
匂いの種類とホルモンの相関をどう読むか
匂いの種類が違えば、周期との関係も同じとは限らない。排卵の時期と月経の時期を比べた研究では、揮発しにくいエステル類の匂いで敏感さに有意な変化が見られた一方、より揮発しやすい別のエステルでは同じ変化がなかった。揮発とは、物質が気体になって広がることである。[9]
研究者は、匂い分子が鼻の粘液を通って受容体に届く過程を、説明の候補として挙げている。鼻の粘液が分子の到達に関わるという考えであり、脳の働きや食欲だけに話を閉じない視点である。ただし、提案された仕組みと確定した仕組みは区別する必要がある。[9]
この結果からも、「匂いに敏感な日」という言葉には幅がある。自宅の煮物、外食の焼き物、飲み物の香りを、すべて同じ条件の刺激とは扱えない。実験で使った特定の物質への反応を、そのまま街の料理の匂い全般に広げるのは慎重でありたい。日常では匂いの名前や場面を添えて記録する理由がここにある。[7][9]
ホルモンについても、「一緒に上下する」と「それが原因で上下する」は違う。哺乳類の匂いに導かれる行動を扱ったレビューは、ラットやマウスなどの動物とヒトの知見を取り上げている。動物の行動を18〜39歳の女性の食生活にそのまま当てはめることはできず、ここではレビュー中の女性の嗅覚についての知見に絞る。[1]女性では嗅覚の敏感さと血中エストラジオールに相関があっても、経口避妊薬でそのホルモンの周期変動を弱めた際にも嗅覚の変動が残る点を示している。[1]
繰り返し測定の研究でも、経口避妊薬を使う群では、嗅覚指標の変動と血中ホルモン量に相関がなく、性腺ホルモン以外の要因が関わる可能性が示された。一方、別の前向き研究は、匂いの閾値が卵巣のステロイドホルモンの変化や経口避妊薬の作用に依存する可能性を述べている。研究間で解釈もそろっていないのである。[5][10]
したがって、料理の匂いが気になる日を「エストロゲンが高い日」と自己判定する道具にはできない。まして、感覚を調整する目的で薬の使い方を変える話ではない。ホルモンと嗅覚の研究を読むことと、個人の服薬の判断は分け、薬に関する相談は医師にする必要がある。[1][5][10]
周期の区切り方自体も重要である。月経周期のデータをまとめる方法を検討した研究は、個々の周期の違いを調整し、周期の段階を慎重に確かめずに分類すると誤った結論に至りうると指摘している。カレンダー上で同じ日だから、研究でも同じ生理的な段階とは限らないという注意である。[13]
これは、自宅で複雑な測定をするよう求める話ではない。「生理前」という広いラベルで過去の体験を束ねすぎないための注意である。月経との位置関係を記したうえで、その日の具体的な匂いと反応を残す。研究の周期分類に伴う問題を知ると、日常の記録も断定を避けたメモとして使いやすくなる。[13]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
食品の好みから実際の食事へは距離がある
食品への好みを調べたポーランドの観察研究では、18〜75歳の女性190人に質問し、嗅覚を測定した。18〜39歳の女性に全体の結果をそのまま当てはめられるかは、この広い年齢構成に注意して考える必要がある。食品の画像を提示して評価してもらい、年齢、体格指数、喫煙、月経周期の段階、ホルモン避妊の使用との関係を調べている。食事を変えさせて結果を見る試験ではない。[2]
この研究で、調べた要因との関係が見られたのは24種類の食品のうち6種類だった。排卵期の女性では、卵胞期、黄体期、ホルモン避妊を使う女性と比べ、飴やジェリービーンズから得る喜びの評価が低かった。卵胞期では、ほかの周期段階などよりパスタの評価が低いという結果もあった。食品ごとに違いを読む必要がある。[2]
年齢の幅にも目を向けたい。この観察研究には幅広い年代の女性が含まれ、周期だけでなく喫煙や体格なども調べている。参加者全体の食品ランキングを、自分の周期の変化として読むことはできない。果物や甘いデザートが好まれたという集団全体の結果と、周期の段階別の比較は別の問いへの答えである。[2]
また、同じ女性を周期内で繰り返し調べた実験と、女性たちの特徴と食品評価の関係を調べる観察研究では、比べている単位が異なる。前者は同じ参加者の時期による違いを追い、後者は個人の特徴の違いとの関連を扱う。その違いを保ったまま読むことで、「自分も来月は必ず同じ好みに変わる」という予測への飛躍を防げる。[2][4]
嗅覚との関係については、匂いを名付ける能力が高い女性で、ソーセージやハム、牛肉や豚肉の好みが強いという関連が見られた。この結果で測っているのは食品への好みである。匂いを名付ける能力と、薄い匂いの検知の能力も、同じ言葉で置き換えないほうがよい。[2][4]
食品の画像を見て好ましいと評価することは、実際の夕食の量を測ることとも異なる。この研究自体も、申告された食べる喜びが健康状態にどうつながるかを確かめるには、食品の摂取に関するさらなる研究が必要だとしている。写真のパスタは評価を待ってくれるが、仕事帰りの献立には買い物という用事もある。[2]
食事を考えるときは、食品名だけでなく、どう出されると食べやすいかまで具体化したい。焼いている間の香りはつらいが、食卓に運ばれれば食べられるのか。煮物の香り全体が苦手なのか、特定の具材だけなのか。同じ料理名でも困る場面が違えば、相談する内容も変わる。食品ごとの差を調べた研究は、食事を一括りにせず見る視点を与える。[2][9]
香りの強い献立が負担になる日は、その料理だけを別の食べやすい料理に替える、調理中は換気して少し離れる、盛り付けを調理場所から離れた所で行う、といった工夫を候補にできる。これらは月経周期の嗅覚を改善すると試験で確認された方法ではなく、目の前の不快さに合わせて食事環境を調整する案である。食事そのものを抜くのではなく、食べられる形を探すことを目的にする。
家族と同じ献立を食べる場合も、「生理前だから全部無理」と伝えるより、「炒めているときの香りがつらいので、できあがるまで別の部屋にいたい」と伝えるほうが頼みたいことが具体的になる。外食なら、注文前に料理の香りが気になるかを確かめ、食べやすいものを選ぶ。周期の予想に合わせて献立を縛るより、その食事の場面で負担になる条件を調整したい。
口の中の甘さをどう感じるかは、既存記事「生理中のダイエットは甘さの感じ方も変わる?食欲と味覚の敏感さを読み分ける」に譲る。周期全体の食欲と体重の話は「月経周期とダイエットの科学 食欲が増える日と体重が動く朝をどう読めばよいか」の問いである。ここで追っているのは、口に入れる前の匂いの経験と、食べたい気持ちの間にある距離である。

よくある誤解
「生理前は必ず鼻が敏感になる」という理解は強すぎる。黄体期中期に嗅覚の総合得点が高かった研究はあるが、閾値では卵胞期や排卵周辺が黄体期より敏感だった研究もある。敏感さに有意差を認めなかった実験も並べると、全員に共通する単純な周期表を作ることはできない。[4][5][7]
