
装置の刺激の効果と、期待との関係を分ける
期待と実際の刺激を分けて考える別の手がかりが、健康な参加者70人を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。無作為化は偶然によって群を割り付けること、二重盲検は参加者と評価する側に刺激の割り付けが分からないようにすることを指す。この試験では前腕に急性の虚血性筋肉痛を起こし、パルス磁場を発生する装置の実刺激と偽刺激を比べた。健康な参加者の実験だが、18〜39歳の女性の運動後のケアにそのまま当てはめるには、痛みの成り立ちの違いも考慮する必要がある。[12]
虚血性とは血液の供給が制限された状態に関する言葉で、運動翌日に生じる筋肉痛とはつくり方が違う。実刺激と偽刺激の間には、痛みの閾値、耐えられる範囲、心拍数、痛みが減ったという知覚のいずれにも差がなかった。一方、介入の効き目への期待は、痛みに耐えられる範囲や、痛みの変化の受け取り方に関わった。[12]
装置の有効性が否定された範囲と、期待との関係が観察された範囲を別に読む必要がある。この試験は、使われた装置による急性の虚血性筋肉痛への特異的な効果を支持しなかった。だからといって、どんなマッサージも無効と結論することはできないし、期待を高めれば装置も施術も同じになるという意味でもない。[12]
また、群の割り付けを無作為に決めた試験であっても、期待と結果との関係がすべて無作為比較になるわけではない。装置の群間比較と、参加者が持つ期待の影響は、読むべき問いが違う。研究の名称に「試験」とあれば、本文中のすべての関係が因果を証明する、と扱わないことが大切である。[12]
日常でも、施術直後に「軽くなった」と感じたこと自体は記録してよい。ただし、その感覚だけから、押した圧の作用だったのか、期待だったのか、それ以外の経過だったのかを割り出すのは難しい。この研究が示す刺激と期待の区別を借りるなら、よかったという感想と、その理由の説明を同じ確かさで語らない、という姿勢になる。[12]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
痛気持ちよさと、翌日に力が出ることは別の問い
筋肉痛のケアでは、痛みの点数だけでなく、動けるかどうかも気になる。運動で筋肉痛を起こした36人を、経皮的電気神経刺激の実治療、偽治療、対照の群に無作為に分けた研究がある。経皮的電気神経刺激は、皮膚から電気刺激を与える方法で、手で押すマッサージではない。運動で筋肉痛を起こした参加者の結果であり、18〜39歳の女性が受けるマッサージにそのまま当てはめることはできない。[10]
実治療群と偽治療群は、筋肉痛を起こした24、48、72時間後に、それぞれ90分間の介入を受けた。肩の筋力、痛み、機械的な痛みへの感受性、生活上の支障を毎日評価している。対照群と比べ、実治療群では48時間後、偽治療群では48時間後と72時間後にも筋力の低下が残った。一方、痛みに関する結果は有意ではなかった。[10]
研究者は、刺激そのもの、あるいは刺激を受けているという認識が、運動の出力に対するノセボとして働く可能性を挙げた。ここは可能性の提示である。「電気刺激を怖がったから力が落ちた」と参加者の気持ちを特定した結果でも、「マッサージを受けると筋力が落ちる」と置き換えられる結果でもない。[10]
この研究から日常へ持ち帰れるのは、痛みについての結果と、力についての結果がそろうとは限らないという視点である。マッサージ中に心地よかったかを尋ねる質問と、翌日に階段を下りやすいかを尋ねる質問は、同じ答えを集めるためのものではない。心地よさを否定せず、回復の評価に別の窓も用意する考え方だ。[10]
最初に紹介した腕の圧痛実験でも、主観的な痛みが早期の48時間の指標となった一方、圧痛閾値の指標としての関係は72時間後にも見られた。いつ測るか、何を測るかで、体の変化の見え方は異なる。触った瞬間の感想を、次の運動の準備が整ったという判定書にしない理由がここにある。[2]
生活の動作を振り返るときには、前後で違う課題を比べない工夫もできる。昨日は座っていて楽だったが、今日は駅の階段がつらい、という記憶だけでは、同じ動作がどう変わったかは見えにくい。研究で容器を持ち上げる課題を定めたように、自分の記録でも、いつもの鞄を持つ、普段の階段を通るといった場面の名前を残すと、質問の対象をそろえやすい。これは診断の代わりではなく、相談時の説明を具体的にする工夫である。[1]

よくある誤解
「期待が関わるなら、痛みは思い込みである」という理解は違う。咬筋の実験では、痛みを起こす刺激がある状態で、期待に伴う痛みの変化と脳活動を調べている。実際の刺激があることと、感じ方に心理的な過程が関わることは両立する。痛みを伝えた人に「気にしすぎ」と返す根拠にはならない。[14]
「強く押すと聞いて怖くなった人は、運動への意欲も低い」という決めつけにも根拠がない。966人に運動による変化への予想を尋ねた横断調査では、リラックスについて肯定的な予想を持つ人が74.2%だった一方、筋肉痛への否定的な予想は66.3%、疲労への否定的な予想は57.3%だった。調査参加者全体の回答割合を、18〜39歳の女性の期待の割合としてそのまま当てはめることはできない。期待は、何を尋ねるかで方向が異なった。[20]
この調査は集団の回答割合を示したもので、同じ個人が必ず同じ組み合わせの期待を持つことを証明するものではない。また、筋肉痛を予想した66.3%が実際に筋肉痛になったという追跡結果でもない。運動は気分によさそうだが筋肉痛は心配、という問いを別々に聞く必要性を考える材料である。[20]
「痛気持ちいいなら、その圧は回復に最適」という解釈も飛躍である。圧痛閾値を調べた運動実験は最適な施術圧を決めたものではなく、電気刺激の試験は感覚と筋力の結果を分けている。心地よさという本人の評価は大切だが、筋力や動作の回復をすべて代表する数字ではない。[2][10]
さらに、「予告がなければ圧だけを純粋に感じられる」とも限らない。運動前からの圧への感受性や不安の傾向が動作時痛と関係した研究を踏まえると、直前の言葉だけが受け手の条件ではない。今回の説明を聞く前から、その人には体の状態と過去の経験がある、という前提で相談したい。[1]
今日からできること
- 触れる前に、運動した部位と今困っている動作を言葉にする。51人の研究では、押したときの閾値と、容器を持ち上げる動作時痛を分けて測った。「押すと痛い」と「動くと痛い」を別に伝える発想に使える。[1]
