
水中歩行の深さを泳ぐメニューへ直結させない
水深に注目した研究でも、何をしている時の結果かは必ず確認したい。健康な男性9人を対象とした研究では、膝から胸骨の下端までの4段階の浸水深と、0.2〜0.8 m/秒の4段階の歩行速度で、移動にかかるエネルギー費用が測定された。これは水中歩行を調べた研究であり、速い泳ぎの反復を試した研究ではない。男性9人の結果が18〜39歳の女性にそのまま当てはまるかは、別の検証を要する。[14]
移動のエネルギー費用が最小になったのは、腰の深さで速度が0.2 m/秒の条件だった。また、速度と費用の関係がJ字形になったのは膝の深さだけだった。[14] 「深さが違っても、同じような速度で最も経済的に動ける」とは限らない。足を底につけて動く場合でも、水深と速度を組み合わせて見る必要がある。
一方、自分で選んだ速度で歩く時には、単位時間当たりに使うエネルギーは深さをまたいで比較的一定だった。[14] ここは読み飛ばしたくない点である。移動距離当たりの費用と、時間当たりの消費は別の見方だ。同じ「効率」という言葉でも、どちらを数えたかで意味が変わる。距離を稼げた日と、長く動いた日を同じ欄で評価しないためのヒントになる。
この研究は、体の重心付近を境とする深さ以上では、水中歩行より水泳の方が経済的になることも示している。[14] ただし、それを「胸までのプールなら速く泳ぐべきだ」という処方に変えることはできない。経済性は、ある距離を移動するエネルギーの話であり、その人の泳力や練習の目的を丸ごと決める指標ではない。
プールのレッスン名だけを比べると、この区別は消えやすい。底に足をつけて動く時間が多いのか、浮いて進む時間が多いのか。水深による歩行の費用を読む研究と、水平姿勢で呼吸を測る研究は、違う問いに答えている。[2][14] 自分のメニューを選ぶ時も、まず動作を具体的にしてから、関係のある結果を当てはめたい。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
陸上HIITの反復回数を競泳研究から借りない
水泳のHIITメニューを探すと、速い泳ぎと休息を組み合わせる形に目が向く。しかし、反復の形が似ていても、対象者と目的が違えば、そのまま借りる根拠にはならない。競泳のトレーニングに関するレビューは、広い検索で見つかった比較介入研究17件を整理し、そのうち9件が無作為化比較試験だったと報告している。対象は競泳選手であり、18〜39歳の女性一般にそのまま当てはめられるかは、競技経験や目的の違いを踏まえた検証が必要だ。[10]
レビューに含まれたのは、水中の速い泳ぎだけではない。陸での筋力トレーニング、抵抗を加えた泳ぎ、脚だけの泳ぎ、呼吸筋の練習など、多様な方法である。大きな練習量が、強度の高い少ない量よりも競泳成績で直ちに有利になるとは判断できないことも述べられているが、対象の多くは自由形だった。[10] この範囲から、一般成人に共通する水泳HIITの正解を作るのは早い。
ここで、運動中の反応と練習後の成果を分けたい。心拍がどこまで上がったかはその場の反応であり、競泳のタイムが改善したかは練習の成果である。レビューが扱う競泳成績と、比較試験で測られた運動中の心拍は別の結果だ。[2][10] 心拍の高さを競えば、泳ぐ技術や練習を続ける条件まで自動的に良くなるという結論は導けない。
たとえば前回より同じ泳ぎを落ち着いて終えられたと感じた時、心拍が低かったことだけで練習不足と決める必要はない。先に、水深や泳法、測った場面がそろっていたかを確認する。そのうえで、速さや動作の変化も別に見る。これは研究で確立された採点法ではなく、生理反応と競技成績を混同しないための振り返り方である。[2][10][14]
水泳の経験が少ない段階では、研究中の選手がこなした運動の名前より、自分が何を再現できるかを指導者と相談する方が話を具体化しやすい。水中の呼吸には水平姿勢と水圧の条件が重なる。[2] メニューの相談でも、心拍の希望値を先に渡すより、どの泳ぎで、どの場面で息がきつくなったかを伝える方が、今回扱った研究の区別を保てる。
競泳レビューを読む時には、研究の数だけで安心しないことも必要だ。著者らは検索範囲を広く取った一方、条件を満たす研究が少なかったこと、自由形が中心だったことを述べている。[10] 研究があるという事実と、自分が選ぶ泳法や経験に近いということは別である。水泳に慣れた人の成績改善を読む時ほど、その結果が誰の何を測ったかへ戻りたい。
陸のレッスンに持ち込む記録を整理するなら、まず水への浸かり方を説明するレビュー、次に泳ぐ時の呼吸を測った比較試験、そして深さを変えた歩行研究を分けて読む。それぞれが循環、呼吸、移動の費用を担当している。[1][2][14] 別々の結果をつなぐ際も、心拍を何拍にすべきかという新しい結論まで作らない。研究を生活へ移すことと、研究になかった目標値を作ることの間には境界がある。

よくある誤解
「水深が深いほど運動が軽くなる」。これは浮力だけを取り出した見方である。水中歩行の研究では、浮力と水の抵抗の組み合わせによって、深さごとのエネルギー費用と速度の関係が変わった。[14] 胸まで浸かった運動を、膝までの運動の単なる軽量版として記録しない方がよい。深さは負荷を一方向に調整するつまみではない。
「心拍が低ければ呼吸も楽なはずだ」。大学水泳選手の比較では、水泳の最高心拍が低い一方、同じ換気量での吸気の仕事は自転車より大きかった。[2] 少なくともこの試験では、その思い込みは否定された。息のきつさを気持ちの問題に片づけたり、時計の値に合わせて無理に速さを上げたりする前に、泳ぐ時の呼吸の条件を考えたい。
