オートミールのマフィンは果物でしっとりする?焼いた日と保存後の硬さを読む

オートミールのマフィンに果物を混ぜれば、翌日も軟らかいのか。バナナ入りケーキやオーツ配合生地の研究から、水分を保つ力と硬さ、保存中の変化を分けて読む。研究で使われた配合を家庭のレシピにそのまま移せない理由と、焼いた日と後日を比べる記録の取り方を考える。

バナナを混ぜたマフィンが、焼いた晩にはしっとり、翌朝には噛みごたえのある食感になった。果物を増やすべきか、粉の配合を変えるべきか。出勤前の台所で考えたいのは、果物の名前より、焼いた直後の食感と時間がたってからの変化をどう見分けるかである。

水を保つ力と、出来上がった菓子の軟らかさは別の性質だ。オーツ粉を加えた蒸しケーキの実験では、水分を保つ性質が向上すると同時に硬さも増した。バナナとオーツ粉のケーキでも、別の繊維原料を増やすと硬さが増している。果物入りという表示だけでは、口当たりも保存後の硬さも決まらない。[9][18]

「オートミールのダイエット用パンは発酵で変わる?繊維の量と長さ、粘りを読む」が扱う発酵パンの問いはそちらに譲る。ここではマフィンを作る場面から、果物を含む生地、水の保たれ方、保存中の食感を読む。蒸し菓子や酵母を使うケーキの結果は、家庭の焼きマフィンへの手掛かりとして、製品の違いを残して扱う。

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バナナ入りでも、ほかの材料で硬さが変わる

果物入りの菓子に近い研究として、Silvaらはオーツ粉とバナナのケーキに、サトウキビの搾りかすを加える食品実験を行った。添加量は固形分100g当たり3gまたは6gである。繊維原料の濃度が高くなるにつれてケーキの硬さは増したが、そのことは官能評価での受け入れを妨げなかった。高い方の配合では食物繊維量も多かった。[18]

この比較で変えた材料はバナナではなく、サトウキビ由来の原料である。したがって、バナナを増やしたときの効果を測った実験としては読めない。読み取れるのは、バナナを含むケーキでも、ほかの配合が変われば硬さが変わるということだ。果物が入っていることと、全体の食感が決まることの間には距離がある。[18]

さらに、硬さの増加と好ましさの低下は同じではなかった。測定機器で押したときの硬さと、人が食べて受け入れられるかを別々に評価した点が、この研究の面白さである。軟らかさの順位だけで、おやつとしての順位を決める必要はない。少し噛みごたえがある方を好むかどうかは、数値だけでは代わりに答えられない。[18]

家庭で記録をつけるなら、「硬かった」の横に「食べにくかったのか」「好みだったのか」を別の欄で残す方法がある。これは実験結果から考えた比較の工夫であり、研究の配合を再現する処方ではない。バナナを足す前に、自分が直したい点が水分感なのか、押した硬さなのか、口に残る感じなのかを言葉にしておきたい。

今回の問いを果物全般へ広げすぎないことも大切だ。バナナ入りケーキの結果を、そのままりんごやベリーを使うマフィンの結果と呼ぶことはできない。果物ごとの違いは、その果物を使った比較で確かめる必要がある。実際に試した食品と、自分が作る食品を分けておく方が、台所で迷う場所がはっきりする。[18]

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水を保つ力と、押したときの硬さは違う

Weiらの食品実験では、サツマイモのペーストとオーツ粉を混ぜた生地を蒸しケーキにした。オーツ粉の添加量はサツマイモの乾燥重量に対して5〜25%である。保水性、すなわち水分を保つ性質や、生地の流れ方・変形の仕方、加熱時の性質などを調べている。果物の試験ではないが、水分を含むペーストとオーツ粉を組み合わせた比較として参考になる。[9]

オーツ粉の添加によって保水性などは改善した。一方、完成した蒸しケーキでは硬さだけでなく、弾力、まとまり、噛みごたえなどの測定値も有意に増えた。水を保つ生地になったことと、押すと軟らかい菓子になったことは同義ではない。この結果は「水分が残れば硬くならない」という単純な読み方への、具体的な反例になる。[9]

結果が最もよくなる配合も、何を測るかで違った。保水性や生地の流動・変形の性質、たんぱく質の安定性は25%の配合で最大だったが、内部構造や気体を保つ力などは20%が最もよかった。研究者が推した範囲は20〜25%である。ただし、これはサツマイモの乾燥重量を基準にした、この蒸し菓子の配合の話だ。[9]

