有酸素運動と筋トレの脂肪燃焼は息で測れる?強い運動後の数値を読む条件

筋トレの後に有酸素運動をすると脂肪が燃える、という話を呼吸の測定から考える。運動中と回復中の数値、脂肪の利用量と消費エネルギー、短時間の変化と体脂肪の減少を区別し、小規模試験と研究レビューを手がかりに、強い運動後の数字で順番の優劣を急いで決めない読み方を示す。

スクワットを終えて、まだ息が弾んでいる。ここから歩けば、脂肪がいつもより燃えるのだろうか。「筋トレを先に」という助言の根拠に出てくる呼吸の数字は、何を測った数字なのか。

呼吸を使って運動のエネルギー消費や脂肪の利用を調べることはできる。ただし筋トレでは、呼吸だけで全体を捉えることに限界がある。研究を整理したレビューは、運動中と直後の測定に加えて血中乳酸の測定を組み合わせる必要性を指摘している。息の数値だけを取り出して、脂肪燃焼に有利な順番を決めるのは早い。[1]

筋トレ後に脂肪利用が増えた小規模試験もある。その結果は興味深いが、回復中の短い時間の比較であり、有酸素運動との順番競争でも、長期間の体脂肪の比較でもない。何を、いつ、誰で測ったかをそろえると、数字の使い道が見えてくる。[16]

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息で測る方法にも、得意な場面がある

運動のエネルギー消費を、呼吸ガスから推定する方法が間接熱量測定である。実際の筋トレ研究では、マスクで呼気を集めて酸素消費を調べる方法が用いられている。呼吸交換比もこうした測定で記録する指標であり、筋トレと自転車運動を比べた試験では、消費エネルギーや心拍数と並べて測られている。[6][20]

ここで大切なのは、機器から出る数値をすべて同じ意味で読まないことだ。酸素消費、呼吸交換比、推定した消費エネルギーは、同じ測定の場面に並んでいても、置き換え可能な成績ではない。自転車とスクワットの試験では、消費エネルギーが大きい条件と、呼吸交換比が高い条件が一致しなかった。[20]

筋トレは、重りを動かしている時間と休む時間を行き来する。研究の整理でも、無酸素性の代謝が大きく関わるため、エネルギー消費の定量が難しいとされている。呼吸を測ったこと自体が問題なのではなく、その方法が捉えやすい部分と、別の測定が必要な部分を分ける必要がある。[1]

系統的なスコーピングレビューは、対象領域の研究と測定法を広く見渡す研究である。このレビューには166件が含まれ、間接熱量測定を使った研究は136件だった。多く使われている方法ではあるが、研究間の消費エネルギーの報告値は大きくばらついていた。「よく使われる」と「どんな運動でも数字をそのまま比べられる」は別の話である。[1]

さらに、運動後の消費を測った研究は76件だった。筋トレの数字を見るときには、動作中だけの集計か、セット間の休みを含むか、終了後も追ったかを確かめたい。運動の名前が同じでも、観察する時間が違えば、集計しているものも違う。研究の結果を日常へ移す前に、まず時計の範囲を合わせるのである。[1]

呼吸だけでは捉えにくい部分として、レビューが挙げるのは解糖系の寄与である。これはエネルギー供給の経路の一つであり、著者らはその把握を補うために血中乳酸を併せて測る案を示している。乳酸の数字さえあれば脂肪利用が直接分かる、という話ではない。総消費を推定するために、異なる測定の役割を組み合わせるという提案である。[1]

この違いは、複数の運動を続ける日の記事を読む際にも役立つ。筋トレ中の推定値、有酸素運動中の推定値、終了後の回復中の値が並んでいたら、まずそれぞれの測定区間を区切って読む。レビューが運動後の測定の有無まで整理したのも、筋トレの評価を動作中だけに閉じ込めないための手がかりとなる。計算結果の細かい桁より、どこからどこまで測ったかが先である。[1]

研究室の方法を、そのまま毎回の運動へ持ち出す必要もない。レビューは、機器の扱いや専門的な技術が必要で、装置が特定の筋トレ動作を制限するため、研究室の外での間接熱量測定は実用的とは言いにくいと述べている。呼吸の数値を持たずに運動しているからといって、筋力や運動を続けた記録も、成果を確かめる手がかりになる。測定の便利さと、目的に合うかどうかを分けて考えたい。[1][18]