- 「強い方が効きそう」と感じたら、それを施術の希望と効果の予想に分けて考える。15分間の咬筋の実験は期待による変化を示したが、強圧のマッサージの優位性を調べた試験ではない。[14]
- 途中で「今は痛い」「弱めたい」と伝える言葉を用意する。20人の腕の実験では48時間後の圧痛閾値が下がった。以前と同じ圧を耐えることを、今日の目標にする必要はないという実用上の提案である。[2]
- 受ける前の予想と、受けた後の感覚を別々に書く。966人の調査が肯定的・否定的な期待を分けて扱ったように、「楽になりたい」と「痛そう」を同じ欄で相殺しない。記録で効果が上がると確定した方法ではなく、振り返りの工夫である。[20]
- 直後の心地よさに加えて、翌日の同じ生活動作も振り返る。36人の電気刺激試験では痛みと筋力の結果が一致しなかった。動作を無理に繰り返して試すのではなく、日常で感じた変化を記録する参考になる。[10]
痛みの説明に期待の影響を取り入れるのは、相談をやめるためではない。原因を自分で決めつけず、個別の健康状態や痛みへの不安は医師に相談する。その際にも、何をした後に、どこが、どの動作で困るかという言葉を残しておきたい。

オンザショアで、強さの好みから続け方を考える
強い刺激への期待だけで予定を決めず、通う時間と取り組む内容を選ぶ。運動を続ける場所を探す際には、そうした実際の条件も確かめたい。オンザショア立川店は、JR立川駅北口から徒歩1分、東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3Fにある溶岩ホットヨガスタジオである。
営業時間は全曜日8:00〜23:30で、年中無休。仕事帰りに立ち寄るか、朝の予定に組み込むかを考えられる。溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガに加え、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングなどがあり、ヨガだけで25種類以上のレッスンがある。
妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。
ヨガの体験は税込1,980円。60分のレッスンに、バスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。準備する物や時間を含めて、生活の中に置ける予定かを確認する機会になる。料金と体験の予約で、次に取る予定を具体的にできる。
参考文献
[1] Susceptibility to movement-evoked pain following resistance exercise — Kodesh E, Sirkis-Gork A, Mankovsky-Arnold T, Shamay-Tsoory S, Weissman-Fogel I. / 年: 2022 / 誌名: PloS one / 被引用: 1. DOI: 10.1371/journal.pone.0271336
[2] The pain threshold of high-threshold mechanosensitive receptors subsequent to maximal eccentric exercise is a potential marker in the prediction of DOMS associated impairment — Fleckenstein J, Simon P, König M, Vogt L, Banzer W. / 年: 2017 / 誌名: PloS one / 被引用: 30. DOI: 10.1371/journal.pone.0185463
[10] Prolonged Reduction in Shoulder Strength after Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation Treatment of Exercise-Induced Acute Muscle Pain — Butera KA, George SZ, Borsa PA, Dover GC. / 年: 2018 / 誌名: Pain practice : the official journal of World Institute of Pain / 被引用: 6. DOI: 10.1111/papr.12690
[12] No effect of a pulsed magnetic field on induced ischemic muscle pain. A double-blind, randomized, placebo-controlled trial — Szemerszky R, Szabolcs Z, Bogdány T, Jánossy G, Thuróczy G, Köteles F. / 年: 2018 / 誌名: Physiology & behavior / 被引用: 3. DOI: 10.1016/j.physbeh.2017.11.005
[14] Neural mechanisms underlying placebo and nocebo effects in tonic muscle pain — Chen M, Wu X, Zhang L, Zhang F, Li L, Zhang Y, Xiong D, Qiu Y, Hu L, Xiao W. / 年: 2024 / 誌名: NeuroImage / 被引用: 2. DOI: 10.1016/j.neuroimage.2024.120877
[20] Reconceptualizing the measurement of expectations to better understand placebo and nocebo effects in psychological responses to exercise — Lindheimer JB, Szabo A, Raglin JS, Beedie C, Carmichael KE, O’Connor PJ. / 年: 2020 / 誌名: European journal of sport science / 被引用: 16. DOI: 10.1080/17461391.2019.1674926
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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