筋トレは背中と肩を同じ日に鍛える?肩を先に疲れさせる前に決めたい種目の順番

背中と肩の筋トレを同じ日にまとめたいとき、肩を先に疲れさせると背中に効くのか。種目順序のメタ分析と先行疲労の比較試験から、引く種目を優先する考え方を読む。その場のきつさ、持てる重さの伸び、筋肉の大きさを分け、仕事帰りの練習で何を記録し、どう順番を選ぶかを考える。

ラットプルダウンのバーを握ったところで、先に終えた肩のメニューの疲れが気になった。背中を鍛えるつもりが、引く前から肩を休ませたくなる。「同じ日に入れたのが間違いだったのか」と、予定表まで書き直したくなる場面だ。

答えの芯は、同じ日という区切りだけで失敗と決めず、何の力を伸ばしたいかで順番を考えることである。種目順序のメタ分析では、練習の最初に行う種目ほど筋力の伸びが大きかった。一方、筋肉が大きくなる変化には、順序による有意な差が認められなかった。[11]

背中と肩を同じ日に行うなら、まず優先する種目を決める。先に疲れさせる方法を比較した試験では、プルダウンを含む筋力や体組成の変化に群間の有意差はなかった。[18] まずは「背中の日」という名前より、最初に練習する種目を決めたい。

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同じ日の問題を、日をまたぐ回復と分ける

既存記事「筋トレは胸の翌日に背中を鍛える?同じ日にまとめる場合と回復の違いを読む」には、日をまたいだ組み方の論点を譲る。ここで扱うのは、背中と肩の練習を同じ日に予定したとき、先に何を行い、後の種目の記録をどう読むかという問いである。

「背中も肩も鍛えたい」という予定には、いくつかの目的が混ざりやすい。引く種目で扱う重さを伸ばしたいのか、肩の種目を練習したいのか、それとも筋肉の大きさを変えたいのか。順序の研究を使うには、この目的を言葉にする必要がある。筋力と筋肥大では、順序を変えた結果が異なるからだ。[9][11]

筋力とは、ここでは検査した動作で出せる力を指す。筋肥大は筋肉が大きくなる変化である。順序を変えたときに、持てる重さの伸び方が違っても、筋肉の大きさには同じ差が出ないことがある。メタ分析は、この評価するものの違いを分けて示している。[11]

したがって、背中と肩を同じ日に入れるかという相談も、曜日だけでは答えに届かない。「背中の引く種目を伸ばしたいが、いつも肩を終えてから取りかかっている」という具体的な予定なら、優先種目を前に置くという研究の考え方につなげられる。[11] カレンダーには部位名を書けるが、優先順位までは自動で決まらない。

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引く種目の力を伸ばすなら、先頭に置く理由がある

種目の順番を調べた系統的レビュー・メタ分析は、方法の質が良好から優秀と評価された研究を11本まとめている。すべての筋力検査を合わせた比較では、順序間に有意差はなかった。効果量は−0.11であった。[11] 効果量とは、異なる研究の変化を共通の物差しで比べるための指標である。

ところが、種目を分けると結果が変わる。複数の関節が動く多関節種目の筋力は、多関節種目から始めた順序が有利で、効果量は0.32だった。単関節種目の筋力は、単関節種目から始めた順序が有利で、効果量は−0.58だった。符号は比較の向きを表しており、負だから練習で弱くなったという意味ではない。[11]

この結果から読めるのは、常に大きな筋肉から始めるという固定ルールよりも、伸ばしたい種目を早い位置に置く考え方である。背中の引く種目を優先する日なら、その種目を後回しにしない構成が候補になる。逆に肩の種目を優先したいなら、その目的を予定に反映させる。前に置くことは、部位の格付けではなく、今回の目標の表明だ。[11]

ただし、0.32という効果量を、自分の扱う重さが一定割合増える保証に読み替えてはいけない。複数の研究を統合した差を表す値であり、個人の増加量を計算する数字ではない。[11] 予定を選ぶ根拠として使い、自分の結果は実際の種目の記録で確かめる、という使い分けになる。

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プルダウンの比較試験では、何が変わったか

上からバーを引くラットプルダウンを含めた比較として、筋トレ経験のある男性16人を無作為に分けた試験がある。大きな筋群の種目から小さな筋群へ進む群と、その逆順の群が、6週間練習した。ベンチプレス、ラットプルダウン、腕の種目について、持ち上げられる最大の重さなどを比較している。対象は経験者男性であり、18〜39歳の女性の筋力の伸びにそのまま当てはめるには、性別と経験の違いを考慮する必要がある。[1]

