ダイエットのランニングは上達すると消費が減る?走る効率と体重の変化を読む

同じ道を楽に走れるようになると、ダイエットの効果は落ちるのか。ランニングの酸素消費を調べたメタ分析と、体重・体組成も測った試験を比較する。同じ速度での効率、靴による変化、走った量を分け、息切れや時計の消費表示だけで運動の成果を決めないための読み方と記録の工夫を示す。

いつもの曲がり角まで走っても、今日は息が乱れない。走り始めたころは遠く感じた曲がり角に、今日は息を乱さず着いた。うれしい反面、「楽になったら消費も減って、ダイエットには逆効果なのか」と気になる。

答えの芯は、同じ条件で走るために必要な酸素が減ることはあるが、それだけで体重の変化は決まらない、である。持久走者のジャンプ練習をまとめたメタ分析では走る効率が改善した一方、総体重の改善は認められなかった。対象は年齢・性別を限定しない健康な持久走者で、18〜39歳の女性が走り始めた場合にも同じ結果が出るかは別に確かめる必要がある。効率と体重は、同じ成果の別名ではない。[14]

「消費が減るのでは」という不安には、同じ速さを少ない酸素で支える変化と、走った後に食べる量が変わる補償行動が混ざりやすい。後者は既存記事「ダイエットのランニング後は食事が増える?走る前から翌朝までの補償を読む」に譲る。この記事の問いは、走っている最中の省エネが、体重や体組成の変化とどこまで対応するかである。練習・靴・食事の試験を比べ、効率の改善をダイエットの失敗と判断してよいかを考える。[6][14][15][19]

既存記事「有酸素運動は自転車でランニングも速くなる?心肺の体力と走る効率の移り方を読む」の種目間の移行と、「足首が硬いランニングは不利?動く範囲と腱のばねで違う走る効率を研究で読む」の足首の性質は各記事に譲り、ここでは効率の改善と体重の変化の対応を問う。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

走る効率は、同じ速さを支える酸素で比べる

ランニングエコノミーとは、一定の走行条件で必要となる酸素量やエネルギーの少なさを見る指標である。成人の市民ランナーを調べた比較試験では、体重当たり・距離当たりの酸素量と、同じく体重当たり・距離当たりのエネルギー消費量で表現された。数値を読むときには、酸素なのかエネルギーなのか、時間当たりなのか距離当たりなのかを確かめる必要がある。[18]

ここでいう「よい効率」は、たくさん消費したという意味ではない。ある速さで走る際の必要量が小さいという意味である。ランニングシューズを比較したメタ分析でも、効率の改善は酸素消費量の減少として示されている。競技で速く走りたい人にとって好ましい結果と、運動中に大きく消費したい人が注目する数字は、注目する方向が異なる。[4]

ただし、酸素消費量の数字をそのまま「脂肪が減った量」に読み替えてはいけない。走る効率と身体の変化を同時に測った研究を見ると、どちらかが動けば必ず他方も動くという対応は成り立っていない。体重、体脂肪率、除脂肪量を測る試験と、走行中の酸素を測る試験とでは、答えている問いが違うのである。[14][15][19]

たとえば、昨日と今日で帰宅時刻だけを比べても、同じ電車に乗ったかは分からない。ランニングでも、「楽だった」という感想だけでは比較条件がそろわない。靴を替えたのか、同じ速さだったのか、坂があったのか。靴と勾配を組み合わせて調べた実験では、酸素量と主観的なきつさがそれぞれ測定されている。日常の記録も、感想に条件を添える形にすると読み違えにくい。[2]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

上達の証拠を、息切れだけに任せない

持久走者の練習にジャンプ練習を加えた研究をまとめたメタ分析は、効率の変化を考える手掛かりになる。健康な持久走者を対象とする21研究、511人が含まれ、研究の質は中程度から高いと評価された。年齢・性別を限定しない持久走者の分析なので、18〜39歳の女性一般に同じ効果を当てはめるには訓練経験の違いを考える必要がある。タイムトライアルの成績には中程度の改善があり、走る効率などの指標にも小さいから中程度の改善が認められた。[14]

一方で、最大酸素摂取量には改善が認められなかった。これは運動中に取り込める酸素の最大量を示す指標であり、一定速度を支える酸素の必要量とは役割が違う。酸素を取り込む上限が変わらなくても、走る効率や成績が変わる場合がある。「息が強くなったから楽になった」と説明を決めつけるより、異なる能力として読むほうが研究に合う。[14]

この分析では、最大未満の速度で測った心拍数や歩数のリズムに相当する指標にも改善は認められなかった。走る効率の変化が、見慣れた時計の数字すべてに現れるものではない。心拍数が変わらなかったから練習の成果がなかった、と切り捨てる読み方も避けたい。[14]

