朝のソイプロテインは、開封して日が経つほど消化が悪くなるのか。大豆たんぱく質を酸化させた実験では、分解が落ちた条件と、ゲルや低温プラズマで消化率が上がった条件が並ぶ。開封日だけでは決めず、粉末と加熱とマウスの餌を分け、今朝の一杯をどの数字で見るかを整理する。
袋のジッパーに、開封日のテープが半分剥がれている。月曜の朝、髪が湿ったままソイプロテインをすくうと、粉が小さな塊になってスプーンに残る。開封日を数え直し、今朝もこの粉を使ってよいのかと手が止まる。
古いほど消化が悪いのか。矢印は一本にまとまらない。酸化剤で前処理した分離大豆たんぱく質は消化酵素で分解されにくくなり、消化物の中で遊離した必須アミノ酸は最大16.6%少なかった。[15] 脂質の酸化で作ったゲルでは、適度な酸化が未処理より消化を進めた。[16] 低温プラズマで酸化させた分離大豆たんぱく質では、30 kV・6分の条件で試験管内の消化率が4.78%改善している。[10]
飲み続けた人の体が消化に慣れるかは「女性のソイプロテインは飲み慣れると消化が変わる?継続期間と適応を分けて読む」に譲る。保存中の酸素と品質の一般は「女性のプロテインは酸素でも品質が変わる?保存中の酸化と消化の違いを研究で読む」に譲る。朝の必須アミノ酸を食事の代わりにする問いは「朝のEAAはたんぱく質の代わりになる?朝食に足す試験と置き換える判断の違い」、飲むか噛むかの胃の移動は「朝のたんぱく質は飲むか噛むかで違う?同じ成分でも胃と血液は別々に読む」に譲る。ここでは、酸化の起こし方で消化の向きがどう割れたかを読む。

開封日のカレンダーと、実験の酸化は目盛りが違う
分離大豆たんぱく質は、大豆からたんぱく質を分けた素材である。朝の袋の中身がこれに近いことはあっても、実験でかけた処理と、家庭での保存は区別する必要がある。Chenらはこの素材を酸化剤で前処理し、試験管内の消化を見た。大半のアミノ酸の量は減り、消化酵素による分解を受けにくくなった。[15]
Jiらは、脂質が酸化してできるマロンジアルデヒドを同じ素材と反応させた。室温で触れ合わせた時点で試験管内の消化性は損なわれ、その後に温度と時間を上げると悪影響は強まった。[6] 室温という言葉だけを抜き出すと、加えた物質が消える。台所の棚の温度と、反応物を足した実験の温度は、数字が似ていても仕事が違う。
Duque-Estradaらは、市販の大豆たんぱく質原料を100〜140℃でせん断し、形のある食品にした。原料の段階ですでに酸化しており、表面の疎水性と加水分解の速度は、加工した塊より原料のほうが高かった。[14] 熱を加えたあとのほうが、胃を模した分解が遅かった、という並びである。
開封日のテープが答えられるのは、その袋をいつ開けたかまでだ。酸化剤の前処理、マロンジアルデヒドの添加、100℃を超えるせん断は、カレンダーのマスには書き込めない。[6][14][15] 立川駅北口の改札で時計を見ても、粉が受けた反応は出てこない。朝の効果として検索した先でも、時刻の話と素材の処理の話は別の棚に置く。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
胃の酵素では残った塊も、膵臓の酵素では消化された
酸化でたんぱく質どうしが集まると、凝集体ができる。Chenらの実験では、その凝集体は胃で働くペプシンでは分解されず、膵臓由来の酵素の混合物であるパンクレアチンでは消化された。[15] 胃の段階で残りやすいことと、消化の過程の先でもアミノ酸が遊離しないことは、この結果の中では別々に起きている。
同じ実験で、大半のアミノ酸の量そのものが減っていた。消化のされにくさは、酵素が切る相手の形だけの話ではない。材料側のアミノ酸が、酸化で修飾されて量を変えていた。[15] 袋に印字された「たんぱく質何グラム」が、その朝に何グラム消えた、という読み方にはまだ届かない。
消化のあと、鎖から離れて遊離した必須アミノ酸は最大16.6%、遊離した全アミノ酸は最大14.6%少なかった。[15] 対象は消化物である。減少の「最大」は、試した酸化の条件のうち端の大きな値であって、毎朝食その割合が欠ける係数ではない。スプーンを16.6%増やす計算は、この数字の席を変えてしまう。
消化物の抗酸化の働きも落ちた。酸素ラジカルを吸収する能力と、DPPHラジカルを消す反応の両方で、酸化した素材の消化物は弱いほうへ動いた。[15] 測っているのは、酵素で処理した試料の化学反応である。飲んだ人の体調を、この二つの反応の低下から診断する検査ではない。食後に胃が重い朝があっても、原因の名前を酸化一つに決める材料には、この試験管はなっていない。
