で、実施日の間を少なくとも72時間空けていた。どちらの運動群も対照群より筋力が伸びたが、胸の最大筋力の伸びは胸から始めた群で大きかった。[3]

最大筋力とは、ここでは1回だけ挙げられる最大の重さで評価した能力である。背中、三頭筋、二頭筋の筋力は、小さな筋群から始めた群の伸びが大きかった。一方、二頭筋の体積には運動群の間で有意差がなかった。[3] カールの筋力が伸びる順番と、二頭筋の大きさに明確な差が出る順番を、同じ答えにはできない。

この結果からは、胸の最大筋力を特に伸ばしたいなら胸を前へ、カールの筋力を優先したいならカールを前へ、という考え方が導かれる。[3] ただし、同じ試験の中でも、筋力と体積では結果がそろわない。先に行う利益を、そのまま全身の筋肥大に関する万能の法則へ広げないことが肝心だ。

もう一つ、経験のある男性16人を無作為に分けた6週間の試験では、全種目の最大筋力が両群で増えた一方、群間に有意差はなかった。効果量、つまり変化の大きさを表す指標では、胸と背中は大きな筋群から、腕は小さな筋群から始めた群で、伸びが大きい方向だった。男性経験者の結果を18〜39歳の女性の伸び幅にそのまま当てはめることはできず、優先種目を考える材料になる。[4]

「胸を先にしたほうが伸びる傾向」と「胸を先にした群が統計的に明確に勝った」は、異なる表現になる。[4] 先行種目を優先する考えを支持する結果はあるが、試験によって差の明確さは異なる。[3][4] 記録の小さな揺れを見る日にも、この違いを残しておきたい。

期間を追う比較では、運動を続けた後の測定と、その日の疲れた状態の成績も分ける必要がある。12週間の試験は、開始時と終了時の最大筋力を比較し、筋肉の体積も測っている。[3] カール直後の胸の回数を記録することは、その場の条件を知るためである。それだけで長期の変化まで判断せず、伸ばしたい能力を同じ方法で比べる視点を持ちたい。

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二頭筋の測定があっても、原因の証明ではない

研究名や測定項目に「二頭筋」とあるだけで、カールの先行疲労を直接調べた研究と思い込むことにも注意が要る。二頭筋を測ったことと、二頭筋だけを疲れさせたことは同義ではない。[2]

トレーニング経験のある男性12人の無作為な順序による比較では、ベンチプレス、頭上に押すプレス、手幅の狭いベンチプレスの並びを変え、バーベルとスミスマシンを用いた。各条件で負荷量と筋電活動を測っている。筋電活動は、ここでは運動中の筋肉の電気的な活動を捉えた測定で、二頭筋も測定対象に入っていた。対象が男性経験者なので、18〜39歳の女性にも同じ負荷量や活動の変化が生じるかは、この比較だけでは判断できない。[2]

結果として、ベンチプレスの負荷量は、器具の種類にかかわらず種目順序の影響を受けた。また、順番と器具は筋電活動のパターンにも影響していた。[2] ただし、この運動の並びにはカールがない。二頭筋の測定を含む研究でも、「二頭筋を鍛えた後に胸を押す」という問いへの答えとして使える範囲は限られる。

この研究が役立つのは、胸の記録を比べるとき、先行運動と器具を確認する視点である。[2] 前回は最初にバーベル、今回は肩の運動後にマシン、という記録を重さだけで並べると、順番と器具の条件が重なる。胸の重量欄の横に種目名と位置を書くだけでも、比べている場面を説明しやすくなる。

また、筋電活動を測ったという事実だけで、「胸に効いた割合」や「将来どれだけ育つか」を書き足すことはできない。この試験で扱った負荷量と活動のパターンは、その測定として読む。[2] 測定機器が精密でも、読み手が別の質問に答えさせたら、結論のほうがずれてしまう。

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よくある誤解

「二頭筋を先に疲れさせれば、後の胸には必ず刺激が増える」という理解は、これらの比較からは支持されない。順番の後ろに置いた運動では、反復回数が減る結果が出ている。[9][12] ただし、それだけで胸への刺激の優劣を決めるのも飛躍だ。研究が示した回数の変化を、筋肉の成長に直結させない必要がある。[3][12]

「きつさが同じなら、胸も同じ量を行えた」という思い込みにも反例がある。思春期男子の比較では、順番により胸や腕の反復回数が変わっても、主観的なきつさには差がなかった。[9] 感想を捨てる必要はないが、感想だけに回数の代役を任せることはできない。

