
大きな数字を出すほどよい、とは読めない
仰向けで行う腹部引き込みを調べた実験では、健康な20人の腰の下に圧力計を置き、基準を40 mmHgに設定した。男性12人、女性8人が、そこからの増加を0、2、4、6 mmHgと変え、腹筋の厚さや収縮比を超音波で比較した。男女混合の結果であり、18〜39歳の女性だけでも同じ筋の分担になるかは、この比較から判断できない。[18]
増加が0〜2 mmHgの条件では、6 mmHgの条件に比べ、内腹斜筋や外腹斜筋の厚さなどが小さかった。一方、腹横筋の優先的な活動を示す比は高かった。ここで優先的とは、腹横筋だけが絶対的に強く働いたという意味ではなく、ほかの筋との関係も含む指標として読む必要がある。[18]
研究は、小さな圧の増加が腹横筋自体の厚さや収縮比を大きく変えたというより、比較的表層にある筋の厚さや収縮比を調整した結果として、間接的に腹横筋の優先的な比が高くなったと説明している。数字を大きくすることと、狙う筋の分担に近づくことは同じではなかった。[18]
この結果を、そのまま自宅で設定する目標値にはしない。基準の圧、器具を置く場所、仰向けという姿勢が組み合わさった実験の結果だからだ。技術報告でも、測定姿勢ごとの長所や短所を整理し、腹横筋の評価にはうつ伏せを推奨している。仰向けの課題で筋の分担を比較することと、腹横筋を評価する姿勢を選ぶことは、目的が異なる。[18][8]
膝の角度も無視できない。別の実験では、仰向けで同じ圧を使う腹部引き込み中、膝の曲がりを45度から120度へ大きくすると、腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腹横筋の活動が増えた。同じ表示を狙っていても、脚の置き方まで同じでなければ、筋活動の比較条件も変わるのである。[19]
昨日より数字が安定しない夕方に、すぐ筋力の低下と結び付ける必要はない。比較する前に、同じ姿勢と同じ課題になっているかを確認する余地がある。膝の曲げ方を変えた練習と、姿勢を固定して繰り返した測定は、記録の上でも分けたい。角度を変えた実験の結果は、表示だけを共通にして比較する難しさを教えてくれる。[19]
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
練習の手がかりとしての価値は、測定とは分けて考える
圧力計で筋活動を直接判定しにくいことは、圧を見ながら行う練習が役立たないという意味ではない。体幹の不安定性がある若い成人20人を対象にした研究では、圧力計に加え、超音波画像と筋電図による視覚的な情報を使って腹部引き込みを練習した。女性は4人、平均年齢は24.4歳だった。男性が多く体幹の不安定性がある集団なので、健康な18〜39歳の女性に同じ変化が起こるかは別に検証する必要がある。[5]
練習は毎日20分、週7日、2週間という集中的な設定だった。介入後には外腹斜筋と脊柱起立筋の筋電図の平均振幅が低下した。また、腹部引き込み中の腹横筋と内腹斜筋は安静時より厚くなり、外腹斜筋の厚さは比較的変わらなかった。研究者は腰と骨盤の安定化への有効性を報告している。[5]
この研究を読む際には、圧の表示だけを見せた練習ではない点を残しておきたい。画像と電気的活動の情報も併用しているので、結果を圧力計単独の働きに振り分けることはできない。さらに、集中的な練習を受けた少人数の前後比較として読むべきであり、器具を買えば同じ変化が起こるという説明にはならない。[5]
さらに、併用された筋電図では背中側の脊柱起立筋も測られていた。介入後にその振幅が低下したことは、「背筋も含めて活動量が大きいほど練習に成功した」という説明には合わない。この課題で研究者が見ていたのは、腹部引き込みの際の筋の働き方である。背中の筋の活動が少なかったという結果を、背中の筋力が弱くなったという意味に読み替えることもできない。[5]
結果を見る時点にも注意したい。課題中に安静時より筋が厚かったという比較と、練習の前後で筋電図が変わったという比較は、違う時間の切り取り方である。腹横筋の厚さの話を、体そのものが恒常的に厚くなったという話へ置き換えず、何をしているときの値なのかまで言葉にしておきたい。[5]
そもそも、体幹を安定させる方法によって、筋肉の分担は変わる。体幹の不安定性がある41人に、腹部引き込み、腹部を固める方法、動的神経筋安定化という方法をランダムな順序で行ってもらった比較では、超音波と筋電図に異なる結果が表れた。腹部を固める方法では、ほかの方法より外腹斜筋の筋電図振幅が大きかった。体幹の不安定性がある人の結果を、健康な18〜39歳の女性の動作選びにそのまま適用することはできない。[2]
動的神経筋安定化では、ほかの方法より横隔膜の下降運動、腹横筋と内腹斜筋の厚さの変化が大きかった。研究者は、横隔膜と腹横筋の協調という観点からこの方法を評価している。ただし、これは体幹の不安定性がある人の課題中の比較である。どんな生活動作にも共通する、唯一の正解の証明として受け取る必要はない。[2]
「腹筋がたくさん働いた」をひとまとめの褒め言葉にすると、こうした分担が見えなくなる。ある練習では表層の筋の活動を抑えながら課題を行い、別の練習では腹部を固めたときの活動を調べている。評価したい目的を先に決めてから、圧の維持、筋電図、画像のどれを手がかりにするか考える順序がよい。[2][5][18]
仕事帰りに行う練習でも、「この数字を出すこと」がいつの間にか目的になっていないかを振り返れる。指導を受ける場では、何の動作を覚えるために表示を見るのか、何をもって課題の達成とするのかを聞いておきたい。器具の値が変わることと、動作中の筋活動の変化を別々に確認した研究の読み方が、その問いを支える。[5][17]