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同じ心拍でも、燃料の使い方は別に測る

訓練経験のある男性10人を対象としたクロスオーバー試験では、同じ参加者が別の条件を経験し、30分間のスクワットと自転車運動を比較した。スクワットは最大挙上重量の70%で断続的に、自転車は最大酸素摂取量の70%で連続的に行った。時間と相対的な強さをそろえる意図のある比較だが、運動の進み方は異なる。対象が男性の訓練者であるため、18〜39歳の女性の日常的な運動へ数値をそのまま当てはめることはできない。[20]

測定された消費エネルギーは、自転車441±17 kcalに対してスクワット269±13 kcalだった。一方、平均呼吸交換比はスクワット1.03±0.01、自転車0.94±0.01であり、スクワットのほうが高かった。これらは平均値と標準誤差である。呼吸交換比が高いほうが消費エネルギーも多い、という並びにはならなかった。[20]

心拍数は両条件で160拍/分程度とほぼ同じだったが、主観的なきつさはスクワットのほうが高かった。息の数字、心拍、きつさ、消費エネルギーが、それぞれ違う方向を向くことがある。「つらかったから脂肪をたくさん使った」と感じても、つらさだけではその答えにならない。[20]

帰りの立川駅の階段で脚が重い日にも、つい運動の点数をつけたくなる。だがこの試験から借りられるのは、身体の感覚と測定項目を区別する視点である。男性の訓練者を対象とした特定の負荷の結果を、女性のヨガや散歩の消費量へそのまま転記することではない。[20]

また、ここで行われたのは運動種目の比較であり、筋トレの後に自転車を行う条件と、その逆順を競わせた比較ではない。呼吸交換比の差があっても、その差を順番の証拠に作り替えることはできない。研究の表に並ぶ運動名と、自分が知りたい問いの組み合わせが一致しているかが先である。[20]

筋トレ中に高い数値、休み中に高い数値

強い運動を終えた直後の数字を読むには、「運動の最中」と「その後」を切り離さない工夫が要る。活動的な男性12人の試験では、スクワットの持ち上げる動作と下ろす動作を分け、さらにその並べ方を変えて呼吸を測った。持ち上げるのは筋肉が短くなりながら力を出す動作、下ろすのは伸ばされながら力を出す動作である。男性を対象とした結果であり、18〜39歳の女性でも同じ代謝応答になるかは別に検証が必要だ。[6]

交互に組み合わせる条件では、持ち上げから下ろしへ進む並びの運動中の代謝率の増加が、逆の並びより大きかった。酸素消費の単位で示すと0.60±0.11対0.44±0.07 L/分である。ところが、その後の2分間の休みでは順序が逆転し、下ろしから持ち上げへ進んだ条件のほうが高かった。値は0.46±0.09対0.25±0.05 L/分だった。[6]

これは、有酸素運動と筋トレをどちらから始めるかの試験ではない。同じ筋トレの中でも、動作の組み合わせと観察する時間帯で見える代謝応答が変わった例である。運動中だけのグラフを見て「こちらが上」、休みだけを見て「逆が上」と言えば、どちらも全体を切り落とすことになる。[6]

運動後に安静時を超えて酸素を消費する現象は、運動後過剰酸素消費と呼ばれる。この試験では、持ち上げる動作だけの条件は、下ろす動作だけの条件より運動中もその後も代謝率が高かった。一方、交互条件の中では前述のように時間帯による逆転があった。種目名だけで回復中の数字を予想しない理由がここにある。[6]

したがって、「運動後も消費が続く」という表現を読むときも、何が続いたのかを確かめたい。酸素消費が高いこと、脂肪の利用が高いこと、体脂肪が減ることは、それぞれ別に確認する問いである。この動作順序の試験が示すのは代謝応答の時間的な違いであり、それだけで脂肪燃焼に最適な組み合わせを決める材料にはならない。[6]

数字で読む呼吸測定の範囲

166件:筋トレの消費エネルギー測定を整理したレビューの採用研究数である。[1]

136件:そのうち間接熱量測定を用いた研究数。使用頻度の高さと測定の限界は両立する。[1]

1.03対0.94:スクワットと自転車の平均呼吸交換比。対象は訓練経験のある男性10人だった。[20]

45分:筋トレ後の脂肪酸化を呼吸から調べた小規模試験の測定時間である。[16]

10.2対5.0 g/時:同試験の筋トレ後と運動しない日の脂肪酸化速度。長期の脂肪減少量ではない。[16]

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宮川涼 Founder

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