「小さな筋群はどんな目標でも必ず後に置く」という固定ルールも強すぎる。長期試験では、腕の種目を前にした群で腕の筋力の伸びが大きい結果がある一方、経験者の短い試験では最大筋力の群間差が明確でない結果もあった。[3][4] 体の部位の大小だけでなく、どの記録を優先したいかから順番を選ぶ考え方になる。

ここでの優先順位は、胸か腕のどちらかを捨てるという意味ではない。経験者の試験では、どちらの順番でも全種目の最大筋力が改善している。[4] マシンが空いていない日は、計画どおりでないことと、運動が無価値であることを分けて扱える。

今日からできること

  • 胸を優先する日は、胸の種目をメニューの前へ置く案を考える。12週間の順序比較は、重視する種目を先にする考え方を支持している。ただし、その期間を自分の成果の期限にはしない。[3]
  • 胸の回数はセットごとに残す。3セットを行った上半身比較では、末尾に置いた種目の第3セットで低下が目立った。序盤の手応えだけで胸全体を採点しないための記録になる。[12]
  • カール以外に先行した種目と、胸までの休憩も併記する。競技者の比較では1分と3分などの休憩で胸の総仕事量が異なった。順序を比べるなら休憩条件も一緒に見る。[5]
  • 「きつかった」という感想の隣に、実施した回数を置く。12人の思春期男子の試験では、主観的なきつさに差がなくても胸の反復回数は異なった。数値を自分の予測には使わず、記録の分け方を参考にする。[9]
  • 腕を優先してカールを前へ出す日は、その意図も書く。6週間の経験者試験では、優先した部位で伸びが大きい方向の結果があったが、最大筋力の群間差は有意ではなかった。順番を変えた日だけで長期の優劣を断定しない。[4]

比較用のメモは、次回読み返して条件が分かることが目的である。「胸が弱かった」とだけ残すより、「腕と肩の後、休憩は急いだ、後半の反復が落ちた」と書くほうが、次に何をそろえて比べるかを考えやすい。順序と休憩を変えた研究は、両方を確認する理由になる。[5][12]

腕が張った感覚はその日の感想として残し、胸の成績は胸の重さと反復で見る。胸を先にするか腕を先にするかは、今伸ばしたい種目から考える。[3][4] 空いた器具に合わせた日には、その順番も記録の一部にすればよい。

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参考文献

[2] Effect of exercise order with barbell and machine modalities on upper body volume load and myoelectric activity. — Bezerra ES, Schoenfeld BJ, Paz G, Farias DA, Sakugawa RL, Vieira I, Rossato M, Miranda H., 2020, Sports biomechanics. DOI: 10.1080/14763141.2018.1515980

[3] Influence of exercise order on maximum strength and muscle volume in nonlinear periodized resistance training. — Spineti J, de Salles BF, Rhea MR, Lavigne D, Matta T, Miranda F, Fernandes L, Simão R., 2010, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0b013e3181e2e19b

[4] Influence of exercise order on upper body maximum and submaximal strength gains in trained men. — Assumpção CO, Tibana RA, Viana LC, Willardson JM, Prestes J., 2013, Clinical physiology and functional imaging. DOI: 10.1111/cpf.12036

[5] Interaction effects of different orders of resistance exercises and rest intervals on performances by young athletes. — Cardozo DC, Simão R, de Salles BF, Marinho DA, Garrido ND, Miranda F, Dias I, Willardson JM., 2021, Journal of bodywork and movement therapies. DOI: 10.1016/j.jbmt.2020.12.019

[9] Exercise order influences number of repetitions and lactate levels but not perceived exertion during resistance exercise in adolescents. — Balsamo S, Tibana RA, Nascimento Dda C, Franz CB, Lyons S, Faigenbaum A, Prestes J., 2013, Research in sports medicine (Print). DOI: 10.1080/15438627.2013.825794

[11] The influence of exercise order on blood lactate, perceptual, and affective responses. — Bellezza PA, Hall EE, Miller PC, Bixby WR., 2009, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0b013e3181889156

[12] Influence of exercise order on the number of repetitions performed and perceived exertion during resistance exercises. — Simão R, Farinatti Pde T, Polito MD, Maior AS, Fleck SJ., 2005, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/1533-4287(2005)19<152:ioeoot>2.0.co;2

この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。

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