よくある誤解
「腰を強く押して数字を上げれば、深い腹筋にもよく効く」という理解は修正が必要だ。健康な20人を調べた実験では、圧を大きく増やす条件が、腹横筋の優先的な活動の比で有利という結果は得られなかった。小さな増加の条件が表層筋との分担に関わっていた。表示の大きさを筋肉の成績表にする考え方は、この比較とは合わない。[18]
「測定者が変わっても同じ値なら、腹横筋を正確に測れている」という理解も違う。測定者間の信頼性が良好という研究と、超音波や触診の代わりに使う妥当性へ疑問を示した研究は、違う問いに答えている。両方を読むと、測定をそろえる価値を認めつつ、その数値だけで筋の活動を決めないという扱いになる。[14][1]
「圧が保てなかった日は、体幹が全く使えていない」と落ち込む必要もない。腰痛のある49人の研究では、圧を保てた群と保てなかった群の腹横筋活動比に有意差がなかった。器具の課題の成否は、その課題についての情報である。自分の腹筋全体に向けた評価へ広げる前に、何を測った結果なのかへ戻りたい。[17]
今日からできること
- 記録の名前を「腹横筋の強さ」から「指定した姿勢での圧の維持」へ変える。49人の比較で、圧の維持は高い腹横筋活動を保証しなかったことを踏まえた書き分けである。[17]
- 比較する際は膝の曲げ方も記録する。45度から120度へ条件を変えた実験では、同じ圧でも腹筋群の活動が変わった。[19]
- 表示の目標を自分で大きくし続けず、何を練習しているかを指導者に確認する。0〜2 mmHgと6 mmHgを比較した研究は、圧の大きさと筋の分担を同一視できないことを示している。[18]
- 説明を受けたら、測定の再現性の話か、筋活動との対応の話かを確かめる。16人の信頼性の研究と58人の測定方法の比較は、別の問いに答えた研究である。[14][1]
- 練習紹介の数字は条件と一緒に読む。20人が毎日20分、2週間行った研究は、圧力計、超音波、筋電図を併用しており、圧力計だけの効果としては受け取らない。[5]

オンザショア立川店で、数字を見る目的から練習を選ぶ
圧の数字をそろえる練習なのか、体を動かす時間を続けたいのか。目的を言葉にしてから、通う場所や種目を選びたい。オンザショア立川店には、溶岩プレートを敷いたスタジオでのホットヨガのほか、常温のヨガ、ピラティス、パーソナルトレーニングがある。これらのレッスンと、この記事で紹介した圧力計の測定実験は区別して考える。
医師から運動を止められている方は利用できない。妊娠中の方は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。種目や利用条件は店のトップと料金で確認できる。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分。営業時間は8:00〜23:30で、年中無休である。ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。体験の予約へ進む前に、生活のどこに運動の時間を置くかも考えておきたい。
参考文献
[1] Correlating the abdominal drawing in manoeuvre between ultrasound imaging, pressure biofeedback and manual palpation measurements in participants with low back pain: An observational cross-sectional study — Prentice CLS, Flavell CA, Massy-Westropp N, Milanese S., 2025, Musculoskeletal science & practice. DOI: 10.1016/j.msksp.2025.103303
[2] Comparison of core stabilization techniques on ultrasound imaging of the diaphragm, and core muscle thickness and external abdominal oblique muscle electromyography activity — Lee J, Kim D, Shin Y, Yi C, Jeon H, You SJH, Park C., 2022, Journal of back and musculoskeletal rehabilitation. DOI: 10.3233/bmr-210051
[5] Novel augmented ADIM training using ultrasound imaging and electromyography in adults with core instability — Lee NG, Jung JH, You JS, Kang SK, Lee DR, Kwon OY, Jeon HS., 2011, Journal of back and musculoskeletal rehabilitation. DOI: 10.3233/bmr-2011-0300
