ダイエット停滞期は1kg減る熱量も同じ?脂肪と除脂肪量の配分を読み解く

ダイエットの四ヶ月目や半年後、以前と同じ工夫でも体重が動かないと感じたら、減った重さの中身に目を向けたい。短期の体重変動と食事制限中の研究から、脂肪と除脂肪量の割合で変わる1kg当たりの熱量を読む。研究の平均を自分の必要な食事制限量に置き換えないための考え方も示す。

洗面所で体重を測り、以前の記録と見比べる。始めた頃はすぐ動いた数字が、今はなかなか動かない。「同じだけ気をつけているのに」と思う場面だ。そこで確認したいのは、前に減った重さと今の重さを、同じ中身だと決めていないかである。

体重の減少を一定の熱量で換算する考え方には限界がある。食事制限中の過体重の男女を調べた研究では、減った体重当たりの体内エネルギー変化は、開始後の時期によって違っていた。体脂肪と、脂肪以外の部分である除脂肪量の配分が関わるためだ。[9] この男女の結果を18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、対象と条件の違いを考える必要がある。体重計は合計を示すが、合計の内訳までは表示しない。

既存記事「ダイエットの停滞期とは?減量を直線で予測せず体重の曲線と必要熱量を読む」には、体重の曲線と長期予測の話を譲る。ここでは、減った重さの中身と熱量の関係に絞る。四ヶ月目や半年後という暦から原因を当てるのではなく、違う時期、違う研究の「減った」をどう比べるかが問いである。

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体重1kgと、体内から減った熱量は別の量である

体重変化のエネルギー密度とは、変わった体重の単位重量当たりに、体内のエネルギー量がどれだけ変わったかを表すものだ。食事制限の研究では、脂肪量と除脂肪量の変化から体内エネルギーの変化を推定し、それを体重変化と対応させている。[9] 食べ物の表示にある熱量を、そのまま体重計の差に貼り付けた値ではない。

ここでの「密度」は、皿の上の食品の話とも区別する必要がある。食品のエネルギー密度に着目した食生活の介入研究もあるが、それは摂取する食事の側の工夫である。[3] こちらが見ているのは、体の側で変わった重量の内訳だ。検索で同じ言葉が出てきても、分母が食べ物の重さなのか、体重の変化なのかで問いが違う。

脂肪はエネルギーを多く含むため、運動によって体重を減らす場合にも、その点を考慮する必要があるとレビューは論じている。[4] 一方、日常生活での短期の体重変動を調べると、その多くは除脂肪量の変化として捉えられていた。[7] 同じ重さの変化でも、内訳が異なれば、対応する熱量を一律には扱えない。[7][9]

除脂肪量という名前から、筋肉だけを思い浮かべないことも大切だ。短期の変化を扱った研究では、総体水分も測定され、体重変化と水分変化の関連が調べられている。[7] 除脂肪量の減少という結果を見ただけで、「筋肉がその分だけ失われた」と読み替えることはできない。この区別は、数字を安心材料にするためにも、心配の材料にするためにも欠かせない。

たとえば記録表の体重欄だけを見て、先月と今月の努力を採点するとする。その比較には、減った重さの内容が同じだという前提が潜む。しかし、食事制限中の体組成の変化は時間とともに変わることが示されている。[9] 記録が間違っていなくても、比較の前提が粗ければ、努力への評価まで粗くなるのである。

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食事制限中には、開始時と後で換算値が変わった

この問いに直接近いのは、過体重の男女23人を対象にした食事制限中の解析である。研究者は開始後4〜24週の体組成を、体の脂肪量などを調べる二重エネルギーX線吸収測定法で評価した。脂肪量と除脂肪量から推定した体内エネルギー変化を、開始時からの体重変化で割った値を追っている。[9] 過体重の男女をまとめた解析であり、18〜39歳の女性だけの換算値としては使えない。

結果は、4週時点で4,858±388 kcal/kg、6週時点で6,041±376 kcal/kgだった。ここでの±は平均の標準誤差である。この間の増加には統計的な有意差があり、その後の変化は有意ではなかった。[9] 少なくともこの集団では、開始後ずっと同じ換算値だったとは扱えない。

この値は、各時点の開始時からの変化をもとにした比である。[9] 「4週目に減った部分だけの熱量」と「6週目に減った部分だけの熱量」を、別々に直接測った数値として読むと意味がずれる。時間ごとの値を並べるときは、いつからの変化を分子と分母に入れたのかまで見る必要がある。

