ダイエットのそばは黒いほど成分が多い?製粉で分かれる層とルチン量を読む

黒いそばならルチンが多いのか。製粉で分かれる外側の部分と粉の成分を、食品分析とレビューから読み解く。遊離型と結合型で異なる分布、水を加えたときの変化、加熱で粉へ移るルチンを区別し、見た目の色や成分の濃度をそのままダイエット効果に結びつけずに、原料情報を確かめる視点を示す。

そば粉の袋を並べると、白っぽい粉と黒っぽい粉がある。黒い方がルチンも多いのだろうか。だが、写真の濃さだけでルチンの量まで決めるのは早い。ソバの成分は粒の部分によって分布が異なり、製粉や加熱の工程でも変わるからである。[1][10][11]

外側に近い部分にフェノール性成分が集まる傾向は、食品分析とレビューで示されている。ただし、どの成分を、どの形で測るかによって最も多い粉は変わる。ルチンの量、フェノール性成分の合計、麺の色は、それぞれ確かめる対象が異なる。[1][11]

既存記事「そば茶は濃いほどルチンが多い?焙煎と抽出条件で変わる成分を研究で読み分ける」には飲み物への抽出を譲る。ここで追うのは、粒を粉にするときに分かれる部分と、その後に成分が移る道筋である。ダイエットという検索語から来た人にも、まず食材の中身を読むための話として届けたい。

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外側に多い成分でも、殻と粉は同じではない

ルチンは、ソバに含まれるフェノール性成分のうち、フラボノイドと呼ばれる仲間に属する成分である。ソバの成分を整理したレビューは、殻やふすま、粒や粉、芽などの違いを取り上げ、植物の種類と組織によって成分の構成が変わると整理している。「ソバ由来」というだけでは、比較する材料をそろえたことにならない。[1]

製粉を読むときの「画分」とは、加工の過程で分けられた部分を指す言葉である。食品分析研究では、殻を除いたソバから得た全体の粉、淡色の粉、ふすまを含む粉、中間の粉を分けて調べている。殻は製粉前に取り除かれるため、外側にあるものをすべて「麺に入る黒い部分」と考えると、研究の材料と食卓の材料がずれてしまう。[11]

ダッタンソバのふすまを扱ったレビューでは、製粉時に生じるふすまに、ソバ粉より機能性成分が濃縮されていると整理されている。これは副産物を食品素材として活用するうえで意味のある特徴である。ただし、「外側なら何でも同じ割合で多い」という話ではない。ふすまという材料を明示して初めて、粉との比較が成り立つ。[3]

売り場で知りたいのは、麺がどのくらい黒く見えるかだけではなく、どんな原料の粉を使っているかである。研究でいう殻、ふすま、粉の区別を意識すると、説明文の「外側の部分を使用」という表現にも、もう少し具体的な問いを持てる。使った部分の説明と、成分を測った結果は別々に読むのがよい。[3][11]

たとえば「ふすまに成分が多い」という紹介を見たら、まず対象がダッタンソバなのか、別のソバなのかを確かめたい。一般的なソバとダッタンソバには種類や組織による成分差があり、その違いを重視するレビューもある。ある原料で得た結論を、名前が似ているすべての麺に広げないことが出発点になる。[1]

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同じ粉でも、遊離型と結合型で順位が変わる

ソバのフェノール性成分には、遊離した形と、細胞壁に結びついた形がある。前者を遊離型、後者を結合型として区別すると、「成分が多い」という短い言葉の中にも異なる測定対象があることが分かる。成分の取り出し方や分析法による違いを、レビューも重要な論点としている。[1][11]

製粉画分を比較した食品分析研究では、遊離型のフェノール性成分が最も多かったのは、ふすまを含む粉だった。その値は乾物当たり1249.49 mg/kgである。乾物当たりとは、水分を除いた重さを基準にした値である。ゆでた麺の重さをそのまま当てはめて、食べた量を計算するための数字ではない。[11]

ところが、結合型のフェノール性成分で最も多かったのは中間の粉で、乾物当たり704.47 mg/kgだった。ふすまを含む粉は689.81 mg/kgである。遊離型と結合型では、最も多い材料が異なった。同じ研究の中でも、測る形を変えると比較の結果が変わる。[11]

