HIIT後の食事はにおいを感じにくい?鼻の通りと口で感じる風味を読み分ける

HIIT後の食事で香りが弱いと感じても、運動のせいとは限らない。鼻の通り、鼻から嗅ぐにおい、食べるときの風味を分け、風邪の前後を追った研究と鼻づまりへの介入試験を読む。空腹感と嗅覚を混同せず、運動しない日との比較や、続く変化を医師へ伝えるための観察点まで整理する。

HIITを終え、用意していた夕食のふたを開ける。おなかは空いているのに、いつもの料理の香りが遠い。鼻は通っている気がするし、食べれば塩味もある。それでも、何かが足りない。こんなとき、食欲がないのか、においが弱いのかを同じ言葉で片づけないことが出発点になる。

HIIT後に気づいた変化を、そのままHIITの作用と決めることはできない。手がかりになるのは、鼻の空間を広げても嗅覚の多くの指標が一緒には改善しなかった試験と、風邪の回復後も鼻から嗅ぐ働きと食べるときの香りの回復がそろわなかった研究である。鼻の通りと食事の風味は、別々に確かめたい。[1][3]

既存記事「食べ物のにおいは食欲を増やすのか減らすのか 嗅覚と体重を結ぶ研究の現在地」には、嗅覚と食欲・体重の関係を譲る。ここで扱うのは、運動後の食卓で感じた違和感をどう言葉にするかだ。においの強さから食べる量を決める話でも、香りを弱めて食事を減らす話でもない。

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鼻が通ることと、においが分かることは同じか

鼻づまりが軽くなれば、食べ物の香りも元どおりになると思いやすい。この直感を考え直す材料が、風邪をひいた人に鼻づまりを改善する薬を使った無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。参加者は風邪をひいた男女36人、平均年齢は24.6歳だった。18〜39歳の女性だけを対象とした試験ではなく、健康な女性の運動後にそのまま当てはめられるかは別に確かめる必要がある。薬と比較用の処置を使い分け、鼻の内部の容積と、においを感じる働きを調べている。[1]

薬を使うと鼻の容積は増えた。しかし、においの区別や薄いにおいへの反応などに、系統的な改善は見られなかった。硫化水素の刺激を全体として強く感じる変化はあったものの、嗅覚全体が大きく改善した結果ではない。鼻の中の空間を広げることと、測定した嗅覚の成績を上げることが一致しない例である。[1]

この試験の対象は風邪の人であり、運動を終えた健康な人ではない。したがって「HIITで鼻が通るから香りが強くなる」とも、「鼻が通っているのに香りが弱ければ運動が原因だ」とも結論できない。試験から持ち帰れるのは、鼻の容積だけを嗅覚の代わりにしないという読み方だ。[1]

また、鼻の容積という測定値と、本人がいう「すうっとする」は同じ項目ではない。試験では鼻の容積を音響鼻腔計測という方法で測り、においの強さ、区別、検出のしやすさなどと照らし合わせていた。家で鼻呼吸の快適さを確かめても、その測定を再現したことにはならない。[1]

夕食の前に深く息を吸って「詰まっていないから問題なし」と採点する必要はない。記録するなら、鼻の通りの感覚と料理の香りの印象を別の欄にする。これは治療ではなく、違う項目を混ぜないための工夫である。鼻の空間と感覚の成績が一致しなかった試験を、生活の言葉に置き換えた方法だ。[1]

この試験は、薬を使ったこと自体を参加者や評価する側が意識して、感覚の答え方を変えてしまう影響を抑える設計だった。さらに、においに対する脳の電気的な反応も、本人が答える感覚の検査と合わせて評価している。単に「鼻が楽になった気がするか」と尋ねただけの試験ではない。その設計の中でも、鼻の容積と多くの感覚指標は同じ方向へそろわなかった。[1]

薬の濃度が異なる群を置き、観察した2時間では、それらの用量による効果に有意な違いはなかった。濃い処置ほど香りが明瞭になるという読み方もできない。また、風邪から回復した後には、薬による嗅覚や鼻への刺激感覚への有意な主効果は認められなかった。これは鼻づまりの薬を食事の風味のために自己判断で使う根拠にはならない。[1]

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皿に顔を近づけた香りと、食べたときの風味

嗅覚の研究には、鼻からにおいを嗅ぐ経路を調べる検査と、口から鼻へ抜ける香りを調べる検査がある。前者を鼻先からの嗅覚、後者を口の奥からの嗅覚として考えると分かりやすい。風邪の患者を追った研究では、この両方に加えて、味覚や鼻への刺激を感じる働きも調べていた。[3]

