内転筋の筋トレはスクワットの前にする?先に挟む練習と疲労の狙いを分ける

内転筋の筋トレをスクワットの前に入れるなら、動きを確かめる練習と先に疲れさせる練習を分けたい。挟みながら行うスクワット、通常練習前の補強、女性選手の運動量を比べた試験から、順序を決める際に確認したい目的と記録を読む。回数やきつさだけで効果を判断しないための記事である。

スクワットを始める前に、膝の間のクッションを挟む。内ももを感じてから立ち上がると、いつもより狙った場所を使えそうだ。そのまま挟み続け、脚が震えるところまで頑張るべきなのか。準備のつもりだった練習が、いつの間にか本番になっている。

答えの芯は、「先に行う」と「先に疲れさせる」を同じにしないことだ。内転筋を使う補強には筋力改善を示した試験があり、挟みながらスクワットを行う方法にも特定の患者での研究がある。しかし、これらから、内転筋を疲れさせてからスクワットをする順序が優れるとは決められない。[1][5][8]

既存記事「スクワットと脚伸ばしはどちらを先にする?前ももの疲れと残せる回数を読む」には、前ももの種目順の論点を譲る。ここで考えるのは、内転筋の練習を足す目的と、後に行うスクワットをどう記録するかだ。内ももの手応えを、順序の正解に変換する前に立ち止まりたい。

「内転筋の筋トレは挟むだけでよい?女性が知りたい立って支える働きとの違い」は筋肉の働きと課題選びを扱い、「内転筋の筋トレは素早く挟むと違う?最大の力と力が立ち上がる速さを読む」は力の速さを扱う。ここではその論点を広げず、スクワット前に入れる補強の目的に絞る。

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「挟んでから」と「挟みながら」は別の練習である

最初に区別したいのは、内転筋の練習を終えてからスクワットに移る場合と、スクワットの動作中にも物を挟む場合だ。さらに、前者には動作を確かめるための練習と、先に疲れさせること自体を狙う練習がある。見た目が似ていても、何を変えた練習なのかは違う。

膝のお皿の周囲に痛みがある人を対象とした無作為化比較試験では、通常のスクワットと、ボールを挟みながら行うスクワットを比較している。患者は30人で各群15人、期間は8週間だった。別に健康な15人を、筋肉の働き方などを比べる参照群として置いた。両方の運動群には同じストレッチを組み合わせている。患者の治療的な運動を比べた結果なので、健康な18〜39歳の女性の筋トレへそのまま当てはめるには対象と目的の違いがある。[1]

両群で痛みと症状の尺度が改善し、痛みの改善は挟む群で大きかった。研究では、太ももの前側にある筋肉と内転筋の電気的な活動も調べた。挟む群では、前ももの内側の筋肉が外側の筋肉より先に活動するパターンが、健康な参照群に近づいたと報告されている。[1]

ただし、これは「先に内ももを疲れさせた群が、その後のスクワットで有利だった」という比較ではない。動作中に挟む条件と、挟まずに行う条件の比較だ。対象も膝に症状がある人であり、健康な人のワイドスクワットにそのまま同じ結果を期待するのは飛躍になる。[1]

また、膝のお皿の傾きは、挟む群の運動前後では改善したが、群同士を比べると統計的に明確な差には達しなかった。痛み、筋肉の活動、骨の位置関係は、それぞれ結果を確認する必要がある。「挟む群で良い変化があった」を「すべての測定項目で優れた」に広げない読み方が大切だ。[1]

自宅で膝の間に物を置く場面でも、「今は動作中の感覚を確かめたいのか」「別の筋力トレーニングとして行いたいのか」と言葉にしてみる。研究の条件を区別するのと同じように、自分の練習にも名前を付けるのである。挟む物を用意した時点で、疲れ切るまで続けるかどうかは、最初に決めた練習の目的に照らして考える。

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通常練習の前に補強した研究は何を比べたか

内転筋を通常の練習前に鍛えた試験もある。若年のサッカー選手54人を、内転筋の補強を加える群と、通常練習だけの群に無作為に分けた研究だ。女性は23人で、全体の43%だった。補強群は通常練習の前に週2回の内転筋練習を行い、8週間続けた。男女を含む若年競技者の結果であり、18〜39歳の一般女性に同じ筋力の伸びをそのまま期待することはできない。[8]

補強群では、力を出しながら筋肉が伸ばされる局面の内転筋力が、対照群より改善した。体重当たりの筋力を表す値の群間差は、左が0.28、右が0.27 Nm/kgだった。股関節・鼠径部に関する質問票でも、症状や身体活動への参加、生活の質などの項目に改善が報告された。[8]

