
痛みのある肩で見られた動きは、ひとつではない
症状がある肩では肩甲骨が動きすぎるのか、それとも動かなすぎるのか。答えを一方向に決めると研究同士が食い違って見える。対象となる状態、測った角度、比較相手を含めると、同じ「肩に問題がある人」という言葉ではまとめられない。[1][19][20]
男性バレーボール選手43人を調べた観察研究では、症状のない17人と回旋筋腱板の腱障害がある26人を比較した。腕を横へ上げる0〜30度の初期区間で、肩甲骨の上方回旋は腱障害群で6.6±2.3度、症状のない群で8.2±1.1度だった。腱障害群のほうが小さいという結果である。男性競技者の比較であり、18〜39歳の女性の日常動作に同じ差が生じるかは別に確かめる必要がある。[20]
同じ研究は、筋活動が始まるタイミングにも着目した。筋電図という筋肉の電気的活動を捉える方法で、僧帽筋や前鋸筋の活動開始を調べている。腱障害のある選手では、僧帽筋上部に対する僧帽筋下部と前鋸筋の活動開始に遅れが示された。また、症状のない選手では、一部の筋肉の活動開始の早さと上方回旋に関連があった。[20]
この結果は、どれだけ動くかに加えて、いつ筋肉が参加するかも肩甲骨の制御に関係することを示唆する。ただし観察研究なので、開始の遅れが腱障害を起こしたと断定はできない。男性の競技者で得られた特徴を、立川でヨガを始める女性全員の肩に当てはめることも避けたい。[20]
別の比較研究では、広範囲の回旋筋腱板断裂がある11人の15肩と、健康な高齢者16人の16肩を調べた。こちらでは、断裂群のほうが低〜中程度の挙上で肩甲骨の上方回旋が大きかった。一方で、後傾と内向きの回転には群間の有意差がなかった。断裂患者と健康な高齢者の比較なので、18〜39歳の女性の通常の挙上動作へそのまま当てはめることはできない。[19]
研究者らは、回旋筋腱板の機能低下による腕を上げる力の不足を、肩甲骨の動きで補っている可能性を示した。これは「肩甲骨がたくさん動けば健康」という読み方を止める結果でもある。動く量の多さには、目的の動作を成立させる補いという意味が含まれる場合がある。[19]
上方回旋が小さい研究と大きい研究は、同じ対象に同じ結果を要求する試験ではない。腱障害のある選手と、広範囲の断裂がある患者では条件が異なる。健康な人と痛みのある人の差に関するメタ分析でも、根拠の確実性は非常に低いと評価された。肩甲骨の動きだけで、原因も状態も一度に決めることは難しい。[1][19][20]
痛みが続く場合や、日常の動作に支障がある場合は医師に相談する。自分の背中がどの研究の群に似ているかを探し、家庭で診断名を付ける必要はない。練習中に痛みを押して角度を再現することも、ここで紹介した比較研究の使い方ではない。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
合図で変わる筋活動と、長期の筋力を区別する
肩甲骨を動かす練習に意味があるとして、意識する合図を添えると何が変わるのか。肩のインピンジメント症状がある、腕を頭上に使う余暇スポーツ参加者41人を対象にした無作為化比較試験が、この問いの一部を扱っている。症状のあるスポーツ参加者の試験であり、18〜39歳の女性が健康な肩で練習する場合に同じ変化が出るかは別の問いである。[3]
参加者は、肩甲骨の向きを意識する群と、筋力練習を行う群に分けられた。どちらも僧帽筋下部と前鋸筋を鍛え、僧帽筋上部が過剰に活動しないようにする3種目からなる30分の練習を行った。向きを意識する群だけが、筋電図の情報を確認するバイオフィードバックと、肩甲骨の動きを意識する合図を受けた。[3]
練習後は両群で、腕を上げるときの肩甲骨の上方回旋、僧帽筋下部と前鋸筋の活動が増加した。さらに、僧帽筋下部の活動は、合図とフィードバックのある群で、ない群より高かった。筋肉の参加の仕方を変えるうえで、動きに関する情報を加える意味が示された結果である。[3]
ここで差があったのは測定された筋活動である。合図があれば肩の筋力が誰でも大きく伸びる、という結論に置き換えてはいけない。研究の対象も、肩に症状があるスポーツ参加者である。家庭で鏡を見ることと、筋電図を使ったフィードバックを受けることを、同じ条件として扱うこともできない。[3]
また、この試験が着目した僧帽筋下部や前鋸筋の活動を、回旋筋腱板そのものの活動と読み替えないことも大切だ。「インナーを意識したら背中が働いた」という体感と、どの筋肉の電気的活動が変わったかという測定は別である。研究の筋名を確かめると、見た目には似た練習でも、評価している担当が違うと分かる。[3][18]
練習を教わる場では、「肩甲骨をどう動かす指示なのか」「何を確認するための合図なのか」を言葉にしておくとよい。とにかく寄せる、ひたすら下げる、といった短い号令だけでは目的が分かりにくい。肩甲骨の上方回旋や筋活動を測った試験を参考にするなら、肩甲骨を動かす方向と対象の筋肉を区別して聞くことが、実際の練習への橋渡しになる。[3]

よくある誤解
「肩甲骨を動かさなければ奥だけを鍛えられる」という考えは、腕の挙上の説明として適切ではない。症状のない人でも肩甲骨は最初から動き、肩甲骨を動かす大きな筋肉が挙上の仕事に参加する。固定できたことだけを、回旋筋腱板に適切な刺激が入った証拠にはできない。[1][18]
「上がる角度が増えれば、肩の中の隙間も広がる」という理解にも注意が必要だ。成人の肩峰と上腕骨の距離を扱った29研究の系統的レビューでは、その距離は姿勢や動作の条件に左右され、腕を上げる間に減少した報告もあった。肩峰とは、この距離を測る際の目印となる肩甲骨の一部である。腕の到達点だけで内部の距離を推測しないほうがよい。成人全般を扱うレビューであり、18〜39歳の女性だけに同じ関係が成り立つかを確定するものではない。[2]
この距離のレビューでは、画像の撮り方や測定の定義にも研究間の違いが大きかった。超音波は比較的安定した再現性を示したが、標準化された手順で取得することが重要とされた。これは測定条件の話であり、家庭の鏡で肩の内部を判定する方法ではない。腕が高く上がる写真を、内部の構造まで良くなった証拠として扱わないことが肝心になる。[2]
「肩甲骨が大きく動けば、肩の働きはよい」という思い込みも残りやすい。広範囲の断裂がある人では、上方回旋の増加が補いの可能性として論じられている。動きの量だけを増やす目標より、対象と動作の条件を確かめることが先である。反対に、動きが小さいことだけで不調を決めるのも、研究で示された個人差を無視してしまう。[1][19]