対象は急性の風邪がある18〜69歳の58人と、健康な19〜63歳の59人だった。18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、この幅広い年齢の患者群との条件の違いを踏まえて考える必要がある。約4週間の間隔を置いて調べると、風邪のある時期には、鼻からのにおいの検出・区別と、口から鼻へ抜ける香りの成績が低下していた。塩味への感度と、メントールの刺激が鼻のどちら側にあるかを当てる能力にも低下が見られた。[3]

つまり、本人の「味が薄い」という言葉の中に、香り、塩味、刺激の違いが重なっている可能性がある。この研究もそれらを別々の検査で扱っている。「食べ物の感じが違う」という全体の感想は大切だが、それだけで変化した感覚を特定することはできない。[3]

たとえば、皿から立つ香りは分かるのに、口に入れるといつもの風味がないという訴えがあるとする。反対に、食べ始める前は香りが弱くても、口に入れると料理らしさを感じる場合も考えられる。こうした場面を記録する狙いは、自分で病名をつけることではない。研究が分けて測る経路に沿って、どの場面の違和感かを残すことだ。[3]

「鼻で嗅ぐ」と「食べて感じる」を、同じ料理で別々に言葉にしてみる。香りの名前が出てこなくても、「ふたを開けたとき」「口に入れたとき」「飲み込んだ後」という場面は書ける。食卓を検査室にする必要はない。感覚を表す言葉を少し細かくするだけでよい。

風邪が治った感覚と、食事の香りの回復はそろわない

風邪の研究で目を引くのは、感染から回復した後の結果である。鼻から嗅ぐ感度と鼻への刺激を感じる感度は上がった一方、口から鼻へ抜ける香りへの感度には改善が見られず、塩味への感度は低下していた。回復はすべての項目で足並みをそろえるわけではなかった。[3]

ここから「風邪をひくと必ず食事の風味が長く戻らない」と一般化してはいけない。これは患者群を時間を置いて評価した結果であり、すべての人の回復経路を決めるものではない。また、約4週間という観察の間隔は、個人にとっての回復期限でも受診を待つ期間でもない。[3]

運動後の食事で変化に気づいたときも、直前の運動だけでなく、最近の風邪や感染後の経過を振り返る意味がある。風邪の回復と感覚の回復が一致しなかった結果を踏まえると、「体調は戻ったのだから関係ない」と切り捨てるのは早い。ただし、この研究を使ってHIIT後の変化の原因を感染と決めることもできない。[3]

ノートには「運動したか」だけでなく、「料理を食べる前から違ったか」「運動しない日の朝にも同じか」「最近体調を崩したか」と書いておくとよい。前後関係を残すためであり、原因を点数で計算するためではない。体の変化は、最も目立つ出来事の直後に気づくことがある。気づいた時刻と始まった時刻は分けておきたい。

風邪の研究は、実際の食品について、強さと快さの評価も集めている。感覚の検査と、食品をどう感じるかの評価を並べて扱う設計である。においを検出できるかという能力と、目の前の食事を好ましく感じるかという経験を、まったく同じ問いにはしていない。家庭で使う「おいしい」「薄い」「食べたい」という言葉も、まずはそれぞれのまま残しておく方が、この区別を保てる。[3]

ここでいう検出のしやすさとは、薄いにおいに気づけるかを調べる項目であり、においの区別は異なるにおいを見分ける項目だ。風邪の研究では、鼻からの嗅覚についてその両方が低下していた。いつもの料理名を思い出せることだけで、薄い香りにも以前と同じように気づけると判断することはできない。研究が複数の項目を置くのには、違う働きを一つの印象で代表させない意味がある。[3]

健康な対照群を置いたことも、風邪の研究の読みどころである。時間による変化に加え、風邪のある人とない人を比べており、患者の食事の感想だけで感覚機能を判断した研究ではない。[3]

数字で読む鼻の通りと食事の感覚

鼻づまりへの介入試験は36人。鼻の容積が増えても、嗅覚の多くの指標に系統的な改善はなかった。[1]

同試験の平均年齢は24.6歳。風邪をひいた参加者の結果であり、HIIT実施者の結果ではない。[1]

風邪の前後を追った研究は患者58人、健康な対照59人。鼻からと口からの嗅覚を別々に調べた。[3]

再評価の間隔は約4週間。これは研究の観察間隔であって、感覚の回復を保証する日数ではない。[3]

感染患者と対照を比較した別の研究は各18人。本人の嗅覚症状の申告と検査による確認は同じ人数にならなかった。[4]

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宮川涼 Founder

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