
判断が保てることと、筋肉が戻ることは違う
栄養補給の研究には、良い結果もある。ただし、良い結果の中身を確かめなければ、脚の回復という最初の問いへ戻れなくなる。男性テニス選手9人の無作為化比較試験では、分岐鎖アミノ酸、アルギニン、シトルリンの組み合わせを、試合前に摂る条件とプラセボ条件を比べている。男性の小規模試験であり、18〜39歳の女性にも同じ効果が出るかは、この結果だけでは判断できない。[14]
分岐鎖アミノ酸は、研究では複数のアミノ酸をまとめた補給成分として使われている。この試験の課題は、検査者が動いた方向と反対へボールを打つことだった。力いっぱい打てるかだけでなく、相手の動きを見て方向を選ぶ働きを含むテストである。[14]
試合後に正しい方向へ打てた割合は、補給条件で93.63±1.28%、プラセボ条件で69.09±2.40%だった。正確性と一貫性も補給条件のほうが高く、試合中の心拍数や主観的なきつさは低かった。著者らは、中枢性疲労、すなわち筋肉だけに限らない疲労の仕組みとの関係を論じている。[14]
ただし、これは試合前に特定の組み合わせを摂り、試合後の知覚と動作を調べた結果である。市販のプロテインを試合後に飲んだら翌日の脚の痛みが減る、という答えには置き換えられない。成分、飲む時期、測る結果が変われば、別の問いになる。[14]
「アミノ酸」という共通の言葉があると、粉のプロテインも同じはずだと思いやすい。しかし、ここで比較したのは複数の成分を組み合わせた補給であり、個々の成分がそれぞれ同じ効果を持つと分けて判断もできない。まして飲料全般の効果として扱うことはできない。[14]
女性の研究も、測定場所を確かめて読みたい。平均年齢51歳の女性マスターズテニス選手17人を対象にした無作為化比較試験では、シトルリンリンゴ酸の摂取後に、握力と自転車で測る一部のパワー指標が高かった。一方、垂直方向のパワーや、パワーを維持する能力には条件間の差がなかった。平均年齢が異なるため、18〜39歳の女性に同じ変化が起こるかは別に検証する必要がある。[15]
これは実験室で行った試験である。女性が参加したことは読者にとって大事でも、テニスの試合結果を直接測ったことにはならない。研究自体もコートでの応用を確かめる必要を述べている。握力の変化を、そのままラリーの強さや翌日の切り返し能力に置き換えない読み方が必要だ。[15]
別の無作為化二重盲検試験では、競技男性36人を対象にクレアチンを調べ、サーブ、フォアハンド、バックハンドの速度や反復走、上下肢の筋力に、プラセボとの有意な差を認めなかった。サーブの変化は両条件とも毎時2kmの増加であり、補給条件だけの上乗せは認められなかった。競技男性の結果であり、18〜39歳の女性でも同じ結果になるかは、この試験だけでは判断できない。[18]
これらの試験は同じ成分について賛否が割れているわけではない。異なる成分を、異なる課題で調べた結果である。ある補給で正しい方向へ打てたから別の補給も効く、別の補給で差がなかったから栄養は全部無意味、と両端へ飛ばないことが大切だ。[14][15][18]
比較相手にも意味がある。クレアチン試験のサーブ速度は補給条件でも上がっていたが、プラセボ条件でも同じ幅で上がった。飲む前より良かった、という比較だけなら成功に見える場面でも、対照条件と比べれば補給による上乗せとは判断できない。自分の練習記録を振り返る際にも、前回より良かった理由を飲み物だけへ帰属させない手掛かりになる。[18]
さらに、女性選手の試験で握力の差があっても、垂直方向のパワーには差がなかったことは、都合の悪い付記ではない。補給によって何が変わり、何が変わらなかったかを合わせて示す、結果の中心である。テニスには握る動きも脚で動く場面もあるからこそ、握力の結果だけを抜き出して「全身の回復」と呼ばない。[15]
選ぶ基準は、目立つ成功例を集めることより、自分の問いと試験の問いを重ねることである。試合前の判断を保ちたいのか、普段の食事を補いたいのか、翌日の脚の回復を知りたいのか。目的が違うまま商品を比べても、「おすすめ」の順位だけが残ってしまう。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
よくある誤解
「プロテインを飲めば、切り返し後の筋損傷対策は済む」という理解は広すぎる。栄養レビューが示すのは食事としての摂取目安であり、若い選手の調査ではたんぱく質を満たしても食事全体に課題があった。補給の有無だけで、回復を支える条件が整ったとは判断できない。[7][19]
ここでは「筋肉痛が出たから、たんぱく質が足りなかった」と逆算もしない。食事調査は摂取状況を調べたものであり、個人の翌日の痛みから栄養不足を判定する方法を示した研究ではない。気になる痛みを、買い足す量を決める計算機にしないことだ。[7]
「競技者の摂取目安は、運動した日の自分にもそのまま必要」という考えにも条件が抜けている。約1.6g/kg/日という値は、毎日、高強度で長時間練習するテニス選手についての目安である。数字だけを切り取らず、自分の練習の頻度や長さと対象を照らし合わせたい。[19]
また、数字は追加分ではない。食事から摂っているたんぱく質を数えず、その上に同じ量を飲料で積み増すという読み方を、レビューは求めていない。商品を使うかの判断と、食事全体で何を摂るかの判断はつながっている。[19]
「試合後に調子がよかったから、翌日の回復にも効いたはず」という解釈も分けたい。アミノ酸の組み合わせで良かったのは、試合後の方向選択や打球の正確性などである。女性選手の実験室試験では、改善した指標と変わらなかった指標が並んだ。どれかが良ければ体の全部が戻る、とは読めない。[14][15]
一方で、複合的な回復法に差が出なかった試験を見て、「手入れも食事も考えなくてよい」とする必要もない。そこで否定されたのは、その試験条件で組み合わせた回復法の優位性である。摂取目安を示すレビューや食事調査とは、検証した内容が違っている。[5][7][19]

今日からできること
- 練習日の食事と試合日の食事を分けて書き出す。若い選手27人の調査では、たんぱく質の摂取が試合日より練習日に約17%多かった。自分にも同じ差があるとは決めず、予定による抜けを確認する材料にする。[7]
