
記録の推奨と、診療での使われ方には隔たりがある
日本の産婦人科医を対象にした2023年の横断調査は、この日記がいつも診療に持ち込まれているわけではないことを示している。調査は2021年に行われ、1,312人が回答した。回答者の96.6%が日常的なPMSや月経前不快気分障害の診療に携わり、一般的な診断手順について84.4%が漠然とした問診のみ、8.4%が2周期の症状日記を用いると答えた。[11]
回答率は調査対象の7.8%だった。したがって8.4%という数字は、回答した医師の手順についての割合であり、日本の女性のうち何人が日記を付けているかという割合ではない。また、問診のみという回答から、個々の診療が適切かどうかを一律に判定することもできない。横断調査で見えるのは回答時点の実践である。[11]
この違いを知ると、日記を持っていないことを受診の失格条件にする必要はないと考えられる。症状が生活に影響しているなら、記録が完成するまで相談を先送りせず、今ある情報で医師に話す。医師に相談してから、何をどの形式で記録するかを決める進め方もある。研究で使う観察期間と、相談してよい時期を混同しない。
日記を持参するときも、紙の厚さを成果にしない。「始まりが分からない」「月経後も続くように感じる」「仕事の日に困る」と、知りたい問いを添える。症状のない期間があるか、日常生活にどんな支障があるかという点は、レビューが述べる評価の要素とつながる。診断そのものは医師の判断を仰ぐ。[2][7]
月経前の症状研究の歴史をたどった論考では、国や時代によって診断や治療の考え方が変化し、1980年代以降には前向きの日々の質問票で国際的な標準化が試みられたとされる。一方で、研究用の基準を診療へ移すことには難しさもあった。日記は人の経験を同じ形式で見比べる道具だが、その人の話を不要にする道具ではない。[18]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
軽かった月には、変えたことも並べて残す
書き始めた月に症状が軽かったら、日記のおかげだろうか。新しく運動を始めた月なら、運動の効果だろうか。前後で変わったという事実と、何が変化を起こしたかという判断を分けたい。ここでは「PMSの運動効果は記憶だけで比べる?毎日の記録と振り返りのずれを読み解く」に運動効果の比較を譲り、自分の記録に何を書けるかに話を戻す。
認知療法という、考え方や受け止め方を扱う心理的治療のランダム化比較試験では、選択基準を満たすPMSの女性を、すぐに治療を受ける群と待機群に分けた。対象者の周期後半の身体・感情の症状は、事前の2か月の前向き日記で確認された。治療群は週ごとの個別セッションを12回受け、待機群も同程度の期間、症状を記録した。対象は選択基準を満たしたPMSの女性であり、18〜39歳の女性全体に改善の程度をそのまま当てはめることはできない。[6]
この試験では治療群のほうが待機群より改善し、日記と質問票で心理的・身体的症状や生活上の支障の大幅な軽快が報告された。著者らは、その改善を時間の経過や日記などの評価の実施だけでは説明できないとしている。比較で確かめたのは認知療法を加えた場合の違いである。日記は両群で経過を捉える役割を担っていた。[6]
別の多施設二重盲検ランダム化比較試験では、中等度から重度の周期的な月経前症状を対象に、カルシウム群とプラセボ群を比べた。登録497人のうち466人が有効性解析の対象になった。治療の3周期目には総症状点数が開始時から48%低下したのに対し、プラセボ群でも30%低下していた。[9]
プラセボは比較のために用いる、試験する有効成分を含まない対照である。この結果を、むくみの体積が48%減ったという意味に変えることはできない。主要な評価は複数症状からなる総合点であり、水分貯留は評価された因子のひとつだった。また、プラセボ群の変化すべてを日記の効果と呼ぶこともできない。[9]
自分の日記でも、「今月は軽かった」は大切な観察として残してよい。その横に「運動を始めた」と書くこともできる。ただし、並んだ出来事を直ちに原因と結果に変えない。記録は結論を急ぐためでなく、次に何を確かめたいかを見つける材料になる。日記は診断や治療の代用にはならず、治療や薬の変更は医師に相談する。

よくある誤解
「月末に思い出した評価は全部間違いだ」という決めつけは要らない。毎日の評価を重視するレビューが支えるのは、月経前から月経後にかけた時間関係を確認する方法である。記憶が常に症状を大きくする、あるいは小さくするという向きまで決めて読まない。月末の印象は印象として残し、始まりや終わりの日付は当日の記録と照らし合わせる。[2][7]
たとえば月末には「長く続いた」と感じ、日々の欄では気にならなかった日が間にあるかもしれない。このとき、月末の言葉を消す必要も、空白の日へ症状を書き足す必要もない。印象の欄と経過の欄に別々に残せばよい。どちらかを勝者にする作業に変えると、本来知りたかった「いつ、どの場面で困ったか」が後ろへ下がってしまう。
「生理が来たら、むくみは必ずその日に終わる」という読み方も急ぎすぎである。2003年のレビューで示されるのは、月経前に症状があり月経の4日目までに軽快するという診断上の時間関係だ。月経開始と症状の軽快は同じ欄にまとめず、別々に日付を残すほうが、その関係を確かめやすい。軽快した日にも「靴は普段どおり」「張りは少し残る」と、その日の言葉を残せる。[7]
「点数が高いほど体内の水分が多い」という扱いにも注意する。17症状からなる評価では、気分や食への欲求、痛みも総合点に含まれる。総合点の上下を身体の水分量へ換算するのでなく、何の項目が変わったかを見る必要がある。家で書く「重い」「張る」という言葉も、その人が感じた症状の記録として扱う。[9]
「症状がない日は書かなくてよい」とすると、経過の比較相手が抜けてしまう。レビューは症状のない期間も確認している。気にならなかった日はその事実を短く残し、未記入の日とは区別したい。カレンダーが白いという見た目だけでは、その違いが読めないからだ。[2][7]
今日からできること
- 2か月の日々の評価が診断で用いられることを踏まえ、つらい日だけでなく、気にならない日も残す。帰宅時や就寝前など、暮らしの区切りを記入のきっかけにする。[2]
- 少なくとも2周期の時間関係を見るという考え方を借り、月経の日付と症状の日付を別々に記す。月末の総評は、日々の欄とは別の場所に置く。[7]
- 17症状を4因子に分けた試験のように、「全部不調」とまとめず、身体の張り、気分、食への欲求、痛みを区別する。同じ見出しを使い、翌日も同じ項目を探せるようにする。[9]
