朝の抹茶は泡立てると味が変わる?甘さと苦さを泡の量だけで決めない読み方

朝の抹茶を泡立てると、苦さが和らいだように感じることがある。けれど、泡が多いほど甘くなるとは限らない。抹茶の成分と泡立ちを調べた実験、茶飲料の香りや苦味を評価した研究から、泡のできやすさと残りやすさ、飲んだ感想を分け、朝の一杯を比べるときにそろえたい条件を考える。

茶筅を持ち上げると、抹茶の表面に細かな泡が広がる。泡の隙間に緑の液面が見える一杯と、表面を泡が覆う一杯。ところが口にすると、苦さまで違う気がする。茶筅の動かし方が味を変えたのか、それとも泡の見た目を気に入ったのか。

朝の抹茶は、泡立ちに関わる成分が複数あり、泡の量だけから甘さや苦さを決めることはできない。抹茶を対象にした食品実験では、カテキン、アミノ酸、ペクチン、可溶性たんぱく質、脂質などが泡の形成に関わっていた。一方、それは泡を増やしたときの甘味の増加率を示す結果ではない。[13]

ここで考えるのは、朝の一杯の飲みやすさをどう比べるかである。既存記事「食欲を抑える飲み物は泡立てると違う?同じ材料の体積と満腹感を研究で読む」が扱う食欲や満腹感の問いはそちらに譲り、泡ができる性質と、飲んだときの香り・苦味の評価を分けて見ていく。

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泡立ちがよい抹茶と、甘く感じる抹茶は同じ問いか

泡が立つかどうかを調べる実験と、飲んだ人が味をどう評価するかを調べる実験では、答えを出すためのものさしが違う。抹茶の研究では、種類や等級の異なる試料について、泡の観察や成分分析を組み合わせていた。そこで測る泡の性質を、そのまま人の甘味の点数として読むことはできない。[13]

この違いは朝の台所でも役に立つ。「泡がよく立った」と「おいしかった」を別々に書いてみるのだ。よく立った日に好みの味だったとしても、その感想だけで、泡が甘さを生んだという説明まで進まない。観察したことと理由として考えたことを分けるだけで、次に試したい条件が見えてくる。

別の飲料で得られた結果は、抹茶の点て方とは区別して読む必要がある。ジャスミン茶抽出物を使ったビールの研究は、苦味や香りを担うホップを別の原料に替えた製造実験だ。抹茶の泡を増減させた比較として扱うと、研究で実際に行った操作を取り違える。[1]

朝の抹茶を比べるなら、まず何を知りたいかを小さくする。「泡が好きか」なら見た目も含めた感想でよい。「泡立てる操作で苦さが変わるか」なら、使う抹茶や湯の条件もそろえたい。おいしいという感想を疑うためではない。自分の好みを、翌朝にも試せる言葉にするためである。

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抹茶の泡には、原料の成分も関わる

抹茶の泡の形成を調べた研究は、種類や等級の異なる9種類の抹茶を対象にした食品の物性・成分実験である。物性とは、ここでは泡のでき方など、食品の物理的な性質を指す。泡の走査観察、粒子の性質の測定、生化学的な分析を用い、原料と泡立ちの関係を調べている。[13]

研究では、酸性・アルカリ性の程度を表すpHが約6.0という条件に加え、カテキンの一種であるEGCG、バリンなどのアミノ酸、ペクチン、可溶性たんぱく質、脂質が泡の形成を促す要素として挙げられた。成分同士が組み合わさることや、分子間の結びつきが泡立ちに関与していた。[13]

ここで注目したいのは、成分の名前が多いことそのものではない。泡を茶筅の速さだけで説明しない視点だ。昨日と違う抹茶を開けた朝に泡が立ちにくくても、その原因を自分の手際だけに置く必要はない。原料の違いも見直すという考え方は、抹茶ごとの組成と泡の性質を調べた結果に沿っている。[13]

同じ研究では、EGCGが泡のできやすさに大きく影響し、その倍率は1.89倍と報告された。アミノ酸は主に泡の安定化に関わった。ただし、この倍率が指すのは実験での泡の形成であり、飲みやすさが同じ倍率で増したという意味ではない。成分の働きを味の改善率に置き換えないことが大切だ。[13]

研究のpHを見て、朝の抹茶を自分で酸性に調整する必要もない。ここでは材料と泡の関係を理解するための実験条件として読む。家庭で役立つのは、抹茶を替えた日にはそのことを覚えておく、という程度の工夫である。台所のメモに、分子の名前を全部並べる必要はない。