今日からできること
- 腕を上げる際は、肩甲骨を止めることだけを成功条件にしない。最初から動きに参加するという20研究の統合結果を、観察の前提にする。[1]
- 記録には腕を上げた方向と到達点を添える。0〜30度の初期区間を扱った研究と、150度での肩甲骨の位置を扱った研究では、見ている場面が異なる。[1][20]
- 他人の背中の輪郭を見本にする前に、自分が同じ条件で動いたときの様子を見直す。2.86対1〜3.13対1という推定比率を、毎回の合格値として追わない。[1]
- 練習の合図を受けたら、対象の筋肉と確認したい動きを聞く。41人の試験で増えた筋活動と、自分の長期の筋力変化を区別して記録する。[3]
- 30分の研究課題や3種目という構成を、家庭で守るべき量として写さない。症状のあるスポーツ参加者の試験から得られた数字として扱い、痛みがある場合の練習は医師に相談する。[3]

オンザショア立川店で、練習の予定を生活に置く
肩甲骨を固定できたかだけに目を向けず、腕を動かす練習を続ける場所と時間を考えたい。オンザショア立川店はJR立川駅北口から徒歩1分の溶岩ホットヨガスタジオである。営業時間は全曜日8:00〜23:30、年中無休。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fだ。
溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加えて、常温のヨガやピラティス、パーソナルトレーニングがある。ヨガだけで25種類以上のレッスンを設けている。ここでは、運動を生活の中で続けるための場所として紹介している。
参加する環境も先に確認したい。妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
体験レッスンのヨガは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。
通い方を考える際は、店舗トップと料金を確認し、予定に合う時間を検討できる。体験の予約も、継続する場所を選ぶ入口になる。
参考文献
[1] Scapular kinematics variability in individuals with and without rotator cuff-related shoulder pain: A systematic review with multilevel meta-regression — Fernández-Matías R, Ballesteros-Frutos J, Gallardo-Zamora P, Requejo-Salinas N, , 2025, Brazilian journal of physical therapy. DOI: 10.1016/j.bjpt.2025.101261
[2] Acromiohumeral Distance as a Diagnostic and Prognostic Biomarker for Shoulder Disorders: A Systematic Review-Acromiohumeral Distance and Shoulder Disorders — Arráez-Aybar LA, García-de-Pereda-Notario CM, Palomeque-Del-Cerro L, Montoya-Miñ, 2025, Journal of functional morphology and kinesiology. DOI: 10.3390/jfmk10040478
[3] Scapula-Focused Exercises With or Without Biofeedback and Corticospinal Excitability in Recreational Overhead Athletes With Shoulder Impingement — Luo SL, Shih YF, Lin JJ, Lin YL., 2024, Journal of athletic training. DOI: 10.4085/1062-6050-0066.23
[18] Muscle Contributions to Upper-Extremity Movement and Work From a Musculoskeletal Model of the Human Shoulder — Seth A, Dong M, Matias R, Delp S., 2019, Frontiers in neurorobotics. DOI: 10.3389/fnbot.2019.00090
[19] Three-dimensional Scapular Kinematics During Arm Elevation in Massive Rotator Cuff Tear Patients — Miura Y, Kai Y, Morihara T, Fukushima H, Furukawa R, Sukenari T, Kida N, Nomura , 2017, Progress in rehabilitation medicine. DOI: 10.2490/prm.20170005
[20] Rotator cuff tendinopathy alters the muscle activity onset and kinematics of scapula — Leong HT, Ng GY, Chan SC, Fu SN., 2017, Journal of electromyography and kinesiology : official journal of the International Society of Electrophysiological Kinesiology. DOI: 10.1016/j.jelekin.2017.05.009
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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