また、効率が改善した指標群の効果量は0.36〜0.73である。ただし、この範囲にはジャンプ能力や力の立ち上がりなど複数の指標が含まれる。これを「全員がその割合だけ消費を減らした」と読んではならない。効果量は研究間の比較に使う尺度であり、消費量の減少率ではない。[14]

ここから選ぶ日常の見方は、走り終えたときの苦しさだけを採点表にしないことだ。いつもの道を走れたか、同じ速さだったか、翌日の予定を含めて続けられる内容だったかを別々に書く。研究の練習内容をそのまま家庭用の処方にする必要はない。対象が持久走者である以上、運動を始めたばかりの人の変化率まで約束するものでもない。[14]

靴の省エネと、練習の上達を混ぜない

走るための消費が変わる理由は、練習だけではない。靴の縦方向の曲がりにくさと、靴底の素材が変形から戻る性質を調べた系統的レビュー・メタ分析では、48研究、878人が解析された。複数の技術を組み合わせた靴は、比較対象の靴より酸素消費量を減らし、標準化平均差は−0.44、95%信頼区間は−0.60〜−0.28だった。[4]

ただし、曲がりにくさだけ、あるいは靴底のエネルギーを返す性質だけを取り出した場合には、酸素消費量への有意な効果は認められなかった。複合した靴の比較結果を、部品それぞれの効果として扱うことはできない。さらに、この分析の多くの評価項目では、証拠の確実性が低い、または非常に低いとされた。[4]

健康な成人のプレート入り・なしの靴を比べた14研究のメタ分析では、プレート入りの靴で代謝上の必要量がおよそ2〜3%低かった。走る効率を体重・距離当たりの酸素量で表すと、平均差は−5.34 mL/kg/km、95%信頼区間は−8.48〜−2.20であった。主要な指標の確実性は中程度と評価されている。対象は健康な成人であり、18〜39歳の女性だけで同じ差になるかは、この集団全体の結果からは決められない。[6]

この結果と、部品単独では有意差がなかった分析は、読む場所が異なる。プレート入りの靴には、靴底の素材など別の特徴も同時に含まれる。プレート入りの靴との関連が認められても、原因をプレート単独に帰属できないと著者らも整理している。靴全体の比較と、構成要素を切り分ける比較を混同しないことが大切だ。[4][6]

実際、十分に鍛えられた競技者14人が靴底の素材の異なる靴を履いた試験では、平地・上り・下りを合わせた酸素消費量が1.2%低かった。主観的なきつさも低く、走る際の感情もより肯定的だった。ただし、勾配によって効果が違うとまでは統計的には確かめられなかった。鍛えられた競技者の結果なので、18〜39歳の女性で運動経験が少ない場合の変化までそのまま予測することはできない。[2]

新しい靴でいつもの道が軽く感じられた日を、「体が適応して消費しなくなった日」と決めるのは早い。比較するなら靴の条件も記録しておく、という話である。これらは靴を買い替える勧めではない。靴を変えた実験と、練習を続けた実験を、同じ「上達」という箱に入れないための区別だ。[2][4][6]

酸素量の差を表す数字にも読み分けが要る。標準化平均差は、測定値のばらつきを基準に差を表したものであり、靴の比較の−0.44を「消費が44%減った」と読んではならない。一方、体重・距離当たりの平均差には単位が付く。見た目が似た小数でも、何を基準にした差かで意味が変わる。数字だけを抜き出して並べると、この違いが消えてしまう。[4][6]

信頼区間も、結果の横に置いて読みたい。靴の比較で示された区間は、集団について推定した差の不確かさを表すもので、次に走る自分の変化を保証する幅ではない。訓練状態や速さによる違いがあるという分析結果を踏まえると、集団の平均を個人の予定表へそのまま写すことには慎重であるべきだ。[4]

さらに、靴を替えて比べる試験と、練習を続けて比べる試験には時間の違いもある。靴の試験でその場の酸素量が下がった事実は、将来の体重まで追った結果を意味しない。長く使えば体重がどちらに動くかを、この比較だけから決めることはできない。必要なのは数字を大きく見せることではなく、その数字が測られた場面を残すことである。[2][6]

数字で読む走る効率と身体の変化

48研究・878人:靴の構造と走る効率などをまとめたメタ分析の規模である。[4]

およそ2〜3%:プレート入りの靴で低かった代謝上の必要量。体重の減少率ではない。[6]

21研究・511人:ジャンプ練習の分析では効率が改善した一方、総体重の改善は認められなかった。[14]

12週間・30人:男性市民ランナーの練習比較で、効率と体組成は別々に評価された。[19]

−1.92 kg:食べる時間帯を制限した男性ランナーの試験での体重差。効率への効果はなかった。[15]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

author avatar
宮川涼 Founder

1

2

関連記事

ご体験予約