デスクワークでこっそり運動するしかない?周りの目と休憩の取り方を研究で読む

デスクワーク中に体を動かしたくても、周りが座っていると立ちにくい。職場の雰囲気や組織の支援に関する調査と、座る時間を減らす介入研究を読み分ける。こっそりできる運動を探す前に確認したい仕事の条件、同僚や上司への相談、休憩の記録の見方を具体的に考える。

給湯室へ行こうと腰を浮かせたのに、向かいの席が画面を見つめたままで、また座り直す。足を動かす方法より、席を立つ理由のほうが見つからない。「デスクワーク中、こっそりできる運動」を探す背景には、そんな職場の風景もあるのではないか。

職場で動きにくい事情を、本人のやる気だけで片づけるのは早い。エチオピアとマレーシアの事務職を調べた研究では、社会的な支援、仕事の条件、組織文化や方針が、身体活動や座る行動に関わる要素として挙がった。ただし、これらは周囲の視線が運動をどれだけ減らすかを実験で確かめた結果ではない。[2][4]

そこで考えたいのは、見えない運動の種類より、動くことを相談できる条件である。既存記事「運動習慣は家と職場で同じように続く?通勤日の合図と自動性を研究で読む」に習慣の合図の話は譲り、ここでは「動きたい本人」と「座って働く職場」の間にある調整を扱う。

既存記事「画面に向かうと息が止まる人へ|肋骨の横と背中に息を入れる、デスクワークの呼吸の取り戻し方」に呼吸の実践を、「肩こり対策の科学 第5回 デスクワークの肩こり、机の調整と短い休憩で変える」に肩こり対策を譲る。この記事で確かめるのは、動作の方法や症状への効果ではなく、職場で動ける条件を誰とどう確認するかである。

ヨガとからだの記事のイメージ写真 立川駅徒歩1分年中無休の溶岩ホットヨガスタジオ

周りの目は、運動しない理由として確かめられているか

エチオピア南部のハワサで行われた質的研究は、事務職の労働者26人と関係者7人への詳しい聞き取りである。労働者の内訳は、身体活動が少ない、または座りがちな人が19人、活動的な人が7人だった。研究者は語られた内容を分類し、身体活動を増やすことや座る行動を減らすことの障壁と支援要因を整理した。対象はエチオピアの事務職と関係者であり、18〜39歳の女性の職場にも同じ障壁があるかは、地域や業務の条件を照らして考える必要がある。[2]

質的研究とは、参加者の言葉や経験から、何が起きているかを探る研究である。この研究では、本人の知識、動機、座る習慣だけでなく、対人関係の社会的支援、組織の支援、仕事に関する条件、歩くことに結びつく社会規範、職場の健康づくりの方針も挙がった。研究者は、本人から政策まで複数の層を合わせて考える必要があるとした。[2]

ここでいう社会規範は、周囲で当然とされる振る舞いという意味で捉えると読みやすい。ただし、「歩くことに結びつく社会規範」という項目を、そのまま日本のオフィスでの「離席すると怠けて見える」に置き換えることはできない。歩く行動への地域の見方と、机を離れることへの職場の見方は、重なる可能性があっても同じものではない。この調査は、立ちにくさを具体的に聞き直す手掛かりになる。[2]

たとえば、上司に注意された経験があるのか、誰も立たないので自分も控えているのか、電話を受ける担当を離れられないのか。これは読者が自分の状況を整理するための問いであり、調査で同じ発言があったという意味ではない。「周りの目が気になる」という言葉の中を分ければ、相談する相手や内容も変えられる。

この小規模な聞き取りから、「働く人の多くが視線のために運動しない」と割合を出すことはできない。調べたのは特定の地域の経験であり、社会規範の影響だけを取り出して測ったものでもない。得られるのは、本人の動機だけを問うと、仕事や周辺環境の問題を見落とすおそれがあるという視点である。[2]

検索結果に並ぶのは、椅子の下で脚を動かす工夫かもしれない。しかし、職場の事情を整理しないまま「見つからない動き」を増やしても、席を離れられない事情そのものは残る。まず、目立つことが心配なのか、業務上その場を離れられないのかを、自分の言葉にしておきたい。

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

大きな調査でも、組織文化は個人の外にあった

マレーシアの政府機関では、24の省庁の事務職1,338人が質問票に回答した。仕事中に座る時間は平均で1日5.96時間、ばらつきを示す標準偏差は1.37時間だった。さらに、仕事で少なくとも1日7時間座る29人が、集団で意見を交わす調査に参加した。質問票の広さと、話し合いの詳しさを組み合わせた研究である。対象はマレーシアの政府機関の事務職であり、18〜39歳の女性にこの座位時間や障壁をそのまま当てはめず、自分の勤務先との違いを確かめたい。[4]

