
練習の種類によって伸びる能力が違う
速く力を出す練習がよさそうだと感じたら、うまくいかなかった比較にも目を向けたい。平均15歳の女子エリートサッカー選手36人を対象に、筋持久力を重視する練習とパワーを重視する練習を競技シーズン中に比較した研究がある。[2] 18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、年齢と競技水準の違いを考える必要がある。
パワー群では、最大筋力や落下後のジャンプ、短距離走の成績が筋持久力群よりよかった。一方、反動を使う垂直ジャンプ、動的なバランス、蹴りの成績、体組成には、終了時点で群間の有意差がなかった。[2] 速い動きを重視した練習が、優位だった能力は測定項目によって分かれた。
逆に、筋持久力群の方がよかった体幹の持久力や方向転換の検査もある。そこでは群間の効果量が1.28〜2.28、パワー群が優れた最大筋力などの指標では0.85〜1.44だった。[2] 「どちらの練習が上か」と順位をつけるより、「どの能力を測ったときに違ったか」と読む方が、次の練習の目的を見失わずに済む。
この結果は、ジャンプ練習を統合したメタ分析の改善を打ち消すものではない。比較している練習、対象、測定項目が異なるからだ。[2][10] 片方はジャンプ系の介入を含む研究群を統合したもの、もう片方は筋持久力とパワーの練習を比べたものになる。似た言葉が並んでも、比較している練習の組み合わせを確かめたい。
読者にとっては、「ジャンプが高くなったからキックも速いはず」と決めないことが実用的だ。体力検査の改善と、いま困っている蹴りの改善を別々に確かめる。研究でもジャンプと蹴りをそれぞれ検査しており、片方だけをもう片方の代わりにはしていない。[2][18] 次のレッスンでは「体力がついた」と「蹴りやすくなった」をそれぞれ言葉にすれば、練習を選ぶ目的が伝わる。
初日の汗は、予約した人だけが持ち帰れる。
速い連打のあとには疲労という別の条件が入る
蹴り始めは軽く動けたのに、続けるうちに沈み込みだけが大きく見える。そんなとき、「もっと反動を使えば戻る」と技術の問題だけに決めつけたくなる。しかし蹴りの後には、疲労という条件も加わる。プロのムエタイ選手を対象とした無作為化クロスオーバー試験は、この点を考える手がかりになる。[20] 18〜39歳の女性にそのまま当てはめるには、全力で蹴るプロと初心者の負荷の違いを検討する必要がある。
対象は9人で、同じ選手が異なる条件に参加した。全力の回し蹴りを20回行い、1秒ごとの条件と3秒ごとの条件を比べた。検査は蹴る前と、蹴った直後から30分後までの複数の時点で行われ、床への力を測れる装置上のジャンプから神経筋の反応を調べた。[20] ここでも測定対象は、蹴りそのものの速度とは区別される。
両条件を比較した値に有意差はなかったが、変化が現れる時点には違いがあった。ジャンプ高は3秒ごとの条件では直後に低下し、1秒ごとの条件では開始前との比較で20分後から低下した。最大パワーも両条件で低下が見られた。[20] 間隔が長い方なら疲れない、という単純な読み方にはならない。
この試験は、全力で蹴るプロの反応を調べている。数字をそのまま初心者の練習間隔へ移すのではなく、速さを比べるときには蹴りの前に何をしたかも条件に入れる、と読むのが妥当だ。[20] レッスンの冒頭の動きと終盤の動きを比べて、違いをすべて沈み方のせいにしてしまうと、技術以外の変化を見落とす。
指導者へ相談するなら、「沈むと遅い気がする」に加え、どの場面でそう感じたかを伝えると話が具体的になる。始めからか、連続して動いた後か。合図に遅れるのか、脚の振りが重く感じるのか。これは新しい疲労判定法ではなく、研究でも分けている運動条件と測定時点を、会話の中で混ぜないための工夫である。[20]
力の指標にも時間による変化がある。3秒ごとの条件では最大の力が開始前より10分後、20分後、30分後に低下し、1秒ごとの条件で開始前より低下したのは30分後だった。[20] ジャンプの高さだけでなく、床を押す力を追うことで、運動後の状態を複数の面から捉えている。プロ選手を対象にした結果なので、18〜39歳の女性の休憩時間をこの数字から決めることはできない。
見学した人の「軽そうだった」と、自分の「脚が重かった」が食い違う場面もあり得る。そんなときはどちらかを消さず、見えた動きと感じた負担を分けて伝えればよい。プロの試験ですら、ジャンプ高、力、パワーを別々に追っている。[20] 自分の感想をひとつの総合点にまとめなくても、指導者と確かめる材料にはなる。

よくある誤解
「反動の研究があるなら、深く沈むほど速い」という理解は飛躍である。蹴りの動作解析が比べたのは準備運動の方法で、筋肉が伸ばされる局面と縮む局面の時間や膝の回転速度を調べている。[16] 見た目の沈み込みの深さだけを操作した結果としては読めない。「軽く」のつもりで動きを付け足す前に、習っている蹴りでその動きが必要かを確認したい。
「反動を使う練習は女性には意味がない」という決めつけも適切ではない。女性サッカー選手のメタ分析は、ジャンプ系の練習による蹴りを含む体力の改善を報告している。[10] ただし競技者の継続練習の結果であり、性別だけを理由に深い沈み込みを勧めたり、跳ぶ運動を一律に足したりする根拠にはならない。対象を尊重することと、全員に同じ処方をすることは違う。
「ジャンプの数字が上がればキックの問題は解決する」とも言えない。女子選手の比較では、練習方法によって差が出る能力と出ない能力が分かれ、蹴りには群間の有意差がなかった。[2] また、ムエタイの疲労研究で用いたジャンプは、蹴った後の神経筋の状態を見る検査である。[20] 同じジャンプという言葉でも、練習種目として使う場合と、検査として使う場合を読み分けたい。
鏡で目立つ動きには名前をつけやすい。体が下がれば「ため」、大きく動けば「力強い」と呼びたくなる。ただ、研究の指標はもっと具体的だ。回転する速度なのか、局面の時間なのか、継続練習後の成績なのか。[2][16][18] 名前の印象で自分の動作を合否判定せず、何を変えたいのかを先に置く方が、相談する内容も絞れる。
