
長期運動者の低い濃度は、安静時の比較である
中年男性の長期運動者と座位中心の人を比較した研究では、運動者のほうが、手がかりを使って言葉を思い出す記憶課題で良い成績を示した。運動歴は35±15年だった。一方、安静時の血漿カテプシンBは、若年と中年のいずれの運動者群でも低かった。血清の脳由来神経栄養因子も低く、運動時間と両物質の濃度は逆方向に関連していた。若年・中年男性の比較であり、18〜39歳の女性にこの関係をそのまま当てはめるには別の検証が要る。[9]
「運動で増える物質」という紹介だけ読んでいたら、ここでつまずく。だが、この研究が比べたのは、長く運動してきた人の安静時の状態である。短時間運動の直前と直後を比べた試験と、同じ問いではない。運動中に起きる変化と、普段の状態の違いを、同じ物差しに重ねないことが大切だ。[2][9]
さらに、運動者と非運動者を比べた結果は、その人が長年運動してきたことだけの効果を切り出したものではない。記憶の良い成績と低い濃度が同じ集団に見られた事実は読めるが、低い濃度が記憶を良くしたとも結論できない。濃度を上げる説明を、今度は下げる説明へ反転させれば済む話ではないのである。[9]
若い競技者を比べた横断研究も、別の顔を見せる。18〜25歳のフェンシング選手18人、水泳選手18人、座位中心の対照18人を調べたところ、カテプシンBの基礎濃度はフェンシング群で高かった。認知課題では、フェンシング群が一部の作業記憶、言語流暢性、選択的注意で優れていた。競技者の運動後の物質反応も、とくにフェンシング群で大きかった。競技者の結果が、競技経験のない18〜39歳の女性にも当てはまるかは、この比較からは判断できない。[10]
ただし、これは参加者に競技を無作為に割り付けた比較ではない。競技に伴う認知的な要求が関わる可能性はあっても、同じ人が水泳からフェンシングへ替えれば同じ結果になる、という試験ではない。競技名だけを抜き出して記憶向けの順位表を作ると、研究の型を取り違える。[10]
安静時の値、運動後の反応、長期の変化という測定の違いに加え、血清と血漿という試料の違いにも目を向けたい。各研究は同じ呼び名の物質を扱っていても、測定の場面と対象はそろっていない。結果が違ったときは、都合のよい研究を選ぶ前に、何を比べた結果なのかを確認するのが先である。[2][6][9][10][12]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
血液の目印と認知の成果を別々に確かめる
冠動脈疾患のある患者の無作為化試験では、44人を運動負荷の変え方が異なる群へ割り付け、36回の運動を行った。39人が完了し、どちらの群でも認知機能の成績に変化は見られなかった。一方で、脳由来神経栄養因子は増加した。カテプシンBも測定対象に含まれていた研究だが、認知の結果を読む際には、改善しなかった点を省けない。冠動脈疾患のある患者の結果であり、健康な18〜39歳の女性へそのまま当てはめるには対象の違いがある。[5]
この試験では、神経に関わる血中の目印が増加しても、認知課題の改善は確認されなかった。血液の検査値と記憶課題は、別々に評価する必要がある。研究では両方を測る意味があり、読む側も両方の結果を残す必要がある。[5]
一方、この結果を運動一般の認知効果の否定へ広げるのも不適切だ。対象は安定した冠動脈疾患のある人であり、比較したのは運動負荷の変え方である。若い成人の運動と座位安静の比較とは違う。「運動をしたか」と「どんな運動計画だったか」は、研究上の別の問いなのである。[2][5]
機序の研究にも同じ慎重さが要る。人と動物の知見を扱ったレビューでは、運動したマウス由来の血漿を別のマウスへ移す実験が、運動に伴う循環因子の働きを考える手がかりになっている。この動物実験の結果を18〜39歳の女性へ直接適用するには、人での検証が必要だ。動物で経路を探す研究と、人で記憶課題を測る研究は、互いを補うが置き換えはできない。[8]
また、作業記憶が変わらなかったという結果と、日常で何も得られなかったという評価も別である。若い男性の継続試験では、心肺体力の改善が確認されている。認知課題で差が出なかった事実をそのまま残しながら、体力の成果も認められる。運動の価値を記憶の検査だけで決める必要はなく、逆に体力の成果を根拠に記憶の成果まで足す必要もない。[12]
筋肉と脳の連絡には、カテプシンB以外の物質や、血管・免疫・代謝の変化も関わるという見方がある。便りの差出人をひとつに決めれば話は短くなるが、その短さで失われるものも多い。カテプシンBは全体を説明する合言葉ではなく、複数の経路を確かめるための研究対象として受け取るのが妥当だ。[3][8]

よくある誤解
「血中カテプシンBが増えれば記憶が良くなった証拠」という理解は、研究同士の比較に耐えない。増加と認知の変化が関連した試験もあれば、体力が伸びても物質と作業記憶が変わらなかった試験もある。長期運動者の比較では、記憶課題の成績が良い群で安静時濃度が低かった。上がることを合格条件にできないのである。[6][9][12]
「高強度の運動なら、続けるほど記憶の成績も伸びる」という受け取り方も修正が必要だ。若い成人の短時間試験では改善が見られたが、若い男性の継続試験では作業記憶が変わらなかった。異なる条件の試験から、強度や回数を増やせば認知の成果が積み上がるという量の関係は導けない。[2][12]
「記憶に関係する研究だから、ストレスが減ったことも確かだ」という読み方は、測定対象を取り違えている。作業記憶、心的回転、言葉の想起、選択的注意は、そこで実施した課題である。気持ちの軽さを尋ねた結果へ置き換えると、違うものを測ったことになる。運動後に爽快だったという自分の感想は大事にしつつ、それをカテプシンBの増加の証明には使わない。[2][9][10]
認知課題の結果を読むときには、改善した項目だけでなく、変わらなかった項目も並べたい。短時間試験では認知課題と血中物質が変化しても皮質の興奮性は変わらず、継続試験では体力の改善と作業記憶の不変が並んだ。体の複数の側面が違う応答を示すという事実を残したほうが、日常の実感にも無理なくつながる。[2][12]
今日からできること
- 運動の記事を保存するときは、参加者と期間も一緒に残す。「23人の若い成人・23分」と「平均65歳・26週間」では、同じカテプシンBでも結果を使える場面が違う。[2][6]
- 調べた能力の名前を確かめる。作業記憶なのか、言葉を思い出す課題なのかで、結果の意味が変わる。「記憶力全般」という大きな言葉へ急いで広げない。[2][9]
- 予定表へ研究の運動量をそのまま写す前に、比較条件を見る。6週間・18回で体力が伸びても作業記憶は変わらなかった試験があり、回数は記憶改善の保証ではない。[12]
- 日々の記録では、動けた感覚と覚えられた感覚を別に書く。体力と記憶が同じ方向に変わるとは限らないため、片方だけで運動全体を採点しない。[12]