[8] Measuring transversus abdominis activity using pressure biofeedback unit-A technical report — Raj VS, Thomas M., 2023, Physiotherapy research international : the journal for researchers and clinicians in physical therapy. DOI: 10.1002/pri.2033
[14] Inter-rater reliability of pressure biofeedback unit among individuals with and without chronic low back pain — Khan M, Zafar H, Gilani SA., 2022, Pakistan journal of medical sciences. DOI: 10.12669/pjms.38.4.4952
[17] Clinimetric analysis of pressure biofeedback and transversus abdominis function in individuals with stabilization classification low back pain — Grooms DR, Grindstaff TL, Croy T, Hart JM, Saliba SA., 2013, The Journal of orthopaedic and sports physical therapy. DOI: 10.2519/jospt.2013.4397
[18] What is a Suitable Pressure for the Abdominal Drawing-in Maneuver in the Supine Position Using a Pressure Biofeedback Unit? — Park DJ, Lee SK., 2013, Journal of physical therapy science. DOI: 10.1589/jpts.25.527
[19] Comparison of Abdominal Muscle Activity in Relation to Knee Angles during Abdominal Drawing-in Exercises Using Pressure Biofeedback — Lee JC, Lee SK, Kim K., 2013, Journal of physical therapy science. DOI: 10.1589/jpts.25.1255
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
ヨガとからだの小さな疑問のほかの記事
- ストレス解消の運動後に良かったことを書く?感謝の記録と気分の変化を読み分ける
- ストレス解消の運動は部屋の香りでも違う?鼻の感度と心の緊張を分けて読む
- 運動後の食欲は飲んだ水の量で抑える?喉の渇きと次の食事量を読み分ける
- プロテインのおすすめは試験管の消化率で決まる?人の吸収との違いを読み解く
- プロテインのおすすめは粉の重量で比べる?乾物基準と一杯の量を分けて読む
- 冷え性改善は冷える指だけ慣らせばよい?片手の寒冷経験と反対の手を比べる
- 冷え性改善は運動前の緊張でも違う?動き出す前の手先と皮膚血流を読み解く
- 股関節を柔らかくした後は何分で戻る?待ち時間と動く方向で違う持続を読む
- 股関節の柔らかさは測る速さで変わる?脚上げの角度と止める基準を読み分ける
- インナーマッスルはお腹のへこみが成功の印?鏡で採点する前に知りたいこと
- 汗をかくと虫に刺されやすくなる?汗の成分と吐く息が重なるときの蚊の反応
- 運動後のサウナから出たら顔だけ冷やす?涼しい実感を体温の回復と分ける読み方
- 朝の運動前の洗顔は目覚めにも役立つ?顔の冷たさと注意力を分けて考える理由
- 朝ごはん前の運動後は固形と飲料で違う?糖の補給と午前中の空腹感を読む
- 縄跳びダイエットは疲れると着地間隔も乱れる?回数とリズムを分けて読む
- 縄跳びダイエットは縄の空気抵抗で選ぶ?交換前に分けたい腕の重さと運動の成果
- ストレス解消の運動を待つ時間も気分に影響?予定までの期待と不安を読み分ける
- 体が硬いと伸ばす感覚もずれる?振動で変わる実感と関節の角度を分けて読む
- 体力をつける階段運動は踊り場で休める?折り返す動作と酸素の消費を読み分ける
- 心肺機能が高い人は緊張後の脈も戻りやすい?持久力と回復を分けて読む研究の答え
- リバウンドは何キロから気づける?研究の判定線と自分の相談時期を分けて読む
- リバウンドを防ぐ食事は最初に小盛りにする?おかわりの手間と一食の量を読む
- 体脂肪を落とす運動で細胞は入れ替わる?年間の更新率を消失率と読まない理由
- 足首を柔らかくする前は足裏の荷重を変える?踵と前足部で違う測定の読み方
- 姿勢改善のクッションの滑り止めは何を測った?摩擦係数と骨盤矯正の距離
- 食欲を止めたい時はお菓子を遠くへ?食べ始める割合と満腹感のずれを読む
- 食欲を抑えるには袋の音も関係する?開封音への期待と間食量を分けて考える
- ストレスに良い運動でも晴れない日は?自分への優しさと気分・行動の違いを読む
- 体が硬い人の脚上げは反対の膝でも変わる?骨盤が加わる角度と柔軟性の違い
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
2