「匂いが不快なのは、薄い匂いまで検知できるから」という理解も、測定の違いを見落としている。若い健康な女性14人の実験では、敏感さに有意な周期の影響がなくても、特定の匂いへの快さには周期との関係が出た。鼻の能力と匂いへの感想は、別々に変わるものとして扱いたい。[7]
「周期の段階は日付だけで正確に決まる」という理解にも注意が要る。周期のデータをまとめる方法の研究では、段階を慎重に確かめずに分類すると誤った結論につながると指摘されている。日常の予定表は、月経との位置関係を振り返る目安として使える。[13]
今日からできること
研究では、14人の実験で敏感さと快さを分け、17人の実験で食品への欲求と実際の摂取を分けている。[4][7] 次の工夫は、この区別を生活に応用する案であり、減量効果を示す手順ではない。
- 調理の匂いがつらい日は換気し、煮炊きしている場所から離れて過ごす。家族に頼めるなら、調理や盛り付けの担当を相談する。
- 香りの強い料理が負担なら、その料理を食べやすい別の献立に替える。食材を一律に禁止するより、その日の香りの好みに合わせて選ぶ。
- 食卓に着く前に、調理中の匂いがつらいのか、目の前の料理の匂いがつらいのかを確かめる。気になる皿の置き場所を変えるなど、困る場面に合わせて調整する。
- 月経との位置関係とともに、料理名、気になった場面、変更して食べやすかったことを短く残す。次の献立や家族への頼み方に使う。
- 匂いへの不快感が続いて食事が取れない、生活に支障があるときは医師に相談する。受診時には、食べられるものと困る場面を具体的に伝える。

オンザショアで、生活に置ける時間を探す
匂いが気になる日の食事を調整するように、運動もその日の負担を考えながら続ける予定を立てたい。オンザショア立川店は営業時間が8:00〜23:30、年中無休。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fで、JR立川駅北口から徒歩1分にある。仕事や買い物のある日の予定にも照らして、続ける場所として検討できる。駅からの距離と営業時間を、自分が運動の時間を置ける条件として見ておきたい。
溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガに加え、常温のヨガとピラティスもある。ヨガのレッスンは25種類以上である。ほかに女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングを扱う。選択肢や料金は店舗の案内と料金ページで確認できる。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスン、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。体験の予約から申し込める。通う仕組みを選ぶときにも、自分の健康状態と予定を先に置きたい。
参考文献
- Odor-guided behavior in mammals — Doty RL., 1986, Experientia. DOI: 10.1007/bf01942506
- Individual characteristics, including olfactory efficiency, age, body mass index, smoking and the sex hormones status, and food preferences of women in Poland — Hartman-Petrycka M, Witkoś J, Lebiedowska A, Błońska-Fajfrowska B., 2022, PeerJ. DOI: 10.7717/peerj.13538
- Greater overall olfactory performance, explicit wanting for high fat foods and lipid intake during the mid-luteal phase of the menstrual cycle — McNeil J, Cameron JD, Finlayson G, Blundell JE, Doucet É., 2013, Physiology & behavior. DOI: 10.1016/j.physbeh.2013.02.008
- A prospective study evidencing rhinomanometric and olfactometric outcomes in women taking oral contraceptives — Caruso S, Grillo C, Agnello C, Maiolino L, Intelisano G, Serra A., 2001, Human reproduction (Oxford, England). DOI: 10.1093/humrep/16.11.2288
- Changes in olfactory perception during the menstrual cycle — Hummel T, Gollisch R, Wildt G, Kobal G., 1991, Experientia. DOI: 10.1007/bf01958823
- Olfactory sensitivity during the menstrual cycle — Mair RG, Bouffard JA, Engen T, Morton TH., 1978, Sensory processes. DOI: なし
- Endocrine, cardiovascular, and psychological correlated of olfactory sensitivity changes during the human menstrual cycle — Doty RL, Snyder PJ, Huggins GR, Lowry LD., 1981, Journal of comparative and physiological psychology. DOI: 10.1037/h0077755
- A procedure for combining menstrual cycle data — Doty RL., 1979, The Journal of clinical endocrinology and metabolism. DOI: 10.1210/jcem-48-6-912
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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