ここで支持されるのは、通常練習前という予定の中に補強を組み込み、そのプログラムを続けた場合の結果である。前に行う群と後に行う群を比べてはいない。したがって、「前に行う実施例がある」と「前に置くことが改善の理由だった」は区別しなければならない。[8]

同じく、筋力が伸びたという結果と、その日の後半のスクワットを何回できたかという問いも別だ。長く続けた後の変化を調べる試験から、直後の反復回数まで埋め合わせてはいけない。補強の採用を考えるときには役立つ研究だが、疲れさせる順序の優劣を決める札にはならない。[8]

立川駅北口から帰る途中、「家に着いたらスクワット、その前に内もも」と予定を作ることはできる。ただ、その予定を研究で唯一の正解とされた手順のように扱う必要はない。先に入れると忘れにくいという自分の事情と、先に入れるほど効果が高いという科学的な主張は、別の欄に書いておきたい。

量を増やす効果は、少ない群との比較で読む

先に内ももを使うと決めたあと、次に迷うのは量だ。物足りないと感じると、挟む回数を足したくなる。だが、内転筋の補強に関する女性選手の試験では、量の多い方法が、少ない方法より優れるという結果は得られなかった。[5]

ノルウェーの女子サッカー選手52人を無作為に分けた研究では、8週間のプログラムで、片側当たりの総反復数が220回の群と394回の群を比較した。その後は、週1回、片側16回の維持プログラムを10週間続けた。評価したのは、動きを止めて力を出す条件での股関節の内転筋力だった。女子競技者を対象にした比較なので、18〜39歳の運動習慣が異なる女性へ、同じ総量をそのまま勧める根拠にはできない。[5]

8週間後、両群で筋力は改善した。脚を外に開く角度が0度の測定では、体重当たりの力のモーメントの増加は両群とも0.13 Nm/kgだった。95%信頼区間は、低量群で0.07〜0.20、高量群で0.04〜0.22 Nm/kgである。信頼区間は、推定値にどれほど幅があるかを見るために添えられる数字だ。[5]

脚を15度開いた測定でも両群で改善し、高量群と低量群の差は0.10 Nm/kg、95%信頼区間は−0.09〜0.29だった。差の推定範囲がゼロをまたぐため、高量群のほうが確かに優れるとは判断できない。その後の維持期間も、両群で筋力が維持された。[5]

この結果は、量をどこまで減らしてもよいという保証ではない。比較されたのは、決まったプログラムを行う女性競技者の群同士だ。また、長期的な内転筋力の結果であり、先に行う補強でどれほど疲れるのが最適かを決める試験でもない。それでも、「足した回数の分だけ成果が増える」と決めつけない材料にはなる。[5]

スクワットの前に補強を加えるなら、内ももの練習だけを採点して終えないことだ。後に残した運動まで含めて、その日の予定を見直す。挟む運動が十分できたことと、スクワットで練習したかった動作ができたことは、それぞれ書き留められる。予定表は、先頭の種目だけの成績表ではない。

量の試験では、測った姿勢も結果の一部である。脚を外に開く角度が15度の条件では、低量群の増加は0.22 Nm/kg、95%信頼区間は0.07〜0.36、高量群は0.31 Nm/kg、95%信頼区間は0.18〜0.45だった。同じ内転筋の力でも、測定姿勢が変われば示される数字は変わる。別の姿勢の値を混ぜて、伸び幅の大きいものだけ拾わないようにしたい。[5]

ここで使うNm/kgは、関節を回す作用の大きさを体重で調整した単位である。クッションをどれほどへこませたかという家庭での感触とは直接交換できない。研究が測定姿勢をそろえ、同じ単位で群同士を比べている点を、自分の回数記録と区別して読む必要がある。[5]

数字で読む内転筋の補強と比較条件

30人:膝に症状がある人を、通常のスクワットとボールを挟むスクワットに分けた試験の患者数。健康な参照群とは別である。[1]

週2回・8週間:若年サッカー選手の試験で、通常練習前に内転筋の補強を入れた頻度と期間。前後の順序比較ではない。[8]

220回と394回:女性サッカー選手の試験で比べた、8週間の片側当たり総反復数。毎回の目標回数ではない。[5]

0.13 Nm/kg:脚を外に開く角度が0度の測定で、低量群と高量群の双方にみられた筋力の増加。[5]

13研究:その後の鼠径部痛と筋力の関係を統合した、前向きコホート研究の数。順序を操作する実験ではない。[3]

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宮川涼 Founder

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