この研究で多く見られた遊離型の成分にはルチンが含まれ、結合型ではカテキンとエピカテキンが多かった。つまり、遊離型フェノール性成分の合計を、ルチンだけの量として扱うこともできない。「ポリフェノールが多い」という説明を見たら、総量なのか、特定の成分なのかを読み分ける必要がある。[11]

ここで黒い麺の写真に戻ると、色から判断しようとしていた対象が少し曖昧だったことに気づく。知りたかったのはルチンなのか、フェノール性成分全体なのか。それとも食事としての満足なのか。前者の比較には成分名と分析結果が必要であり、遊離型と結合型を区別した研究は、その問いを細かくする手がかりになる。[1][11]

食品の数字は、細かければ正しい判断になるわけでもない。1249.49という値の小数点まで覚えるより、「ふすまを含む粉の、遊離型の合計を、乾物基準で測った」と理解する方が大切だ。その条件を外したまま別の麺に数字を貼ると、精密な数字で不正確な比較をすることになる。[11]

加熱すると、ルチンの多い場所が動く

外側に成分が多いという分布は、加工前の状態を説明する手がかりである。加工によって、その分布は動く。ダッタンソバの粒を蒸す、ゆでる、加圧加熱する処理を比べた食品実験では、ふすまから粉へルチンが移ることが調べられている。[10]

未処理の材料を殻、ふすま、粉に分けたとき、ルチンが最も多かったのはふすまだった。一方、水と熱を加えた処理の後には粉のルチン量が増え、加圧加熱した試料では、粉のルチン量がふすまを上回った。加工前の順位と加工後の順位は、ここで逆転している。[10]

この研究では、粉のルチン量が色の明度や黄色みを示す測定値、加熱時の粘度や熱的な性質と関連していた。色と成分が無関係という意味ではない。条件をそろえた実験材料では、色の数値と成分量が一緒に動く関係を調べられる。ただし、その関係を売り場のすべての麺へ持ち出すには、同じ材料と工程を確かめる必要がある。[10]

研究室での色の測定と、食堂の写真を見比べることは同じ作業ではない。研究で関連が示されたのは、処理条件を定めたダッタンソバ粉である。「この実験では色と関連した」という結論は使えても、「店先で黒く見えた麺ほどルチンが多い」という採点表にはならない。[10]

食べ手にとって加工は、成分を失うだけの工程にも、増やすだけの工程にも見えやすい。ソバのフェノール性成分を扱うレビューでは、加熱や物理的な処理が結合した成分の放出を促す場合も、分解や材料との結合を進める場合もあると整理されている。何をしたかだけでなく、何がどこへ移ったかまで読むと、加工の意味が変わる。[1]

この加工実験は、ルチンだけを取り出して測った話でもない。電子顕微鏡による観察では、もともと丸い形で集まっていたソバのでんぷん粒が、水と熱の処理によって壊れる様子が示された。粉そのものの構造も変化していたのである。成分が移った結果を読むときには、その成分を囲んでいた材料にも変化があると考える必要がある。[10]

粉の粘度や加熱時の性質とルチン量との関連を調べた点も、食品を作る側には意味を持つ。成分の濃度と粉の使い心地は、併せて評価する項目だからだ。この研究は、成分、色、でんぷんの構造、加熱時の性質を組み合わせて材料を評価している。食べ手が「粉」とひとまとめに呼ぶものにも、加工で動く性質が重なっている。[10]

また、レビューは成分を遊離型か結合型かに分けるだけでなく、水などに溶ける画分と、溶けずに残る結合画分にも目を向けている。分析値を比べる際には、どこまで取り出した数字かという条件がある。異なる研究の値を並べるなら、成分名が同じことに加え、測定する範囲がそろっているかを見る必要がある。[1]

数字で読む製粉画分の成分

遊離型1249.49 mg/kg:ふすまを含む粉で最も多かったフェノール性成分の合計。乾物基準である。[11]

結合型704.47 mg/kg:中間の粉で測られた値。遊離型とは最多の画分が異なる。[11]

結合型689.81 mg/kg:ふすまを含む粉の値。外側に近い粉だけが最大ではなかった。[11]

2019年の加工実験:未処理ではふすま、加圧加熱後には粉のルチン量がより高いという分布の変化が示された。[10]

2023年のレビュー:ダッタンソバのふすまは、粉より機能性成分が濃縮された食品素材として整理された。[3]

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宮川涼 Founder

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