中学生の体力をつける運動は競争で続く?順位より見たい参加意欲と変化の読み方

中学生の体力をつけたいとき、順位を見せれば運動は続くのか。仲間がつくる雰囲気のレビューと、思春期の女子を対象にした試験から、競争、参加意欲、実際の活動量を分けて読む。親や指導者が声をかける場面、自分の進歩を確かめる方法、やる気が上がっても体力の変化を別に見る理由を考える。

体育の記録表を見て「次は抜かしたい」と話す子もいれば、名前の横の順位だけ見て黙る子もいる。夕方の食卓で「競争相手がいれば運動するのに」と言いたくなったとき、まず確かめたいのは、誰に勝ったかより、本人がまた参加したいと思っているかだ。若者の研究を整理したレビューでは、仲間同士が上達や課題への取り組みを重んじる雰囲気は、望ましい心理的な結果と結びついていた。[5]

中学生の体力をつける方法として、順位表示を続ける仕組みの中心に置く理由は慎重に考えたい。意欲、自分にはできるという感覚、実際に動く量、体力の測定結果は同じではない。思春期の女子を対象にした試験でも、意欲やできる感覚の改善が、測定された活動量の改善といつもそろったわけではなかった。[17]

大人の競争を扱う既存記事「キックボクシングは女性同士で競うと頑張れる?順位の表示と続く意欲の違いを読む」には成人の運動場面を譲る。ここでは学校や家庭で中学生を支える人に向け、仲間のいる運動で、何を見れば参加を支えられるのかを考える。

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順位表と、仲間がつくる雰囲気は別に読む

仲間の動機づけ雰囲気とは、周囲の友人たちが、どんな取り組みを認め、何を大事にしているかという環境のことである。若者のスポーツと身体活動に関する系統的スコーピングレビュー、つまり研究の範囲と傾向を整理した報告は、54研究を対象にした。思春期を対象とした研究が42本で、競技スポーツだけでなく、競技以外の運動も含まれていた。若者を中心とする知見であり、18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、生活環境や仲間との関係の違いを考える必要がある。[5]

そこで比較されたのは、上達や課題への取り組みを重んじる雰囲気と、他者より優れていることを重んじる雰囲気である。前者は適応的な結果との関連がより多く見られた。後者には否定的な感情や、本人の基本的な心理的欲求が妨げられることとの関連もあったが、その関連は前者ほど一貫していなかった。競争がある運動を全部悪者にする読み方も、勝敗があれば必ず意欲が増すとする読み方も、この整理には合わない。[5]

重要なのは研究の設計だ。54研究のうち30本は、ある時点の状態同士の関連を調べる横断研究だった。上達を大事にする仲間がいるから意欲が育ったのか、意欲のある子がそのような仲間を選びやすかったのかを、関連だけで決めることはできない。「順位を消せば全員が続く」という介入効果に置き換えるのも飛躍である。[5]

家庭でこの違いを使うなら、順位表があるかどうかだけを尋ねるより、「うまくいかなかったとき、周りは何と言ったか」を聞くほうが、研究が扱った雰囲気に近い。これは声かけの効果を保証する手順ではなく、本人の運動環境を知るための問いである。失敗を笑われた話と、工夫を認められた話を、どちらも「友達と運動した」で片づけないためだ。[5]

たとえば走る順番が最後でも、自分で決めた動きを試せたなら、その経験を話題にできる。他方、上位でも、次の記録測定が怖いと話すなら、その言葉を聞きたい。順位と心理的な経験を別々に見るという、レビューから導ける実用上の読み方である。順位表は誰が先だったかを示すが、その子が帰り道に何を考えていたかまでは表示しない。[5]

このレビューでは競技スポーツの研究が27本、競技以外のスポーツや運動が21本だった一方、体育の授業で行われた研究は6本だった。したがって、部活動の競技場面と、得意不得意の異なる生徒が集まる体育の時間を、同じ条件として読まないことも必要になる。学校の記録測定の順位が気になる家庭にとっては、仲間の雰囲気に関する知見を参考にしつつ、本人の授業で何が起きているかを具体的に聞く余地がある。[5]

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友達の力は、ライバルになることだけではない

仲間の影響を扱った別の系統的な統合研究は、思春期の若者を対象とした質的研究と混合研究を含む28論文を整理した。18〜39歳の女性にそのまま当てはめることは避け、ここでは思春期の参加環境を考える手掛かりとする。質的研究は、本人の語りや経験を通じて物事の起こり方を調べる研究である。整理されたのは、仲間からの支援と交流、行動の見本と雰囲気、内側からの意欲と自分らしさ、教育的な働きかけとリスク管理という経路だった。[4]