話し合いからは、個人内の要因、社会的要因、物理的な環境に加え、組織文化と組織の方針も、仕事中の座る時間に関わるものとして挙がった。座る時間を尋ねる質問票だけでは捉えにくい仕事の条件を、別の方法で確かめている。座る行動は机と椅子の配置だけで決まるものではない、という読み方につながる。[4]

ただし、平均5.96時間はマレーシアの対象者についての値であり、日本のデスクワークの標準値でも、ここまでなら問題ないという境界でもない。話し合いに参加したのは座る時間の長い人である。全回答者が同じ障壁を感じていたと広げず、「長く座る人が何を障壁と捉えたか」を知る結果として読みたい。[4]

この研究は、職場の方針を変えると座る時間が何時間減るかを試したものではない。組織文化が挙がった事実と、文化を変えた介入の効果は別である。座る時間の長い職場にはどのような条件があるのかを探す研究と、条件を変えて行動が変わるかを比べる研究を、つなぎつつ区別する必要がある。[4]

自分の机に戻して考えるなら、確認したいのは「運動を推奨しているか」という看板だけではない。担当業務を誰が引き継ぐのか、共有の休憩と個別の離席をどう扱うのか、立って参加できる作業があるのか。これらは職場への相談を組み立てる例である。よい制度名を探す前に、自分が止まる場面を示すほうが話は具体的になる。

同僚に誘われれば立てる日も、誘われても受電を離れられない日もあるだろう。前者には対人関係の支援、後者には仕事の調整という別の問いがある。研究で個人、対人、組織、環境の層を分ける意味は、責任の置き場所を増やすことではなく、何を変える話なのかを明らかにすることにある。[2][4]

立てる机と支援を組み合わせると何が変わるか

職場の介入効果を広く見渡すには、2025年のアンブレラレビューが役立つ。アンブレラレビューは、個々の試験をまとめた系統的レビューを、さらに横断して整理する研究である。健康上の特定の問題や移動の障害がない成人の労働者を対象とした36の系統的レビュー・メタ分析を集め、重複を除く214の一次研究を扱った。対象は18歳以上の成人労働者であり、18〜39歳の女性だけの効果として、この平均的な変化をそのまま当てはめることはできない。[18]

その整理では、座位と立位を切り替えられる机を単独で使う介入に、座る時間を1日最大75分減らす結果があり、95%信頼区間は41〜109分の減少だった。心理面や人との関わりに働きかける方策を組み合わせると、減少幅がさらに最大33%大きくなった。一方で、こうした机の介入は、どの強度の身体活動についても有意な増加を示していなかった。[18]

「座る時間が減った」と「運動が増えた」は、同じ報告ではない。立って画面を見る時間が増えても、その時間すべてを歩行や運動と数えることはできない。このレビューが見せるのは、机の変更と心理・社会面の方策を組み合わせる余地であり、上司が声をかければ必ず運動量が増えるという保証ではない。[18]

同じレビューでは、自分の行動を記録する自己モニタリングと心理・社会面の方策を組み合わせた介入が、歩数の増加で大きな結果を示した。増加は平均1日1,056歩で、95%信頼区間は371〜1,740歩だった。ただし、中強度から高強度の身体活動を一貫して増やした方策はなく、この領域の根拠自体も限られていた。[18]

机、記録、周囲の支援は、それぞれ同じ働きをするわけではない。職場で何かを始めるなら、まず座る時間を減らしたいのか、歩く機会を増やしたいのかを分けておく必要がある。前者を目的にした変更を、後者の数字だけで失敗と判断すると、実際に変わった部分を見逃す。[18]

なお、研究間の違いは大きく、環境に働きかける介入の座位時間への効果には、出版バイアスによる過大評価の可能性も示された。効果の出た研究が表に出やすい場合、全体の見え方が偏る。大きなレビューの数字だからといって、その減少幅を自分の部署の予定表にそのまま書き込むことはできない。[18]

数字で読む職場の動きやすさ

26人と7人:エチオピアで聞き取りを受けた事務職と関係者。障壁の種類を探した調査である。[2]

1,338人:マレーシアの質問票調査の回答者数。仕事中の座位は平均1日5.96時間だった。[4]

最大75分減少:机の切り替えによる1日当たりの座位時間の変化。95%信頼区間は41〜109分の減少である。[18]

平均1,056歩増加:記録と心理・社会面の方策を組み合わせた介入の結果。95%信頼区間は371〜1,740歩である。[18]

69〜100%:職場の行動変容プログラムを整理したレビューにおける試験の継続参加率。長期の定着率とは異なる。[5]

初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。

体験レッスンを予約体験専用 03-6665-0898LINE

💬 ご質問がある場合はこちらからどうぞ

オンザショアのチャットで質問する(24時間受付)

レッスン内容・料金・体験のご予約など、気になることをお気軽にお尋ねください。

1

2

Warning: Attempt to read property "show_author" on false in /home/c1531448/public_html/ontheshore.jp/wp-content/themes/heal_tcd077/single.php on line 165

関連記事

ご体験予約