- 補給飲料だけでなく、帰宅後の食事まで予定に入れる。70人の質問紙では、試合翌日に特定の食事を意識していない人が39%いた。翌日の欄も空白にしない工夫として使いたい。[8]
- 摂取量を調べるときは、粉の重さとたんぱく質の量を混同せず、食事全体を考える。約1.6g/kg/日は、毎日高負荷で練習する選手についての目安として読む。[19]
- 補給の説明に出てくる結果を確認する。9人のアミノ酸試験なら試合後の方向選択、17人の女性選手の試験なら握力や実験室のパワーである。自分が知りたい翌日の回復と同じかを照らす。[14][15]
- 次の練習の振り返りでは、痛み、回復感、実際に困った動きを別々に残す。連戦の研究も筋肉痛と反復走などを区別しており、体感だけを成績へ読み替えない整理に役立つ。[5]
オンザショアで、競技の外にも続ける場所を
テニスのある日だけでなく、仕事帰りに体を動かす場所も予定表に置いておきたい。オンザショア立川店は、JR立川駅北口から徒歩1分にある溶岩ホットヨガスタジオである。営業時間は8:00〜23:30、年中無休で、曜日によって営業時間は変わらない。通う場所と時間を具体的に考えるための条件になる。
場所は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F。溶岩プレートを敷いたスタジオのホットヨガに加え、常温のヨガやピラティス、パーソナルトレーニングもある。ヨガだけで25種類以上のレッスンがあり、女性専用のキックボクササイズ、ボクササイズ、HIITも行っている。競技の外に運動を続ける場所を持つという選び方である。
妊娠中は溶岩ホットヨガに参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている場合は利用できない。参加条件は店の案内で確認し、料金も見て予定を考えたい。
ヨガの体験レッスンは税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルを含む。体験の予約は、競技の外にも続ける時間を作りたいときの入口になる。

参考文献
[5] Recovery during and after a simulated multi-day tennis tournament: Combining active recovery, stretching, cold-water immersion, and massage interventions — Wiewelhove T, Szwajca S, Busch M, Döweling A, Volk NR, Schneider C, Meyer T, Kel, 2022, European journal of sport science. DOI: 10.1080/17461391.2021.1936196
[7] Dietary Intake and Daily Distribution of Carbohydrate, Protein and Fat in Youth Tennis Players over a 7-Day Training and Competition Period — Fleming JA, Catháin CÓ, Harper LD, Naughton RJ., 2021, Journal of sports science & medicine. DOI: 10.52082/jssm.2021.413
[8] Investigating the Nutritional and Recovery Habits of Tennis Players — Fleming JA, Naughton RJ, Harper LD., 2018, Nutrients. DOI: 10.3390/nu10040443
[14] Prevention of perceptual-motor decline by branched-chain amino acids, arginine, citrulline after tennis match — Yang CC, Wu CL, Chen IF, Chang CK., 2017, Scandinavian journal of medicine & science in sports. DOI: 10.1111/sms.12717
[15] Acute citrulline-malate supplementation improves maximal strength and anaerobic power in female, masters athletes tennis players — Glenn JM, Gray M, Jensen A, Stone MS, Vincenzo JL., 2016, European journal of sport science. DOI: 10.1080/17461391.2016.1158321
[18] The effects of creatine supplementation on selected factors of tennis specific training — Pluim BM, Ferrauti A, Broekhof F, Deutekom M, Gotzmann A, Kuipers H, Weber K., 2006, British journal of sports medicine. DOI: 10.1136/bjsm.2005.022558
[19] Nutrition for tennis: practical recommendations — Ranchordas MK, Rogersion D, Ruddock A, Killer SC, Winter EM., 2013, Journal of sports science & medicine. DOI: なし
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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