中央線の車内で「胃で溶けない粉」と覚えるなら、半分だけ持って帰るほうが実験に近い。ペプシンでは切れなかった塊が、パンクレアチンでは消化されている。[15] 胃の前半だけを朝の結論にすると、実験が分けた後半が消える。

胃の分解を動かしていたのは、塊の構造と酵素の触れる面積
形のある大豆食品を作る工程には、高い温度がよく入る。Duque-Estradaらは、その温度がたんぱく質の酸化を招き、消化酵素で切れにくくなりうる、という問題から出発した。試料は100〜140℃でせん断し、酸の取り込み、カルボニル、電気泳動、表面の疎水性、模擬の胃での加水分解を測っている。[14]
結果は、出発点の心配を一本の比例にしない。原料はすでに酸化していて、加工して塊にした試料より、表面が疎水的で、加水分解も速かった。[14] カルボニルは酸化の跡として測られたが、その量と加水分解の速度の間に明確な相関は見いだせなかった。[14]
研究の結論は、胃の消化を主に動かすのは、食品の構造と成分、そして基質とタンパク質分解酵素が触れ合う面積だ、というものである。[14] 酸化のスタンプが濃いほど消化が悪い、という定規は、この加工の実験では成り立たなかった。
シェーカーの底に残る粒を見て、カルボニルの濃さを想像するのは早い。実験が溶かし残りの見た目を消化の代理にはしていない。見ていたのは、塊の中で酵素がどれだけ表面に会えるかである。[14] 粉末の酸化剤処理で分解が落ちた結果と、このせん断の結果を一つの「熱は悪」に束ねると、原料のほうが速く分解された事実が落ちる。[14][15]
朝の一杯を温かい牛乳で割るか、水で割るかは、このせん断実験の温度ではない。100〜140℃は、食品に構造を与える加工の範囲として読む。[14] 台所の火加減へ縮める前に、原料と加工後の塊のどちらが速く分解されたかを残しておく。
適度に酸化したゲルは、未処理より消化が進んだ
Zhaoらは、リポキシゲナーゼという酵素でリノール酸を酸化させる系を、脂質が酸化していく場面の代表にした。分離大豆たんぱく質のゲルの性質と、試験管内の胃の消化を見ている。ゲルは、たんぱく質が網目になって固まった状態である。[16] 乾いた粉を水に溶かす試験とは、食べる形からして別である。
酸化によってゲルは硬くなり、密な三次元の網目ができた。水の動きやすさは低下し、緩和時間のT2bとT21は、対照の0.55ミリ秒と3.22ミリ秒から、リノール酸7ミリリットルとリポキシゲナーゼを加えた条件では0.32ミリ秒と2.42ミリ秒へ短くなった。[16] ミリ秒は、ゲルの中の水がどれだけ動きやすいかの単位である。流しに置き忘れたシェーカーの水が冷える時間とは、桁も意味も違う。
未処理の分離大豆たんぱく質と比べると、適度な酸化はゲルの消化性を改善した。[16] 硬いものほど切れにくい、という見立てだけでは、この改善は説明できない。研究は、ペプシンの広がりが制限されること、微細な構造が変わること、加水分解の程度が、合わさって消化性を押し上げうると書いている。[16]
ペプシンの広がりは、光で褪せた蛍光が戻る方法で追った。その広がりはT2bおよび加水分解度と有意に相関し、水の動きやすさがペプシンの拡散、ひいてはゲルの胃消化に関わる要因だとされた。[16] 水が動きにくいことと、消化が進んだことが、同じゲルの中に同居している。どちらか一方の形容詞だけを朝の説明に使うと、もう一方が消える。
酸化剤で遊離アミノ酸が減った粉末と、適度な酸化で消化性が上がったゲルは、勝ち負けの材料ではない。[15][16] 酸化の起こし方、食品が粉か網目か、胃の酵素の動きを見たかが違えば、矢印の向きも変わりうる。スプーンの上の塊を、ゲルの網目と同じものとして扱わない。
数字で読む酸化した大豆たんぱく質
遊離必須アミノ酸の減少は最大16.6%。酸化した分離大豆たんぱく質を消化したあとの、遊離した必須アミノ酸の損失である。[15]
遊離した全アミノ酸の減少は最大14.6%。同じ消化物の値であり、袋の表示量がその割合で消えた数字ではない。[15]
0.55ミリ秒と3.22ミリ秒から、0.32ミリ秒と2.42ミリ秒。ゲルの水の緩和時間で、リノール酸7ミリリットルと酵素を加えた酸化の条件である。[16]
100〜180℃、最長60分。マロンジアルデヒドと分離大豆たんぱく質を加熱した実験の範囲である。[6]
12%と4週間。熱酸化した大豆たんぱく質を含む餌の割合と、生後3週の雄マウスに与えた期間である。[20]
4.78%と3.23%。30 kV・6分の低温プラズマで、大豆とえんどう豆の試験管内消化率が改善した幅である。[10]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
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