家庭のレシピにある「粉の何割」と、研究の「サツマイモ乾燥重量に対する割合」は、分母が異なる。同じ割合らしい数字が目に入っても、どの材料の何に対する量かを先に確かめる必要がある。研究の割合だけを取り出して、生の果物を含む材料全体の割合へ読み替えることはできない。[9]

「しっとり」という言葉を使うときも、何を指すのかを少し具体的にしたい。押すと軟らかいのか、噛んだときにまとまるのか、水分感があるのか。それぞれを同じ言葉に入れてしまうと、配合変更の目的がぼやける。研究が保水性と硬さを別に測ったように、家庭の感想も分けてみると、果物を増やしたい理由を整理しやすい。[9]

水と繊維は組み合わせで考える

Karpらは、オーツ由来のβグルカンを使ったグルテンを含まない酵母発酵ケーキで、水とβグルカンの量を組み合わせて調べた。βグルカンはここで構造を作る材料として使われた成分である。実験計画に基づいて配合を変え、内部構造や物性に加え、消費者がどの程度好むかも評価した食品開発の研究だった。[17]

この系で最適化された水とβグルカンの量は、それぞれ66.12%と2.63%だった。大切なのは、この細かい数字を家庭のボウルへ写すことではなく、水だけでも繊維だけでもなく、両方を変数として扱っていた点である。配合を調整した結果、食感、体積、受け入れの面でよい結果を得た、と研究は報告している。[17]

使われたのは抽出した高純度のβグルカンで、純度はおよそ85%だった。普段使うオートミールの全重量を、そのままこの成分の重量と見なすことはできない。抽出成分を使う実験と、穀物そのものを使う調理は材料の段階から違う。同じオーツ由来という共通点だけで、必要な水の量まで一致すると考えるのは飛躍である。[17]

家庭でこの考え方を借りるなら、配合表を材料ごとの記録として残すところからでよい。果物を変える日に、卵や油や粉の配合まで一緒に変えてしまうと、何を確かめたかったかが見えにくい。まず今のレシピを基準として書き、次に変更する点を決める。これは最適配合を保証する方法ではなく、試した結果を読み違えにくくするための段取りだ。

また、焼くマフィンと酵母発酵ケーキは同じ製品ではない。この研究で得られた軟らかさや体積の結果を、バナナ入りマフィンの出来上がりとして約束することはできない。それでも、水と繊維を別々の善玉として足すのでなく、組み合わせて評価する視点は残る。数値を借りる前に、問いの立て方を借りるのである。[17]

研究の数字を読むとき、保水性が最大だった配合と、内部構造が最もよかった配合を混同しないようにしたい。保水性を目標に選んだ比率と、内部構造を目標に選んだ比率は異なっていた。サツマイモを土台にした実験の中だけでも評価は分かれた。まして果物入りの焼き菓子へ移すなら、何をよくしたいかを先に言葉にする必要がある。[9]

たとえば、通勤かばんに入れるマフィンについて考えるなら、記録したい場面は食べる直前である。焼いた日の皿の上での印象だけでなく、いつ食べたものをどう感じたかを残す。昼休みに食べたいのに、毎回オーブンから出した直後の感想だけを比べていては、確かめたい問いと観察する場面がずれてしまう。

果物の量を増やす試作と、水の量を変える試作は、同じ問いに見えても操作が違う。まず変更の内容を名前で書いておけば、あとから「水分を増やしたから成功した」と理由を決めつけずに済む。配合と水を組み合わせて評価した研究は、出来上がりを材料の印象だけで予想しないための見本になる。[17]

数字で読むオーツ入り生地

固形分100g当たり3gと6g:バナナとオーツ粉のケーキで比較した繊維原料の添加量である。[18]

5〜25%:サツマイモの乾燥重量を基準にした、オーツ粉をこの範囲で加えて比較した。[9]

66.12%と2.63%:酵母発酵ケーキの実験系で最適化された、水とβグルカンの量である。[17]

24時間:別の酵母発酵ケーキ研究で、保存後の食感変化の加速が認められた時点である。安全に保存できる期限を意味しない。[20]

20%:発酵米粉ケーキの試験で、全体の受け入れ評価が最も高かったオーツ粉置換率である。[13]

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宮川涼 Founder

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