数字が大きくなったことは、同じ重さの減少に対応する体内エネルギー変化が大きくなったことを意味する。[9] ただし、それだけで本人が食事をどう変えたか、どれほど空腹だったかを説明する材料には足りない。体重の換算値は、生活全体の成績表ではない。体内の変化を読み解くための指標である。

また、「その後は有意な変化がなかった」を、全員が完全に同じ値で固定されたと読むのも行き過ぎだ。報告されているのは集団を解析した結果である。[9] 四ヶ月目の自分に、集団の平均値をそのまま渡してしまうと、研究が答えた範囲を越える。平均の推移は比較の仕方を教えるが、個人の体組成を代わりに測ってはくれない。

この研究は、減量開始後の体組成と関連するエネルギー変化が、少なくとも約1か月にわたって動的に変わることを示した。[9] だから、始めた頃の体重の動きを、その後の毎月の標準にする根拠は弱い。最初の記録は本人の実際の経験である。それでも、未来の約束として使うには別の検討が必要だ。

自由に暮らした短期間の変化は、さらに中身が違う

食事制限の介入とは別に、普段どおりに暮らす成人の2週間の体重変動を調べた研究がある。対象は24人と22人の集団で、片方では安定同位体を用いて総体水分を、もう片方では繰り返しの体組成測定で脂肪量と除脂肪量を調べた。[7] 18〜39歳の女性にそのまま当てはめる値ではなく、成人の自由生活下の変動を理解するための観察結果である。減量計画の成果を測る試験とは、出発点から異なる。

合わせたデータでの平均体重変化は0.26±1.2 kgで、研究者はエネルギー収支が釣り合っている状態と矛盾しないとした。体重変化と体組成変化の関連を解析すると、単位体重変化の84%が除脂肪量の変化に相当した。短期の1〜3 kgの変化のエネルギー密度は平均2,380 kcal/kgだった。[7]

この84%を、自分の増減にそのまま掛ける使い方はできない。研究の値は、対象集団における体重と体組成の変化の関連から求められたものである。[7] 体重計の表示だけを見て、今日変わった重さを脂肪と水分に仕分ける計算式ではない。「短期の重さは脂肪だけではない」という読み方に使うべき結果だ。

食事制限の研究の値より小さいからといって、短期間の体重変動のほうが効率のよい減量だった、という意味にもならない。[7][9] 前者は自由生活下の揺れを見ており、後者は食事制限中の変化を見ている。比べる目的は方法の優劣を決めることではなく、どのような重さが動いているかで値の意味が変わると理解することにある。

朝の表示が軽くなった日は、記録に丸を付けたくなるかもしれない。増えた日は逆に、前日の食事を責めたくなる。しかし短期の研究で体重変化の多くが除脂肪量として捉えられたことは、表示の増減と脂肪の増減を直結しない理由になる。[7] 体重計に反省文まで書かせる必要はない。

自由生活下の研究では、集団としての平均変化が小さくても、体重の変動自体は観察されている。[7] ここには、平均と個人の動きを取り違えないための手掛かりがある。集団の平均がほぼ釣り合っていることは、全員の体重計が動かなかったことを意味しない。同様に、本人の表示が動いたことだけをもって、集団の平均から推定された組成と同じ変化だったとも言えない。

また、食事制限中の解析が使う「開始時からの変化」は、基準点を共有する比較である。[9] 手元の記録で前日との差、開始時との差、以前の最も軽かった日との差を混ぜて眺めると、同じ数字のようでも比較している区間が変わる。研究の数値を読む際には基準点を確認し、自分のメモでも何と比べた差なのかを言葉にしておきたい。

短期研究の観察期間と、食事制限研究の評価時期はそろっていない。[7][9] その違いを残すことは、歯切れの悪さではなく、比較の条件を保つ作業だ。短期の揺れを長期の脂肪減少に読み替えたり、介入中の値を普段の体重変動に当てたりすると、数字は正しく写していても意味が変わってしまう。異なる値が出たときは、どちらかを捨てる前に、観察した状況を並べてみる必要がある。

数字で読む体重変化の中身

2週間:自由生活下で体重と体組成の変化を調べた観察期間である。[7]

84%:合わせたデータで、単位体重変化に占めた除脂肪量変化の割合である。[7]

2,380 kcal/kg:短期の1〜3 kgの体重変化に対応した平均エネルギー密度である。[7]

4,858±388 kcal/kg:食事制限開始後4週の値で、±は標準誤差を示す。[9]

6,041±376 kcal/kg:同じ解析の6週の値で、4週から有意に増加した。[9]

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宮川涼 Founder

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