- 「増えた」という見出しには、安静時か運動後かを添えて読み直す。短時間運動後の上昇と、長期運動者の低い安静時濃度は、異なる測定の結果である。[2][9]
研究を生活へ戻すとき、血液の中で起きることを毎回想像して自分を採点する必要はない。むしろ、運動を行ったという記録と、その日に覚えやすかったという感想を混ぜないことから始められる。監督下の試験で測った認知課題の変化と、日常の感覚には距離がある。その距離を残すことが、運動に期待しすぎず続けるための読み方になる。[2][6][12]

オンザショア立川店を予定の中に置く
血中の数字を目標にするより、まず運動の時間を暮らしのどこに置くかを考えたい。オンザショア立川店は、JR立川駅北口から徒歩1分にある溶岩ホットヨガスタジオである。営業時間は全曜日8:00〜23:30、年中無休。通勤や買い物と組み合わせて通う時間を検討する際に、場所と営業時間から予定を組める。通う日の前後の用事も含めて考えられる。
溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングもある。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。研究で行われた運動と各レッスンは区別し、記憶の成績を約束する場ではなく、運動を続ける予定を置く場所として考えたい。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。種目は店のトップページで確認できる。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。料金は料金ページ、体験の申し込みは予約ページで確認できる。
参考文献
[2] Impact of Acute High-intensity Interval Training on Cortical Excitability, M1-related Cognitive Functions, and Myokines: A Randomized Crossover Study — Gökçe E, Adıgüzel E, Koçak ÖK, Kılınç H, Langeard A, Boran E, Cengiz B., 2024, Neuroscience. DOI: 10.1016/j.neuroscience.2024.05.032
[3] Crosstalk between skeletal muscle and the brain during physical activity – in search of epigenetic mechanisms — Boycott C, Kilanczyk E, Zhang HA, Zhang J, Abolhassani A, Kubiak M, Celichowski, 2025, Epigenetics. DOI: 10.1080/15592294.2025.2590237
[5] Effects of variation in exercise training load on cognitive performances and neurotrophic biomarkers in patients with coronary artery disease — Boidin M, Grégoire CA, Gagnon C, Thorin-Trescases N, Thorin E, Nigam A, Juneau M, 2024, Journal of applied physiology (Bethesda, Md. : 1985). DOI: 10.1152/japplphysiol.00636.2023
[6] Effects of Aerobic Exercise Training on Systemic Biomarkers and Cognition in Late Middle-Aged Adults at Risk for Alzheimer’s Disease — Gaitán JM, Moon HY, Stremlau M, Dubal DB, Cook DB, Okonkwo OC, van Praag H., 2021, Frontiers in endocrinology. DOI: 10.3389/fendo.2021.660181
[8] From Treadmill to Textbook: Neurovascular and Immune Mechanisms of Exercise-Induced Cognitive Enhancement — Ascsillán AA, Fustos Z, Ascsillán K., 2026, Restorative neurology and neuroscience. DOI: 10.1177/09226028261492624
[9] Long-term exercise training improves memory in middle-aged men and modulates peripheral levels of BDNF and Cathepsin B — De la Rosa A, Solana E, Corpas R, Bartrés-Faz D, Pallàs M, Vina J, Sanfeliu C, G, 2019, Scientific reports. DOI: 10.1038/s41598-019-40040-8
[10] Comparison of the effects of open- and closed-skill exercise on cognition and peripheral proteins: A cross-sectional study — Gökçe E, Güneş E, Arı F, Hayme S, Nalçacı E., 2021, PloS one. DOI: 10.1371/journal.pone.0251907
[12] No changes in corticospinal excitability, biochemical markers, and working memory after six weeks of high-intensity interval training in sedentary males — Nicolini C, Toepp S, Harasym D, Michalski B, Fahnestock M, Gibala MJ, Nelson AJ., 2019, Physiological reports. DOI: 10.14814/phy2.14140
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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