「水泳での心拍は陸の値から一定数引けばよい」。紹介した比較試験の平均値の差は、その参加者と試験条件で得られた結果である。[2] さらに水中のレビューは、水温によっても心拍や血流分布が影響されると説明している。[1] 平均の差を、どのプールでも誰にでも使える補正式として扱うことはできない。数字の引き算は簡単でも、条件の引き算はできない。
同じ理由で、競泳研究の成功例から初心者の休息や反復回数を抜き出すことも控えたい。競泳のレビューで示されたのは、限られた比較研究における特定の練習と成績の関係である。[10] 泳力、目的、運動の条件を置いたまま回数だけ移しても、自分に合うメニューになったとは判断できない。
今日からできること
- 記録欄に水面の位置を書く。膝から胸骨の下端まで4段階を分けた歩行研究にならい、「深い・浅い」だけで済ませず、自分の体のどこまで浸かっていたかを残す。[14]
- 歩く時間と泳ぐ時間を分けて書く。9人の水中歩行の結果を、水平姿勢で泳ぐ際の負荷へ直接置き換えないための工夫である。[2][14]
- 心拍を見る場面をそろえる。8人の比較試験で測られた運動中の値と、泳ぎ終えてから自分が確認する値を混ぜず、どの場面の数字かを記す。[2]
- 息のきつさを心拍と別に残す。水泳の最高心拍164±19拍/分という値は初心者の目標ではなく、吸う仕事との違いを考えるための研究結果として読む。[2]
- 陸上HIITの相談では、水泳の記録であることと今回の目的を先に伝える。17件を整理した競泳のレビューでも方法は多様であり、成功例の回数だけを陸のメニューに移さない。[10]
次回比べたいのは、時計の大きい数字だけではない。同じ場所で、同じ体の向きで、同じように呼吸しながら動けたか。水圧による循環の変化、泳ぐ時の吸気の仕事、歩行の深さごとの費用は、それぞれ別の研究で確かめられている。[1][2][14] 条件を言葉にできれば、「今日は心拍が低かった」という記録に、次に相談するための中身が生まれる。

オンザショア立川店で、陸の運動を選ぶ前に
泳いだ日の心拍を達成目標として持ち込む前に、陸ではどの運動を続けたいかを考えたい。オンザショア立川店には女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングがある。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガとピラティスも扱い、ヨガだけで25種類以上のレッスンから選べる。
医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分。営業時間は全曜日8:00〜23:30で、年中無休である。運動を続ける場所として、生活のどこに通う時間を置けるかを検討したい。選ぶ際は、やってみたい種目と通える時刻を並べて考えると、次に確かめることが具体的になる。
内容は店舗サイトと料金で確認できる。ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。体験予約はヨガを試したい時の入口となる。今回扱った水中運動の研究は、当店のレッスンでの目標心拍や効果を示すものではない。
参考文献
[1] Human Physiology in an Aquatic Environment — Pendergast DR, Moon RE, Krasney JJ, Held HE, Zamparo P., 2015, Comprehensive Physiology. DOI: 10.1002/cphy.c140018
[2] The Mechanics of Breathing during Swimming — Leahy MG, Summers MN, Peters CM, Molgat-Seon Y, Geary CM, Sheel AW., 2019, Medicine and science in sports and exercise. DOI: 10.1249/mss.0000000000001902
[10] Exercise-training intervention studies in competitive swimming — Aspenes ST, Karlsen T., 2012, Sports medicine (Auckland, N.Z.). DOI: 10.2165/11630760-000000000-00000
[14] An in-depth look at shallow-water walking: the mechanical determinants of the energy metabolic cost of shallow water walking in humans — Ivaniski-Mello A, Minetti AE, Martinez FG, Peyré-Tartaruga LA., 2025, Pflugers Archiv : European journal of physiology. DOI: 10.1007/s00424-025-03130-3
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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