今日からできること
- 「速く蹴りたい」を、振っている途中の速さと、準備を含めた所要時間に分けて指導者に伝える。18人の動作解析が測った膝の角速度を、到達時間の数字として使わない。[16]
- 沈み込みを深くする前に、いま教わっている蹴りに必要な準備動作を確認する。12週間の組み合わせ練習の改善を、その場の沈み方の効果へ置き換えない。[18]
- 女性向けの研究でも、対象が競技者かを確かめる。10研究のメタ分析を読むときは、練習期間を伴う体力づくりの話として相談に使う。[10]
- うまく動けない場面を、始めからか、連続した蹴りの後かに分けてメモする。9人のムエタイ選手の試験のように、運動後の経過も比較条件に入る。[20]
- ジャンプや筋力の変化だけで蹴りの上達を決めない。36人の女子選手の研究で結果が指標ごとに分かれた点を踏まえ、習いたい動作そのものも見てもらう。[2]
研究の数字は、自分に課すノルマより、指導者への質問を整えるために使いたい。「もっと反動を」と言われた場合も、体全体を沈めることなのか、脚の切り返しなのかを確認する余地がある。動作解析が角度と時間を分けているように、助言の意味も動きのどの部分かまで確かめれば、鏡の中で探すものが明確になる。[16]

オンザショア立川店で、蹴りの準備を見直す時間を
蹴り出す前の動きを確かめる練習を、生活の予定に組み込むなら、オンザショア立川店には女性専用のキックボクササイズがある。営業時間は全曜日8:00〜23:30で、年中無休である。仕事や講義の予定と照らして、通う時間帯を考えられる。反動の大きさを急いで変えるより、同じ動作を落ち着いて見直す時間を予定に置く、という使い方を考えたい。
所在地は東京都立川市曙町2-14-10 エトロワビル3F、JR立川駅北口から徒歩1分だ。溶岩プレートを敷いたホットヨガスタジオで、常温のヨガ、ピラティス、ボクササイズ、HIIT、パーソナルトレーニングもある。ヨガだけで25種類以上のレッスンを用意している。
妊娠中は溶岩ホットヨガには参加できず、常温のマタニティヨガがある。医師から運動を止められている方は利用できない。参加条件や通う場所は店舗トップで確認したい。
費用は料金案内で確認できる。ヨガの体験は税込1,980円で、60分のレッスンにバスタオル2枚、フェイスタオル1枚、ヨガマットのレンタルが含まれる。これはヨガの体験内容であり、体験予約から確認できる。
参考文献
- Seasonal Effects of Strength Endurance vs. Power Training in Young Female Soccer Athletes — Lesinski M, Prieske O, Chaabene H, Granacher U., 2021, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000003564
- Effects of Plyometric Jump Training in Female Soccer Player’s Physical Fitness: A Systematic Review with Meta-Analysis — Sánchez M, Sanchez-Sanchez J, Nakamura FY, Clemente FM, Romero-Moraleda B, Ramir, 2020, International journal of environmental research and public health. DOI: 10.3390/ijerph17238911
- Kinematics analyses related to stretch-shortening cycle during soccer instep kicking after different acute stretching — Amiri-Khorasani M, Mohammadkazemi R, Sarafrazi S, Riyahi-Malayeri S, Sotoodeh V., 2012, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0b013e3182443442
- Effects of a contrast training program without external load on vertical jump, kicking speed, sprint, and agility of young soccer players — García-Pinillos F, Martínez-Amat A, Hita-Contreras F, Martínez-López EJ, Latorre, 2014, Journal of strength and conditioning research. DOI: 10.1519/jsc.0000000000000452
- Acute neuromuscular responses to short and long roundhouse kick striking paces in professional Muay Thai fighters — Cimadoro G, Mahaffey R, Babault N., 2019, The Journal of sports medicine and physical fitness. DOI: 10.23736/s0022-4707.18.08295-6
この記事の情報は2026年10月時点のものです。個別の健康状態については医師にご相談ください。
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