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できやすい泡と、残りやすい泡を分ける

茶を6つのカテゴリーで比較した研究では、泡のできやすさと安定性の順位が一致しなかった。泡のできやすさが最も高かったのは白茶で56.28%、泡の安定性が最も高かったのは紅茶で84.01%だった。緑茶は両方が最も低く、それぞれ10.83%、54.24%と報告されている。[20]

泡のできやすさと安定性は、同じ「泡がよい」という言葉にまとめたくなる。しかし、この比較では別々の性質として測られている。できた直後の様子を気にするのか、置いた後も残ることを気にするのかで、見るべき結果が変わる。研究の数字を読むときにも、まず何を測った割合なのかを確認したい。[20]

朝の場面に移せば、茶筅を置いた直後に飲む日と、身支度を挟んでから飲む日を区別するということだ。毎回細かく計時しなくても、「すぐ飲んだ」「少し置いた」を分けて記録できる。泡を比べたいのに、片方はできたて、片方は玄関で鍵を探した後では、同じ場面を見ていない。

この茶カテゴリーの実験では、比較的低い脂質量や酸性のpHが良好な泡の性質に関わると説明された。一方、抹茶の実験では脂質を含む複数の成分が泡の形成に関与していた。異なる試料の結果から、脂質は常に多いほどよい、あるいは少ないほどよいという単純な規則にはできない。[13][20]

さらに、茶カテゴリーの比較では、茶サポニン量と泡の性質に有意な相関が見つからなかった。特定のアミノ酸やカテキンが候補として挙げられている。泡の理由をひとつの成分で片づけたくなるが、この実験結果は、少なくともサポニンの量だけでは説明し切れないことを示す。[20]

ビールの原料置換と、抹茶の泡立てを区別する

ジャスミン茶抽出物の研究では、ビールの製造工程でホップを茶抽出物に置き換えた。対象は抹茶を飲む人の朝食習慣ではなく、原料を変更したビールである。食品の成分分析と、人が香りや味を評価する官能評価を組み合わせ、泡の安定性は比較対象の1.52倍になった。[1]

官能評価では、花を思わせる香りや爽やかな香りが強まり、苦味が減ったと報告された。同時に、ポリフェノールや有機酸の量が増え、苦味に関わる酸類などの風味成分も異なっていた。つまり、泡の安定性の変化と苦味の変化は、材料や成分の変化を伴って起きている。[1]

この研究を「茶を泡立てると苦くなくなる」と言い換えると、置き換えた原料の話が消えてしまう。このビール研究で比較したのはホップと茶抽出物であり、抹茶の微粉末を湯に混ぜて泡立てる操作とは出発点が違う。抹茶の食品実験では、粒子の性質を測り、成分同士の複合体形成、水になじみにくい部分同士の相互作用、分子間の水素結合を泡立ちに関わる仕組みとして検討している。ホップの置換による風味の変化と、抹茶内の成分の結びつきは、別々の実験結果である。[1][13]

抹茶の粉を替えたうえで、湯も少なめにして、いつもより長く泡立てたとする。好みの味になったことは喜んでよい。ただ、次の朝に再現したいなら、変更した条件を分けて考える方が実用的だ。「もっと混ぜる」だけを覚えるより、どの材料をどう使ったかを残す方が、やり直しやすい。

成分を測ることと、人が飲んで評価することを組み合わせるときにも、結果の対応は慎重に見たい。ビールの研究では、主要な香り成分としてリナロールが挙がった一方、それ以外の風味成分には大きな違いがあった。共通する香り成分があることだけでは、飲み物全体の味が同じになるとは判断できない。[13][1]

たとえば、朝のメモに「香りは好きだったが、苦味は気になった」と残しても矛盾ではない。全体の好みをひと言で決める前に、どこを気に入ったかを書けるからだ。次に同じ条件で飲んだとき、香りへの感想は変わらず、苦味の感想だけ違ったなら、その違いも消さずに置いておく。感想を無理にそろえる必要はない。

数字で読む抹茶と茶の泡

9種類:抹茶の種類や等級を変え、泡と組成の関係を調べた実験の対象である。[13]

1.89倍:抹茶の実験で報告された、EGCGの泡のできやすさへの影響であり、甘味の倍率ではない。[13]

56.28%:茶カテゴリー比較で、白茶が示した最も高い泡のできやすさの値である。[20]

84.01%:同じ比較で、紅茶が示した最も高い泡の安定性の値である。[20]

1.52倍:ジャスミン茶抽出物を使ったビールでの泡の安定性であり、抹茶の苦味の低下率ではない。[1]

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宮川涼 Founder

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