- 2周期の前向き評価で生活への支障も調べられたことを参考に、仕事・学校・家事・運動の予定をどう変えたかを短く添える。原因名より実際の出来事を書く。[19]
- 12回の認知療法と記録を続ける待機群を比べた試験のように、経過と取り組みを並べて残す。軽快した月にも、変えた予定や始めたことを日付に添える。[6]
書く場所は手帳でもスマートフォンのメモでもよい。ここで提案したいのは、道具を増やすことより、後から読んだ自分が迷わない見出しにすることだ。「当日の感覚」「予定の変更」「後からの振り返り」を見分けられるようにする。帰りの電車で書いた言葉が、翌月の自分に通じれば、そのメモには役目がある。
読み返すときも、まず当日書いた言葉をそのまま読む。「生理前だったはず」と考えて過去の記録に理由を足すなら、元の文を残したうえで別の注記にする。月末の自分が当日の自分の代筆をしないためだ。書き忘れた日は、何が起きたか分からない日として残せる。記録の整い方より、どこまでが観察でどこからが推測かを見分けたい。
医師に伝えるときには、「いつからいつまでを知りたい」と問いを短く添えると、メモの目的が明確になる。身体の感覚を気分のせいにしたり、生活上の支障を本人の頑張りで片付けたりせず、それぞれの欄を見てもらう。月経周期の説明に無理に納めるのでなく、残った疑問ごと相談に持っていけばよい。

オンザショア立川店を、予定を組むための場所に
当日の感覚を書き留める日にも、通う場所の条件は先に確認できる。オンザショア立川店の営業時間は8:00〜23:30で、全曜日同じ、年中無休である。朝と仕事帰りのどちらを予定に入れるか、暮らしの時間から考えるための情報だ。
店舗は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分にある。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガやピラティスもある。ヨガのレッスンは25種類以上。場所、時間、種目を確認し、自分の予定に入れる場として検討できる。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加条件を確認したうえで、ヨガの体験レッスンは税込1,980円。60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。
店の案内で場所や種目を、料金ページで通う条件を確認できる。体験の予約も用意されている。続ける予定を具体化するときに、こうした条件を手元のカレンダーと並べたい。
参考文献
[2] [PMS and PMDD] — Leminen H, Paavonen J. / 年: 2013 / 誌名: Duodecim; laaketieteellinen aikakauskirja / 被引用: 3. DOI: なし
[6] Cognitive therapy for premenstrual syndrome: a controlled trial — Blake F, Salkovskis P, Gath D, Day A, Garrod A. / 年: 1998 / 誌名: Journal of psychosomatic research / 被引用: 73. DOI: 10.1016/s0022-3999(98)00042-7
[7] A review of treatment of premenstrual syndrome and premenstrual dysphoric disorder — Rapkin A. / 年: 2003 / 誌名: Psychoneuroendocrinology / 被引用: 93. DOI: 10.1016/s0306-4530(03)00096-9
[9] Calcium carbonate and the premenstrual syndrome: effects on premenstrual and menstrual symptoms. Premenstrual Syndrome Study Group — Thys-Jacobs S, Starkey P, Bernstein D, Tian J. / 年: 1998 / 誌名: American journal of obstetrics and gynecology / 被引用: 144. DOI: 10.1016/s0002-9378(98)70377-1
[11] Current status and problems in the diagnosis and treatment of premenstrual syndrome and premenstrual dysphoric disorder from the perspective of obstetricians and gynecologists in Japan — Yoshimi K, Inoue F, Odai T, Shirato N, Watanabe Z, Otsubo T, Terauchi M, Takeda / 年: 2023 / 誌名: The journal of obstetrics and gynaecology research / 被引用: 14. DOI: 10.1111/jog.15618
[18] The biomedical standardization of premenstrual syndrome — Knaapen L, Weisz G. / 年: 2008 / 誌名: Studies in history and philosophy of biological and biomedical sciences / 被引用: 19. DOI: 10.1016/j.shpsc.2007.12.009
[19] A prospective assessment investigating the relationship between work productivity and impairment with premenstrual syndrome — Dean BB, Borenstein JE. / 年: 2004 / 誌名: Journal of occupational and environmental medicine / 被引用: 45. DOI: 10.1097/01.jom.0000131796.62115.84
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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