この結果が示すのは、仲間の存在を「抜かす相手」とだけ捉える必要はないということだ。一緒に参加する相手、やり方を見せる相手、うまくできない気持ちを話せる相手も、参加や継続を考える際の経路に入る。研究は同時に、仲間への依存や、集団内の違いによるリスクにも触れている。同じ班にすれば全員に同じ支えが届く、という単純な話ではない。[4]

帰宅した子が「友達が休むなら行かない」と話した場面を考える。友達が参加のきっかけになっている可能性と、その友達がいないと参加しづらい状態は両立する。どちらかに決めつけず、何が助けになっているのかを聞く。着替える場所に入りづらいのか、動き方が分からないのか、勝敗のつく場面が苦手なのか。仲間の影響を複数の経路で読む研究は、こうした聞き分けの手掛かりになる。[4]

また、大人が「今日は頑張れた」と評価する基準と、仲間が認める基準には違いがある。仲間の雰囲気を整理したレビューでは、親、指導者、教師と、仲間とでは若者の意欲を予測する関係が異なっていた。親が丁寧に励ましたからといって、同級生の前で感じる気まずさまで解消したとみなさないほうが、本人の説明を聞ける。[5]

実際の活動場面に落とすなら、「友達とやれば楽しいはず」と先に結論を置かず、「誰となら取り組みやすいか」「何を比べられると困るか」を本人と確認するという応用になる。これは競争から逃がすための問いではない。仲間の支援を使いつつ、集団の中で生じる違いも見るための問いだ。友達の人数を増やすことと、支えの中身を整えることは別である。[4][5]

やる気と、実際に動いた量は別々に確かめる

英国とアイルランドに住む13〜16歳の女子153人を対象にした予備的なランダム化比較試験では、12週間の遠隔支援を調べた。運動プログラム、行動を変えるための支援、両者の組み合わせ、比較群に無作為に分け、活動量、体力、心理面を測定した。本人が活動を増やしたいと希望していた集団での結果である。18〜39歳の女性にそのまま当てはめられるかは、この思春期の女子の試験では判断できない。[17]

運動プログラム群では、終了直後の「自分にはできる」という感覚の群間差が0.6、95%信頼区間は0.1〜1.2だった。活動自体を面白いと感じる内発的動機づけの差は0.9、信頼区間は0.2〜1.6だった。これらは各評価尺度上の差であり、活動時間が同じ割合で増えたことを示す数字ではない。信頼区間は、差の推定に幅があることも示している。[17]

行動支援を含む群では、介入後の追跡時に腕立て伏せの成績の改善が見られた。一方、ほかの評価項目では比較群との有意な差は認められず、活動量についても改善が示されたわけではなかった。意欲の変化を喜ぶことと、体力や日常の活動がどこまで変わったかを確かめることは、分けてよい。前向きな発言をした翌日に、体力まで増えたと判定する必要はない。[17]

比較する結果によって話が変わることは、別の試験にも表れている。過体重・肥満の思春期の女子63人を無作為に分けた12週間の食事と運動の試験では、本人の自発的な取り組みを支える理論に沿って介入を行った。対象の年齢と体格が限定されており、18〜39歳の女性全般にそのまま当てはめることはできない。心理的評価の完全なデータが得られたのは54人で、動機づけ、できる感覚、全般的な自己価値の変化には群間差がなかった。一方、身体に関する自己価値、身体への満足、体の調子についての自己評価は介入群で改善した。[19]

この試験は競争と非競争の比較ではない。それでも、「心の面が良くなった」という表現の中にも、改善した項目と差がなかった項目があることを教える。体型を全員の目標にする必要はなく、ここで注目したいのも減量の成果ではない。本人の気持ちを聞くときに、楽しいのか、できると思うのか、自分の体をどう受け止めているのかを、一緒くたにしないという点である。[19]

数字で読む中学生の運動意欲

54研究:仲間の動機づけ雰囲気を整理したレビューの対象数である。[5]

30研究:そのレビューに含まれた横断研究の数で、関連と因果を分ける理由になる。[5]

28論文:仲間の影響を支援や見本などの経路で整理した統合研究の対象数である。[4]

153人:遠隔での運動や行動支援を比較した、13〜16歳の女子の予備的試験の人数である。[17]

132人:運動不足の13〜18歳の女子を対象に、心理面への働きかけを調べた試験の人数である。[1]

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宮川涼 Founder

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