最大の重さは、どちらの群でもすべての種目で有意に増え、群間の有意差はなかった。その一方、変化の大きさを効果量で見ると、大きな筋群から始めた群でベンチプレスとラットプルダウンの伸びが大きく、逆順では腕の種目の伸びが大きかった。[1] 「先に行った側に有利な傾向」と「群間差が確定した」は区別して読む必要がある。

この試験の練習は週4回、各種目3セット、8〜12回で、セット間の休憩は1分だった。[1] こうした条件を抜きにして、忙しい週の短い練習へ結果をそのまま移すことはできない。数字は推奨する回数の一覧ではなく、どのような練習で結果が出たかを知るための背景である。

女性を対象にした別の比較では、高齢女性30人が12週間、同じ種目を逆の順序で行うサーキット練習に取り組んだ。どちらの群も筋力と身体機能の検査で改善したが、ラットプルダウンはその種目が早い側の群で筋力の伸びが大きかった。逆順の群では、足首を伸ばす種目と腕の種目の伸びが大きかった。高齢女性の結果なので、18〜39歳の女性にも同じ差が出るかは別に確かめる必要がある。[2]

経験者男性と高齢女性では条件が違う。それでも、優先したい種目を前に置くという読み方には共通点がある。[1][2] 若い女性の背中と肩に同じ差が出ると約束するのではなく、順番を決める際の根拠として用いるのが適切だ。対象者の違いまで含めて読むと、「女性だから順序は関係ない」という決めつけも避けられる。

先行疲労法の比較では、追加の利益は確認されなかった

先行疲労法は、単独の筋群を狙う種目を複合的な種目の直前に置き、先に疲れさせる組み方である。単に同じ日に複数の部位を鍛えることとは違う。先に疲れさせることで筋力や大きさへの変化を増やせる、という発想を検証した比較試験がある。[18]

この試験では、経験者39人のうち女性が30人、男性が9人で、12週間の全身の筋トレを行った。先行疲労法の群、同じ順番だが種目間に休憩を入れる群、複合的な種目から始める群を比較している。チェストプレス、レッグプレス、プルダウンの筋力と体組成の変化には、群間の有意差がなかった。男女の経験者を合わせた結果なので、18〜39歳の女性だけに同じ結果が当てはまるかは、この比較だけでは判断できない。[18]

各群の筋力変化の効果量は1.15〜1.62と大きかった。練習による変化がどの群にもあり、先に疲れさせる方法の追加的な利益は確認されなかった、という結果である。[18] 疲れの強さだけでは、成長の予約は取れない。

しかも、この比較から「肩を疲れさせると背中の特定の筋肉に負担が移る」という説明までは導けない。試験で確かめたのは練習プログラムによる筋力と体組成の変化であり、背中と肩のすべての種目の組み合わせを順位づけする結果ではない。[18] 肩を先に行う理由を、背中への特別な効果という言葉で埋めないことが大切だ。

この比較で大事なのは、順番だけでなく休憩を設ける条件も比較に含まれていた点である。肩の種目から引く種目へすぐ移る予定と、間をあけて移る予定を、どちらも「肩が先」の一言で片づけると、組み方の違いが消えてしまう。[18] 相談するときには、種目の並びに加えて、休憩を入れているかも伝えたい。

たとえば「肩を先にした方がよかった」という感想にも、その日の練習を終えやすかったという意味と、続けた後に引く力が伸びたという意味があり得る。前者は予定の使いやすさについての感想で、後者は筋力の変化についての評価だ。先行疲労法の比較が検査したのは、後者にあたる筋力や体組成の変化である。[18] 気に入った順番を選ぶことと、その方法に特別な利益があると説明することは分けておきたい。

数字で読む種目順序

11本の研究を統合したメタ分析が、筋力と筋肥大を別々に評価している。[11]

0.32は、多関節種目の筋力で、その種目を先に置く側が有利だった効果量である。[11]

0.03は筋肥大についての効果量であり、順序による有意差はなかった。[11]

16人・6週間の経験者男性の試験では、最大筋力の群間差は有意ではなかった。[1]

39人・12週間の先行疲労法の比較でも、筋力と体組成に群間の有意差はなかった。[18]

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宮川涼 Founder

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